なお結局本格的『学会編』は次回になります(いつもの)
多分私は予定通りに進まない呪いに掛かってる。
兎も角どうぞ!
「おお! ウォルペン! 会いたかったよ!」
【ウォルペン工房】棟梁、ウォルペン=スタークが廊下を歩いているととある男に呼び止められる。無視しようともしたが、生憎その声には
それ故か、ウォルペンは無視しようと言う気になれなかった。大人しく振り向く事となる。
そこに居たのは装飾の多い外套を身に纏う褐色の女だ。豊かな胸には幾つもの勲章が輝いている。この勲章は新たな発見・発明を行った者に送られる、確かな技量の証左である。
「…あん? テメェは…確かシャクナ、だよな?」
「おお! 覚えてくれていたか! 我が婿!」
ただ一つ問題がある。この女、ウォルペンにホの字なのだ。
「やめろ! 俺は嫁を取るつもりはねぇ!」
「何も問題無いと思うが? 私と君は双方共に王宮工房の棟梁! ならば私の家に婿入りするのもまるで何の問題も無く──」
「うっせぇ! 俺は婿入りする予定はねぇ!」
「ならば私が嫁に行っても良いのだぞ?」
「話が違う! そうじゃない!」
シャクナ=アルソンス。王宮工房の一つである【アルソンス工房】の棟梁であり、同時に“錬成”による武器製作を生業とする、古くから続く【錬成師】貴族の血筋でもある。
それ故に凝り固まった『平民差別』があるのが、通常の【錬成師】貴族という物である。一応教育設備が整っていると言う面で、平民の【錬成師】よりも優れている場合が多いというのはある。
ウォルペンは現在成り上がり、【錬成師】貴族となっている。だが元は平民。新興の工房である【ウォルペン工房】、その棟梁であるウォルペンとは本来不仲になるはずなのだが…シャクナはそうでも無い。
シャクナはそう言った面は結構緩く、技術さえあればOKというウォルペンに似た実力主義者だ。他の兄弟とも精神面では隔絶しており、あまり親しくないのだそう。まあ、本人自体がかなり飛んでいるタイプなので、無理は無い。というかウォルペンと同様、貴族らしくないので本当に仕方がない。
と言うか工房とかマジで関係無く、ガチで一目惚れなのだ。全【錬成師】中適当度No.1のウォルペンさえも「頭おかしいんじゃねーの!?」と幾度と無く叫んだ程だ。
「あっ、そう言えば我が婿。新婚旅行先、何処が良い? 個人的には珍しい鉱石が多い【エリセン】がオススメだぞ?」
「もう突っ込まねー、突っ込まねーぞ」
「まあ、結婚後の事は後に置いておいて」
「置くな、捨てろ」
なおウォルペンは知らない。シャクナとの噂に関してはもうかなり外堀が出来ていると言う事実を。【ウォルペン工房】の職人の過半数もまた、仲を認めている事に。
そもそもウォルペン自身が嫌がって尚も話をするというのは非常に珍しい。基本はスルーが主軸の対応のウォルペンだ。それこそ普通に会話出来るなど、興味が無いなら有り得ない。つまりは、そう言う事である。
「君の所の子は大丈夫かい? 確か…そうそうナグモ君。彼、【
「おん………ああ、その辺りは問題ねーぞ。少なくとも俺は心配してねー」
「ほう? 君がそれほど言うとは…冗談でも無いのだね?」
「生憎俺は嘘は言わねぇ主義だ。何たって──」
ウォルペンは目を瞑る。そして瞼の裏につい先日の光景を浮かべた。そこには目を輝かせるハジメがいた。
その一瞬を思い返し、ウォルペンは喜色半分、
そして続きを口にした。
──
その言葉にシャクナもまた、歯を剥き出しに笑ったのも言うまでも無い事だろう。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「…なんて言うかさ、ユキ」
「厳粛が過ぎねーかな、この祭り?」
「それよね、ホント」
『ピェピィ…』
そして『魔法理論学発展論会』当日、優花と幸利はその会場に訪れ…文字通り固まっていた。二人の顔にはありありと文字が浮かんでいる。「何が祭りだ」と。
一応『魔法理論学発展論会』は【ハイリヒ王国】を代表する祭典の一つだ。会場の付近には見物客を金ヅルとして目を輝かせる店主達だっている。
だがこの祭典は祭りは祭りでも『学会』だ。浮かれ調子で行く様な物では無い。
見るが良い。会場の天井に吊るされるきめ細やかな作りのシャンデリアを! 紳士服やドレスに身を包む観客を! 広く輝かしい、果てまで届きそうな廊下を!
