なので前回の感想には全く手を付けられてません!
ゴメンね!
今から…いや、ちょっと用事あるからそれ終わったら返していきます!
頑張ります!
そんでは〜どうぞ!
──趣味の合間に人生
それが僕のかつて掲げていた志だ。
子供の頃から両親の影響もあり、サブカルチャーに染まり切っていた僕。それにより僕は小学生の頃から友人関係の作成という物に価値を見出せずにいた。
何て事は無い。趣味の方が友達を作るよりも遥かに楽しいと、そう比較しての話だった。高校こそ学校=寝る場所として扱っていたが、小学生の頃は自由帳に落書きを量産していた記憶がある。授業中、他の子が元気よく手を上げているのに対し、僕は黙々と絵を描き続けた。
話し掛けて来る子はいた。興味本位か、或いは優しさか。はたまた揶揄い目的か。僕はそれに対して無難に返事を返していた。一応、小さな頃から社交会やらに出た事がある為、受け身の話し方は得意だった。少なくとも相手に不快感は与えなかったと断言出来る。
しかし話し掛けて来る子は段々と減って行った。他の子と話したり遊んだりする方が楽しいと判断したのだろう。僕の周りから人は減って行った。
悲しくは無かった。むしろ自分の世界に浸れる時間が増え、良かったかもしれない。当時の先生は心配していたけれど、両親はそれを問題視するつもりは無かった。
まあ、二人とも「社会に出て、成功すれば官軍!」とか言うピーキーな考え方なので、完全に二人をアテにする気は無かったけれど。
そうして中学校までは特に変わりない学校生活を送っていた。途中、また関わろうとして来る人も現れたが、その人もすぐに何処か別のグループへと流れて行った。
またヤンキーがお婆さんに絡んでいる所に全力で土下座しに行くという事もあった。一応他人から見れば人助けになるのだろうが…僕はそんなつもりは無い。ただ単純に人が傷付くのを見るのが嫌だった、その頃はそれだけの話だ。
こう言った経験を重ねて、すっかり僕にとっての『外』は退屈な場所になっていた。もしくは単に寝る場所として考えていた部分もあった。変人扱いはされたがそれはそれ。僕にとっては外面など無いような物だった。
学校に行くのもあくまで人生に於ける最低限の保険を作る為だけだ。『外』に興味があった訳では無い。
まあそんなこんながあって、高校生へとなった訳だけれど…
『初めまして! 南雲ハジメくんですよね!?』
『…………はい?????』
彼女は急に、僕の前に現れた。
正直、第一印象は「何だこの子」だった。
繰り返すが、今迄話し掛けて来る人間はいた。優しさやら見栄やら興味やら冗談やら…理由は何であれ、そう言った人はいた。そこまでは良い。
問題は真正面から来る熱量が半端では無い、と言う事だ。
今迄の相手は全員、初っ端に探りを入れて来る事が大半だった。煽って来る系のタイプは例外だけれど、そんな彼等でもこれ程じゃ無い。だってそうだろう。
たまたまクラスが一緒になった異性が、それもモデルが裸足で逃げ出しかねない美少女が、入学式が終わるなり、直ぐに近付いて話し掛けて来る。
…繰り返し言おう。本気で訳が分からなかった。
一瞬、偶々後ろにいる人が僕と同じ名前で、その彼に話し掛けているのかと、視線を後ろに送ったが…
『えっと…南雲くん、で合ってますか?』
そんな無言のジェスチャーも意味が無かった。彼女の目は完全に僕を捉えていた。
『そ、そうですね。僕が南雲ハジメです』
『やっぱり! ああ良かった〜。名前間違っちゃったかと思いました』
──うわっ、顔が良い
当時の僕がそんな事を思っていたのを思い出す。顔面偏差値の暴力である。ちなみに現在の僕も完全同意である。
ただまあ美少女は美少女でも状況が状況だ。何故いきなり話し掛けて来たのかとか、そもそも初対面ですよねとか、ヤベーってこの人ヤベーってとか。そんな思いがかつての僕の中で飛び交って居たのを覚えている。
だが当然、彼女はそんなかつての僕の内心を知らない。友人から呼ばれたらしく、其方に戻る彼女は最後に振り返って一言。
