恋する錬成師は世界最強   作:見た目は子供、素顔は厨二

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へい! 先週ぶりです!
もう、漫画版ありふれ最新話が素晴ら過ぎる…。
いや前話の告白も好きよ、うん。
でもね、やっぱり振られた上での諦めるかっ!!っていう香織様のこの懸命な想いよ!
これこそが彼女がヒロインたる所以なんだよ!だよーー!!!!!!(クソ馬鹿デカ感情)
かーーーっ! 語彙力がきえりゅ(尊死)
ちなみに学園の方もブラック企業系ノイント様が来たワロタ。
哀れ、原作香織ボディ…

それじゃまぁ、どうぞ。


3、午後は魔法講義 〜〜僅かなる閃きを和えて〜〜

「抑する光の聖痕、虚より来りて災禍を封じよ。──汝の首を跳ね落とせ、“縛光刃・断頭”」

 

 勇者パーティーは午後現在、【オルクス大迷宮】34階層にいた。群れる魔物に囲まれる中、香織は詠唱を完結させた。

 

 すると魔物の頭上で降臨するは純白の十字架。それ等は吸い寄せられるように魔物達の首へと落ちた。血が幾つも舞い、魔物達は断末魔を上げる暇もなく絶命する。

 

 神系天職最上級の一つである【聖女】。その真髄は“光属性魔法”の派生形態の一つである“治癒魔法”や“結界魔法”に高い適性を持つ点にこそあり、その凄まじさは魔法系天職のある種の究極地点と言えた。

 

 だが同時に通常の“光属性魔法”に対しても非常に高い適性を持つ。

 

 “光属性魔法”の攻性魔法の特徴として、対魔物への特攻性が挙げられる。その理由は未だ解明されていないが、一説としては魔物を邪悪として神が定めているから、というものが主となっている。

 

 なおこの特攻性は他の生命体には発生しない。それが()()()()を如実に示している訳だが、聖教教会の人間は未だ気付くことは無い。

 

 さて、香織が発動したのはそんな“光属性魔法”の中でも攻撃と共に敵の束縛を行う魔法である“縛光刃”。しかしそれに加えられた付属詠唱、“断頭”。

 

 “断頭”は攻撃できる範囲を首に絞る代わりに、その攻撃にクリティカルを発生させる補助魔法である。これにより本来ならばそれまで強力な攻撃性能を持たない“縛光刃”を絶命レベルの攻撃へと落とし込んでいる。

 

 付属詠唱はどの魔法にも分類されない、敢えていうならば魔法の技術の一つである。自らが行う魔法操作、それに予め何かしらの『戒め』を定める事により主体の魔法の性能を向上させる。

 

 存在自体がマイナーであり、定めた『戒め』を破れば魔法は不全を起こし、強制解除となる。故に誤れば魔力を浪費するだけとなってしまう為、そのリスクを恐れて扱う者は極少数だ。

 

 だが香織には今、何を取り込んででも前へと進む理由がある。

 

 思い浮かべるは朝焼けの中、誓った約束。己が知らず知らずに傷つけていた少年の、真っ直ぐな瞳。そして耳朶を打ったその決意。

 

 きっとハジメは約束を守るだろう。ステータス差はこの世界に置いて残酷な程に絶対のルール。されどハジメならばという信頼、それだけで香織はいずれ己の横にハジメが辿り着くと確信していた。

 

 だからこそもうハジメの事は心配していない。彼が己の横に立つ日まで、香織は待ち続ける。

 

 それまでは対面して会う事も出来ない。ハジメと香織の仲を疎む者がいる以上、前の様には行かない。それは香織にとって本当に辛い。

 

 しかしきっと来るであろう未来を心の中で描くと、不思議と笑みが溢れた。そして同時に強くならねば、と己を叱咤するのだ。

 

 きっとハジメは強くなる。一段一段積み上げて、高みへと手を伸ばすだろう。

 

 ならばそんな彼の隣に居たいと願う己は何をすべきか。そんな事は言われずとも決まっている。

 

(強くならなきゃ…今度こそ南雲くんを守り切る為に!)

