SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO 作:牢吏川波実
アイドル&噛みキャラ。本当は現実世界編の序盤の主役になる予定だったあるキャラの代打です。代わりにこの子はSAOに参加し、SAOに参加する予定だった子は参加出来なくなりました。
後、もし今回のラストの部分で《ある物》を思い出してしまった人は、心が汚れてしまっている人です。
世界には多くの輝きが存在する。
夢への輝き、未来への輝き、人生の輝き、命の輝き。
そして今という輝き。
だが、輝きという物は鮮度の短い腐りやすい物。
いつかは輝きは消え、残る物は消失感による絶望だけ。
特に、今という輝きはとてつもなく儚い物。そして、心に残りやすい物。
そのために、将来その輝きが忘れられずにしがみつき、あの頃を懐かしんでもう一度取り戻そうとして、無駄なあがきを繰り返し、成長することが出来なくなる。
今という輝きは、人々に大きな宝物をもたらす最上の媚薬でもあり、最悪な麻薬でもあるのだ。
これは、短い今という輝きを生きる人間の中でもさらに短い命を過ごしている少女たちの記録。
そして、その短い今という輝きの中で生涯断ち切れることのない輝きを手にいれた少女の記録。
花火のように打ちあがっては歓声と共に消えゆく存在たる少女たちの≪今≫という輝きを取り戻すための戦いの歴史である。
東京、赤坂。
そこにあるある一つのスタジオに多くの人間が集まっていた。
ある者はそれを見るために。
ある者はそれを映すために。
ある者はそれを支えるために。
ある者はそれに出演するために。
そして、ある者はそれの前で精いっぱいの輝きを見せるために。
ここは、少女たちが自分たちの夢に精いっぱいの気持ちで向き合い続け、手にいれた最高の舞台。
仲間たちと共に頑張ることが出来る唯一無二のかけがえのない場所。
人は、ソレのことをこう呼称した。
≪生っすか!? レボリューション≫と。
「日曜午後の新発見。神出鬼没の生中継。」
「この番組は、ブーブーエス赤坂スタジオから、全国のお茶の間の皆様へ、毎週生放送でお送りしております」
と、いうことで始まったのはバラエティ番組、≪生っすか!? レボリューション≫である。この番組は、その名前の通り生放送であり、765プロという事務所に所属しているアイドル12が総出演、しかもそれを毎週行っているというまさしく他の番組には例を見ない試みをしている番組であるのだ。
この番組は、MCを務めている
例えば、沖縄出身の少女
元々は、≪生っすか!? サンデー≫という番組名であったのだが、765プロのアイドル一同押しも押されぬ人気アイドルとなった関係によりスケジュール管理が難しくなり一度打ち切りになり、その後この生っすか!? レボリューションと番組名を変更してリニューアルされたのだ。
以来、個性豊かな12人のアイドルの奮闘により、芸能界でも屈指の人気バラエティ番組の地位を確立させたのだ。
だが、今日は少しだけスタジオの様子が違っている。
「さぁ、今週は特別編だよ皆、準備はいい!?」
「「いえーい!!」」
「はい!」
「うん!」
スタジオにいたのは三人だけではない。我那覇響、菊池真、高槻やよい、
「そうなんです! 実は、今日スタジオに来ているのは私たちだけではありません!」
「いつもは全国に飛び回っている、765プロのアイドル、総勢12名が、ここに集合しています」
これは、番組始まって以来の出来事である。いつもは3人だけの広々としたスタジオも、12人が集まる窮屈に感じてしまう。だが、この全国的に有名かつ、人気のある12人が集合したのにはある理由がある。
「今日は、私たちも宣伝に協力させていただいたゲーム、SAOの発売一週間前なんだよね、美希」
「そうなの! そこで今日は、SAO発売記念の特別番組と題して、SAOを徹底解析していくの!」
