SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO 作:牢吏川波実
因みに『SAO二次創作史上≪稀に見る≫参戦作品とキャラクター数』としたのは、少なくとも一作品、この小説よりも参戦作品が多いだろうという作品を知ってるからです。果たして、あの小説に追い付ける日が来るのだろうか……。
そうだ、自分はなんて馬鹿な人間なのだ。そんな単純なことにも気が付かないなんて。幻想を追い求めていたなんて、自分は、なんて。
『死の間際になってようやく答えを出せる物……それが、信念だ』
(信、念……)
私にとっての信念って何なのだろう。死を前にした自分に、一体どんな信念が見つかるのか。
私が信じる物、正しいと思う事って何なのだろう。
わからない。
分からない。
分かるはずもない。
こんな、自殺みたいな死に方をする自分なんかに、分かるはずが。
『約束ですよ』
(え?)
今度聞こえて来たのは、ナイトの声じゃなかった。女性の声、そう、ベーゼラの声だ。
そういえば、彼女と約束したっけ。彼女の故郷に一緒に行こうって。海の上にある島。
町と、綺麗な草原と、お花畑のあるとても素敵な島。イキたかったな。
『みんなで飲み会に行くのもキラやばかも!』
飲み会。そう、スターとも約束してたな。自分にとって六年も先になるような、とても長い長い約束。
自分も、彼女も、生きているのか分からない。ソレなのに、交わしてしまった無計画な約束。
でも、その時になったら、ほぼ確実にSAOはクリアしているだろうから、その時彼女と、そして彼女の友達と、そしてサーヴァントともお酒を飲む。きっと、それは≪キラやば≫な事なんだろう。イキたかったな。
『約束して』
(クレールさん……)
クレール。
『絶対に』
(嫌……)
そう、そうだ。彼女とも私は。
『死なないって』
「嫌ッ!」
約束を、したのだ。
その時だった。彼女の本能が目覚めたのは。
そうだ、嫌だ。自分は死にたくない。イキたいのだ。
約束したから。ベーゼラと、一緒に行こうって。
約束したから。スターと、サーヴァントと、未来で一緒にお酒を飲みに行こうって。
約束したから。生きるって。
そう、約束だ。
約束とは、未来への道しるべとなる。たとえ、それがどれだけ簡単な物であったとしても、たとえ、それがどれだけ果てしないものであったとしても、たとえ、それがどれだけ実現不可能な物であったとしても、人間はその約束のために生きることができる生き物。
たとえどれだけの苦難に襲われたとしても、苦痛にさいなまれ、死にたいと願うようになっても、約束さえあれば生きられる。それが綺麗ごとだったとしても、約束を信じればこそ、人は救われる。
そうだ。自分は信じているのだ約束の力を。約束が、未来を切り開くのだと。
約束は、人を動かす原動力となる。燃料としてくべることができる。たとえどれだけ消費したとしても、また別の約束が誰かのことを教え、導き、そしてその人が見たことがなかった未来予想図を想像し、創造させてくれる。
そして、その人の世界を広げてくれる。
(私は信じる……約束の力を……ッ!)
それが、私の信念だ。そう、彼女が念じた時であった。
奇跡は、突如として始まった。
「え……」
まるで、雲の上に降り立ったかのよつに身体の自由が戻った。自分のことを縛っていたツタが消え去ったのだ。そして、それと同時に〈救済の剣〉もまた崩壊した。これはいったい。
「どういうこと!?」
「隠し効果か!」
「え?」
ツタに縛られ、ゲルトルートに引き寄せられたエイミー。誰もが絶望し、その最期を目に焼付けようとしたその時だった。彼女のことを拘束していたツタが青白いポリゴン片となって消えていったのだ。
どういうことなのかと困惑していた彼女たちに、答えを示したのはヒースクリフだ。
「〈救済の剣〉にはテキストには記されていない隠し効果がある。HPがレッドゾーンにまで達した時、剣の破壊と引き換えに一度だけ敵の攻撃を無効化するという効果が」
「え、そうなの!?」
ごく一般的なゲームの中にも、武器やアイテムの中には、時折テキストでは示されない隠し効果という物が存在する。このSAOでもそう。実際には武器の説明欄には記されていないだけで、内部的には別の効果を隠し持っている武器が存在しているのだ。
その一つこそ、彼女が手に入れた〈救済の剣〉。その言葉にふさわしく、HPが危険域であるレッドゾーンに至った際に一度だけ敵の攻撃を防ぎプレイヤーを救済する。その代わり、剣自体が壊れたり、敵の攻撃を≪一度≫しか防げないため連続攻撃の場合は防げない、といったデメリットは存在する。
こと今回の場合はゲルトルートのプレイヤーを壁にたたきつける、という攻撃の最中にその隠し効果が発動し、ゲルトルートのツタを消し去ったのだ。
実は彼女、以前の〈グラン・ネペント〉戦でも同じ効果によって助かっている。腐食液によって身動きを封じられた時の事だ。しかし、その時は単に剣の耐久値が減っただけだと思っていたため知ることはなかったが。
「ッ!」
ともかく、これで自由に動けるようになったことは変わりない。しかし、それと同時にゲルトルートにその身体が向かっているという事も変わりないことだ。
なにより、今の自分は文字通り無防備。やっぱり唯一の武器である〈救済の剣〉を無くしたことによって、攻撃手段を無くしてしまったのだ。
このままゲルトルートに突撃してもなんの意味も持たないだろう。
でも、それでも彼女はあきらめなかった。
何を?