…ハッキリ言って、規模が凄まじ過ぎて目眩がした。
一応二人もマナーレッスンは合格済み。ここまでキチンと振る舞いを正して来た。それに幸利は漆黒の燕尾服、優花は蒼色のドレスに身を包んでいる。そのため、決して浮いていると言うわけでは無い。
だが、想像の五倍くらい豪華なのだ! メンタルがぷるぷるしているのだ! 蝶ネクタイだけ付けたピナも蕁麻疹が出てるのだ! ぶっちゃけ帰りてぇ!!
しかしこの祭典の結果でハジメの今後が決まる。ならば友人として、それを見届けねばと二人は奮起し直す。
「あ! 優花ー!」
「うわー、可愛いドレス。優花にピッタリじゃん!」
「奈々!? 妙子!?」
不意に聞こえて来た自身を呼ぶ声。それに優花が振り返るとそこには彼女の友人である菅原妙子、宮崎奈々の姿があった。
同時に隣の清水にも、声が掛かった。
「よう! 清水!」
「清水元気かー? 相変わらず細いけどちゃんと飯食ってるかー?」
「肩のピナちゃん可愛いな。…モフって良い?」
「おお、おはよう? 元気だけどそれはオカンの反応だろ…あとピナは触らせねぇ! ピナはウチの子だ!」
『
其方には相川昇、仁村明人、玉井淳史の三人が幸利に近付いていた。何だかんだと同じパーティーのメンバーである幸利を気に掛けていたのだろう。幸利の反応も少し人見知り感はあるが、他に比べ断然ラフであった。
どうや愛ちゃん先生護衛隊は此度の遠征からも無事戻って来たらしい。むしろ本人達曰く、「【ウル】の一件ほどトラブルになる事はまず無い」との事。まあ、あの時はとびっきりの
そうすると当然彼等もいる。愛ちゃん先生護衛隊の後ろに続くのは四人の騎士と一人の女神だ。
『「「
「今日は南雲君の晴れ舞台ですからね。先生少し頑張って、予定よりも早く帰って来ましたよ!」
「ちなみに此度の遠征で愛子が消費したポーションの数は23本です」
「更に言うと全て最高級だ」
『「「
愛ちゃん先生、相変わらず捨て身が過ぎる。どうやら徹夜敢行して来たらしい。化粧で誤魔化されているが、目の下に隈が出来ている。
【ウル】での説教から何も学んでいない…なら良いのだろうが生憎、愛子先生はちゃんと反省出来る大人だ。つまりは反省して尚、我が身を斬り捨てていると言う事に他ならない。
思わずその場の全員が愛ちゃん先生にジト目を送る。忠臣? 護衛隊? そんな物は関係無い。是非とも今、反省してくれ! という怒りのみがこの場に渦巻いている。
愛子先生もその視線に気付いたのか、周囲を見渡す。一面に広がるジト目。愛ちゃん先生は頷いた。
「大丈夫です! 先生は丈夫ですから!」
「「「「「「「アホタレがぁあああ!!!」」」」」」」
「な、何でですかぁ〜?」
爆発。
小動物の如くワタワタする愛子。だが『神の使徒』も騎士も気にも留めない。自分を労りやがれ、という人徳故の怒声がフロアに響く。
するとその声が呼び水になったのか、また別の者達がその場に集まった。
「おお! その声は【豊穣の女神】様! そして『神の使徒』御一行ではありませんか!」
「この野太い声は!」
「エゲツねぇ程興奮してやがるこの声は!」
「波打つ筋肉を彷彿とさせるこの声は!」
『デデンデンデデン!』
「ピナさん?」
順に優花、幸利、チェイス、ピナが反応する。無理は無い。彼等彼女等にはトラウマがある。そう、それこそパ行の鳴き声しかしない、ピナが思わず某BGMを鳴いちゃう程には…どゆこと?