この日は、10月30日。世間で注目の的とされているゲーム、ソードアート・オンラインの発売日一週間前に当たる。
だからと言って、何故彼女たちがこのような特別番組を組んだのか。それには理由があったが、それはまた後述。
「これから一時間、SAOに関しての情報を発信していくから、SAOを予約できた人も、できなかった人も目が離せない内容となっています」
「それに先出しまして、なんとここでサプライズゲストの方々に来てもらっています」
この言葉に、スタジオの観覧席からはどよめきが起こる。
実はこれもまた番組始まって以来初めての事。
この番組がリニューアル前も含めると始まって約一年。その間、765プロ以外の芸能人が出演したことは皆無だった。
これは、元々765プロのアイドル達だけの番組というコンセプトで始まったこともあったが、そもそも765プロのアイドル達の絆が強く、その中に他人が入り込む余地がない、というより他人が入り込まなくても面白いという身もふたもない理由も関わっていたりする。
「このSAOの発売に際して、プロジェクトSAOの名目で765プロ以外の多くのアイドルも参加しての宣伝を行ってきました」
そう、これが彼女たちが特番を行う理由。≪プロジェクトSAO≫。それは、ソードアート・オンラインを宣伝するために開発元であるアーガスが企画した一大プロジェクト。765プロのアイドルを含めた複数の有名人、インフルエンサーに協力してもらい、幅広い年代の人たちにソードアート・オンラインの良さをアピールすることが目的のプロジェクトだ。765プロのアイドルたちは、その中でも中枢を占める、実際にβテスターとしてプレイしての感想をネット配信するという形でそのプロジェクトに関わっていた。アーガスから借りることが出来た5セットのナーヴギアとSAOのソフトを借り貸ししながら行われた二か月間のβテストによって、彼女たちは十分SAOの世界を満喫し、そしてその良さを世間に広めることが出来た。
その功績から、アーガスからこのプロジェクトの集大成の内の一つである、発売前特番を任されることになったのだ。
「そこで、今回のゲストはプロジェクトSAOに参加して、より親交を深めたお友達です」
この春香の言葉に、観覧席からは歓声が上がる。先の記述通り、このプロジェクトSAOに参加しているのは有名人やインフルエンサー。そのプロジェクトに参加してきた人間たちの中からゲストとして登場するのだから、これから現れるゲストというのは著名人であるということが確定されているような物。だが、問題は誰が来るのかということだが。
「それでは、ご紹介します」
千早が、スタジオにそのゲストを呼ぼうとする。
その十数分前に話をいったん戻す。
「段取りはそんな感じね。真琴、準備はいい?」
「えぇ、ありがとうダビィ」
スタジオ近くの楽屋から現れたのは一人の女性、そして一人の紫色の髪の女の子。
女性は、少女のマネージャー兼パートナー。そして女の子はアイドル歌手、
そんな真琴がスタジオに向かうために歩いていると、これまた一人の女の子が別の楽屋から現れた。いや、飛び出してきたと言ったほうが良いだろう。真琴のような特別な髪色を持っているわけではない素朴な黒色の短髪の少女だ。特筆するべきことがあるとするのなら、真琴よりも元気であるというところだろうか。
そんな少女が真琴の姿を見つけると言った。
「あぁ!? 真琴ちゃんだぁ! おはようございみゃす!」
「え? あ、おはようございます」
この場合のおはようございますは、業界用語の一つだ。この業界では、その道の人間に対して挨拶をするときには時間に関わらず≪おはようございます≫というのが鉄則であるらしい。
というより、もしかしなくてもいま挨拶を噛んでなかっただろうか。おはようございます等、この業界にいる人間であるのならばいい慣れているはずなのに。
「あら、あなた確かこの後競演する予定の……」