当然。
生きることをだ。
「ハァァァァァァァ!!!!」
エイミーは、慣性の法則に従ってゲルトルートに向かう。しかし、モンスターに向けて拳を伸ばす彼女は、まるで自らの意思でそう動いているかのように見えて、とても勇ましかった。
雄叫びを上げ、拳を突き出すその姿に、“プリキュア”を幻視した人間も数人いた。
その姿に悲壮感なんてものはない。あるのは、未来を生きたいと願う、一人の約束を信じた愚かで、しかし心強き者の姿だ。
そして―――。
「ハァッ!!」
無駄な、しかし確実な一撃をゲルトルートに見舞ったのだった。
「よぅし! やったぞエイミー!」
「だが、あんなことしても無駄なことだ」
「へ?」
エイミーの姿をみたキッドが喜ぶが、その横で、ナイトからきつい一言を見舞われる。
どういうことなのか、と聞くまでもなくヒースクリフがつけたした。
「確かに、≪体術≫のスキル無しに攻撃したところで……」
と、行ったところで彼は一度口を塞いだ。まるで何か言ってはならないことを言ってしまったかのようだ。
無論、エイミーだって分かりきってた。この攻撃が、そんな大した意味を持たないという事を。
こんな攻撃で、ゲルトルートを倒すことなんて、できやしないんだと。
なら何故だ。
そう、彼女の狙いはゲルトルートを倒すことじゃなかったのである。
「クッ! ッ……」
ゲルトルートが彼女を壁に激突させるために身体を翻したタイミングで攻撃したからなのだろう。偶然、ゲルトルートの背後に飛び乗ることに成功したエイミーは、そのままゲルトルートの背部の黒い液体が噴出している部分に手をねじ込んだ。
重油のような黒いねっとりとした液体が、身体に降りかかることも恐れず。ソレで押し飛ばされそうになる身体も抑えつつ。彼女はゲルトルートの体の中をまさぐる。
どこだ。
どこだ。
どこだ。
たとえ敵が電子物質によってできた怪物であり、疑似的な生物であったとしてもその体の中に手を入れるというのはとても気色の悪い感触がするという物だ。しかし、それでも彼女の手は止まることなくゲルトルートの中で暴れまわる。
ここでもない。ここでもない。ここでも、ここでも。
違う。
違う。
違う。
「ッ!」
見つけた!?
しかし、彼女が見つけた物は半分予想通りで、半分予想外の物だった。なんだ、この木の棒のようなものは。細くてすぐに折れてしまいそうなのに、とても強い力を感じる。これは、一体。
「ッ!!」
その時だった。ついに彼女の身体が限界に達した。飛び出る黒い血の勢いに身体をとどまらせることができなくなり、ついに彼女は吹き飛ばされてしまったのである。
その手の中に、“桃色の指輪”と、“木製の弓”を携えて。
「エイミー!!」
拭き飛んでいくエイミー。今の彼女の残り体力からすると、うまく地面に着地することができなかった、ただそれだけでもHPバーが全消失する可能性が高くなる。受け止めなければならない。クレールが動き出そうとした時だった。
「え?」
クレールからは見えていない。しかし、エイミーはまるで導かれるように指輪をその手にはめたのだ。
右手中指。その指輪を、はめていた“であろう”場所。その瞬間だった。
エイミーの身体が、桃色の光に包まれた。
タイトル、また変えようと思ってます。今度はシンプルに。でもそんな頻繁に変えていいものかと思ったので、ちょっとアンケートとります。なお、前提としてSAO、あるいはソードアート・オンラインを頭につける事としてます。よろしければお答えください。
-
ヴァルキリーズfeatボーイ
-
プロジェクトSAO
-
アルティメットカオス
-
無への逃走
-
肯定あるいは否定
-
フィクションスターズ
-
〜いろんな著作物から以降はいらない
-
タイトルはそのままでいい