『これからよろしくお願いしますね!』
『エ? アッハイ』
『それじゃあ失礼します!』
怒涛の勢いで迫り、そして去って行った嵐の様な少女。周りがそんな一幕に騒めく中、僕はただ立ち
そしてこの日から、僕にとっての『外』は大きく変化した。
『南雲くん、目の下に隈があるけれど大丈夫? ちゃんと寝なきゃダメだよ?』
『南雲くんってアニメ好きなんだよね? オススメって何があるかな?』
『ねぇ南雲くん、お昼ご飯いっしょに食べよ?』
もう、それは本当に凄かった。
何せ思い当たる節も無いのにグイグイ美少女が迫って来るのだ。これまでの人生経験に於いて一度も無かったケースに、慄いたのは仕方が無い話だった。
それに加えて彼女は無難な話しかしない僕から離れる事は無かった。これまでは一ヶ月もすれば皆見向きもしなくなった。だけど彼女はめげずに僕に話しかけて来た。どうせいつか離れるだろうと言う僕の予想は大きく外れていた。
しかも外見・器量共に有って、人望も尋常では無い美少女だ。単なる変人扱いだった中学までとは打って変わり、僕は主に悪い理由で注目を集めた。
『やぁ、南雲。今日も君は不真面目だな。そろそろ他人に迷惑を掛けている事を自覚した方が良い』
『南雲君…その、いつも迷惑を掛けるわね。あの子、こう言う時周りが見えないから…』
『ほーん、お前が南雲か。根性ねー奴だな』
『よー、キモオタ。お前何で学校来てるんだよ?』
『南雲くん。悩んでいる事が有ったら、先生に何でも言ってくださいね?』
…本当に、今考えればマイナスの方向性ばかりだったなぁ。
今こそ良くして貰ってるけど、坂上くんはそもそも無関心。園部さんやユッキーもほぼ接点が無かったから、話し掛けなんかしなかった。【ウル】組の皆も、この頃はまだ視線が鋭かったっけか。
派手なイジメは無かったけど、ちょっとした物が積み重なって…少なくともストレスであったのは間違いなかった。
途中、両親から高校を辞める提案をされる程、高校での僕の環境は面倒な物になっていた。実際その選択肢を魅力的だと思った僕もいた。趣味に人生を費やす事を目的としていたから、高校は最悪捨てる事だって出来た。
でも僕はその選択肢は取らなかった。両親には一つ目の理由である『人生の保険を作る』という理由を話したけれど…もう一つ理由は二人にも言わなかった。
一つ目の理由だけなら学校を転校するなり、家庭学習なりに切り替えれば良い。両親には迷惑を掛けるかもしれないけれど、おちゃらけた様に見えて僕の事を心配してくれているのは分かっている。そうして心労を掛けるぐらいなら、金銭面で迷惑を掛ける方が二人的にはマシだと知っている。
でも二人は僕の意思を心配する様な様子はしていなかった。きっと二人とも僕のもう一つの理由を理解していたんだと思う。目敏い人達だ。これだから親には敵わないと心底思ってしまうのだ。
単純に『外』が退屈じゃ無くなっていた。それだけの理由だ。
これまで『外』は僕にとって、単なる寝る場所だった。僕一人で構成されて、稀に他人と関わってはまた一人。そんな場所だった。それが当たり前だと思っていた。だから僕もその閉じた世界に居続けた。
それを寂しいと思った事は無い。窮屈とも思わない。それが本当に僕を構成していた世界だったから。
けれど──
『南雲くん、おはよう! 今日もギリギリだね。もっと早く来ようよ』
──いつかこの
楽しい事だけじゃ無い。かなーり危ない事をしれっと彼女が言ったり、それにより嫉妬により獣となった男子と逃走中したり、寝る時間が減ってしまったり…マイナスだって一杯あった。
でも少しだけ、『外』の世界への興味が湧き出した。
無味無臭じゃ無くなったこの世界。僕の想定を上回ってばかりなこの高校生活を、僕は何処か楽しみだしていた。
そして──全てが崩壊した。
異世界召喚。
この世界に僕が培って来たアドバンテージは無い。絵やプログラムなどと言う物はこの世界に於いてほぼ役に立たない。純粋な力が、僕らには求められた。