 

 ──純白の炎は再起する。瞳に映るはかの憧憬。

 

「天恵よ、彼の者に今一度力を──“焦天”」

 

 ──其の視線は遥か彼方へ注がれていた。

 

 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 場面は移り変わりて王立図書館、読書スペースのとある一角。そこでは山程の本と異様な雰囲気が発せられていた。

 

 そして異様な雰囲気の中、二人の少年達は怒涛の勢いで知識の共有を行なっていた。

 

「まず魔力は万能のエネルギー、その源だ。この世のあらゆる物質、事象に作用を及ぼす事が出来るってされてる。主に魔力が及ぼす影響は『生成』と『操作』、『付与』。古代魔法なら話は別だが、現代魔法に関しちゃ、これらをプロセスにして魔法は成り立ってるってされてる。また魔力の種類は主に二つ。自然魔力と体内魔力に分類される。じゃあこの違いは何だ? 分かるか、南雲」

 

 詳しく説明すると『生成』は火、水、風、土…などの属性を生み出す事、『操作』は生み出した、もしくは元々あった属性を意のままに動かす事。『付与』はバフやデバフを一時的に対象に発動する事を指す。現代魔法はこの三つの要素のいずれか、もしくは複数により成り立つとされている。

 

 そして清水は指を2本立て、ハジメへとその指を向けた。その問い掛けにハジメは記憶を辿り、答えた。

 

「自然魔力が世界全体に存在する基本的な魔力。それを個体ごとに()()()()形に調整したのが体内魔力…であってる?」

「それで大体正解だが、一応最近の方だったらステータスを肉体に付与してるのが体内魔力なんじゃねーか、とも言われてるな」

「…あーなるほど。だったら僕らがこっちの世界に転移してきた時に力を与えられたのは体を作り替えられた、とかじゃなくて単純にこの世界に来た事で魔力を獲得したから、って考えたらいいのかな?」

 

 ハジメ達がトータスに召喚された際、体が分解される感覚などは特に無かった。魔法という代物が超常のものである以上、確信は持てないがその仮説は十分に有り得る。

 

 清水もハジメの考えに「そうかもな」とおざなりにではあるが頷く。どうやら清水の琴線には触れ得なかったらしい。

 

「つーか脱線したな。で、だ。自然魔力は別名『万能魔力』とも言われる。大体の魔法に適性を持ってるからな。アーティファクトとかでその魔力を回収して、大儀式魔法に利用するって言うのも少なくない。ただ用途が多過ぎて、人間の頭じゃ使いきれないって言われてる」

「だから体内魔力があるんだよね?」

「そうだ。個人のステータスに合わせた出力、量、質に変質したのが体内魔力って言われてる。人間、動物、魔物、植物…それら全てに体内魔力は宿る。これが身体に巡る事で体にステータスが付与されてるんじゃねーか、っていうのが最近の主流な説だ。こいつは技能や詠唱がねーと操作が出来ねぇ。体内魔力を自分の好きに操作できる奴なんざ…魔物かそういう技能を持ってる奴しかいねーよ」

 

 要は自然魔力が汎用性が高い代わりに利便性を失った魔力、体内魔力の用途が狭まり、使用者が限定された代わりに利用が容易くなった魔力と言った所か。

 

 ただそう考えると自分の体内魔力、用途狭め過ぎでは?と考えざるを得ない。多少虚しさが胸を穿った。

 

 心無しかしんみりとした気持ちを抱きつつ、何か違和感がハジメの底で燻っている。ただその正体が分からぬ現状、ハジメは別の疑問を唱えた。

 