兎も角も同様を隠せない四人に、筋肉モリモリの彼等は迫り来る。
「お久々で! 南雲の旦那の護衛の皆様! このジェルノ、旦那の発表があると聞いて駆け付けて来ましたぜ!」
「ふひょひょひょひょ! 楽しみですなぁ、南雲氏の研究発表! きっと世紀の発表になりますぞー!」
「異論なしですなぁ! いやー、楽しみ過ぎて朝も寝れませんでしたよぉー」
「「「「「あっははは、間違い無い!」」」」」
「間違えてないかしら? 昼夜逆転してるわよ、あの人達?」
「オタクは得てしてあんな感じだぞ?」
「業深ぇなぁ、オタクって」
そう、彼等は他ならない【ウル】の【錬成師】の皆様だ。もはやハジメを神として信望するレベルの彼等が当然、ここに駆け付けない筈が無かった。日頃のボロボロの作業着とは打って変わった礼服を纏い、会場にて闊歩している。
ただ礼服がピッチピチしているのは、如何な物か。飛び出さんばかりの筋肉で礼服が苦しそうだった。さっきから『神の使徒』の視線が彼等の筋肉にしか行っていない。
「それにしても…南雲ハジメの準備は十分なのか? 此度の結果次第で、奴は『神の使徒』の名を破棄されるのだぞ? 奴は万全なのか?」
こう言ったのはデビッドだ。【錬成師】達が研究に関して供述し始めた為、思い出したのだろう。字面は高圧的だが、確かに心配していることがよく分かる。
「えーっと、今回の研究に関しては全く教えて貰えなかったんですけど…」
「流石に教会側の妨害も考慮しなきゃなんねーからな。アイツも教えるのは最低限にしてるんだろ。ただまあアイツは…」
それに答えるのは優花と清水だ。つい昨日に言われた言葉を二人は思い返す。
「「『取り敢えず全員ぎゃふんと言わせる』って言ってました」」
「…フンッ、相変わらず生意気なガキだな」
「それは本当に楽しみです。南雲君の発表に期待しましょう」
受付嬢に入場許可証を見せ、発表会場の扉を騎士達が開ける。すると先に中に入っていた観客達からの騒めき声が聞こえた。
【ウル】の【錬成師】達は例外だが、現在この一行は有名人ばかりだ。【豊穣の女神】に、神殿騎士、『神の使徒』、果てにはランク『黒』の冒険者【
だが何も有名人は彼等だけで無い。この会場には数多くの知名人が居る。
「はてはて…かの小僧の悪足掻き。果たしてどの程度の物か。見物ですな、ノイント様」
「そうですか、イシュタル皇。此方としては何の感慨も有りません。神の仰せの通り、使命を果たすのみです」
「ほほほほ、それは何とも素晴らしい事で。陰りの一切ない信仰心。全ての信者が見習うべきですな」
「当然です。我々は神の駒なのですから」
「反論の余地もありませんな」
【聖教教会教皇】イシュタル=ランゴバルト
【神殿騎士団長】ノイント=エリジュヒト
「ふむ…果たして坊主はどうなのか…」
「フフフ。きっと大丈夫ですわ、南雲さんなら」
「ええ。恐らくは」
「…やけに坊主を信用されていますね、リリアーナ王女。やはり件の新聞は──」
「違いますわ」
「…ならばそう言う事にさせて貰いましょう」
「ええ、そう言う事にしましょう。メルド様」
「フンッ! また彼奴の話か! 余は気に入らん!」
「そう言いますけど、ランデル。貴方この『学会』に今まで来た事ないでしょう? 普通に興味あるじゃ無いですか」
「姉上!? 何を言われるのですか!?」
【王国騎士団長】メルド=ロギンス
【ハイリヒ王国第一王女】リリアーナ=S=B=ハイリヒ
【側付き】ヘリーナ
【ハイリヒ王国第一王子】ランデル=S=B=ハイリヒ
「うっふーん! 良いわねぇ、この
「相変わらずベルちゃんは可愛い反応するわねぇ」
「…やはり、キャサリンさんの胆力は凄まじいな」
「何か言ったかしら〜ん? バルスちゃ〜ん?」
「いえ、何も」
【元金ランク】及び【漢女連合マスター】クリスタルベル