より勢いを増した理不尽。【無能】というレッテルはクラスメイトからの侮蔑を促進させた。罵り、痛み、拒絶。ありとあらゆる物が二十四時間、僕を突き刺した。
安らぎの場所は無い。かつては簡単に辿り着いたあの家。だけどもうあそこは果てしないほど遠くにあった。絶対の味方であった両親の顔を、もう見る事は叶わない。
あらゆる物が、僕の膝を折ろうとした。劣等感、苦痛、そして孤独。何故僕がこんな目に、と世界を恨んだ時もあった。
知識を集めていたのはそんな状況からの現実逃避だった。止まって仕舞えば、それこそ動けなくなると確信があった。それが怖くて、僕は歩き続けた。
ただそれでも、止まってしまうのは時間の問題だった。だって僕の掌には何も残されていないから。
『だから、私の中で一番強い人は南雲くんなんだ』
──そんな僕を、君は肯定した。
心、今も僕が持っている。これまでの僕が一切価値を見出していなかった物。それを君が見つけ出してくれた。
弱くても立ち上がる勇気。それが僕の武器なんだと、君は笑ってそう言った。
きっと君は知らない。
あの言葉に、僕がどれだけ救われたかを。
君は僕を傷つけ続けていたなんて言った。それは間違いじゃ無い。
でもそれ以上に僕は君から立ち上がる勇気を貰った。歩き続ける力を貰った。
そしてあの日、あの時、あの場所で。どれだけ君に憧れたか、きっと君は知らないんだ。
だから進み続けた。
だから足掻き続けた。
だから、ひたすらに君の隣を目指した。
だから──
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「──まだだっ!」
「!?」
光輝がトドメの為に繰り出した最短の突き。この『聖剣』の横腹を叩く事で、殺意の一撃を真横に押し出した。
光輝は驚愕する。二度目の“天翔閃”を受けて尚、これ程の動きが出来るものなのかと。
驚き、そして同時にその事実に青筋を立てた。
「まだ立つのか…いい加減に諦めたらどうだ?」
「ハハッ…残念ながら足掻く事に関しては君よりもプロフェッショナルだよ、僕は」
身体全てに傷が刻まれている。満身創痍。万が一にも勝ち目は無いだろう。それでも足掻くのは止めない。
彼女から貰い受けた『勇気』が、ハジメの意志を燃やし続けているから。
「南雲、残念ながらお前は俺に勝てない。何故か分かるか?」
「そんなの、最後までやってみなきゃ分からないじゃ無いか」
「…ああ、やっぱりお前は俺に勝てないよ」
そんなハジメが気に入らないと光輝は『聖剣』を煌めかせた。“限界突破”の脅威は未だそこにある。
そして問答と共に放たれた横薙ぎ。それをハジメはしゃがみ込む事で回避。しかしその頃には既に『聖剣』の先が目の前に迫っていた。
「俺の肩にはトータスの人々の期待が! 希望が! 未来が乗っている! 俺にはそれだけの勝つ理由がある!」
「──ッ!」
これを仰け反って回避する。しかし完全には避け切れず、目の前でパラパラと髪の毛が散った。
「だけどお前には無い! お前が戦うのはお前一人の為だけだ! 俺の様な『大義』が! 『正義』が無い! だからお前の剣はこんなにも軽いんだ!」
「うぐっ!?」
光輝の間合いから離れるが、砕けた地面の礫がハジメの視界を潰す。圧倒的な破壊力故の礫の勢い。ハジメの節々にダメージが与えられた。
「そんなお前がどうして俺に勝てる!? 何も背負っていないお前が! 自分の事しか考えていないお前が! 勝てる訳が、無いんだ!」
「──あがッ!?」
そしてハジメの顔面に、光輝の蹴りが決まった。鼻先が折れ、骨が砕ける。あまりもの強力な一撃は、ハジメに一瞬の隙を創り出した。
「だからいい加減に──沈めっ!!」
その隙を光輝は逃さない。上段に構えられた『聖剣』を、今ハジメへと振り下ろした。
さもそれは処刑の宣言の如く。
光り輝く刃は今、ハジメの首元に吸い込まれて──
「“魔錬・発勁”!!」
「ッ!?」
──首元から放たれた蒼の魔力が、『聖剣』に衝撃を与えた。
特殊技術、“魔錬・発勁”。やっている事はあまりにも単純。集めた自然魔力を外部に放つ事で、物や敵に物理的な衝撃を発生させるという物だ。