「だけどもしその説だとしたら、魔力が尽きたらステータスは消失するって事になるんじゃないかな?」

「まあそうだろうが…こっからは俺個人の仮設だが、まず完全に尽きるってのが起こりづらいんだろうな。本人が全部出し切ったつもりでも、脳がセーフティーを起こして一部だけ体に魔力を残してんだと思うぞ。魔力がゼロになるとか生命活動に支障しかねーからな。そのセーフティーをぶっ壊すのが“限界突破”だって話だ」

 

 “限界突破”…概要程度ならばハジメでも知っている。体内魔力をほぼ全て魔力外骨格とし、身体能力を強化。そして残りの魔力で演算能力の活性化や技能・魔法の強化を行う。さらには身体能力が三倍、と正しくチート中のチート技能。

 

 デメリットとしては使用後に時間と比例した疲労と倦怠感が襲いかかり、尚且つ弱体化する事。恐らくは体内魔力の著しい消費の為だろう。だが勇者である天之河光輝が持っているならば、そのデメリットがあったとしても無問題だ。

 

「なるほど…確かに道理が付く。流石だね、清水くん」

「…雑に褒めんな。続けんぞ。で、魔力の循環についてだが…」

「それは知ってるよ。まず生物が呼吸によって自然魔力を体内に取り入れる。それを体に馴染ませて、変質させることで体内魔力を補充する。魔力のポーションとかはこの変質を早める効果があるんだよね?」

「あってんな。一方で体内魔力が個体のコントロール下から解放された場合、外部に発散されて自然魔力へと還っていくんだ。魔法使った時とかにな」

 

 するとそれまで聞いてきた話を踏まえ、ハジメはとあるアイデアを思い浮かべた。地球の頃、よく小説で見たようなアイデアだが、聞いてみる価値はあると、清水に尋ねる。

 

「うんうん。…一応質問なんだけど他人の体内魔力を取り入れたら、強化出来ないかな? ほら、異世界小説とかでも強い奴とかの肉食ってパワーアップとか良くあるし」

「カニバリズムかよ? 動物同治かよ? やめとけやめとけ。魔物の肉もそうだが、異なる体内魔力同士は基本的に反発する。自分よりも弱い奴の体内魔力なら取り込めなくも無いが、技能の獲得もなく反発を抑え込むのに無駄に魔力を使うだけだそうだ。良くは知らねーけど、魔物の場合はその反発性が一層豊かとの事だ。だから食ったら毒になるんだとよ」

「そっか…やっぱり強くなるのに楽な道はないなぁ」

 

 魔物は他の生物の体内魔力を取り入れても何の問題もねーけどな、と付け足す清水。魔物は発生のルーツからしても外部の魔力に対する受容性は非常に高い。格上の体内魔力だとしても、問題無く取り入れられるだろう。…ただし、その技能が使える様になるかと言われれば当然否となるが。

 

 すると清水は面倒臭げに頭を掻きむしる。そしてジト目をしつつ、その手でハジメを指差した。

 

「魔力の話はこんぐらいでいいか?」

「うん、ありがとう。本当にわかりやすかったよ。凄いね、清水くん」

「…あ、ああ。俺が親切丁寧に説明してやったんだ。お前もちゃんと説明しろよ」

「了解! まずこのタイトルにある『無意識的な非干渉領域生成』。これはさっきまで話してた体内魔力に関連した話なんだよね。この体内魔力があることで、他者が個人そのものに対する魔法干渉が難しくなってるんだよ」

「…ぉん? すまん、もっと詳しく説明してくれ」

 

 頭に数多く疑問符を浮かべる清水。ハジメは頷くと、更に自分の思考を咀嚼して理屈を説明する。

 

「人が無意識にコントロールしてる体内魔力は、他人の魔法のコントロールを困難にするんだよ。多分さっき清水くんが言ってた『体内魔力同士の反発』、これが体内魔力と魔法でも多少は適用されるんだと思う。だから火魔法なら体内発火とか出来ないし、水魔法なら他人の水分を抜き取るって事も出来ないんだと思うよ」

