SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO   作:牢吏川波実

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 すみません。この第二章外伝、さっき全部の話を書き終えたんですけどね、一言謝らせて。
 長くなってすみません。


メインシナリオ外伝 第二章 第6話

 彼らが、SAOの中に閉じ込められた。その第一報を聞いたとき、小夜は自分の働いている病院に彼らを連れてこようとした。

 でも、距離的にも自分の病院に彼らを連れて来ることは現実的とは言えず、最も彼らの家から近いのがこの聖都大学附属病院であった。

 彼らの命を救う確率を少しでも上げるため、彼女は彼らをこの病院に託すことにした。

 いや、託す、という言葉は語弊があるのかもしれない。なぜなら、彼らは自分の家族でもなんでもないのだから。

 でも、家族以上に仲のいい、友達、いや戦友。それが、彼らだった。

 だから、お見舞いも本当はもっと早くに来たかった。でも、彼女の所属している病院でもSAO被害者を数名見なければならなくて、その対応に奔走し、様々な情報を他の病院の医師たちと共有して。有給なんてものを取れる状況じゃなかった。

 けど、あの日から一週間。ようやく今日、彼らを見舞うチャンスがやってきたのだ。

 ただ、その日まで彼らが生き残ってくれていた。そのことに安堵しながら。

 

「充瑠君、久しぶり。それに、為くんに、柿原さんも……」

 

 と、小夜は特別室の中で眠りにつく三人の男女に向けて声をかけた。

 医療従事者として、そしてスーパードクターとしての彼女には分かる。完璧な処置が施されている。まるで、ICUに入院している患者と同じくらいに厳重な管理体制に置かれている彼ら。

 だが、それもそうだろう。なぜなら今彼らはいわゆる植物人間、俗にいう脳死の状態とほとんど変わらないのだから。

 実際には脳は生きている。でも、その脳から身体中に伝えられるはずだった情報が、ナーヴギアという装置によって遮られている。

 機械的なことに関してはよくわからない。だが、生理学から考えるととても理にかなった状態だ。

 それがある意味では、腹立たしいともいえるのかもしれないが。

 

『おい、ここから早く出してくれ!』

 

 と、その時だ。小夜の持っている鞄が大きく揺さぶられ、中から男性の声が聞こえてきた。

 

「え、今の声って……」

 

 明日那は、突然の物言わぬ鞄の奇行に少しだけ驚くと同時に、不思議な顔を浮かべた。

 携帯のバイブ音にしては少し大げさだし。それに彼女も医療従事者。病院の中で携帯電話を使用してはならないというのはよく知っているはずだ。

 なら、今の声はいったい。

 そう、明日那が思案している時だった。小夜が、まるで寺の小坊主の様な笑みを浮かべて鞄のフタを取る。すると。

 

『充瑠……おい、充瑠! 聞こえるか! 返事をしてくれ!』

『タメトモぉ~なんて姿になってしまったんじゃ……ワシは、今とてつもなく悲しいぞぉ……』

 

 と、二つの宝石。真っ赤な宝石と黄色い宝石が鞄の中から飛び出した。

 とてもきれいな宝石で、透いたクリスタルのような透明度を誇っているその宝石たち。

 しかしもっとも奇妙なことと言えば、その大きさだろう。

 普通の宝石というのは、ブレスレットや指輪サイズの、いわゆる手で握りしめることができるくらいの大きさでしかない。

 しかし、その二つの宝石は、どう見ても女性の掌よりもひときわ大きい。特に、赤い宝石は黄色い宝石よりもやや大きく見える。

 そんな綺麗で、大きくて、そして美しい宝石。

 いや、というよりもだ。そもそも意思があるかのようにしゃべる石なんて、本来この地球にはあるはずがない。もしあったとしたら、途方もない金額がつけられているはずだから。

 そう、彼らは普通の宝石では、地球の宝石ではなかった。

 

「もしかして、この宝石たちって……」

「うん、キラメイストーン……私たちキラメイジャーのパートナーで、充瑠君の相棒だった、ファイヤと、為くんのパートナーだったショベローよ」

 

