「私の勝ちね」
私はそう言って、目の前の……そういえば名前を聞いてなかったわね。まあいいわ……とりあえず彼女に向けて弾幕を放つ。そして弾に当たり、私の勝利が確定する。
そこまではよかった。そのあと彼女は弾が当たった衝撃で後ろに吹っ飛んでいく、そして打ち所が悪かったらしく、まったく回避行動、防御行動を取らないで無双封印に突っ込んでいったわ……しかも全弾命中……大丈夫かしら、あれ……。
「って、気絶してるじゃないあれ!?」
あのままだと地面に落ちて、下手をしたら死んじゃうわよ! 私は一気に加速して、キャッチしに行く。
(まずい、間に合わない……!)
そしてもうダメだ、と思った瞬間にあの付喪神の様な服が、突然何かを噴出して勢いを殺した。私は最悪の事態にならなくてよかったと、ホッと胸をなで下ろす。
「まったく、きちんと考えて弾幕を張らないからこうなるのよ」
「うるさいわね。だったらさっさと受け止めればよかったじゃない」
「私は本当にダメだと分かった瞬間になったら受け止めたわよ」
まったく。紫もギリギリになったらじゃなくて、最初から受け止めればいいものを。おかげで肝を冷やしたじゃない。
「その、危ないことをしちゃって悪かったわね。えーと……」
「鮮血だ。気に病む必要はない」
「そういって貰えると助かるわ」
こいつ、結構礼儀正しいじゃない。なんて私が感心していると、気絶していた彼女は目を覚ました。
「いつつつ……あれ? 私どうなったんだ?」
「お前の負けだ、流子」
「くっそー……負けたかー……それで、えーっと……あんた名前はなんて言うんだ?」
「人に名前を聞くときは、先に名乗るのが礼儀じゃなくて?」
私は、さっき鮮血に名前を教えて貰っておいて自分が名乗らないかったのを棚に上げる。
「あ、そういえば名乗ってなかったのか。私は流子。纏 流子だ」
「流子ね。私の名前は博麗 霊夢よ」
「霊夢か、よろしくな」
私は差し出された手を握り替えし、よろしくと返す。そして私はニヤリとして本題にはいる。
「それで、本題だけど勝者として、敗者のあんたに命令させてもらうわ。私の神社の修理費と慰謝料諸々……と行きたいところだけど、あんたは思ったより悪い奴じゃなさそうだし、神社の修理費だけでいいわ」
「お、おお!」
「そんなわけで紫、おいくらくらいになるのかしら?」
「一千万よ」
「え、えーと紫さん……でしたっけ?じょ、冗談ですよね」
「私は人をからかうのは好きだけど、今回は冗談じゃないわ」
流子の顔は貧血寸前のような顔になっているわね。私だっていきなり一千万の借金を背負ったらびっくりだわ。なんかものすごく悪いことをした気分になってきたわ。
「わ、分かりました……それで、どうやって返済すれば……なにか、私でも出来る幻想郷の仕事ってあるんですか?」
「えぇ、もっとも重要で、それでいて一番儲かる仕事よ。その仕事は異変解決補佐よ」
「ちょっと紫!」
私は紫を引っ張って少し離れたところに行き、小さな声で話す。
(ちょっと何考えてるのよ! いきなり訳わかんない奴に異変解決補佐をさせるわけ?)
(その訳の分からない奴の監視も含めているのよ。実力に関しては問題ないでしょう?)
たしかに紫の言っている事は正論だし、実力もあると思う。
(それに、彼女がお金を払えないとなると、霊夢の負担になるわよ)
「流子、今日から貴女は異変解決補佐よ!」
私にお金の負担が掛かると分かった瞬間に、紫の案に賛成した。もちろん保身だけじゃないのよ?勘がそうしろって言っているというのもあるわ。九割は保身だけどね。
「えーと、霊夢さん。その異変解決補佐っていうのは……?」
「霊夢でいいわ。あと、敬語もやめなさい。ようは私のパシリだと思ってくれればいいわ。」
「はぁ……んじゃよろしくな、霊夢」
流子は私に手を差し出してきた。私はその手を握り替えし、よろしくと言い返した。そして私は改めて自己紹介を始めた」
「さて、改めて自己紹介するわ。私は博麗 霊夢。博麗神社の巫女で、幻想郷の異変解決をしているわ。異変についてはめんどくさいから説明はパス」
横に居た紫が、私の自己紹介が終わると同じように自己紹介を始める。
「私も改めて自己紹介をさせてもらうわ。八雲 紫。スキマ妖怪で、幻想郷の管理者よ。ちなみに、霊夢は言い忘れたようだから言っておくと、霊夢の種族は人間よ」
ああ、そういえば人間だっていうのを忘れてたわね。種族と言えば、流子はなんなのかしら? ただの人間には思えないし。
「私は纏 流子。半分人間で半分服だ。そしてこいつは鮮血。種族は……私と同じでいいのか?」
「おそらく同じだろう。よろしく頼むぞ、霊夢、紫。」
半分人間は分かる。半分服ってどういうことよ。気になったし聞いてみることにするわ。
「流子、半分服ってどういうこと?」
「生命繊維っていう、生きている繊維と融合したって感じだ。だから私は半分人間、半分服なんだ」
「ふーん。珍しい種族というか、聞いた事ない種族だわ」
「おそらく、私と流子しか居ないからな」
私と流子が話していると突然、紫が手を叩いた。人の耳元で叩くのはやめてほしいわ。
「そうだわ、宴会をしましょう」
「宴会? なんのよ?」
「流子と鮮血の歓迎会よ」
「それ、いいわね。じゃ、さっそく支度しましょ! 流子! あんたも手伝いなさい!」
「え!? お、おう!」
そして私と紫は新しい幻想郷の住人、流子と鮮血と宴会をしてすごした。
次回予告
神社の再建の費用、一千万円の借金を背負った流子。
そんな流子の前に現れたのは謎の天狗。
質問攻めで疲弊する流子、そして広まるデマ!
さらに追い打ちを掛けるかのように、ある女性に狙われる!?
幻想をイキル、第3話 風の中の火のように