「つまり対象を起点として魔法を発動させるのは、難しいって事か…なら何で“治癒魔法”とか“精神干渉魔法”は発動出来んだよ? あれどっちも対象を起点としてるだろうよ」

 

 魔法での攻撃は基本的に手の元から生み出した物を、敵へと撃ちだす形となる。姿形こそに例外はあれど、その発生に変化は無い。

 

 しかし治癒魔法、付与魔法、精神干渉魔法。これらはそもそも個人を対象として発動を行う魔法だ。打ち出す形で発動する物もあるが、生物内部から魔法を発動するものも無くはない。

 

 清水はそれを不思議に思ったのだ。

 

「うーん、それに関しては多分魔法自体の起源が違うからじゃないかな? 確か“治癒魔法”は“再生魔法”、“精神干渉魔法”は“魂魄魔法”が起源なんだよ。他の攻性属性魔法は基本“重力魔法”が起源らしいんだよね」

「は? 火とか水とかに重力の要素あるかよ? ってかその違いが干渉に関係あんのか?」

「全部の技能、魔法は“神代魔法”っていうのが起源になるらしいんだよね。その中でも他生物干渉が得意な魔法と苦手な魔法があるって話。“再生魔法”、“魂魄魔法”、“変性魔法”、“昇華魔法”っていう魔法は得意で、“重力魔法”、“空間魔法”、“生成魔法”の三種は苦手って話。…まあその魔法の概要すらよく分からないんだけどね」

 

 全ての魔法・技能のプロトタイプとされる“神代魔法”。その存在には未だ謎が多い。概要程度ならばもしや分かるかもしれないが、詠唱や魔法陣に関しては一切書が残っていない。

 

 出来ればもう少し知りたいんだけどね、とハジメが付け足すと、清水は胡散臭げにハジメを見ていた。

 

「そもそも“神代魔法”って“古代魔法”の一つだよな? 結構マイナーだろ。何でそんな詳しいんだよ?」

「…部屋の掃除してたら、いつの間にか漫画全巻読んでたって記憶無い?」

「…脱線したんだな?」

「…案外面白かったから」

 

 ちなみにその前にハジメが読んでいたのは『錬成に潜む奥深さ』というエッセイである。“錬成”でサバイバル生活を行った内容が記された本で、著者の頭の柔らかさに感心させられた事を覚えている。

 

 ハジメはわざとらしく咳をすると、話を戻す。清水のジト目が痛かったのだ。

 

「まあ、“治癒魔法”も“精神干渉魔法”も他干渉は出来るけど、その分難易度は高いっぽいよね。普通の魔法とはかなり特殊な操作になるらしいし」

「そーだな。だから干渉し易くなる様な方法を探してるわけだが…無いか?」

「うーん、多分清水くんが求めてるのって“精神干渉魔法”の方だよね? 体内魔力は“治癒魔法”みたいに害が無いものなら受け入れやすいんだけど、害があるものなら抵抗が強いんだよね。だから補助系統の“精神干渉魔法”ならまだ楽だと思うよ?」

「一応なんだが…洗脳系ってやっぱ無理か? 意のままに操る的な」

「コントロールの奪取って相当の難易度だと思うよ? まず最初は難易度軽めの“精神干渉魔法”をやってから、鍛えていった方が良いと思うけど…」

「まぁ、そうなるか…。近道はねーな」

「あっ。ただ魔物相手なら出来るかも」

「………何でだ?」

 

 “闇魔法”の中でも最上級難易度とされるコントロール権の奪取。人間からすれば最もの害とも言えるそれに、体内魔力と言う名の自衛システムが反抗しない筈もない。

 

 すっかり諦めムードとなり、席を立とうとした清水。しかしそんな彼の腰をハジメの言葉は縫い止めた。

 