 キラメイストーン。それは、地球よりも遥か遠い場所に存在している。宝石の国、『クリスタリア』に生息している意思を持った宝石である。

 それと同時に、大治小夜も、ただの一般人などではない。彼女は、そのキラメイストーンに選ばれた戦士。

 史上四十五組目のスーパー戦隊。魔進戦隊キラメイジャーのキラメイピンクであると同時に、現在進行形で、『この世界で』最後に活躍したスーパー戦隊でもある。

 かつて、闇の帝国ヨドンヘイムが多くの星々を侵略していた。ヨドンヘイムは美しい物や、希望、輝きを忌み嫌うヨドン皇帝によって支配されている世界。

 草木が枯れ、異臭漂う暗黒の地、ヨドンヘイム。彼らは、闇を崇拝し、他の国や星を邪悪な力を使用して≪よどませる≫。その標的の中に、キラメイストーンの故郷でもあるクリスタリアも含まれていた。

 ヨドンヘイムの猛攻、そして王の弟の背信行為によってクリスタリアは滅亡、キラメイストーンはその国のお姫様と共に地球へと逃亡した。

 一方で、ヨドンヘイムもまた、次なる侵略先を地球へと見定め、侵略行為を開始、地球はヨドンヘイムの物になる。はずだった。

 しかし、地球には救世主がいたのだ。それが、キラメイストーンに選ばれし、五人の若者だった。

 彼らは、魔進戦隊キラメイジャーとなり、ヨドンヘイムからの使者を次々と倒し、最後にはヨドンヘイムを収める王。ヨドン皇帝を倒し、地球の平和を、そしてクリスタリアの復興を成し遂げ、更にはヨドンヘイムの者たちとも和解を果たすという快挙を成し遂げた。

 その後、キラメイストーンは地球に亡命してきた姫や、六人目の仲間であり、姫の義兄ともいえる人物とともにクリスタリアに帰還。

 地球とクリスタリアの間はかなりの距離が離れているため、なかなか会うことはできない。はずだったのだが。

 

『くそっ、なんでこんなことになっちまったんだよ……』

『せっかくクリスタリアとこの地球を簡単に行き来できる方法が見つかったというのにのう……』

 

 と、魔進ショベローが残念そうに言った。

 そう、実は彼らが地球から離れて一年。この地球と彼らの住むクリスタリアとの間を自由に行き来する方法、つまりワープする方法が確立されたのだ。

 これにより、いつでも自由に相棒の充瑠たちと会うことができると、そう喜んでいた魔進ファイヤたちキラメイストーン。

 しかし、まさか充瑠たちがこんなことになっているなんて、思ってもみなかった。

 なお、彼らが呼びかけた通りに、黄色い宝石魔進ショベローの相棒は射水為朝。魔進ファイヤの相棒は熱田充瑠。それぞれ、キラメイエローとキラメイレッドに変身する戦士だった。

 では、彼らとともに眠っているもう一人の女性、柿原瑞希はキラメイジャーとは何ら関係のない人物なのかと問われれば実は違う。

 彼女は、キラメイレッドの、熱田充瑠の彼女である。

 といっても、最初はそんな関係じゃなかった。ただのクラスメイト、いやむしろ険悪な関係だったと言っても過言ではないだろう。

 しかし、彼女も、ヨドンヘイム関連で何度もその被害にあって、時には命の危機にまで至る時があった。その中で、命を懸けて悪と戦う熱田充瑠の姿と、その純粋さ、その結果気が付かされた自分自身の本当の魅力などなどいろいろなことが重なって、戦いが終わった後に交際が始まったのだ。

 まさか彼女まで事件に巻き込まれるなんて、キラメイジャーの面々は特に戦った経験のほとんどない一般人の柿原のことを一番心配しているそうだ。

 

『茅場晶彦のやろう、俺が探し出してとっ捕まえてやる!』

『おぉそうじゃ! それがいい! すぐに探しに向かうぞ!』

「無茶言わないで。警察がこの一週間ずっと探しっぱなしで見つけられていないんだから」

 

 と、明日那は今すぐにでも飛び出しそうな宝石二体に対してそう言った。

 事件発生からすでに一週間と少し。警察にも特別捜査本部が創設され、日本全国あらゆる場所への包囲網を敷いていた。

 にもかかわらず、茅場晶彦の居場所は依然として知られることはない。

 彼が立ち寄りそうな関連場所、関連人物、全てを回ってみたのだが何の手がかりもない。

 そう、かつてある事件において知り合ったとある刑事から、明日那は聞かされていたのだ。

 

『なら、探し方が悪かったに違いねぇ! 俺が隅から隅へと……』

 

 と、その名前の如く炎のような勢いで飛び出しそうだった魔進ファイヤ。だが、その直前だった。

 

