SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO   作:牢吏川波実

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メインシナリオ 第二章 第12話

 諸々のことがあって数十分後、サマー達と合流したエイミーは心配をかけたことを謝罪する。

 サマー達は、気にしないと言ってくれた。でも、今度からは一言でも相談してもらいたいなと、助言をもらった。

 それから、しばらく一緒にいてくれることになったシシーラとフラウ、そしてベーゼラの三人のプレイヤーを紹介し、彼女たちに自分たちがこのはじまりの街に戻ってきた目的を説明した。

 すると、シシーラとフラウもまたそのクエストを手伝ってくれるという。ありがたいことではあるのだが、彼女たちにもこの街に戻った理由があるのではないかと、聞いた。

 けど、彼女達は何事もないように大丈夫、と言うだけ。

 彼女たちほどのプレイヤーが、攻略をおろそかにしてはならないと思う。だから、このようなところで足を止めている場合じゃないと思ったのが、彼女達が言うにはすでに目的は達成されているらしい。そのため、自分たちがどんな行動をとっても自由なのだと。

 曰く、彼女たちがこのはじまりの街に戻ってきたのは、この周辺に出てくるフレイジー・ボアを討伐してあるアイテムを収集するためだったから、だそうだ。

 そのことに不思議に思うサマー達だったが、ともかくだ。

 こうして、男性プレイヤー二人と、女性プレイヤー六人の合計八人となったメンバー。という事は、パーティーを組みなおさなければならない必要性に迫られる。

 SAOにおいて、≪他のプレイヤーとともに行動する≫。それだけをパーティーと呼ぶのではない。他のプレイヤーにパーティー申請をする、あるいは申請され、それを受理されればパーティーメンバーとして成立するのだ。

 パーティーのメンバーとなれば、同じフィールドで戦った時の経験値やコルを共有でき、アイテムも、確率は低いそうだが共有することができるそうだ。

 しかし、一度にパーティーを作ることができる上限は、六人である。すなわち、今ここにいる八人のうち二人はまた別のパーティーを作らなければなってしまうのだ。

 これに対し、シシーラとフラウの二人が自分たちはもともと二人でパーティーを組んでいたからそれで平気だと言ってくれた。

 だが、それはそれで申し訳がないので、話し合い、半々ずつでパーティーを組むことにした。

 すなわち、サマー、ハワード、サーヴァント、そしてキッドのパーティー。

 そしてエイミー、ベーゼラ、シシーラ、フラウのパーティー、である。

 パーティーを組みなおし、準備万端整った八人は、いざクエストを受けるために、とあるお店に向かった。

 そこは、エイミーが〈救済の剣〉のクエストを受注したお店なのだ。

 しかし。

 

「あれ? 確かに、このお店なんですけど……」

 

 エイミーが案内してくれたのは、どうやらお花屋さんのようだ。外から店の中を見ると、現実にもありそうな花、現実じゃありえなさそうな形や色の花が所狭しと飾られている。

 このSAOでは、お金をためれば、家一軒を買ったり借りることができるようになる。その時に、内装を整えるためのディスプレイ用に売っているのであろう。

 という事で、本来はまだここにいる八人はおろか、おそらくほとんどのプレイヤーにとっても無用の長物的存在であると言っても過言ではないお店。

 しかし、エイミーはたまたまそのお店の前を通ったときにその純美な花々に目を奪われて客もいないそのお店に立ち寄った。

 その時、花屋の女性店員のNPCからクエストを受注。あの〈救済の剣〉を手に入れることができたのだ。

 しかし、その時は簡単に入ることができていた花屋さんのドアは固く閉じられており、中に入ることができないようになっていた。どういう事だろうか。

 

「もしかして、今日が定休日とか?」

「あぁ……」

 

 その線は確かにありそうだ。このSAOにおいては、NPCが運営するお店であってもリアリティを増すためなのか、宿屋などの決まったお店を除いて必ず定休日という物が設定されている。

 よく見ると、その看板には『月曜日は定休日です』なんて記載されているし、なんなら今日は月曜日。閉まっていて当然なのだ。

 さて、そうすると、翌日まで待たないといけないのだが、そうなると手持無沙汰ととなってしまうのも事実。

 どうしようか。と考えていた時、サーヴァントが言った。

 

「それじゃ、今日のところはこの辺りで宿をとって、あとは夜まではじまりの街の別のクエストをこなすってのはどうかな?」

「そうだね、ベーゼラやエイミーのレベルアップのためにも」

 

 とシシーラが補足するように言う。このはじまりの街のクエストは、ゲームが始まって一番最初の街であるという事も相まって、受注できるクエストはかなり低難易度のクエストがそろっている。

 そのクエストをこなしていき、自分たちのレベルアップにつなげて、夜まで時間をつぶして明日に備えるのも悪くないのかもしれない。

 そんなこんなで、八人はあるクエストに向かっていった。

 そのクエストは、草原に現れたフレイジー・ボアを倒してくれ、という初歩中の初歩なクエストで、やはり彼女たちの実力ではこの辺の敵は、ソードスキルを使用せずとも倒せるほどの弱さだった。

