SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO   作:牢吏川波実

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メインシナリオ外伝 第二章 第29話

 バグスターユニオンが人のような形に姿を変える。コレこそ、ゲーム病、バグスターウイルス感染症の手術の第二段階、バグスターという一体の怪人と、その戦闘員へと分裂する状態だ。

 そもそも、バグスターユニオンというもの自体が、無数のバグスターウイルスと結合した状態であるので、もしソレを癌であると仮定すれば、それが縮小して今の姿になった、と言っても過言ではないのかもしれない。

 

「やはりドレミファビートのバグスターか……しかし!」

 

 先ほど、画面を通してわかっていたことではあるが、やはり、中野梓に感染していたバグスターの正体は、ドレミファビート。そして、生まれた怪人はそのドレミファビートのデータを取り込んだ個体であるバグスターだ。

 だが、その姿は通常のバグスターとは違っているように見える。何度も言うことであるが、彼らゲーム病の専門医である仮面ライダーたちは、コレまで幾度となくバグスターと戦ってきた。

 しかしだ。今までとは何かが違うのだ。

 そう感じた時だった。

 

≪ウオォォォォォォ!!!≫

「なッ!」

 

 さらに、バグスターが咆哮し、その身体を茶色のバグスターウイルスが覆った。グニャグニャと蠢くその姿は、まるで芋虫が身体を這いずり回っているような、そんな印象を彼らに与えた。

 そして、その中から出てきたのは―――。

 

「え……」

「あれって」

「私!?」

 

 驚くべきことに、そこに現れたのは先ほどまでの怪人態のバグスターではない。完全体となり、人間の姿になることができた場合にのみ出現するバグスター、つまり仮野明日那の本来の姿、ポッピーピポパポその物だったのだ。

 違うところと言えば、ピンク髪だったソレが、真っ黒な黒髪に代わっていたり、唇を黒色のルージュで染めていること。あとは服がややゴシック系になっていることだろうか。けど、元々のポッピーピポパポの服装も少しポップな変わったところがあったことからあまりそこは気にならない。

 そして、その黒髪のポッピーピポパポが所持していた物。それは―――。

 

「あれは、なんだ!?」

 

 円形の形をした、禍々しい物体。黒髪のポッピーピポパポは、それを起動する。

 

≪ポッピー≫

 

 そして、ソレを自分の胸元に入れ込んだではないか。違う。今までのバグスターと、全く違う、常識が全く通用しなくなった怪物が目の前にいる。

 ポッピーピポパポ、仮野明日那のような完全体バグスターと言う物は。本来バグスターの感染者が消滅してしまったときにのみ変体するはずの姿。むろん、梓はまだ消滅しきっていない。それなのに、どうして人間態のバグスターとして変化したのか。

 

「なるほどな。あれがワクチンに拮抗した、変異バグスターってことか」

「何?」

 

 スナイプの言った言葉に動揺を隠せない飛彩。確かに、最近ワクチンと拮抗するウイルスの突然変異体が時折現れ始めているとは、衛生省からの報告で上がってきていた。

 コレまでは、発症直前まではいくものの、実際にバグスターとして顕在したことがなかったから見たことはなかったが、まさか、あれがそうなのか。

 いやしかし、だとしてもだ。

 

「なぜあれがそうだと断言できる」

 

 どうして、そのバグスターがワクチン拮抗型であると判断できたのか。飛彩は疑問を呈さずにはいられなかった。

 が、大我はその問いに返答することはない。

 

「そんなことより、今はバグスターを排除することが先決じゃないのか?」

「っ!」

 

 飛彩は屈辱的な思いを感じた。確かに大我の言う通りだったから。今自分やらなければならないのは大我が敵の正体を知っていた理由を問いただすことではない。

 患者からバグスターを切除し、完璧にオペを終わらせること。そのためには、目の前のバグスターを排除しなければならないのだ。押し問答を繰り広げている暇なんて、さらさらない。

 

「後で理由を聞かせてもらう。術式レベル2!」

「第二戦術!」

 

 二人はこれまた同時にゲーマドライバーのレバーを開いた。

 

『『ガッチャーン! レベルアップ!!』』

 