練度が低い為か主要攻撃の領域にまでは辿り着いていない。しかし両者間に発生した衝撃波は見事、『
「何でだ…諦めろ。俺とお前の差はもう分かった筈だ。俺も流石に人を殺したく無い」
もう勝ちは決まったと思っているのだろう。光輝は『聖剣』を下段に構えて、ハジメを見据える。もはや手を下さずとも勝てるという確信がそこにはあった。
ハジメはもう立てもしない。片膝を付き、蹲っている。全身が赤く汚れていた。
そんな光輝の言葉にハジメは小さく微笑む。その笑みには儚さが滲み出ていた。蒲公英の種の様に、風がそよげば散ってしまう。そんな微かな命だった。
「…確かにそうだ。僕は誰の為でも無い。僕自身の為だけに戦ってる。そこに『大義』は無い。『正義』は無い。何たって僕はこの世界が嫌いだ。この世界の為に戦うなんてつもり、全く無いよ。…ハハッ、まったく君の言う通りだ」
「だったら何で…」
「何で…かぁ」
ハジメはあくまでも我欲の為に動いている。他人の為にこんな場所に立っているつもりは無い。『正義』だの『大義』だのを掲げる気は全く無かった。
何故か。尋ねられればハジメは簡単に答えられない。『原点』は一つだ。しかし…ハジメを立ち上がらせようとする
蒼い魔力を全身に走らせながら、ハジメは付いている膝を無理矢理真っ直ぐにする。
『坊主、お前さんは中々見込みがあるなぁ』
『よっしゃ、小僧! 工房全体で、今日も“錬成”勝負するからお前も参加しろ! やるだろ?』
「期待を、託された」
最初の頃、まだ自分が何も成し遂げて居なかった頃。それでもお前には何かがあると言ってくれる人達がいた。
その手が、ハジメに力を貸す。
『俺達は今日から南雲支援隊でもある! 手伝える事が有ったら言ってくれ!』
『応援するよー、南雲っち! 勝ち取れ! 無罪!』
『ふん…愛子に恥をかかせるなよ、南雲ハジメ』
『デビッドはああ言っていますが、我々全員が応援していますよ。南雲殿』
「笑顔が、見えた」
走り抜け続けて、やがて追いかけて来る人が現れた。朗らかな大笑が、不器用な微笑みが、明るい苦笑がハジメの脳裏に浮かぶ。
その顔が、ハジメの震えを止めた。
『最近の南雲君には活力が有りますね。先生は嬉しいですよ』
『此処まで仕え甲斐のある方はお嬢様以来ですね、正直飽きません』
『あら、南雲さん。右脚が逆ですわよ?』
「支えが、あった」
自身が進んだ道を肯定してくれる先立ちがいた。傷だらけになって、それを癒そうとしてくれる人達がいた。
その存在が、ハジメから痛みを奪い取った。
『えーっとなー。脚をこう…ガッとやって腰をくんってして、拳でドンッてやるんだ! …わかんねぇのか?』
『私も可能な限り手助けするわ、南雲君。貴方には生きていて欲しいから』
「声が、聞こえた」
身の丈に合わない夢を追う為の、血の滲むような修練。その助言をしてくれる同輩達がいた。
その言葉が、今のハジメの耳に残響する。
『とっとと行くわよ、南雲。寝ぼけてる暇なんて無いわ』
『刻むぞ、ハジメ! 俺達の
『
『
「失いたく無い、物が出来た」
掛け替えの無い物が、いつの間にか数え切れない程に積み重なっていた。どれもが大切で、自分には無い物。
この世界で築かれたあまりにも多くの絆を、ハジメは失いたく無い。
だからこそ、ハジメは立ち上がった。
そして脳裏に、彼女が浮かぶ。
『うん…待ってる。絶対に、南雲くんが来てくれるまで。いつまでも待ってるから!』
朝焼けの純白が、ハジメの世界に光を与えた。
己の中の『特別』。それを改めて感じて──
「────ああ、そっかぁ。そういう事だったのか…」
漸くハジメは気が付いた。
どうして彼女が己にとって此処まで『特別』なのか。何故自分がこれ程までに彼女の隣を目指すのか。
走馬灯が、南雲ハジメの想いを明らかにした。
それはあまりにも陳腐な感情で、そしてあまりにもこの世界にありふれた言葉。
「僕は、白崎さんが好き…なんだなぁ」
果たしてその言葉に込められた想いはどれ程の物か。