「トリプルブッキングの飯田シホでしゅ!」
また噛んだ。もしかして、噛み癖でもあるのだろうか。
ここまでの話で分かるように、彼女もまたこのプロジェクトSAOに参加したアイドルの一人であり、本日のスタジオゲストの一人である。レイ・プリンセス所属のアイドルユニット、トリプルブッキングの
二人ともに、同じプロジェクトに参加はしていた物の、今日が初対面である。やはり人気アイドルともなると、スケジュールの調整がつかず、参加したメンバー全員が集まったことなど一度もなかったのだ。
「……剣崎真琴です。今日はよろしくお願いします」
この突然のテンションと、噛み癖に少しだけ度肝を抜かれた物のすぐ笑顔を取り戻した真琴は改めて挨拶をした。
「おう! よろしく!」
何故だろう。彼女を見ていると気前のいい板前を思い出してしまうのは。
それはともかく、真琴のマネージャーであるDBはあることに気が付く。
「あら、そういえば今日は井戸田さんは?」
「あぁ、マネッジャーはユーリやカルナと仕事がブッッキングしたからそっちの方に」
「それじゃ、今日はあなた一人で来ているの? 大変ね」
「いえ、そんなことないすよ」
トリプルブッキングは他の二人もまたプロジェクトに参加していたのだが、本日は他の仕事があったために今日のところはスケジュールが一人空いていた彼女が来たのだ。さぞかし大変そうに思えるのだが、余裕そうに見えるのは彼女の人柄故であろうか。
「夜の仕事をしている人たちに比べればこれくらい!」
「え、夜ッ?」
気のせいだろうか。今、彼女から何らかの危ない気配がした。
いやいや、気のせいだ。大体、夜の仕事と言っても色々ある。この世界に馴染んできた今、様々な知識を取り入れてしまったが故に勘違いをしている可能性もある。だが、何故に夜の仕事を引き合いに出すのだ。
「あ、真琴」
「え?」
その時、マネージャーのDBが真琴に耳打ちをした。
「実はね、飯田さんはその……下ネタを言う子なのよ」
「し、下ネタ?」
「そう。だからえっと……フォローよろしくって井戸田さんから」
「えぇ……」
そうなのだ。これが彼女の一番の特徴とも言ってもいい物。親父キャラ+噛み癖+下ネタ連発、これが彼女の特徴であるのだ。完全に生放送の番組に出演させるべき人間ではない。そのため、井戸田はあらかじめ真琴に彼女が下ネタを言いそうなときのフォローを、マネージャーであるDBに頼み込んでいたそうだ。
「ただ元気なのはマナで経験しているから大丈夫だったけど……その、しも、ネタなんて……」
「経験? 真琴ちゃんは経験z」
「あぁもうそこまで! ……ダビィ、今日の仕事大変そうね……」
「ご、ごめんなさい」
DBも、なんだか申し訳ない気持ちになってくる。普通に付き合うに関してはとてもいい子であることには間違いないが、共演者としてこれほど扱いに困る人間に出会ったの初めてといってもいいだろう。
ところで、先ほど彼女が口走ったマナ、とは彼女の一番の友達である女の子の事。彼女にとっては恩人であるに等しい大切な女の子だ。そして、その女の子は彼女の秘密に関係することなのだが―――。
「まぁ、本番になったら抑えますっから、今日はよろしくお願いします!」
「え、えぇ……」
今のところそれは完全に無関係であるのでここは置いておくとしよう。
「あれ? そういえばもう一人の共演者の子は?」
「え? あ、あぁまゆりちゃん……」
そう、実はゲストはもう一人いるのだ。しかし、その女の子の姿がまだ見えない。まだ楽屋にいるのか、それともまだ到着していないのか。
「はやく会いたたいな、まゆりちゃん!」
実のところ、そのまゆりという女の子はすでに楽屋に到着していた。そして、彼女自身早くスタジオの方に向かいたいと思っていたのだ。ところが、マネージャーの松川から直前まで待機しているようにと言われて楽屋にくぎ付けになってしまっているのだ。
