SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO   作:牢吏川波実

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メインシナリオ 第二章 第19話

「うぅ……ここ、どこ?」

 

 森の奥深く、あたりからお化けの声が聞こえてきそうなほど深淵で、オドオドとした表情を浮かべていた少女がいた。

 おそらく、ここが現実の世界であったのならば、その目には涙を浮かべていてたのだろう。

 無理もない。夜でもないのに辺りは暗くて、行く道が全て草むらで塞がっている。

 そこら中からモンスターの耳をつんざくような鳴き声が耳に到達し、そのたびに上半身が震えて仕方がない。

 五感のうち二つの感覚から伝達されてくる情報だけで、身体が身震いしているのは、けっして寒いからではないはずだ。

 下半身に関しては、この場所に来てからずっと震えているのでもはや記述する必要もないだろう。

 

「お、おい! お前!」

「ッ!」

 

 と、少女サキは後ろから追いかけて来た男性プレイヤーに、目に見える形で小さく驚き、身体が魚のように跳ねた。

 まるで獰猛な獣に狙われた小動物のように瞑らな瞳で、怯えている女の子。

 思えば、この場所に来たすべての原因は彼らにあると言っていい。自分が、一緒に行動していた友達とはぐれて、迷っているときに話しかけてきた男性。

 もしかして、ナンパだろうか。そう考えた彼女に対して、二人は言った。自分たちのパーティーに入ってくれと。

 その時の二人の顔は、なんだか野生に解き放たれた野獣のようで、底の知れない恐ろしさにすぐに逃げ出した。

 でも、二人は追いかけてくる。しつこく、しつこく。

 自分は、そんな二人を振り払うために走った。その間に一体どれ程のモンスターに出会ったのか、そして攻撃を避けたのか、どれくらい走ったのか、もう思い出すことができない程だ。

 気が付けば、自分はこの森の中にいた。もう帰り道もわからなくなってしまって心細く、そんな最悪な精神状態の時にこの最悪の再会である。

 サキは、再び逃げ出そうとした。

 

「ちょっと待て! お前、ここがどこか知ってるのか!?」

「え? う、ううん……私も、初めて来たから……」

 

 そのサキの言葉を聞いた瞬間、男性プレイヤーの表情に、一気に焦りの表情を見せた。

 

「おいおい、じゃあ出口もわからねぇってことかよ……」

「え?」

 

 男性は、それだけ言うとメニューウインドウを開き、その日何度目かわからないその迷宮のマップを出した。しかし、そこには何も映らない。

 実は、この〈迷いの森〉というダンジョンは、入るたびにその形を変えていくという特徴がある。

 マップには、普通ならば通ったことのない道を通れば、その場所が自動的に記録され、道しるべを作成することができる。と言う機能がある。

 しかし、その機能は全くと言っていほど働いておらず、画面は真っ白。まるで壊れたレーダー探知機のようになってしまっていた。

 今、自分たちがいる場所、そして出口も見失った。この状態で、もしモンスターに囲まれでもすれば、一巻の終わりだ。いや、問題はそれだけじゃない。

 

「スミシーともはぐれちまったしよ……」

 

 それは、彼の仲間のプレイヤー。サキがあたりをみまわてしみると、確かにさっきまで一緒にいたはずなのに、いつの間にかその姿が忽然と消えてしまった。

 この、場所も出口もわからないような場所で、仲間とはぐれるという状態がどれだけ危険なことかわからないサキ、そしてアランではない。

 

「とにかくッ! 今はお前のことは放っておいてやる! だが、今度会った時には俺たちのパーティーに入ってもらうからな!」

 

 ただ、それだけ言うとアランは森のさらに奥深くにまで走っていった。

 ただ一人残されたサキ。でも、こんなとこに残されたところで一体何をすればいいのか、自分がどこに行けばいいのか。皆目見当もつかない。

 とりあえず、彼女は歩くことにした。彼ら二人が進んでいった、地獄への一本道を。

 罠があると知らず歩く童かのように、ヨタヨタとした歩行で、行くのだった。

 

 そして、サキが〈迷いの森〉に入ったことを知った一行。やっぱりこういった時に真っ先に声を上げたのはキッドだった。

 

「〈迷いの森〉って、エイミーが昨日巨大なモンスターに襲われた!」

「え? モンスター?」

「うん、クエストの討伐対象の、確か……〈グラン・ネペント〉っていう……」

「〈グラン・ネペント〉……」

 

