書きたいことを書くだけの短編集   作:如月風牙

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試しに投稿。 
殺戮の天使はもともととある発狂する実況者からハマった作品ですね。懐かしい。

では、どうぞ。


殺戮の天使編 仮題:安寧の天使
日常。


 ここは、山々に囲まれた小さな村。

 多くの住民が静かに暮らしており、人々は川から流れる清涼な水と果物。さらには野生の動物が生息しており、タンパク源にも事欠かない。

 

 今までに人が訪れたことのない様な、そんな村に。

 

 初めてとも呼べる外来人が訪れた。

 

「……こんな所に、村があったなんて」

「あぁ……そうか? 人っつうのは何処にでもいるゴキブリみてぇなもんだろうがよ。こんなとこにいてもおかしくねぇ」

「流石に、そんな事はないと思う」

「そうかぁ?」

 

 二人は仲良さげ? に村の中を歩いていく。そんな様子を村の住民は物珍しげに、そして恐れと興味が入り混じった奇妙な視線を送るのだが……

 

「……チッ、どいつもこいつも隠れて覗き見やがってよ。気色わりぃったらねぇ」

「私達、追われているから。仕方ないと思う」

「んなら何でこの村に入ったんだよ……」

「しょうがないでしょ、ここの村を通らないと山奥に逃げれないんだから」

 

 声のトーンを落として話す二人。どうやら男性の方は感情のコントロールが苦手で、少女は無感情で物事をはかるようにしている。明らかにあべこべな二人のそんな様子を村人たちは見つめていた。

 

 さっきも少女が言ったように、二人は今追われている身にある。転々と場所を変えながら暮らしていった結果、既に逃亡から数ヶ月が経とうとしている。もうそろそろ人々の記憶からも消え失せるのではないだろうか?

 

 

 

***

 

 

 

「……はあぁぁ、ウザってぇ」

「ザック、落ち着いて。もう村からは離れたし、今日はこの家で休もう?」

「……へいへい」

 

 面倒くさがりながらも食料の入ったバックパックを乱雑に置く黒いパーカーを被ったザックと呼ばれた青年。

 

 あの後村を突っ切って森の奥に向かった二人はその途中でひっそりと佇む廃屋を見かけた為、今日はここで休息を取ることにした。

 

「おいレイ。何ボサッと突っ立ってんだ」

「……何でもない。気のせいだった」

「……頭使うのはお前の仕事だしな」

 

 レイと呼ばれたフードを被った少女が青年に続けて靴を履いたままリビングルームに入る。

 

「……広い」

「無駄にだだっ広いのは嫌いなんだがなぁ」

 

 家の中は埃を被っており、まともに息を吸うのも億劫なほどだ。しかしそこは普通じゃない二人。特に気にすることなくズンズンと進んでいく。

 

「お、ここならちょうどいいな」

「だね」

 

 家の奥にあった小部屋を軽く掃除してここで休むことにした。

 食料はこの前狩った動物の干し肉と水筒に入った水、歩きながら回収していった木の実。今日はこれを食べることにしたのだが。

 

「ねぇ、ザック」

「あ?」

「この木の実、食べられるの?」

 

 少女と青年はそれぞれ顔を隠していたフードをのけた状態で青年は壁に背中を預けて、少女は青年の真ん前に座り込んでいた。そして二人は食卓ーーと言うにはみすぼらしいがーーを囲み食事の準備をしていた。

 

 少女は金髪碧眼であり、小柄だ。身長は160あるかどうか、と言った様子だ。

 そんな彼女は今純白であったであろう質素なワンピースの上から深緑色のパーカーを羽織っているという少しアンバランスな服装をしている。

 

 青年は少女とは対照的で黒髪で長身長……180後半はあるのではないだろうか。そして彼は赤黒いズボンに黒っぽいパーカーを羽織っている。

 そんな彼に一番最初に目につくのは、その顔だろう。顔には包帯が巻かれており、口と目以外はすべて包帯が巻かれており素顔を見る事はできない。

 

「はぁ? んなこと俺が知ってるわけねぇだろうが。食ってみりゃ分かる」

「確かにそうだけど……ってザック!?」

 

 今までにないほど大きな声をあげて驚きの声を上げる少女。その視線の先には、青年が赤い木の実を丸かじりしている様子が。

 

「んぐんぐ……おぉ、意外とウメェ。ん? レイ、どうしたんだ?」

「……危ないことするときは先に言ってって、前も言った」

「あー……そうだったか?」

「……むぅ」

 

 とまぁ、終始和やか? な雰囲気で食事が進んでいく。会話は余りしないが時折少女が話を振って青年が時折頭を傾げながらも会話を続けようとする。

 

「……ご馳走さまでした。……ねぇザック」

「あ?」

「ここの森、動物多かったよね」

「そういやそうだな。猪に狼、他にも色々いたな」

「暫くは、ここで過ごさない?」

 

 その問いに青年は当たり前のように答えた。

 

「んなこと俺が知るか。お前が決めろ、レイ」

「……うん」

 

 声からは少女の感情を理解することが出来なかったが、その顔は、少しだけではあったが笑みを浮かべていた。

 

 

 

 夜も深まり、そろそろ就寝の時間となった。

 部屋に寝具は無く、二人は床で寝ることになった。無論、探せば見つかるのだろうが、数日連続で野宿の経験もあった二人には壁と天井があるだけでもマシ、と言えるだろう。

 

「おやすみ、ザック」

「……すぅ、すぅ」

 

 少女が背中合わせで横になっているであろう青年に話しかけるが、寝付きがいい青年は横になってすぐに寝息をたてていた。そのことに気づいた少女は、独り口を開く。

 

「ザックが、私を連れて行ってくれたこと、嬉しかった。ザックが、私に約束をしてくれて嬉しかった……」

「……」

「ザックは、神様じゃないけど、私にとっての神様にはなってくれたから……」

 

 

 

 

 

「だから、きっと、私を殺してくれるよね?」

 

 そう言って少女は眠りについた。そのまま少女の静かな寝息が聞こえる中、

 

「……チッ」

 

 青年はきっちりと聞いてはいたのだが、少女がそれに気づくことはないだろう。

 

 

 

 これが、殺戮の天使であったレイチェル・ガードナーとアイザック・フォスターのそんな一日。




今回の殺戮の天使は、ザックとレイチェルがグレイに連れられることのない世界戦となっています。
原作ファンの方々は疑問を浮かべると思いますが、どうしてもザックはあの後約束を果たすだろうと考えた結果です。申し訳ございませんが、ご了承ください。

※追記 2021年1月22日

 矛盾点が見つかったため、多少の改正をいたしました。

個人的に好みな作品(安寧の天使制作に付き、二回目)

  • SAO 仮題:其の者、ただの愚者につき。
  • 魔法科 仮題:魔法科高校のニ科生
  • 殺戮の天使 仮題:安寧の天使
  • なし
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