最近【剣姫】さんの様子がおかしいってよ   作:アカヤシ

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やはりベル・クラネルにはミノタウロスイベントは必要だろうね。


第四話 兎さんが変わるってよ

『クラネル君・・・君、何で逃げたんですか?』

 

その言葉には叱責の念は含まれていない。首を傾げて心底不思議そうに。

 

『・・・宝の持ち腐れですね』

 

ミノタウロスから逃げ切った際に言われた言葉。

 

自惚れかもしれない。

 

『どれほど強く激しい力であろうと礎となるのは地道な積み重ねです・・・無論、例外はいる。しかし、そうでない者は積み重ねるしかない。少なくとも私はこのやり方しか知りません。鍛練と冒険とでは得られる経験値は全く違ったものになる。私との鍛練で得たものをダンジョンで馴染ませなさい。なあに、安心して失敗しなさい。貴方の成否ごときで、私の仕事になんら影響することはありません』

 

僕の胸に、その言葉が深々と突き刺さる。僕はヴァレンシュタインさんにダンジョンの同行してもらうのをやめてもらった。

 

「勝てる勝てないじゃなく!ここで僕は!立向かわなきゃいけないんだよ!!!」

 

18回ミノタウロスに襲われて、10回同行していたヴァレンシュタインさんに助けられて、8回は逃げた。ミノタウロスは何故か他の冒険者を無視して僕だけを追いかけてきた。

 

いいのかよ!ベル・クラネル!全部貰い物じゃないか!

 

神様が言ってた。僕のスキル保有数はLv.1ではあり得ない数らしい。それはヴァレンシュタインさんに秒単位で管理された狂気の悪魔的スケジュールをこなして手に入れたスキルだ。

 

今僕が装備している二対の曲短剣の武器と防具は僕用に手直しして貰ったヴァレンシュタインさんのお下がり。バフ効果がある強化ポーション等の道具もヴァレンシュタインさんの試作品。

 

肺が苦しい、だけど破れたって関係ない!・・・足が重い・・・でもまだ動く!

 

僕は何度も挫けてきた!

 

前任のアドバイザーには「ハズレ引いたあ~」とガッカリされ、無能の烙印を押されて転職を勧められた。

 

誰よりも挫けてきた!

 

酒場のバイトで先輩冒険者に夢を笑われ頭から酒をぶっかけられてもヘラヘラ笑ってやり過ごすしかない自分の情けなさに部屋で一人で泣いた。

 

誰よりも悔しい気持ちになったのは僕だ!

 

今度こそ冒険者になるために休みもほとんど取らず仕事を掛け持ちして必死に貯めたお金を『犬人の女の子』に騙されて全部失って。

 

誰よりも勝ちたい気持ちが強いのは僕だ!

 

書類処理の片手間にミノタウロスを瞬殺するヴァレンシュタインさん。

 

絶対に譲らない!絶対に!絶対に!・・・絶対は僕だっあああああああああああああああああああああああああ!!!

 

追い付いてみせる・・・あの憧憬の背に。

 

勝負だっあああああああああああああああああああああああああああ!!!

 

僕は目が血走り泡を吹き、大剣を力の限り振り回す狂牛へ駆け出す。

 

馬鹿みたいに一途な気炎が傷の痛みと恐怖を吹き飛ばした。

 

相手は正気じゃない。

 

防御は疎かに、身体能力に物を言わせて大剣を振り回しているだけ。あらゆる物を破砕する力だろうと直撃さえしなければいい話。

 

「ヴヴォオオオオオオオオオオオ!!!」

 

「ああああああああああああああ!!!」

 

モンスターとヒューマンが真っ向から衝突し、力と速度の戦いを継続させる。

 

傷が増える度に体が軽くなっていく。

浴びせられる雄叫びを聞く度に力が湧き上がっていく。

勝利を掴みとる為に前へ前へ進む度に頭が冴えていく。

 

自分が師事した女性に比べれば、目の前の敵はただの木偶だ。

 

僕には強くて、激しくて、無慈悲で、圧倒的で、一度は使ってみたいと望む英雄達が使いこなすような起死回生の神秘・・・魔法は習得していない。

 

僕が勝つには敵の胸部、厚すぎる胸筋を貫いて魔石を砕くしかない。

 

不可能ではない・・・けど、

 

「双曲短剣・白兎月【上弦】黒兎月【下弦】・・・合体ゲージMAX!合体【双弦月】!!!スキル【ストライク・ライザー】!【ブレードダンス】!【ハンティングギア】!【ジェノサイドリッパー】!【マッシブクラッシュ】!【オーダーライズ】!【餓兎の闘志】!【クライマックス・ブースト】発動!!!」

 

一分間、この一分だけ僕の能力値はお前を上回る!!!

 

スキルの一個一個なら代償が少しで済むのだが、これだけのスキルを一度に使えば相応の代償が必要だろう。おそらく十分間は動けなくなるかもしれない。

 

あとの事なんてどうでもいい!!!一分・・・いや、この一撃で決める!!!

 

「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

 

「ヴヴォオオオオオオオオオオオおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

真っ向からの突撃、一気に縮まる間合い。

 

力任せに振り下ろされた大剣にベル・クラネルの全身全霊の刺突の一撃が邂逅した。

 

銀塊が砕ける音。根元の辺りから粉々に破砕され、大剣の剣身が空中を舞う。

 

「【致命の三日月】!!!」

 

ベル・クラネルの一撃が天然の鎧を突き破り、ミノタウロスの巨体を回転させていた魔石を粉砕させた。

 

ミノタウロスの巨体はぐらりと崩れ落ちた。

 

空高く舞い上がっていた大剣の剣身が、ザンッと地面に突きたった。

 

勝者・・・ベル・クラネル!

 




今作のフレイヤ様はアイズ(オリ主)Loveのため、ベルに魔導書は渡っていません。というより今作のフレイヤ様はシル・フローヴァでいる時間はほとんどない。

皆もわかってらっしゃるだろうが、ベルを騙した犬人の女の子は変身したあの子。原作より悪めの事もしてる感じにしときたいんで。

ベルがミノタウロス討伐後、冒険者の新人卒業という事でアイズ(オリ主)がベルの担当から外れ、アイズ(オリ主)が指名したハーフエルフのエイナ・チュールがベルの担当になる。

あ、ちなみに動けなくなったベルを助けたのは、「男のケモ耳なんて何処に需要があるんですか?引っこ抜くぞパワハラカタパルトさん』と言われて落ち込んでいて気晴らしがてらダンジョン探索に赴いたベートです。

「何で俺だけ?他の獣人には言わねえのに?それもパワハラじゃねえのか?あとカタパルトって何だ?(|||´Д`)」

アイズ(オリ主)、いやアカヤシ(作者)は大剣等の大型武器が大好きです。これからアイズ(オリ主)を使って布教しまくっていきます。

次は『突撃大賭博場、それ行け豊穣のポンコツ娘達!』か『狂姫の舎弟?頑張れラウルさん!』をお送りします・・・あくまで予定。

まだ、本編ではありません。

プロローグ的なヤツですごめんなさい。




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