SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO   作:牢吏川波実

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メインシナリオ 第二章 第32話

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セッティングが完了しました

 

 

 

アイテム名変更〈救済の指輪〉→〈ソウルジェム〉装備完了

 

 

 

 

新しいスキルが生成されました

 

 

 

 

 

 

プレイヤー名≪Ame≫に新しいスキルが付与されます

 

 

 

 

 

 

 

スキル名

 

 

 

 

 

 

 

 

〈魔法少女〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは、希望の光と見間違える輝きだった。と、誰かが言った。

 多くのプレイヤーたちの前で、桃色の光に包まれたエイミーは、ゆったりと出口に導かれるように移動する。

 彼女自身は、別に逃げる算段もなかったし、これは彼女が意識的に行っていることじゃない。

 彼女が、無意識に自分の右手中指に指輪をはめた瞬間から起こった不思議な現象。

 

(何……これ、心が……)

 

 心が抜けていくような感覚がする。でも、それと同時に暖かくなっていく指輪の熱。

 何だか、とても気持ちが悪い。魂が抜けて、別の物になるみたいでなんだか怖い。

 でも、どうしてだろう。こんなに穏やかな気持ちになれるのは。何故だろう。こんなにも、嬉しく思うのは。

 自分は知っている。この感覚を。この事象を。前に、どこかで味わったことがある。

 分かる。これから自分がどうなるのかも。これから自分が何をするべきなのかも。

 そう、か。自分はこれから他の仲間たちとは別の存在になるのだ。

 ただのプレイヤーには戻れない。自分は、他のプレイヤーたちとは別個として存在する特別なプレイヤーになるのだ。

 でも、自分は変わらない。変わってたまるか。そう願う彼女もいる。

 約束したから。その約束があれば、自分は自分でいられるから。その目標があれば、自分を保っていられるから。

 自分は、鹿目まどか、なのだから。

 

「絶対に、忘れないから」

 

 彼女は目を閉じた。まるで、約束をかみしめるかのように、そして決して―――。

 

♪交わした約束忘れないよ目を閉じ確かめる♪

 

 クレールたちは見た。桃色の、エイミーを包み込んだ光が出口に降り立ったのを。光は、そのまま彼女のことを包んだまま離さないかのようにも見えた。

 当然、そんなことはない。

 

♪押し寄せた闇 振り払って進むよ♪

 

 まるで、サナギから蝶が羽化したかのように、光は拡散し、中から一人の女の子が出現した。

 

「エイミー、さん……?」

 

 ベーゼラがつぶやいた瞬間、彼女は目を開ける。まるで別人のようになった女の子。けど、彼女たちにはわかりきっていた。それが、決意を新たにした戦乙女、エイミーであるという事を。

 しかし、ベーゼラは一人、彼女がエイミーであるという確信が持てないようだ。当然だろう。だって、別人のように変化してしまったのだから。

 ショートヘアーだった彼女の髪に、二つの赤いリボンで括った髪、ツインテールに似た髪が出現したのなんてまだ序の口、本当の変化はその服装だ。

 今まで、彼女の服装は初期装備と呼ばれる極普通な胸当てがあったり、ブーツを履いていたりといった服装だった。

 それが今はどうだろう。白、いやクリーム色といった方がいいか。ソレと桃色が半々に基調となったショートスカートの服。

 胸には桃色に輝く宝石、それがネックレスのようにあしらわれててとても美しい。

 手には白い手袋、足は赤いリボンのついたブーツを履き、その上からロングの靴下が膝下まで伸びる。

 まさに、ファンタジー一色の衣装。

 SAOの世界、それはまさしくファンタジーの世界だ。けど、それを鑑みたとしても、このSAOの世界にとっては似つかわしくないような衣装。

 その姿に、既視感を感じる者たちがいた。

 

「何、あの服……」

「あれじゃまるで……」

「「「プリキュア!?」」」

 

 プリキュア、確かにそうだ。マリン、スター、セレーネが反応した通り、その服装はまさしく世界を守るために戦う光の美少女たち、プリキュアの服に似ていた。

 いや、だから何だ。この世界は現実の世界ではないのだ。そもそも彼女がプリキュアであったとしても“自分たちがそうであるように”プリキュアには変身することなんてできるはずがない。