「さっき清水くんが言ってた事から考えると魔物って他の魔力に対する受容性が人間よりも強いって考えられるんだよ。そもそもルーツ自体、単なる動物が魔力を取り込んで変質した者だから、物理的な害の攻性魔法は兎も角、精神干渉なら効果は見込めると思うんだよ。あと余計な知能が魔物は少ないからね。十分に可能性はあると思うよ。…まぁ、あくまでも推論だから参考程度でよろしくだけど」

「…いや、魔物か。確かにそっちに着目して来たことは無かったな。今から試して見るか。えーっと洗脳系の詠唱本は…これか。今までの詠唱をこう変化させて、ここの部分を減らせば…よし行ってくる」

「とは言え相手は魔物だから周りに迷惑が掛からない程度にね?」

「…おう」

 

 闇魔法の詠唱本を脇に挟み、忙しなく外に出ようとする清水。何やら今までとは別のアプローチ法を考えついた様だ。詠唱文を即座に推敲し、走り去ろうとする。

 

 その行動力に呆気に取られたハジメだが、すぐに気を取り直し清水へと声を掛けた。清水は雑にもその言葉に反応を示し、背中を向けて…そしてその足を止めて振り返る。

 

 疑問符を浮かべるハジメに清水は一言。

 

「あー、何だ。ありがとうな、南雲」

「こっちこそ。お陰でだいぶ楽に魔力について理解出来たよ。教えてくれたのが清水くんで良かったよ」

「………」

 

 言い慣れていないのか、すこしぎこちない礼を言う清水。一方のハジメは何の遠慮もなく感謝の念をぶつけた。

 

 清水はそれに返答することもなく、今度こそ王立図書館から抜け出した。後衛職ながらも一般人のそれより遥かに速く、あっという間にその背中が豆粒の様に小さくなる。

 

 ハジメはそれを確認すると両腕を天に掲げ、うーんと唸る。そしていつもより一回り元気な声で己を激励する。

 

「よしっ! あともうひと頑張りと行こう!」

 

 そして体内魔力を体に巡らせることを意識しつつも、更なる知識を求めて本を取ろうとして…

 

「………あれ?」

 

 不思議そうにハジメは頭を傾けた。

 

 それは清水が体内魔力について話していた時に抱いた違和感。思考を硬直させたものの正体。

 

 ──体内魔力(こいつ)は技能や詠唱がねーと操作が出来ねぇ

 

「…なんで僕、技能も魔法も無く体内魔力の動きを意識出来るんだ?」

 

 憧憬の隣へと伸びる遥かなる道。暗く閉ざされていたその足元がぽつりと明かりを灯した、そんか気がした。

 

 

 

 

 駆ける、駆ける駆ける。

 

 後衛職とは言え『使徒』。清水は人混みを次々と横切っていく。向かうは王都の外。魔物に魔法を掛ける為に城下町を駆け、下っていく。

 

 その道中、王立図書館からかなり離れた場所。彼は走りながらも、首だけ振り返って一人でに呟く。

 

「…馬鹿だろ、アイツ」

 

 まるでそれは悪態の様で。ただそれでは誤魔化し切れない程、彼の口角は上がってしまっていた。

 

 脳裏に浮かんだのは果たして誰か。何を思って言ったのか。

 

 それは彼以外に知る由も無いのだろう。

 

 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

「…むむむ」

 

 とある一室。そこでは机にて呻き声を上げるメルド。日頃では書類仕事をパパッと軽く済ませる事から、部下達が奇異な物を見る様な目を彼に注ぐ。

 

 失礼極まりない視線の数々。メルドのこめかみにあるシワがより一層の深まりを見せる。

 

 ただそれでも叫ぶ余裕が無い、とばかりにメルドは書類に視線を向ける。それはある一枚の推薦状、しかもメルドが直筆した物だ。

 

 そこに記された名は南雲ハジメ。『使徒』唯一の裏切り者と揶揄される少年。同時にメルドが注目している少年の名である。

 