【元冒険者ギルド秘書官】キャサリン
【王都ギルドマスター】バルス=ラプタ
「ほら、龍太郎! 早く早く! もう少しで始まるわよ!」
「南雲の発表、どんなんだろーな?」
「さあ? でも彼何か掴んだ様だったから、何かやってくれるんじゃないかしら?」
「? 最近、南雲と会ったのか? アイツ訓練も放って、籠ってたって聞くけど」
「ん゛!? …ああ、いやあくまでも予想よ、予想! 変な勘繰りは良しなさい、龍太郎! さもないと斬るわよ!?」
「俺そんな変な事言ったか?」
【剣士】八重樫雫
【拳士】坂上龍太郎
──そして当然、彼女もいる。
幼馴染二人がそう言い争いながら席に着く中、彼女はずっと椅子に座り幕の閉じている舞台に視線を注いでいる。
それも無理は無い。彼女はずっと待ち続けている。焦がれている。
「…南雲くん」
【聖女】白崎香織
そして──
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「──即ちこの詠唱文と魔法陣を用いる事で、私のオリジナル魔法“
既に多くの学者が発表を終え、もうじきラストスパートとさえ言える程になって来た。
そこまで行って初めて『魔法理論学発展論会』を見た『神の使徒』達は揃いも揃って思った。最早これは偉いさん直々の処刑では無かろうか、と。
「ごめん。君に質問」
「は、はい」
その声に会場の多くの人間がビクンッとした。当然張本人の発表者君もビクンッとした。
律儀に手を挙げ、質問するのは王宮魔法師レミィ=ランテッドだ。大人には思えないちんまりとした腕だ。発表者も若干気が和らいでいる。
だがその和らぎなど…一瞬で吹き飛んだ。
「その魔法陣、確かに威力は“火球”よりも
「えっと…ですがその道の天職持ちならばその魔法陣の問題も解決出来ます! それならば特に問題は──」
「ふぅむ? それはいけないな、少年?」
続いて言葉を遮ったのは赤い髪をした巨身の男だ。その正体はレミィと同じく王宮魔法師、名をアース=ガゼット。彼は勢い良く拳を振り上げ、叫んだ。
「確かに現代魔法は基本、適性により魔法陣を簡略化するケースが無いわけでは無い! しかぁし! その簡略化された演算の一部は発動者自身が行う! 君のオリジナル魔法、“火狩”は成り立ちはするだろう! ただ演算が不足している分、未熟な威力になることや発動者に負担が掛かる事が予想される! そう言った点でその魔法は問題があると言えるぞ!? 駄目だな!」
「そ、そうなんですね。ありがとうございます。今後の研究に役立てます」
「ああ! 精進してくれ!」
凄まじい熱量と共に放たれた指摘の数々。発表者君は泣きそうになりながらも堪え、頭を下げる。
これで終わったかと思った。しかし彼には見えてしまった。垂直に手を挙げる男の姿が。
「すまない。私は別に魔法陣をメインに据えた研究をしている訳では無いのだが…何分、一人の【錬成師】だ。そう言った面でも一つ、質問宜しいだろうか?」
「えっ、ハイ」
歴代続く王宮工房最大派閥、【アルソンス工房】。その八代目棟梁を務めるシャクナ=アルソンスは人差し指と中指で発表者を指し、話を続ける。
「失礼する。君は言ったね? 威力が二倍になると。何故そう確信して言える?」
「えっと…それは基本五式の『威力』の部分を二倍に上げた為です。それ以上に出力するには詠唱文をより伸ばす必要性が有りましたので…」
「そうなると…やはり基本五式の『威力』
「はい。そうなります」