 けど、目の前のエイミーは間違いなくプリキュアか、それに準ずるものに変わっていた。一体、あれは―――。

 

♪いつになったら無くした未来を♪

「え、ナニコレ!? 私、どうなっちゃったんですか!!?」

 

 エイミーもまた、自分の身体を見てそう叫んだ。当惑するのも無理はない。自分の装備品が一瞬で、自分の意思も関係なく変わってしまったのだから。

 恐らく、原因はあの指輪。何気なしにはめてみたあの指輪の効果なのだろうが、しかし何ともファンシーな衣装だ。

 でも、嫌いじゃない。むしろ気に入っていると言ってもいい。もしも、自分がプリキュアとしての衣装を考えたとしたら、こんな感じになったのだろうと思う。

 ソレくらい、自分に似合う格好だったと自慢できるだろう。

 

♪私ここでまた見ること♪

「エイミー! HPを見て!」

「HP? ……え?」

 

 クレールに言われて左上を見たエイミー。そうだ。確か自分のHPバーは危険域にまで達していたのだ。早く回復しなければ。

 そう考えた矢先だった。彼女は再び困惑した。

 

♪できるの?♪

「回復してる?」

 

 そう、HPが安全圏内であるグリーンゾーンはおろか、全回復しているではないか。これはいったいどういうことなのか。

 クレールも困惑していた。視界右上に見えていた複数のHPバー。その中の一つであるエイミーのHPは、確かに、ゲルトルートにつかまっていた時にはもう数ドットしか残っていなかった。それなのに彼女が光に包まれた瞬間に突如として全回復。

 それどころか、彼女の衣装まで変わって、もう全くわけが分からない。

 

♪溢れ出した不安の影を 何度でも裂いて この世界♪

「どういうこと?」

「まさか、それがあの指輪の効果なのか?」

「そんなのありなの!?」

「そう考えるしかあるまい……」

 

 と、ヒースクリフが考察にならない考察をする。この事象、流石に想定外すぎる。どうして、何故、ここまで、自分をワクワクさせてくれるのだ彼女は。どこまでこのゲームをかき乱してくれれば気が済むのだ。

 彼は今この状況を大いに楽しんでいた。

 まるで、崩壊していくこの世界を見ているのを楽しんでいるかのように。

 新しいおもちゃを与えられた子供のように。彼はワクワクしていた。

 

♪歩んでいこう♪

「みんな! 来るわよ!」

「ッ!」

 

 その時、サマーの声が飛んだ。そうだ。自分たちは今ゲルトルート、そしてアントニーと戦っている最中だったのだ。

 ゲルトルートは、光に注目する虫のようにエイミーを注視していたヒースクリフたちに向けてツルを飛ばした。

 

♪とめどなく刻まれた♪

「フッ!」

「この!!」

 

 プレイヤーたちは、それぞれに攻撃を避けた。先ほどからこの調子だが、早くこの戦いを終わらせなければアントニーと戦い続けているキッドたちにも限界が来てしまう。

 

♪時は今始まり告げ♪

「とぅ! おりゃ!!」

「フッ! ハァッ!」

 

 この状況、一番苦しいのは群れで押し寄せてくるアントニーたちと戦っているキッドたち。いくら倒しても復活し、襲い掛かってくるそのモンスターの群れを相手に、少数の人員で戦ってくれているのだ。

 しかし、いくら戦いに慣れた人間であったとしても、戦闘の継続はいつかはほころびが訪れる。

 それぞれにかばい合って被害を最小限にはしているようだが、そろそろ限界が訪れるのも近いかもしれない。

 

♪変わらない 思いをのせ閉ざされた扉開けよう♪

「クッ、このままだとじり貧だな……」

「早くゲルトルートを倒さないと!」

「私に……任せて……」

「え?」

 

♪目覚めた心は走り出した未来を描くため 難しい道で立ち止まっても♪

 

 そう言うと、エイミーが手に持った木製の弓が変化し始める。これもまた、ゲルトルートの中からえぐり取った物なのだが、しかしそれにしてはとてもきれいに、ピンク色に光っている。

 弓は、大きな薔薇の花をその最頂部に―末弭というらしい―咲かせると、さらにその下から二つのつぼみを作り出す。そして、その花と弓の最下部―下弭という―が桃色の弦でつながった。

