拙い文章ですが、がんばって皆様が楽しめる作品にしていきたいと思います。
「挨拶が遅れてごめんなさいね。私の名前は八雲 紫。この幻想郷の管理者にして、妖怪の賢者よ。よろしくね」
「あ、えっと……よろしくお願いします……って妖怪!? 妖怪って言うとあの漫画とかにいるアレか!?」
流子は虚空から現れた女性――紫の発言に驚きを隠せなかった。それもそのはず、流子が居た世界において妖怪とは空想上の生き物だからである。
「そう、その妖怪よ。ここは幻想郷といって、外の世界では空想の生き物とされている妖怪・妖精・神霊やそこで混じりながら暮らす人間など幻想の生き物が棲んでいる場所なのよ。そして私はその管理者ってところよ」
「な~るほどなぁ……だからいきなり虚空から現れたのか」
流子は先ほどの現象を思いだして、頷いていた。
「あら? やけにあっさり信じるのね。外来人は喜ぶか意味が分からない、といった顔をするのに」
「あぁ……それは外で現実離れしたことがあったからな。ところで私はなんでその幻想郷? とやらに居るんだ?」
「それは「それはあんたが結界を無理矢理突破して来たからでしょうが!!」」
「というか紫も話が長いのよ!! さっさと私にそいつを殴らせなさい!!」
紫との会話に割り込んできたのは、霊夢だった。霊夢は自分の神社が壊された上に、その犯人に攻撃をしていたら止められたのだ。我慢の限界になったようだ。
「えーと……あんたはなんで私にそんな怒ってるんだ?」
流子がそういった瞬間にブチッと何かが切れるような音がする。そしてさっきまで多少は抑えられていた負のオーラが全開になり、霊夢がマジ切れする。
「あの日は意味が分からない理由で夜中に起きちゃった上に、その後あんたが私の家を木っ端微塵にしたのよ!」
「はぁ!? 夜中に起きたのは私のせいじゃないだろ!! って……私があんたの家を壊した……?」
「うるさいわね! どっちみちあんたが家を壊した事実は覆らないわ!」
「まったく、少しは冷静になりなさい、霊夢」
紫は霊夢に冷静になるように促す。霊夢は紫を睨むが、まったく意味が無いと判断すると視線を戻し、再び流子を睨む。
「霊夢、そんなに苛つくなら"あの方法"でケリをつけなさい。丁度いい機会でしょう?」
「あの方法……? ってアレか。そうね、紫にしては良いアイディアじゃない」
「うわああああ!?」
突然、流子と霊夢の足場に先ほどの空間の裂け目のようなでき、二人はその穴に落ちていった。突然の出来事に流子は叫んでしまったが、霊夢は慣れているのか、驚きと言うよりあきれたという顔をしている。
「いたたた……」
「紫、いきなりやるのは心臓に悪いからやめなさいよ」
「嫌よ。だって驚く人の顔はいつ見ても楽しいもの」
「まったく……さて、始めるわよ!!」
霊夢が気合いを入れ、臨戦態勢に移る。しかし、流子は穴から落ちて、お尻を打った姿勢のままである。それを見て、霊夢は呆れた様な顔で流子を見つめる。
「ちょっと……あんた何やってんのよ。はやく準備しなさいよ」
「準備? 一体何のだ?」
「何って……スペルカードルールよ」
「スペルカードルール?」
その瞬間、霊夢と紫は自分たちがやろうとしている事……スペルカードルールについて説明してない事に気付いた。
幻想郷の外からやって来た、外来人である流子が知るはずもないのである。
「あ~そういえば、あんた外来人だったわね……紫、めんどくさいから説明してよ」
紫が霊夢をジト目で睨む。しかし霊夢はそっぽを向いて説明する気はまったくない。霊夢に説明する気がないのが分かると、紫はため息をつきながら説明を始めた。
「仕方ないわね……霊夢、今度からは貴女が説明しなさいよ。……さて、先ほど言ったスペルカードルールについて、説明するわ」
「あ、はい。よろしくお願いします」
「スペルカードルールは、幻想郷内での揉め事や紛争を解決するための手段で、人間と妖怪が対等に戦う場合や、強い妖怪同士が戦う場合に、必要以上に力を出さないようにする為の決闘ルールよ」
「そして対決の際には自分の得意技を記した"スペルカード"と呼ばれるお札を一定枚数所持しておき、すべての攻撃が相手に攻略された場合は負け。また、カード使用の際には"カード宣言"が必要で、不意打ちによる攻撃は出来ないようになってるわ」
「流子の十八番の不意打ちが使えないな」
「うるさい鮮血。私はそんなに不意打ちしたことがないぞ! ってすんません! 説明を続けてください!」
流子は自分が説明をぶった切ってしまったことに気がつき、説明の続きを促す。
「……体力制か、残機制の二つがあり、余力があってもスペルカードルール以外の別の方法で倒してはいけないのよ。また、事前にスペルカードの使用回数を宣言し、全てのカードを攻略されても負けよ。」
「そして一番重要なのが敗者は勝者の出す条件か、言う事を聞かなければならない。ということよ」