「ならばやはり二倍も無いよ。精々1.2倍程度だろうさ。オリジナル魔法を作る際に良く犯すミスだね。魔法にはバランスがある。威力だけを上げても、収束率が足りなく目標の飛距離まで届かない、もしくは範囲も狙い通りに行かないだろう。詰まるところ、新たな詠唱文を見出したのは見事だが、魔法陣の完成度の程度が低い。ついでに言えば詠唱文にも綻びは少し見える。だがまあそれは置いておくとして…追加分の魔法陣は兎も角も基本五式程度はキチンとしておきたまえ。適性を持つ者でも基本五式の魔法陣程度はよく使う。魔法師でも錬成師でもこの主軸を誤ってはならない。これは基本だ。今後気をつけると良い」
「…はい」
返す言葉が弱々しい。自身を持った研究がここまでボロクソに言われるとは思って見なかったのだろう。緊張する余裕さえ、今の彼には無かった。
そしてまた手は上がる。少数先鋭の新興工房【ウォルペン工房】の棟梁、ウォルペン=スタークだ。
「つーか、そもそもの前提が間違ってんだよ。ガキ」
「…何でしょうか?」
「威力を上げただけのオリジナル魔法なんざ意味がない。そんだけだ」
「………」
魔法は多種多様に分かれる。属性が同じだろうと、威力・軌道・範囲・消費魔力量がそれぞれ異なり、術師は状況に応じた魔法を使用する。
恐らくオリジナル魔法“火狩”は従来の初級魔法“火球”と然程変わりない。今回審査員が指摘した点を直して行ったならば“火狩”は「詠唱文が変わり、魔力を多めに使用する強めの“火球”」となるだろう。そんな物ならば魔力を注ぎ込んだ“火球”と何ら変わりは無い。つまりは新規性が無いわけだ。
オリジナル魔法とは代用品が無いからこそオリジナルたり得るのだ。発表者が言った魔法は全くその要素が無い。詰まるところ需要が無いのだ。
こう言われては黙り込むしか無い。今日幾度と無く展開されている光景がそこにはあった。
すると審査員席の中央に座する、現代魔法学の祖父たるゴッドワイド=T=ハウグストが最後に口を開く。
「新たな魔法を生み出そうとする姿勢は見事。されどまだ知識が圧倒的に足りんな。今日日我々が用いている現代魔法も先人方が研鑽と失敗を積み重ね、創り上げてきた代物。歴史の積み重ねが最適化まで導いたのだ。それを軽視してはならない。君が新たな魔法を作ろうとするならば、先ずは先人方から学ぶと良い」
「は…はぃ…」
「? 何も恥じる事はない。君達に残された時間はまだある。一瞬たりとも無駄にしなければ、その努力は実ろう」
「あ、ありがとう…ございました」
どうやらかなり心が折れたらしい。ゴッドワイドが励ましの声を掛けているが意味がない。笑顔が凄まじく苦しそうだ。どうみても無理矢理表情を作っている様にしか見えない。きっとステージ裏に隠れた瞬間、彼は泣くのだろうと会場の皆が察した。
ゴッドワイドは禿頭で、かつ顔の凹凸が激しい…所謂強面の年長者だ。しかも声に抑揚が無いのだから恐ろしい。慣れ親しんだ審査員四人は兎も角、発表者君には完全にトドメとなってしまった。
「これ、南雲大丈夫?」
「ちょいちょい心折れずに済んだ奴らも居たけど…こりゃハジメにとっても厳しいかもな」
『ピピッ…』
「南雲っち頑張れーって奴だね…」
「気張れよ、南雲ォ…」
何やかんやあってVIP席に座らされている現+元愛ちゃん先生護衛隊のメンバー。彼等は散々繰り広げられて来たステージでの悲劇を思い返しながら、己等の友人を心配する。
審査員席に彼の師匠であるウォルペンが居るのは一見救いにも思える。ただ、生憎ながらウォルペンは身内贔屓するようなタイプでは無い。典型的【錬成師】の筆頭で有り、技術リスペクトの男だ。ハジメの発表が悪ければ容赦なく、ブチ切れるだろう。
次がハジメの番だ。そしてハジメの次に発表者はいない。単純に言えば『大トリ』と言うやつだ。ちなみにここら辺は教会どうのこうのは関係無い。くじ運の悪さである。
今は次の準備の為、幕は閉じている。ハジメの姿は見えない。しかし開いてしまったが最後、ハジメの番が来てしまう。
決して信じていないわけではない。ただミリでもある可能性が頭によぎってしまう。それほどまでに審査員の指摘は的確で、凄まじかった。