 弓なんて、一度も使ったことがない。でも、近づこうとしても攻撃されてしまう現在の状況を打開するためには、この方法しかないのだと彼女は判断した。

 なんだろう、指輪をはめてから今までの記憶が少し曖昧で、どうして自分が出口に立っているのかもハッキリとはしない。でも、分かる。使い方が。この弓を射る方法が。ソレを使って戦っていた自分自身の記憶が。

 桃色の弦を思いっきりの力で引いたその瞬間。

 矢が、その中に出現する。

 そして―――。

 

♪空は きれいな♪

「届けぇぇぇぇ!!」

 

 その世界、初めての一射が放たれた。

 

♪青さでいつも待っててくれる だから怖くない♪

『シャァァァァ!!!』

「外れた!?」

「いえ、掠ったのよ!」

 

 攻撃自体は、どうやらクリーンヒットとまではいかなかったらしい。だが、少なくとモンスターの一部を掠めたらしく、HPバーは減少を始める。

 

♪もう何があっても挫けない♪

「凄い、一撃でレッドゾーンにまで……」

 

 その減少率に多くの者が感嘆の声をあげた。

 元々DOMの攻撃でイエローゾーンに達していたゲルトルートのHP。だが、あれは彼女の攻撃がクリティカルヒットしたがゆえに起こった事象だった。でも、今回は違う。エイミーの放った攻撃はクリティカルどころかただ掠めただけ。

 で、あるのに、HPバーはおおよそ四分の一くらいは削ったであろうか。これがもしちゃんとモンスターにヒットしていたらと考えると、背筋が凍ってしまうほどの壊れ武器だ。

 

「え、嘘……」

 

 しかし、それに見合うデメリットという物は当然ある。つぶやいたのはエイミーだった。

 

「どうしたの?」

「さっきまで満タンだった私のHPが……ほとんどなくなってる」

「え!?」

 

 彼女とパーティーを組んでいるプレイヤーたちが右上に表示されている彼女のHPバーを確認する。すると、確かに回復していたはずのHPが一気に減少し、雀の涙程度しか残されていないではないか。

 

♪振り返れば 仲間がいて 気が付けば優しく包まれてた♪

「まさか、HPを代償とした攻撃なのか……」

「それじゃ、もし後一射でも彼女が攻撃したら……」

「おそらく」

「そんな……」

 

 確かに強力な攻撃だ。しかしその攻撃の代わりとしてHPという代償があるのであれば、彼女が次に矢を射た瞬間、HPは全消失してしまうという事か。

 これでは、再びの使用なんて望めない。

 

♪なにもかもが歪んだ世界で♪

「つまり、回復してれば問題ないんだよね」

「え?」

 

 わけでもなかった。デメリットがハッキリとしたのならば、対策も容易にできる力でもあると言える。シシーラが言う。

 

♪唯一信じれるここが救いだった♪

「ボクがエイミーにポーションを届ける。他のみんなは、モンスターを」

 

 彼女が回復アイテムを届け、エイミーを回復させる。その間、敵に攻撃してエイミーが回復する時間を確保する役割を他のプレイヤーに任せようというのだ。

 

♪喜びも悲しみも♪

「分かった!」

「お願いします!」

「うん」

 

 その作戦を聞いた彼らは、即断即決。シシーラにそれぞれが持っているポーションを全て渡し、もう一人のプレイヤーと共に出口に向けて走る。その彼女たちに向けてアントニーが群がろうとするが。

 

♪わけあえば強まる想い この声が届くのなら♪

「させるか!」

「フッ!」

「えい!」

 

 ハワードたちが彼女たちの前に出たアントニーにソードスキル、≪バーチカル≫を放つ。アントニーは、もともとHPが減少していたこともあってただの一撃で葬られた。

 そして、≪二人≫は一切のスピードを緩めることなく青白い欠片となったその中を駆ける。信じていたから。彼らなら絶対に、自分たちの進む道を確保してくれるという事を。

 そして、彼女たちが出口に跳んだのを見ると、キッドたちはすぐさま次の行動に出る。

 

♪きっと奇跡はおこせるだろう 交わした約束忘れないよ目を閉じ確かめる 押し寄せた闇振り払って進むよ♪

「よぅし! その間に私たちは!」

「ゲルトルートの気を引く……だね!」

 