「……」

 

 病院の廊下を反響する足音が聞こえて来たのは。

 しかも、それは徐々に大きくなってきている。間違いない、こっちに向かってきているのだ。

 

「誰か来た。隠れて!」

『わ、とと……』

 

 さすがにキラメイストーンの存在を一般人に知られるわけにはいかない。小夜は急いで二体を鞄の中に押し込めた。

 それと、ほとんど同時だったのかもしれない。

 

「……」

 

 黒髪、ツインテールの女の子が、その場に現れたのは。

 中野梓、である。彼女は、明日那と小夜に小さくお辞儀をすると、強化ガラスの向こうにいる彼女たちに言う。

 

「先輩……憂。今日も来ましたよ……私……」

 

 とても、痛々しい姿だ。どうも精神的に病んでしまっているよう。

 つぶやきを聞くに、おそらく学校の先輩や友人がSAOの中に閉じ込められてしまったようだ。

 だからなのだろう。とても強いストレスがかかって、少女の頬が少し痩せこけているように見えるのは。

 

「確か、中野梓さん。でしたよね」

 

 明日那は、そんな彼女に声をかけた。

 梓は、少しだけの沈黙の後、強化ガラスから目を背けることなく言う。

 

「……はい。看護師さん……みんなの様子は?」

「ずっと、眠ったまま……まるで、夢を見ているみたいに……」

「夢、ですか……」

 

 何とかして、彼女を安心させる言葉を模索していた明日那。

 しかし、プレイしていない人間であり、見守っていることしかできないのは自分たちもまた同じだ。

 だから、ただ、苦しんでいる様子はないと、そう伝えられれば良かった。

 けど。

 

「私も、夢を見るんです。あの日の悪夢を」

「え……」

 

 もしかしたら、それは藪蛇であったのかもしれない。

 梓は、手に持った花束を握りしめながら、口から絞り出すように言う。

 

「先輩たちが、憂がSAOの中に閉じ込められて、必死に私に助けを求めてくる。そんな姿が、あの日から毎日夢に見るんです。毎日、毎日、毎日……」

 

 というと、彼女は強化ガラスにゆっくりと掌を置いた。まるで、その向こうにいる自分に向けて問いかけるように呟いた。

 

「どうして、先輩たちだったんですか。どうして、憂だったんですか。どうして、私じゃなかったんですか?」

 

 もうすぐ卒業も目前で、受験があって、卒業式があって、そして大学があって。そんな普遍的な彼女たちの生活があったはずなのに、どうしてそれを、こんなゲームごときが奪ったのだろう。

 彼女は、怒りに手を震わせながら拳を作る。

 

「本当だったら、私があの世界に行っているはずだったのに、どうして……おいて行ったんですか……先輩……私も、連れて行ってくださいよ……」

「梓さん……」

 

 SAOから逃れることができた者たち。しかし、その全員が幸運であるとは思ってもいなかった。

 むしろ、不幸だとすら思っていた。

 だって、自分たちはそのために大切な人を失い、そして、その罪悪感に一生悩まされることになるのだから。

 彼女の心は間違いなく、ヨドンでいた。チューニングを全くしていない、オーケストラの演奏のように。

 ぐわん、ぐわん、と、不快な音楽をかき鳴らすだけ。

 

「え?」

 

 そんな彼女に、届いた一筋の光。

 

「どうしたの?」

 

 今、かすかに聞こえた。幻聴か、いや違う。確かに今、自分は耳にした。耳にしているのだ。

 その音を、自分がここ最近弾いていない、あの音色を。

 少し弱い、でもとても心地のいい、心を解きほぐすような音を。

 

「聞こえる……ギターの音……」

 

 気が付けば、彼女は走り出していた。

 希望の音楽に向かって。




そう言えば忘れてたことが一つ。
魔進戦隊キラメイジャー
           参戦

タイトル、また変えようと思ってます。今度はシンプルに。でもそんな頻繁に変えていいものかと思ったので、ちょっとアンケートとります。なお、前提としてSAO、あるいはソードアート・オンラインを頭につける事としてます。よろしければお答えください。

  • ヴァルキリーズfeatボーイ
  • プロジェクトSAO
  • アルティメットカオス
  • 無への逃走
  • 肯定あるいは否定
  • フィクションスターズ
  • 〜いろんな著作物から以降はいらない
  • タイトルはそのままでいい
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