SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO 作:牢吏川波実
戦隊、ライダー、プリキュア、なのは勢等々、戦う覚悟完了がそもそも出来てた面子とは違うごく普通の、でも普通じゃない女の子のお話。追い詰められた女の子の、覚悟の物語、開幕です。
私の名前は柊えりか。今を時めくアイドルの一人。このゲームには、顔も全く変えずに入ったアイドルとしてはよくある事。名前も、そのまま≪エリカ≫にして、目立つように動き回った。
それこそこの第一層の始まりの町と呼ばれる場所を上から下まで歩き回ってその顔を広めまくった。裏道を通ったり、わざと人が多い場所にいったりと、それなりに頑張ったつもり。
なのに。なのに。なのに。
「なんで、誰も私に声をかけてこないのよぉ!!!」
彼女、エリカは一人始まりの町の中央部において遺憾の意を唱えていた。
彼女がアイドルの一人、と言うのは間違っていない。現実世界の彼女たちは、本来は双子のアイドル≪エリマリ≫として活動していて、彼女はその姉の方なのだ。
しかし、来る仕事はとても普通のアイドルとは思えないようなバラエティに富んだものばかり、簡単に言えば、彼女は深夜番組やバラエティ番組専門のバラドルとよばれる存在として有名だった。
名前だけは、である。
無論、彼女の事を一定数評価してくれている人たちもいる。同業者の中には彼女の事を尊敬している人間だっている。しかし、彼女も、彼女とアイドルをしている妹も、なんなら事務所ですらも諦めるほどに、トップアイドルと同じ土俵で戦う事なんて無理なほどに売れていなかった。
そんな彼女は、今回のSAOの事を聞いて、その中でならもしかしたら有名になれるのでは。その世界で活躍して、その顔と名前を広めることができるのでは、そう思って必死でSAOとナーヴギアを手に入れた。そして、ログインしてから数時間。
全くと言っていいほど誰にも声をかけられないのは、もはや不憫と言うしかほかはないだろう。
まぁ、考えてみれば当たり前のことだ。キャラクターエディット、つまり容姿を変えることができるこのゲームに置いて、現実の世界と同じ容姿にしたところで、ソレが本人であると分かる人間の方がどうかしている。つまり、彼女の浅はかな考えは最初から破綻していたのである。
「はぁ、これなら家でボイスレッスンしていた方がよかったわ……」
と、ため息をついたエリカ。普通のアイドルなら、そういった物は専用のレッスンスタジオを使ってやる物じゃないのかと思ってしまうのだが、やっぱり彼女色々なところから色物扱いされているが故、そしてあまりアイドルとして売れてないが故に有名なスタジオを借りることができるほど予算がないのだ。
故に、彼女のアイドルレッスンは主に事務所の中、あるいは自分の家で行っている。≪エリマリ≫のもう一人、つまり妹のマリカからはうるさいし近所迷惑だと言われるのだが、借りれない物は仕方がない。というか、同じアイドルのはずなのに少し妹の方がリアリストな一面がある様な気もする。
因みに、その妹の方は今回のSAO事件には巻き込まれることはなかった。本当は誘ってみたし、彼女の方も応募はしていたらしいのだが、外れてしまったらしい。
それが良かったことであるのは、後ほど分かるのだが、しかしこの時の彼女はまだ、このSAOの真の恐ろしさに気が付いてもいなかった。
当然だ。誰が想像できただろう。この未憎悪の大事件を、この身勝手な事件を、この自己中心的な世界に自分が身を置くことなんて、一体誰が想像することができただろう。一体、誰が。
「え……」
それを痛感したのは、それからもう間もなくの事だった。
あの日から、三週間の月日が経った。
「ん……朝、か」
エリカは、とても安い宿の中で一人目を覚ました。あの日の、SAOがデスゲームとなった日の夢を見て。
全く持って、悪夢に近い夢だ。こんなゲームの世界に来てまでそんな夢を見ることになるなんて、はっきしいってそんなリアリティな機能を付けた茅場晶彦に文句の一つも付けたくなる。
まぁ、それを言うならそもそもこの国民的なゲームになるはずのSAOをデスゲームにしたこと自体に文句をつけたいところなのだが。
このゲームがデスゲームと化した日、彼女の生活は大きく変わった。いや、変わらざるを得なかった。
分かっていたから。自分が売れないアイドルであるという事を。知っていたから。自分がもう、アイドルとして生活できないという事を。