強制的シメとなっているハジメを心配し、背もたれに体重を捧げる二人。取り敢えず顔を仰向けにしつつも二人は言う。
「何かアイツって一日一トラブルぐらいあるよな?」
「あるわね。むしろもうちょっと多くない?」
「それはそうだな、うん」
【ウル】の一件や『ハジリリ新聞事件』を思い返しながら、二人は頷く。(ちなみにあの一件はリリアーナの巧みな民衆操作と雫の
思い返すと凄まじく酷く…二人は急に落ち着いた。
今まで死線を幾つも駆け抜けた男だ。どうとでもなるだろう、と。
「…ま、あんな事やらやらかしたアイツなら何とかなるか」
「だな。…おっ、始まるな」
最後の幕が開く。会場にいる遍く者達がステージに視線を捧げた。今、話題性が最もあるが故に、ある者は睨み付け、ある者は目を輝かせる。
逃げ出したのか? 彼を知らぬ人々は一瞬、そう思った。
しかしカツン、カツンと小さく、しかし確かに響く音が彼の存在を示した。
彼の服装はマナーレッスンの時と同様、紳士スタイルだ。しかし以前の様な慌てた様子や高校生故の幼さは無い。
初の大舞台、今後の人生を左右する場に於いて、ハジメは異様に落ち着いていた。今迄この場に訪れた誰よりも、ハジメは自然体であった。
足のつま先から頭のてっぺんまで澱みない所作。ぶれることの無い瞳孔。それでいてふわりと優しげな微笑。
幾日と積み重ねたレッスンの成果、それがこの場にて覚醒したのだ。だからこそリリアーナやヘリーナが自慢げに笑い、雫が隣をニヤニヤと見つめる。
第一印象は完璧。誰も彼もの視線を惹きつけた。
だからこそ成功の喜びをも抑え、ハジメはまず一礼。そして“風音”の基本五式
「それでは私、南雲ハジメの研究発表を始めさせて頂きます」
──南雲ハジメ、一世一代の戦いを。
シャクナ=アルソンス…めっちゃ凄い【錬成師】。女=嫁がせるみたいな時代で第一線を張ってるイケメン女子。通称ヤベーやつ。どちらかと言うと武器の量産とかをメインに据えてる。なお魔法陣はメインにしてないってだけで、知識量なら並超え。
レミィ=ランテッド…めっちゃ凄い【火術師】。魔法陣の添削が仕事の基本。連撃性とかその辺り重視。火の雨を降らせるのが得意。アースとは幼馴染。
アース=ガゼット…めっちゃ凄い【土術師】。要塞とか作んのが得意。松○修造タイプ。死ぬと思ったら生きてる奴。何なのお前。
ゴッドワイド=T=ハウグスト…天職【会計士】なのに魔法知識王国No.1の本気であたおかな人。【魔力間における収束性・反発性の証明】、【概念魔法の存在証明】とかが主な実績。本気であたおか。
…てな感じのオリキャラを投入しましたが、実際あと数話のお付き合いですので大目に見て?
ちなみに次回は再来週になる可能性有りです。
現実のレポートが…うごごごご。
楽しみにしてる人、メンゴ!
ーー追記
誤字報告をくれる皆様!
及び感想くれる皆様サンクス!
いつもよりも短い?
だって投稿予定時間過ぎるもん!
急いでるもん!
じゃあね!
この作品、アナタは何メイン目的で読んでる?
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ハジカオ!
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オリジナル展開!
-
成り上がり要素!
-
考察要素!
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曇らせ!
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感想返し!
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ダイレクトマーケティング!