と言われました。
…………。
大変申し訳ありません。
完全に見落としておりました。
設定の甘さを痛感します……。
もう飛ばないんでお許しを。
「わーたーしーがー!! 普通にドアから来た!!」
勢いよくドアを開け、知らない者はいないであろうセリフと共にオールマイトは現れた。
うわー、生オールマイトやべー。
俺はその圧倒的存在感に驚きを隠せない、
ヤバい、やっぱ半端ない。
だが───
「オールマイトだ……! すげえや、本当に先生やってるんだな…!」
「
「画風が違いすぎて鳥肌が……」
以前、テレビで見た時の方が……強かった気がする。
気のせいか?
ぶっちゃけあの時は無敵のように感じた。
誰が勝てんのこの人に? って思った。
だが今は……ちょっと弱ってるような気がしなくもない。
「早速だが、今日はコレ! 戦闘訓練! そしてそいつに伴って……こちら! 入学前に送ってもらった『個性届け』と『要望』に沿ってあつらえた戦闘服コスチューム!!」
いや気の所為だろ。
だってこんなにド迫力だもんな。
あん時はテレビ越しだったし。
「着替えたら、順次グラウンドβに集まるんだ!」
こんなこと気にしてもしゃーないわ。
さて着替えますかー、って俺はどうせこのローブのままですけど。
++++++++++
またちょっとゆっくりしてから来た。
1番乗りは嫌だから。
グラウンドに着くと既に何人かいた。
うわー、みんなヒーローっぽいわ。
個性の特徴に合わせてオーダーするんだったよな確か。
いいなー、いろんな服着れて。
俺は……いやポジティブに考えよう。
もしプロヒーローになったら、俺はいついかなる時でもヴィランの襲撃に対応出来る。
まさしく常在戦場。
これは、ともすればヒーローの鑑ということにならないだろーか。
「ういーっす魔王様! つか服変わってなくね? コスチュームはねーの?」
俺を呼ぶ声が聞こえた。
魔王なんて恥ずかしい呼ばれ方をする奴はこの俺をおいて他にない。
振り向き、声の主を確認すれば、金髪のチャラい奴がいた。
稲妻模様のメッシュまで入ってる。
これ自分でやったの……か?
てか、誰なんコイツ?
「……貴様は?」
「俺は上鳴電気! よろしくな!」
「あ、あぁ……」
マジか……こいつ。
マジで俺に話しかけてきたのか!?
こんなの幼稚園の響香以来の快挙なんだが!?!?
いや、そういえば麗日も一応話しかけてくれ……たのかあれは?
ただ驚きのあまり声出してしまってただけな気が……。
「んで? 名前なんつうの?」
こいつは当たり前のように名前を聞いてくる。
「我が名は破魔矢魔央。偉大なる魔王だ」
「へぇー、破魔矢つうのかー。よろしくなー。つか、破魔矢の個性マジやばくね!? 昨日の個性把握テストでも1位だったしよ! 俺ずっとカッケーって思いながら見てたぜ」
あ、こいつはアレだ。
紛うことなき……陽キャ!!
コミュ力の暴力によって全てを蹂躙するという、とんでもない能力の持ち主だ。
「ハッ、我は魔王だぞ? あの程度造作もないことよ」
「マジかっけぇわー。つかガチの魔王なん?? 昨日の破魔矢見てから、ガチモンなんじゃねーかと割とマジで思ってんだけど」
「当然だ戯け者。我をおいて他に魔王がおるわけなかろう」
「やっぱそうなんか! いやマジでカッケーよ破魔矢! 今度飯行こーぜ!」
「あ、あぁ……」
い、今俺は、飯にさそ、誘われ、たの、か……。
これは……友達と言うやつなのでは!?
良い奴だ!!
この金髪は良い奴だ!!
チャラい陽キャは死ね、とか思ってすまん。
俺に話しかけるやつすら今までの人生で皆無だったというのに。
これだけでも雄英に受かったかいがある!!