 一度メルドはこめかみを揉み、何度目か分からぬほど繰り返した最終確認を行う。

 

 文章に目を通し、ハジメの名に目を通し、己の名に目を通し…そして最後のソレに目を通す。

 

 やがて決心した様にその便箋を封筒に入れ、蝋を溶かして封をする。そして両手でそれを持つと、憂鬱そうに溜息を溢した。

 

「何というかやはりというか…()以外に適任者は居ないか」

 

 その封筒にはある男の名が記されていた。それは宛名だ。

 

 ──【王宮工房棟梁】ウォルペン=スターク殿

 

 その名はハイリヒ王国に於いて有数の王宮錬成師、その棟梁の一人にして()()()()の男のもの。そしてある種のど阿呆。

 

「彼処に坊主を放り込むのも些か不安だが…仕方がない、か」

 

 坊主なら馴染めるかもしれん、とその可能性に賭け、メルドは遂にその推薦状を送り届ける事とした。




今回の説明の簡易まとめ
・魔力は色んな物質・現象に干渉可能。干渉方法は現在ある魔法の場合、物質を生み出す『生成』、物質を操作する『操作』、性質を変更する『付与』の三種となる。
・魔力は自然魔力と体内魔力に分類される。
・自然魔力は適性万能だけど万能すぎて人間の脳みそじゃ扱えない。
・体内魔力は個人用オーダメイドの魔力。その人だけが使える。ステータスそのもの。ただしその操作は詠唱するか技能を使わないと行えないよ。
・魔力枯渇しても脳がセーブしてるから、体内魔力は体に僅かに残るよ。でも“限界突破”したら体内魔力は残らず使われる可能性があるよ! やばいね!
・自然魔力は呼吸なりで体内に入って、体内魔力になる。体内魔力は使われて外に出る事で自然魔力に還る。
・魔物肉食ったら死ぬのは体内魔力同士が反発して、それが結果的に毒になるから。だから人間の格上体内食っても魔力の反発が凄いから死ぬ。カニバリズムはダメ、わかんだね。
・体内魔力は他人の魔法の干渉を妨げる。だから基本的に内部から攻撃魔法が発生するとかが無い。ただし“治癒魔法”、“付与魔法”、“精神干渉魔法”は例外。でも難易度が高い。
・全ての魔法・技能は神代魔法がプロトタイプ。
・魔物は他の生物の体内魔力の取り入れが容易。それ故に攻撃魔法以外の魔法を受け入れやすい。だから清水の“闇魔法”も効いた。
・あれっ? そういや何でハジメは体内魔力ちょっとでも操れてるの? おかしくない?
以上!
説明不足なのもあるけどその補填は後々やると思う。
更に言っとくけどハジメが体内魔力を操れるのは「僕だけのユニークスキルが…」っていう展開ではない事をここで言わせていただきます。
疑問に答えて欲しい人はメッセージボックスの方にどうぞ。
感想欄はやめて、ネタバレになる。

ちなみに上級魔法になればなる程『生成』、『操作』、『付与』の工程が複雑化・強力化していきます。
“蒼天”とかに『付与』のプロセス無くね?って言う質問もあるでしょう。
…あれは威力強化とか火属性強化とかが魔法に『付与』されてる…って事にしましょう(適当)

次回からは錬成師としての道筋ですね。
やっと改訂前に追いついてきた感がある…。
ただプラスしたストーリーが多いからなぁ。
完全に追いつけるのはいつ頃やら…。
………頑張ろ。

追記
尼佐東様
ねこ次郎様
デホレス様
アンリマユ雫様
評価ありがとうございます。
励みになります!

この作品、アナタは何メイン目的で読んでる?

  • ハジカオ!
  • オリジナル展開!
  • 成り上がり要素!
  • 考察要素!
  • 曇らせ!
  • 感想返し!
  • ダイレクトマーケティング!
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