 ヒースクリフが反芻するかのようにつぶやいた。気のせいか、どこか嬉しそうに見える。

 

「そのモンスター、とっても強くて……私じゃ歯が立たなかった……」

「僕たちも、エイミーを逃がすための殿として戦ったんだけど……」

「あぁ、結構強かった。もしも、何も知らない女の子があのモンスターに出くわしたら……」

 

 刹那、あこちゃーの顔から血の気が引いた。この中はゲームの世界なので、そんなことはないのかもしれない。でも、似たような感情になったのは確かなのだろう。

 救済的な意味としては、その〈グラン・ネペント〉がクエスト専用のモンスターで、特定のクエストを受注していなければ出現しないという希望的観測は残っている。

 でも、同じネペント系のモンスターを討伐してアイテムを入手するクエスト、≪アニール・ブレード≫を入手するためのクエストの例がある。

 そのクエストの対象となるリトルネペントはクエストを受注していなくても普通に森の中に現れるモンスターだ。同じネペントのモンスターにもあてはまる可能性は十分にある。あこちゃーの顔色はますます悪くなった。

 一方、シズはそんな友達のこともかまいなしに叫び走り出そうとする。

 

「なら、早くサキを助けに行かないと!!」

「シズ待って!」

「なんで! 早くしないとサキが……」

「分かってるわよ! でも、和や京太郎も呼んでみんなで行かないと!」

「そんな時間ないよ!」

 

 察するに、先ほど一緒に探しているという仲間の事であるのだろう。だが、応援を呼んでいる間に手遅れになる。その可能性があるのは間違いない。はやるシズの気持ちも分かる。しかし、だからと言ってこのまま彼女一人を行かせることも十分危険なことだ。

 友達を無くすかもしれない可能性。悲劇になる可能性。それを考えて焦るのは、友達としては間違いない。だが、焦っても何にも変わることはない。今は、できるだけのことをやらなければならないのだ。

 

「クリプティッドたちにメッセージを送ろう。この村にいるはずだからすぐに来てくれるはず!」

「俺も、蓮に連絡する!」

「蓮?」

「ボクたちも……」

「仲間に連絡をしてみます! 全員が来れるかはわからないけど……」

 

 全員が全員、見ず知らずの少女を助けるために必死だった。

 昨日と、同じだ。その時は自分が救済対象だったわけだが、その時も、今と同じようなことをくれていたのだろうか。ベーゼラはしかし、知り合いがいないために誰にも連絡をとれない自分を恨んだ。

 こんな時に、恩人達に力になることもできないなんて、と。

 こんな、とても慌てて、緊張感あふれる状況下で、エイミーもまた自分にできることは何か考える。

 彼女もまた一昨日彼らに助けられた。ベーゼラと同じように、自分もサキという一人のプレイヤーを助けたい。けど、皮肉にも彼女はベーゼラと同じ状況だった。

 自分には仲間はいない、連絡を取れるプレイヤーもいない。

 ならば、自分はどうするか。彼女の腹は決まっていた。

 

「私、行ってくる!」

「え?」

「エイミー!」

 

 彼女は走りだそうとした。奇しくも、その姿は先ほどのシズの姿に重なる物があった。

 

「大丈夫、サキさんは、私が絶対に助けるから!」

 

 そういって、〈迷いの森〉に向け走ろうとする。そこには、先ほどまでトラウマに怖気付いていた女の子は存在しなかった。いや、消してしまったと言っていいだろう。でなければきっと、走ることなんてできなかったから。

 でも―――。

 

「ッ!」

「……」

「あの子は……」

 

 そんなエイミーの前に立ちふさがった少女。クレール。

 そして―――。

 

「ッ!」

「馬鹿ッ……」

 

 クレールは、まるで幼いころからの知り合いかのような痛みを、エイミーにくらわすのだった。

 

「馬鹿ッ!!」




プレイヤー№ 86 ???(サキ【saki】)≪原作:???≫

タイトル、また変えようと思ってます。今度はシンプルに。でもそんな頻繁に変えていいものかと思ったので、ちょっとアンケートとります。なお、前提としてSAO、あるいはソードアート・オンラインを頭につける事としてます。よろしければお答えください。

  • ヴァルキリーズfeatボーイ
  • プロジェクトSAO
  • アルティメットカオス
  • 無への逃走
  • 肯定あるいは否定
  • フィクションスターズ
  • 〜いろんな著作物から以降はいらない
  • タイトルはそのままでいい
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