幻想をイキル   作:服を着た豚

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第1話 けんかをやめて

 ある日の夜。彼女は何か変な感じがすると思い、起きあがる。そして空が変な赤い膜な様な物に覆われていたのに気付いた。

 

「…………なにあれ……」

 

 (誰かが異変でも起こしたのかと思ったけど、どうやら違うみたいね。)

 

 なぜそんなことが分かるのか、それは実のところ勘である。

 少女が空を睨んでいると突然、背後の空間が裂ける。そして少女はその空間を裂いた主に問いかける。

 

「ちょっと紫、この現象は一体何よ。どうみてもやばそうなんだけど」

「霊夢、これは異変であって異変ではない現象……いうならば天災といったところよ……それも最悪のね」

 

 少女に紫、と呼ばれた女性は深刻そうな顔をしながら答える。

 

「天災?」

 

 彼女――霊夢は紫に聞き返す。彼女が今まで生きてきた中で、初めて紫の恐怖に染まった顔をみて、今起こっている異変(?)の異常性に気付いたようだ。

 

「ええ、詳しくは私も知らないのだけれども、あれは生命繊維と呼ばれる生きた布よ。あれが世界を覆い尽くしたとき、私たちは死ぬわ」

「は!? ちょっとどういうことよ!!」

「今言った通りよ。ちなみに世界規模で起こっているからどうしようもないわ。私たちはあれが失敗することを祈るしかないわ。それこそ貴女の勘でわからないのかしら?」

「私の勘はそんな便利な占いじゃないわよ!!」

 

 霊夢はあんなことを紫に言ったけれど、多分助かると思っている。もちろん勘である。ではなぜ言わなかったのか?という話になるのだが、霊夢曰く「眠くてイライラしているからよ」だそうだ。

 勘で大丈夫だと確信していた霊夢は落ち着いていた。そして世界規模で起こっているのなら、自身ではどうこうしようがないし、面倒だからもういいか、と思い開き直っていた。

 

「……ちょっと霊夢、どこにいくのよ」

「どこって布団の中よ。どうせすることがないならここにいてもしょうが無いでしょ。変な時間に起こされて私は眠いのよ。」

「……そうね。おやすみなさい霊夢」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やば!?」

 

 寝ていた霊夢は、幻想郷の結界を何かが突き破って侵入してきたことに気付き、跳ね起きた。もちろん、それがただ侵入してきただけなら彼女は放置する。なぜ跳ね起きたかというと、その落下地点が霊夢の家……博麗神社だからである。もちろん安定と信頼の勘だ。だが霊夢の勘は外れた事があんまりない。

 

「侵入するのは勝手だけど、時と場所を考えなさい!!」

 

 そういうと霊夢は神社の周辺に霊力を全開にした結界を展開する。2つの結界を力業で破ったのに此方に向かってくる物体はまったく速度を落とす様子がない。

 霊夢の展開した結界と此方に向かってきた謎の物体が接触した瞬間にガラスが割れるような、嫌な音が響き渡る。

 

「あ、やばい」

 

 霊夢の勘はここから逃げろ、と警笛を鳴らす。そして霊夢は全速力で回避しながら(もっと修行しておけばよかった)と思うのであった。

 

 「…………」

 

 霊夢は目の前の光景が信じられなく、固まっていた。奇跡的に、神社周辺の地形も変わっていなかった。しかし、神社そのものが全壊、しかも落下物が燃えていたためか燃えている。

 

「って、ボーっとしてる場合じゃないわ! とりあえず無事な物を避難させないと!!」

 

 そう言うと霊夢は急いで、燃えさかる神社に突入していった。能力を使えば熱くないのだが、物の運搬が出来ない。しかたなく能力を使わずに無事な物を運搬していくと、ある物……いや、ある生き物らしき物を見つけた。

 

「生きてるのかしらこれ……」

 

 霊夢の目の前に居た生物は、全身に火傷を負った全裸の女性とぼろぼろになった布きれであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やめろ……やめてくれ……やめろおおおおお!!!!」

「鮮血!!」

 

 流子は鮮血がバラバラになる夢を見て、跳ね起きる。そしてここが見た事がない家だと言う事に気付くのはそう時間はかからなかった。

 

「ここはマコの家……じゃなさそうだな。こんなに広くないしな。」

 

 最初は友人であるマコの家かと思ったが、あまりの広さにそれはないなと思い直し、周りをみていた。そして自身が意識を手放す前の鮮血を思いだし叫んだ。

 

「そうだ! 鮮血は!? どこだ鮮血!!」

「私はここだ」

 

 流子は声がした方を向いた。するとそこには燃えたあとも全く無い、綺麗な状態の鮮血がそこにいた。

 

「鮮血……無事だったか……よかった……」

 

 流子が鮮血を抱き寄せ、涙を流していると急に部屋の襖が開いた。流子は驚きその襖の方を向くと体から負のオーラを纏わせた……今まで様々な戦いを繰り広げた流子ですら恐怖するほどの鬼を形相をした霊夢がそこにいた。腕に抱いている鮮血すら震えているのだから相当だ。と考えていると少女が手のひらから光弾のような物を打ち出してくる。

 

「って、危な!?」

「よくも、よくもよくも…………よくも私の神社をおおおお!!」

「人衣いっt……あだだだだだ!!」

 

 このままじゃやられる。そう思った流子は、一瞬で鮮血を着て、人衣一体をしようとする。しかしその一瞬の隙を狙って放たれた札のような物を顔面にモロに喰らった。

 

「チャンスね! 喰らいなさい!夢想封――」

 

 そういって霊夢がとどめとばかりに大技を繰り出そうとした瞬間、霊夢と流子の間の空間が裂かれ、そこから手が生えてくる。

 

「そこまでにしなさい、霊夢。大体貴女、ここが誰の家だと思ってその技を使おうとしているのよ」

 

 そういうと引き裂かれた空間…スキマの様な場所から女性が現れる。霊夢は自分のとどめが邪魔されてとてつもなくイライラしながら舌打ちをする。しかしどうしようもないので攻撃をあきらめた。

 霊夢の攻撃の意思がなくなったのを確認すると女性は流子の方を向いた。

 

 

「挨拶が遅れてごめんなさいね。私の名前は八雲 紫。この幻想郷の管理者にして、妖怪の賢者よ」

 

 

 

 




次回予告
生きたセーラー服、神衣鮮血。
そして世界を救った少女、纏 流子。
妖怪の賢者を名乗る謎の女性、そして博麗の巫女。
今、運命の出会いをする!
神社を壊した流子に待ち受ける運命とは!!
幻想をイキル、第2話 半分少女
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