呟き程に小さな声。しかしその声は音量に反して、広く遠くに響き渡る。
鎮まる世界。その小さな呟きに応じてだろうか。草木が、風が、人が全て音を忘れる。
その中で、ハジメは蒼の光を束ねた。
「…だったら、益々負けられないじゃないか」
また一つ、ハジメを立ち上がらせる物が出来たとハジメは笑みを溢れさせた。
その笑みの何と獰猛な事か。つい先の死相は失せた。不屈の眼光を煌かせ、三日月の形を口が作った。
武器は無い。長い付き合いの手袋も失せた。だがもう関係ない。彼は今、限界を超える。
「──“錬成”」
瞬間、蒼の魔力が咆哮を上げた。唸り、立ち昇り、やがてその光はハジメを包み込む。
刹那、地面から一対の双剣が創られた。背水の状況にも関わらず、その鋭さは失われていない。
最早そこに立つのは満身創痍の弱者では無かった。地に堕ちた哀れ者では無い。
そこに有るのは挑戦者。太陽に身を焦がし、されど人間を超えた意志により空に手を掛ける愚者。
頂上に立つ強者の喉を喰い破る、唯一無二の弱者だ。
「好き…だと? そろそろ巫山戯るのは良い加減にしたらどうだ、南雲…」
それに怒りを剥き出しにしたのは光輝だ。“限界突破”による魔力の奔流が荒れ狂う。それが示すのは彼の心境か、はたまたこれからの戦況の加速か。
どちらだろうと関係無い。光輝は純白の魔力光を『聖剣』に束ねる。そしてその『聖剣』を振り抜いた。
「お前に、お前なんかに! 香織は渡さない!」
そして────
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「たくっ。アイツ、やりやがったな…」
「うん? 何のはな──ああ、南雲?」
「ああ。案の定だ」
「あー、つまり──」
戦場の何処かにて、とある二人の会話があった。
片方が闇魔法“共眼”により、外にいる使い魔と視界を共有していた。それにより大将同士の戦いを、見詰める事が出来た。
そして試合を眺めている内に、その少年は頭を抱えた。もう片方の少女もまた少年の様子から察した様子だ。
二人はこれ以上無く呆れた様子で呟く。
「アイツ…天之河に
「はー、知ってたけどさー。もうちょっと、俺達の胃に優しくしてくれないカナ────!!?」
「全くね。あの作戦を話してた時ほど、ダチョ○倶楽部を身近に感じた事は無いわ」
「まだダ○ョウ倶楽部のが聴き分け有るわ。あの狂人と一緒にすんな」
「なるほど。アイツには芸人の才能があるらしいわ」
「芸人にリアル狂人は求められてねーんだよ」
二人は薄々察していた。口では此方の作戦に賛同していたが…目がまるで話を聞いていなかったと。
恐らくはどうであれ、ハジメはこの死地を誘発する気だった。それを二人は理解していた。そして案の定のこの状況に、
例えば念話石のイヤーカフスの破壊。これにより教皇イシュタルによる『聖剣』および『聖鎧』の発動の妨害を防いだ。
例えば光輝に終始向けられた無感情の表情。それに挑発的な物言い。これによりハジメは僅かにでも光輝の怒りを誘発した。
例えばこの一対一という状況。相方二人を自分から突き放す事で、ハジメは光輝とのタイマンと言う状況を作り出した。
何故こんな事をしたのか。言うまでも無いだろう。
あの男、南雲ハジメの『原点』はただ一つなのだから。
「で? アンタはどうする気? 何か茶々を入れる気?」
「俺もう十秒背中着いちまったからな〜。お前まだだろ? お前こそどうすんの?」
「私? やる事は決まってるでしょ?」
やはりアイツは狂っていると再確認しつつも、二人は今後の動きに関して話し始める。現状ハジメが追い詰められているのは言うまでも無い。ならば何かしら動くのが最適だ。
答えはすぐに出た。
「無事に帰って来た南雲に説教するに決まってるじゃない」
「だろ? つまりはそういう事だ」
『
二人は不敵に笑う。
その表情には確信が込められており、1ミリたりとも憂いは無かった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
──ズガァアアアンッッッ!!!