SAOプロジェクトに参加していたため、当然プレイしていると思われる他のトップアイドル。765プロの天海春香とか、プリキュアの剣崎真琴とかはまだ、何年かかってこのゲームがクリアしても、芸能界に居場所があるだろう。
でも、自分はそうはいかない。前述した通り自分は売れないアイドル。現実に戻ったところで、自分の、芸能界の椅子なんて残されてはいない。魑魅魍魎蔓延る芸能界において、自分と似たタイプの芸能人が生まれることなんて容易に想像できるから。
そう、自分はいわば使い捨ての駒に過ぎないのだ。バラエティ番組にしても、アイドルの世界においても。だから、クリアして現実に帰ったところで仕方がない。自分のいる場所なんて、どこにもないのだから。
だったら、どうするか。投身自殺? そんなの嫌だ。
あらがってあらがってあらがってやる。そして、茅場晶彦に、自分をこんな境遇にしたあのキザな男に泡をふかしてやる。せめて、それだけはしたいと、彼女は願っていた。
だから彼女は戦っていた。ずっと、フィールドに出て、モンスターを狩り続けてレベルアップをし続けていた。そして、いつしか彼女は強くなっていた。
雑草魂、と言うのだろう。彼女には確かに根性があった。そして、彼女には確かに、夢があった。トップアイドルになる夢が。あの、≪まゆりん≫と同じようにトップアイドルとして、大きなホールで歌を歌って、踊って、皆から歓声を貰う、そんな夢。
でも、全部壊されてしまった。茅場晶彦の自己中によって。茅場晶彦の悪意によって、自分の明るかったであろう未来予想図が塗りつぶされてしまったのだ。
許せない。そんな怒りが、今の彼女を突き動かしていたのだ。自分がSAOプロジェクトに参加していなかったことが原因か、それとも皆興味ない事が原因か、幸いにも自分がフィールドや町に繰り出したところで声をかけてくる人間なんて皆無だった。だから、彼女は比較的自由に動けたと言ってもいいだろう。
それが、他のアイドルよりも勝っていた原因。皮肉な物である。現実世界では追いつくことすらできなかった彼女たちに、この世界では追いつくことができるなんて、追い越すことができるなんて、何て、皮肉な話なのだろう。
そう考えながら歩いていた、その時だった。
「あら? あなた……もしかしてエリカ?」
「え?」
今、自分の名前を呼ばれた。この世界で、初めて、名前を、呼んでもらった。それが嬉しかったのかもしれない。
「は~い! 私、エリマリのエリカで……す……」
なんて、ファンサービスして振り向いた瞬間だった。彼女は固まってしまった。なぜならば、そこにいたのは。
「げ……アンタ……」
いわゆる同業者であったから、いろんな意味で。
「この世界に来てまで……何してんのよ‥…」
「な、なんでアンタが……いるの……」
と、エリカが驚愕した相手は、同じくアイドルをしている女性の。
「一条らんこ!」
であった。
ある種同じ匂いのしている二人が出会った瞬間である。
プレイヤー№ 101 柊えりか(エリカ【erika】)≪原作:奥さまはアイドル≫
タイトル、また変えようと思ってます。今度はシンプルに。でもそんな頻繁に変えていいものかと思ったので、ちょっとアンケートとります。なお、前提としてSAO、あるいはソードアート・オンラインを頭につける事としてます。よろしければお答えください。
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ヴァルキリーズfeatボーイ
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プロジェクトSAO
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アルティメットカオス
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無への逃走
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肯定あるいは否定
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フィクションスターズ
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〜いろんな著作物から以降はいらない
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タイトルはそのままでいい