それから俺はしばらく上鳴と話していた。
俺のウザったい喋り方も上鳴はその圧倒的コミュ力でいなしてくれる。
響香以外とこんなに喋ったことなんてない。
今日はいい日だ。
俺は上鳴と談笑を楽しんでいると───
「見つけたぞ……魔王」
また誰かに呼ばれた。
今日はよく呼ばれる。
めちゃくちゃ気分がいい。
俺は機嫌よく振り向く。
そこには、大きいブドウがいくつもついてるかのような髪型のチビがいた。
え、また誰?
「オイラは……オイラは見ていたんだよ!! お前が昼休みに女子と!! 女子と!! 楽しそーに飯食ってるところをな!! ちきしょーうらやましい!!」
「あ、それ俺も見てたぜー。 あれ昨日みんなにからかわれてた女子だよな? やっぱ付き合ってんの?」
「そのような事実はない。響香は我の昔ながらの───」
「はっ!! 幼馴染みってやつか!? ちきしょーうらやましいことに変わりはねーよ!! 個性も超やべーのにこんなの不公平だろ!? ふざっけんなー!!」
この小さいのは峰田と言うらしい。
ギャーギャーとうるさい奴ではあるが、俺は全然嫌いじゃない。
いやむしろ最高だ。
こんな俺に……2人も話しかけてくれる奴がいたのだからな!!
今日は記念日だ。
結局俺たち3人は授業が始まる直前まで他愛ない会話を続けていた。
もはや俺は嬉しすぎて、授業などせずそのまま3人で喋っていたかったのだがそうもいかない。
オールマイトが説明を始めたからだ。
どうやらこれから、『ヴィラン組』と『ヒーロー組』の2対2のコンビに分かれて屋内戦を行うらしい。
状況設定としては『ヴィランがアジトに核兵器を隠していて、ヒーローはそれを処理しようとしている。ヒーローは制限時間内にヴィランを捕まえるか核兵器を回収する事。ヴィランは制限時間まで核兵器を守るかヒーローを捕まえる事』である。
核兵器の回収はタッチする事。
捕まえるには捕縛テープを相手に巻き付ける必要がある。
「うひゃー、破魔矢とは当たりたくねー」
上鳴が隣でそんなことを言う。
いや、俺も屋内戦なんてやったことないけど……今日の俺は気分がいい。
ちょっと頑張っちゃおうかな。
コンビと対戦相手はクジで選ぶ流れとなった。
俺が引いたクジには『I』と書いてあり、相方は葉隠という透明女子だった。
さっそく最初の対戦が始まった。
俺たちはモニタールームのような所で観戦することとなった。
第1戦 【ヒーロー側】緑谷出久・麗日お茶子 対 【ヴィラン側】爆豪勝己・飯田天哉
1戦目からヤバい対決だった。
一歩間違えたら誰か死んでたんじゃねーのって感じだった。
いややっぱイカれてるよあの爆発不良。
当たらなきゃ死なねーって何よ怖ー。
ヴィランなりきりすぎでしょ。
え、雄英ってここまで求めるの?
さすがにないわ、オールマイトもヒヤヒヤしてたっぽいし。
良く止めなかったな。
まあ、俺の能力を加味してのことかもだけど。
結局、接戦の末に緑谷たちが勝った。
「フハハハハハ!! よく無理をする男だ!! しかし見事!! よく勝利を掴んだな!!」
「ご……ごめ……んね、いつ、も、はま───」
「もうよい。喋るな」
担架で運ばれてきた緑谷の腕は紫色になっていた。
完全に複雑骨折してる。
いやそれ以上かも。
あまりに痛いのか言葉もたどたどしい。
ホント無茶するよコイツ。
俺は『ホイミ』をかけてやった。
そんで次は───
第2戦 【ヒーロー側】轟焦凍・障子目蔵 対 【ヴィラン側】破魔矢魔央・葉隠透
さて、『魔王』ロールプレイの真髄をみせてやろう。
お読みいただきありがとうございました。