凄まじい音が神像の麓にて鳴り響く。
その映像を見詰める人々は、その光景に姿勢を前のめりとした。
戦場の中心にて見えるは白の極光。振り下ろされた意匠の凝った刃。勝利を確信した飢えた笑み。
そして、
「────は?」
光輝には理解出来ない。逸らされる、避けられると言った事ならば数度に渡り今迄も存在した。
しかし何故、どうして。
どうして
これが光輝にはまるで分からなかった。
蒼き修羅は笑う。
「成程…これは、
身を包む魔力が、幾重にも重なっている。それは肌に纏わっており、
──“魔錬・戦鬼”
「でも…ハハハッ。やっと
双剣が蒼に輝いている。『聖剣』との打ち合いにも関わらず、その刃には傷がない。否、傷が
──“錬成・不屈”
「…行くよ、天之河くん。僕の今出せる全力…
体内魔力と自然魔力が重なり合い、魔力外骨格を形成する。凡夫の膂力を超えた一歩が、地面を砕く。
──“魔錬・擬似限界突破”
文字通り、限界のその先。その魔力の奔流は溢れながらも静かで…天蓋に見える大空を想像させた。
戦場に煌めく二つの一等星。遠い客席からも視認可能な程、その光は眩しい。
「僕はまだ──折れてすらいないぞ!」
最早誰にも止められない戦いが、今始まる。
と言う訳で回想回でした。
そして同時に…気付いた瞬間でした。
ちなみに読者の一部の方は「香織マッチポンプじゃね?」とか思ったかたいるかもしれませんが…実を言うとハジメにとっての苦痛は香織による物は少なかったりします。
と言うのもトータスでのハジメの苦しいのは『アドバンテージの喪失』、『暴力&暴言』、『家族と会えない』の三つです。
この時点で最初と最後は香織さん関係無いです。
そんで二つ目ですけど…多分香織の件が無くてもあっただろうな感が否めないのです。
というのもハジメは【無能】、教会や王国側が間違いなくこのレッテルは付けていたかと思います。
で、そんな雑魚をチンピラ精神の檜山が黙って見ている訳がありません。
まず虐めます。
次に虐めます。
…ね? ちょっとマシだけど、あんま変わらんでしょ?
なのでハジメ的には被害よりも全然救いの部分が多かった訳です。
だからこその三話の「僕は君に救われた」なのです。
と、言う訳でハジメはどうしようも無く彼女に憧れたのでした。
そして此処からは双方共に限界を超えた勝負です。
…ま、ちょーっと別のが有る訳ですが。
次回、『矢文』
ーー追記
皆様誤字修正及び感想投稿感謝!
この作品はそう言った物を糧とする事で続いております!
この連日投稿とかがその証だぜ!
ちなみに来週からは大学が始まるので多分連続は無理じゃね?って感じです。
でも頑張って一話は投稿するよ!
頑張るゾイ!
この作品、アナタは何メイン目的で読んでる?
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ハジカオ!
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オリジナル展開!
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成り上がり要素!
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考察要素!
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曇らせ!
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感想返し!
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ダイレクトマーケティング!