「は?」
紫が説明を終えると、まってましたとばかりに、霊夢がニヤリとする。そして流子は最後に言われた、敗者は勝者が出す条件を聞かなければならないという発言に目を丸くする。
「さて、始めましょ?」
霊夢はお祓い棒を流子に突きつけながら言い放つ。
「ルールは残機制で四回当たったら終了よ。スペルカードは三枚。本当は二回にしたいところだけど、スペルカードを持っていないあんたへのせめてもの情けよ。」
「きょ、拒否権は……?」
「あるわけないでしょ?」
あの巫女さん、ものすごい笑顔で答えてるけど、顔が全く笑ってないんだが……この威圧感、
さて、私も気になっている事があるし質問してみるとするか。
「ところであんたが勝ったら、私に何を要求するんだ?」
「もちろん神社の修理費と慰謝料という名の吹っ掛けをするつもりよ!!」
「ぼったくる気満々じゃねーか!?」
「あなたが私に勝てばいいだけじゃない! じゃあ始めるわよ!」
これ、負けたらどんな法外な金額請求されるか分かったもんじゃないぞ!? しかも勝てばいいじゃないってどんな暴論だよ!? ってグダグダ考えててもしょうが無いし、勝つしかないな。
「しかたない……いくぞ! 鮮血!」
「ああ」
「人衣一体、神威鮮血!」
私は赤手甲の手首部分の留め金を外し、鮮血に血を染みこませ人衣一体形態に変身する。
「……あんた、露出狂だったのね」
「違げーよ!? これには理由があるんだよ!!」
あの巫女、私を哀れみの目で見てやがる……いや、最近言われてなかっただけで、よくよく考えてたらそう思われてもしかたない格好だなこれ……胸部から腹部に掛けてがほぼ丸出しの破廉恥ルックだしな。
「ふーん……まあいいわ、速攻でケリをつけてあげるわ!」
ゲッ……空を飛べるのかよ……しかも手からものすごい密度の弾幕を放って来やがった!? けど、こんな攻撃でやられると思われるなんてな。
「へっ……そんな攻撃、全部ぶった切ってやる!」
「流子……あの鋏は大気圏に突入したときに、どこかへ行ってしまったぞ……」
「おい、鮮血! そういうのは先に言えええええええ!!」
くっそ! そういえば、そうだった! 無駄に弾幕を近づけちまった……って目の前に弾が……
「ぶべら!!」
「もう当たったのね。これなら案外、すぐに決着が付きそうね」
「くっそ……鮮血、こうなったら私たちも空を飛ぶぞ! 鮮血疾風!」
私は鮮血のスカート部分をロングに肥大化させ、下半身からブーストを噴射して、飛行する。これなら、あの弾幕にだって問題ない対処できるはずだ。
「その服……ただの付喪神に、露出狂の二人組かと思っていたけど、そうでは無いようね。でも飛んだくらいで、私の弾幕をよけれるかしら?」
「だから私は露出狂じゃねー!!」
私の事をまだ露出狂扱いしてやがる……って、さっきより濃い弾幕だな……でも、さっきと違って空中だからよけれる範囲が広い。これならいける!
「あら結構早いじゃない……でも、これならどうかしら?夢符『封魔陣』」
あれが例のスペルカードって奴か。これは気を引き締めないとマズイかもしれな――
流子が気を引き締めようとした瞬間、霊夢の周囲に結界が展開され、それが四方へと一気に拡大されて行く。そしてその予想外の動きに流子は直撃してしまう。
「おわっ!?」
「これで二回、そして隙を見せすぎよ!!」
「まだだ!」
そういって私は再びブーストを全開で回避する。このスピードと向こうの弾のスピードを考えると、よほど油断してなければ被弾する心配は無いな。
「流子、後ろだ!」
「へ?」
鮮血の声とほぼ同時に背中に衝撃が来る。そこにはなぜかあの巫女が居た。
「三回目」
「嘘だろ……この速さについて来たのか……?」
「流子、あいつはいきなり背後に現れた……おそらく瞬間移動のようなことが出来るらしい」
「マジかよ……」
「話をしてる余裕があるのかしら?」
鮮血と会話をしていると、目の前に弾幕が迫る。まずい、後一回の被弾で私の負けだ。でも、ここで終わる私と鮮血じゃない。
私は先ほどより集中し、弾を被弾ギリギリのところで回避する。
「どうだ!」
「今ので終わると思ったのに……思ったよりやるじゃない。でも、これで終わりよ。霊符『夢想封印』」
霊夢が宣言を終えると、周囲に様々な色をした大玉が出現する。そしてその全てが流子に向かって放たれた。
「ただのデカいだけの弾じゃないか!」
私は身構えてた分、思ったより普通の攻撃で、つい油断をしてしまった。
「流子、あの弾、こちらを追尾して来ているぞ!!」
「なんだって!?」
完全に想定外だった。そして私は追尾してくる弾を振り切る。でも、それは罠だっということに気付くのが遅かった。
私の目の前に、待ってましたとばかりにあの巫女が居て、手をこちらに向けてこういった。
「私の勝ちね」