 HPがレッドゾーンにまで達したゲルトルートを倒すのであれば、エイミーの一撃以外でもいいはず。しかし、彼女たちはゲルトルートから一定の距離を取ってその攻撃を自分たちの方向に向けることに徹していた。

 もちろん、それは彼女たちが臆病だったからじゃない。無理に戦う必要がないからだ。

 先ほどの攻撃から考えるに、次のエイミーの一撃でゲルトルートの体力は完全に削りきることができる。

そうなれば、罠の仕掛けられているフィールドをわざわざ横切ってゲルトルートに近づき攻撃を当てるよりも、エイミーを待った方がより安全であると判断できるのだ。

 だから、彼女たちは信じた。

 次こそ、エイミーがその攻撃をゲルトルートに当てるという事を。

 シシーラが回復アイテムを届けてくれるという事を。

 そして、彼女が、エイミーのサポートをしてくれるという事を。

 

「はぁぁぁ!!」

「こんのおぉぉ!!」

 

 アントニーたちとキッドたちとの戦いは熾烈を極め始めていた。しかし、勝利への道も確実に出来上がりつつあった。

 

♪どんなに大きな壁があっても超えてみせるからきっと明日信じて祈って♪

「ありがとうシシーラさん!」

「いい、それより早く」

「はい!」

 

 数分後、完全回復したエイミーは、第二射を放つ体制になった。しかし、実際に弓を射るというのはとても大変なことだ。何せ、手振れがひどい。緊張しているからか、同じ姿勢を保つことが辛いからなのか、弓を持つ手に力が入りすぎてうまく照準がつけられない。

 もしかしたら、ゲーム側が手振れを補正してくれるのではないかとも思っていたのだが、どうやらそういう物は一切ないらしく、自力で照準をゲルトルートに、それも遠くにいる敵に合わせなければならないらしい。

 回復アイテムの総量から言って、次の一射が多分最後。絶対に外せない。そう考えると余計に緊張して、手に余計な力が入る。

 この一射に、ここにいるすべてのプレイヤーの運命が握られている。そう考えると、とても恐ろしくて射るつもりにはなれなかった。

 そんな彼女に優しく手を差し伸べるプレイヤーがいた。

 

♪壊れた世界でさまよって私は♪

「落ち着いてください、エイミー」

「セレーネさん……」

 

 セレーネである。

 彼女は、現実の世界では中学時代ーといってもたった一年前の事なのであるがー弓道部に所属していて、その腕前は全国大会優勝クラスの実力者だったのだ。

 今のエイミーにとって、これほど頼もしい指南役はいないだろう。

 

♪引き寄せられるようにたどり着いた 目覚めた心は走り出した 未来を描くため♪

「力を抜いてください。集中して、ただ目の前にある的を見て……大丈夫です。みんなが、貴方のことを応援してくれています。その応援を、力にして……」

「応援を、力に……」

♪難しい道で立ち止まっても 空は きれいな青さで♪

 

 そう考えた時、フッ、と身体が軽くなった気がした。

 

(そっか、私には、仲間がいるんだ。そんな、当たり前のことだったはずなのに、まるで今さっき知ったみたい)

 

 少し前まで、一人ぼっちだった。この世界に、一人取り残されて、寂しくって、焦ってばかりいて。

 でも、今はもう―――。

 

♪いつも待っててくれる だから怖くない♪

「もう、何も……怖くない……」

 

 私は、一人じゃないから。

 

♪もうなにがあっても♪

 希望に光る桃色の弓が、放たれた。

 

♪挫けない♪

『シャアァアァアアアアア!!!!』

 

♪ずっと明日待って♪

タイトル、また変えようと思ってます。今度はシンプルに。でもそんな頻繁に変えていいものかと思ったので、ちょっとアンケートとります。なお、前提としてSAO、あるいはソードアート・オンラインを頭につける事としてます。よろしければお答えください。

  • ヴァルキリーズfeatボーイ
  • プロジェクトSAO
  • アルティメットカオス
  • 無への逃走
  • 肯定あるいは否定
  • フィクションスターズ
  • 〜いろんな著作物から以降はいらない
  • タイトルはそのままでいい
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