 だが、幸か不幸かその程度の強さであったとしても低レベルだったベーゼラにとっては絶好の敵であったらしく、パーティーを組んでいたこともあって、彼女のレベルはいつの間にか四にまで上がっていった。

 因みに現時点での各々のレベルは、サマーとハワードが六、エイミーとサーヴァントが五、キッドが七、シシーラとフラウが八、という事になっている。もはや、このレベルのパーティーとなってしまえば、この辺りのモンスターは敵ではないのは当たり前だった。

 

「だいぶあつまってきたね、〈フレイジー・ボアの肉〉」

「うん」

 

 もはや何十何百と倒したかは把握してはいないが、とにもかくにも、彼女たちは満足できる量のアイテムを手に入れることができたようだ。

 それにしても彼女たちの狙っていた、〈フレイジー・ボアの肉〉。ここまでのボアを倒しておいてわずか十とそこそこしか取れなかったところを見ると、かなり低確率でドロップするアイテムであったようだ。

 毛皮などの強化素材に目もくれずに謎の肉を追い求めている理由はいったい何なのか。ベーゼラが聞いてみた。

 

「あの、そのお肉は何のために使うんですか?」

「何のためって、決まっているでしょ?」

「え?」

 

 また今度、ご馳走してあげるね、とだけ言ったフラウ。

 ご馳走、という事はそういう事なのだろうか。

 確かに、この世界にはソレ系統のスキルも存在するとは聞いたことがある。しかし今は誰もがゲーム攻略に躍起になっている状態。その中で、攻略に一切関係のないスキルを磨くメリットがあるのか、この時の彼女にはよくわからなかった。

 ともかく、事前に調べ上げていた宿屋に帰ってきた一向。そこでは、二人一組での宿泊もできる部屋を四つほど借りた。

 その中の一つの部屋。そこで、エイミーはアイテムの整理をしていた。

 先ほどの多数のフレイジー・ボアを倒したことによって大量の素材を手に入れることができたのだ。

 だが、いくら量があったとしても必要な数と不必要な数という物がある。必要最低限の素材を残して、あとは明日売り払うことにしよう。

 そう考えながら整理を終えたエイミーは、同室となったベーゼラに対して話を切り出すことにした。

 

「あの、ベーゼラさん……」

「あ、はい、何でしょうか?」

「その……ごめんなさい。私一人、何もできなくて……」

「え?」

 

 あの、アランとスミシーとのひと悶着があった時。彼女はひどい無力感を感じていた。

 真っ先に彼女のもとに駆け付けたにもかかわらず、自分は立ちすくみ、何もできないでいた。

 結局のところ、ベーゼラを救い出したのはキッドやシシーラたち。自分は、終始その場からあの男性プレイヤー二人組に対して負け犬の遠吠えのような声を上げるしかできなかった。

 もしも、自分にもう少しの勇気があれば、もう少しの力があったのならば。弱虫じゃなかったら。

 

「私が、臆病だったから……」

「……そんなことないと思います」

「え?」

 

 ベーゼラは、そういうとエイミーの手を取りまるで母親が子供を諭すような口調で言った。

 

「私は、エイミーさんにはキッドさんたちにも負けない、勇気があると思っています。そうじゃなかったら、あの時……最初にあの人たちに声をかけることすらもしないはずです」

「あ……」

 

 考えてみれば、ベーゼラが追われているのに最初に気が付いたのは、キッドとエイミーの二人。でも、エイミーが先に駆け出して行って、先にベーゼラに追いついたのは事実。

 そして、ベーゼラたちに追いついたとき、自分は何も考えなしに叫んでしまった。

 

『ひどいことをするのはやめてください!』

 

 と。

 その後でキッドが来てくれて、あのいざこざになったわけなのだが。あの時の自分は、確かにほんの一握りしかもっていなかった勇気を振り絞っていた。

 

「エイミーさんは、確かに勇気を持っていますよ。でも、それを知らないだけ……だから、自分に自信を持ってください」

「自分に、自信を……」

 

 エイミーは、なにか自分の心を覆っていたカーテンが少しだけ開かれたような感覚になった。今までの自分じゃない自分が隠れていたような、それが、少しだけ顔を出してくれたかのような、そんな感覚を。

 

「できるかな、私にも……」

「できますよ。絶対に」

 

 ベーゼラは、まるで念を押すかのようにそう言った。その後は、他の仲間たちも集まって明日の行動の指針について話し合いを行った後にそれぞれに眠りについた。

 でも、その中でもエイミーは考えていた。自分が持っているほんのちょっとの勇気について。その勇気を、どのようにして大きくするのか、その方法について。

 そして、自分に自信をつける方法について、ずっと考えていたのだった。

タイトル、また変えようと思ってます。今度はシンプルに。でもそんな頻繁に変えていいものかと思ったので、ちょっとアンケートとります。なお、前提としてSAO、あるいはソードアート・オンラインを頭につける事としてます。よろしければお答えください。

  • ヴァルキリーズfeatボーイ
  • プロジェクトSAO
  • アルティメットカオス
  • 無への逃走
  • 肯定あるいは否定
  • フィクションスターズ
  • 〜いろんな著作物から以降はいらない
  • タイトルはそのままでいい
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