 ゲーマドライバーのレバーを引いた直後中央部に現れた小窓から彼らの等身大画面が出現し、それが二人の身体を包み込んだ。

 

『タドルメグル! タドルメグル! タドルクエスト!』

『ババンバン! ババンバン! (イェア!)バンバンシューティング!』

 

 次の瞬間、現れたのはそれまでの仮面ライダーとは思えないような風貌のデフォルメされた二頭身サイズの姿ではなく、長身でスラっとした他の仮面ライダー達のような大きさの姿となった。

 これが、バグスター達との戦闘における第二形態、仮面ライダーブレイブおよびスナイプの第二の姿なのである。

 彼らは、これをゲームに準えてレベル2と呼称しており、この姿になることによってさらに使える力が増えるのだ。であるのならば、最初からこの姿で戦いをすればいいのではないかと思うのかもしれないが、バグスターユニオンを発症者から切除するのはレベル1でなければできない。

 故に、コレまでは力を自由に使うことができなかったのだが、バグスターユニオンから中野梓を切除することに成功した今、これで晴れて自由に力を行使することができる。

 

≪ウオォォォ……≫

 

 そして、バグスターの方も変身を完了させたようだ。その姿、仮面ライダーポッピーによく似ている。だが、ところどころ禍々しいイタクが入っていて、さしずめ、≪アナザーポッピー≫と呼称しようか。それくらいに違う怪物が、目の前に立っていた。

 

「「ハァァァァ!!!!」

 

 二人は再びそれぞれの得物を手に取るとバグスターの群れに向かって走っていった。

 その瞬間だった。

 

≪♩≫≪♫≫≪♩≫

 

 アナザーポッピーは、両肩にある、本来はコラボスバグスターというバグスターが装着していたはずのコラボサウンダーから無数の音符を、彼ら二人に対して放った。

 

「その技はすでに見切っている!」

 

 ブレイブには自信があった。なぜなら、彼は以前同じ攻撃に対しての攻略法を編み出していたから。いや、実際に編み出していたのは今はSAOの世界にとじこめられている仮面ライダーエグゼイドこと宝生永夢であるのだが。

 ともかく、その音符は一度二度触れても問題はないのだ。これは、バグスターの元になったゲーム、ドレミファビートがそもそも音ゲーであることが由来となっている。つまり、音ゲーと同じようにリズムよく音符を叩いたり壊したりすれば、たとえ攻撃を受けたとしても無傷で済むことができるのである。

 以前戦った時は、飛彩がそもそも音ゲーにあまり詳しくなかったためその攻撃を全て素通りさせてしまって大ダメージを負ったことがあった。しかし、あれから数年が経ち、音ゲーというジャンルにも―そもそもドレミファビートのバグスターであるポッピーピポパポがそばにいると言うのもあるのだが―造詣が深くなっていた。故に、その攻撃、いやその音符への対処は簡単にできる。そう考えていた。

 だが、彼は失念していた。手術において最もしてはならないことがなんであるのか。それは、慢心。

 彼は、その慢心によって、してはならないミスをしてしまうのだ。

 

「フッ!」

 

 ブレイブが、音符の一つに触れた瞬間だった。

 

「何!」

 

 音符は突如として膨張し、巨大な爆発を起こしたのだ。

 

「ぐあァァァ!!」

 

 その爆発は、ブレイブの身体を大きく吹き飛ばし、砂利と石のつぶで構成された地面の上を転がっていく。

 

「鏡先生!」

「どうして!? ちゃんとリズムに合わせて音符にも触れてたのに!?」

「それが突然変異ってことだろ! ハァッ!」

 

 驚く明日那たちをよそに、スナイプはバグスターから放たれた音符を遠くから狙撃して破壊していく。その度に大きな爆発が起き、目の前が明るく照らされる。

 忘れているものもいるかもしれないが、今は深夜を深く回った頃、あたりはすでに真っ暗闇であり、光源は空からてらされている月光のみ。その中で突然発生した大きな光を目に受ければどうなるだろうか。

 

「くっ!」

 

 一瞬だけ、目が眩んだ。その隙を逃さず、戦闘員扱いの真っ黒な身体を持ったバグスターウイルス達が、スナイプにナイフを持って近づいていくる。

 