「ねぇ松川さん? どうして真琴ちゃんやシホちゃんに合わせてくれないの?」
「剣崎真琴ならともかく、飯田シホはその……言葉遣いが危ういのよ」
「言葉遣い?」
「そう、純粋なまゆりに汚い言葉なんて聞いてもらいたくないのよ」
「あ、あはは……」
松川は、少女桜井まゆりに泣きながら抱き着く。
ちょっとオーバーな気もしないでないが、しかしまゆりにとっては完全にいつもの事なので別に気にはしていない様子。
だが、下ネタ連発少女との共演に難色を示す彼女の心配も分からないでもない。そんな少女と出会わないようブッキングしない程度に仕事を入れてきた彼女からしたら、今回の初共演はまゆりのアイドル人生の汚点となりうる可能性があると考えているのだ。
桜井まゆり、高校生アイドル歌手であり女優もこなす少女と、マネージャーの松川は二人三脚で歩んできたと言ってもいい。出会いは、木から降りれらくなったまゆりに対して芸を見せて面白かったら降ろすという謎の交換条件を見せた事。その時、彼女が松川に聞かせたのは自作の歌であった。
ハッキリと言えば、変な歌だ。あまりにも独創的で万人受けは難しいと言わざるを得なかった。しかし、妙な魅力を感じる歌だった。
それから、彼女は桜井まゆりをアイドルとしてスカウトし、以来様々な下積みを経験してトップアイドルにまで押し上げた。まさしく、敏腕マネージャー。業界では彼女に逆らうとその世界にいられなくなる。いや、命も危うくなると言われている。人呼んで鬼の松川。
「とにかく、本番直前になったら呼びに来るから、まゆりは楽屋にいること!」
「はーい!」
松川はそう言うと楽屋の外に出て行った。楽屋にはまゆりが一人残される。
退屈な時間だ。話相手の松川がいなくなると寂しくなる。ふと、まゆりはスマホを取り出すとあるところに電話した。
数回のコールの後、電話相手は応じる。
「あ、もしもしひろりん?」
≪まゆりか、どうした?≫
「松川さん楽屋から出ちゃって暇だから。仕事中に電話かけてごめんね」
≪いや、今は外回りの途中で会社の外にいるんだ≫
「そう、よかった」
≪生放送、頑張るんだぞ≫
「え? うん! まゆり、頑張ります!」
父親だろうか。しかし少し若すぎるような気もする男性の声。それを聞いたまゆりは電話を切るとゆっくりと下に降ろす。
そして、カバンにスマホを戻す前に胸元に手繰り寄せた。それは、まるでおまじない用に。電話の相手の言葉をかみしめるように。
「頑張れよ、まゆり」
ある街のモニターの前、そこに一人の男性の姿があった。男性の目線の先、そこでは今まさに赤坂スタジオで行われている≪生っすか!? レボリューション≫の映像が流されている。
これから、そのスタジオに彼の≪妻≫が現れるのだ。世間には秘密の、彼と彼女の関係。禁断の情報。互いに愛しているのに、その愛を世間に伝えることは決してない。そんな二人の見えない絆が、そこには存在していた。
『それでは、ご紹介します』
【奥様の名前はまゆり】
『剣崎真琴ちゃんと! トリプルブッキングから飯田シホちゃん!』
【旦那さまの名前は
『そして』
【2人はごくふつうの出会いをし、ごくふつうの結婚をしました】
【だがしかし1つだけ違っていたのは】
『桜井まゆりちゃんです!』
【奥さまはアイドルだったのです】
奥さまはアイドル
参戦
飯田シホに関してはどちらかと言うと『アイドルのあかほん』由来のキャラなのですが、時系列的に考えると矛盾しているらしいので、スターシステムを採用していると言うことで生徒会役員共出典としときました。
この小説、本編と外伝を……(希望する方を選んでください)
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一つの小説でやってもらいたい
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本編と外伝を分けて投稿してもらいたい