誰かの物語   作:喋れない日陰者

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第2話 変わる世界

 私は目が覚めた時、身動きが取れなかった。

 

私には前世の記憶がある。前世ではやっていた恐らく転生というものに当たるのだろう。私が生まれた世界は前世の世界とほとんど変わらない。学校があって、電車が走り、携帯電話がある。私は同じ時代の別の世界に生まれ変わったのだと信じていた。

中学生になるまでは...。

 

 

 

 私は前世の記憶を頼りに勉強を行い、中高一貫の高校に入学した。

 

 

 

 入学式初日、私は指定された教室に行き、自己紹介を行った。一人一人の名前を憶えれるように一生懸命に聞いていたある時だった。

 

 「僕の名前は高木 優と言います。」

 

 その名前を聞いたとき私は前世の記憶を再度思い出した。その名前は前世で読んでいた小説に出てくるキャラの名前だった。その小説にでてくるキャラと外見が一致していた。私は絶望した。

 

 小説に出てくる「高木 優」は本編よりも過去の存在、つまり小説の本編の前の世界に私は転生したことになる。もしそうだとしたら私は一冊のノートに時系列を書き出した。

 

 

 

 小説の本編は現代の世界があるきっかけで変わってしまった世界を元に戻す話になる。変わってしまった世界では人が絶望しながら命を落としてしまった場合、化物になってしまうというものだった。世界が変わったきっかけは大地震と雷が全世界で同時に発生したことからはじまる。それが起こる時期は今から1年後。

 

 

 

 私は頭を抱える。1年で中学生になったばかりの私に何ができるのか。前世の記憶を持っていても何もできない。

 何かできるとしたら、世界が変わるきっかけの時にいなくなったとされるマスター?って呼ばれていたキャラを探すことだろう。マスターは小説本編でかろうじて自我を持ち合わせていたカケラって言うキャラが最後まで探していたキャラになる。もしかしたらだが、マスターと呼ばれるキャラが何か知っているのかもしれない。

 

 

 

 私は家に帰り、家族に相談をする。

 

 「お父さん、お母さん、お願いがあるの。」

 

 「どうしたんだい?雪乃?」

 

 父が私にそう聞く。

 

 「今度の休日、長野に行きたい。」

 

 「・・・何を言い出すかと思えば、急だね。先に言っておくけどそれは無理だ。お父さんもお母さんも仕事がある」

 

 そういわれるのは分かっていた。私は自分の無力を少し呪った。

 

 「何で長野に行きたいと思ったの?」

 

 お母さんは理由を聞く。だから私は前世の記憶があることとこれから起こることを伝えた。

 

 「まるで夢物語みたいだけど、本当なの。」

 

 「それが本当だとして、どうして雪乃がマスター?って人を探す必要があるんだい?雪乃がわざわざやる必要がないよね」

 

 「それはそうだけど...」

 

そこで家の電話が鳴った。

お父さんが受話器を取ると少し話した後、私に受話器を渡した。

 

 「もしもし」

 

 「残念だったね、1年後じゃなく、30秒後だよ」

 

 「えっ」

 

 それは突然だった。そして少し呆けていると遠くで雷鳴が聞こえ、そして...

 

 

 

 私の手には血の付いたバッドがついている。地震で私を守った両親を私の手で...私は小説を頼りに歩き始める。血の付いたバッドを引きずりながら。

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