「舐めるな!」

 

 スナイプは、当然ソレらのバグスターを一掃するためにガシャコンマグナムを連射した。その全てが、確実にバグスターウイルスに当たった。

 

≪miss!≫

≪miss!≫

≪miss!≫

 

 はずだった。

 

「なに!?」

 

 しかし、通常であればその程度の攻撃で倒れるはずのバグスターウイルスたちは、まるで何事もなかったかのようにスナイプに近づき、そのナイフを彼に突き立てにかかる。

 

「チッ!! ゲンムみてぇな奴らだ!」

 

 と、愚痴りながらも、彼は近づいてくるバグスターウイルスを銃で殴る、という本来の使い方からあまりにもかけ離れた方法での戦いを余儀なくされる。

 ちなみに、ゲンムというのは彼らにとっては敵であったり仲間であったりした仮面ライダーのことだ。まぁ、敵であることの方が多かったし、最後も敵として死んでいったのだが、そのゲンムもまた、一時期何度倒されても復活するというまさにゾンビと呼称してもいいような状態になったことがある。彼は、それを思い出していたのだ。

 

「くっ! グアっ!」

 

 ともかく、そんなゾンビのような敵が何十体も群がると、さしものスナイプでもジリ貧になってしまう。胸に攻撃を受け、火花を散らしながら吹き飛ばされたスナイプ。

 このままやられっぱなしになるのか、そう考えながらバグスターウイルスの顔を見た大我。その時だ。何か、違和感を感じ取った。暗闇の中では感じ取ることがなかった違和感。

 

「色が……違う、だと?」

 

 本来、バグスターウイルスの戦闘員の頭はオレンジ色のはず。だから、自分もそれまでと同じようにそのバグスターウイルスの頭がオレンジ色であると錯覚していた。

 しかし、爆発が起こって辺りが照らされている今ならわかる。そのバグスターウイルス達の頭部が全く違う物となっていることに。

 これは、一体。

 そんなことを考えている間に、バグスターウイルス達はスナイプを殺してしまおうとナイフを突き立てようとしていた。

 

「花家先生!」

「あ、小夜さん!」

 

 あっけなく倒されていく二人の姿を見て、ついに我慢の限界に達した小夜は、岩場の陰から飛び出す。そして―――。

 

≪キラメーイ! GO!≫

「キラメイチェンジ!」

 

 左腕に装着しているキラメイチェンジャーに付属している赤いアイコンに触れ、側面に付属しているタイヤを回転させた。すると、小夜のからだに綺麗な宝石のような煌めきがまとわりつき、魔進戦隊キラメイジャー、キラメイピンクとなった。

 なお、本来であればこの過程の中には色々な音声が付属しているのだが、事今回に関しては緊急的な変身であるためか全ての過程をすっ飛ばす結果になってしまった。

 

「ハァァァァァァァァァ!!!」

 

 キラメイピンクは、戦隊特有である名乗りもすることなく、その手に銃、キラメイショットを持ち、コイン型の銃弾を放ちながらバグスター達の元に向かった。

 彼女も救いたかったのかもしれない。心だけじゃない、彼女自身を、中野梓自身を。自分では、バグスターウイルス感染症に対して歯が立たないことはわかっている。しかし、仮面ライダースナイプが倒されそうになっている姿を黙ってみてられるわけがないだろう。

 だが。

 

≪miss!≫

≪miss!≫

≪miss!≫

≪ウオォォォォォォォォ!!!!!≫

「まずい!」

「くそ!!」

「ッ!?」

 

 結果的に、その行動は意味のない物となってしまう。

 その瞬間、巨大な力を持った爆発が、辺り一面を襲ったのだった。

タイトル、また変えようと思ってます。今度はシンプルに。でもそんな頻繁に変えていいものかと思ったので、ちょっとアンケートとります。なお、前提としてSAO、あるいはソードアート・オンラインを頭につける事としてます。よろしければお答えください。

  • ヴァルキリーズfeatボーイ
  • プロジェクトSAO
  • アルティメットカオス
  • 無への逃走
  • 肯定あるいは否定
  • フィクションスターズ
  • 〜いろんな著作物から以降はいらない
  • タイトルはそのままでいい
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