SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO 作:牢吏川波実
理由としてはシンプルに、そもそも女性キャラは確かに多めだけど男性陣は普通に出てくるからタイトル詐欺していたから。
実のところ最初の目論見では男性キャラはキリト、.hackのカイト、生徒会役員共のタカトシ他数名の参戦だけだった。その名残りでつけてたタイトルだったのですか、想定以上に男性陣も出てきたのでもうタイトル変えようと決断しました。
で、5秒くらいでこのタイトルを考えました。100文字制限ギリギリで、この小説を端的に表したタイトルです。
まぁとにもかくにも、この闇鍋の味、どうかご賞味下さい。
どうして、そんなことをしたのか。そう、親友に問いただしたくなるような事件が発生してから一夜、しかし自分や彼女の知り合いたちにとってはそれよりもはるかに長い時間が流れているような気がした。
知っていたはずなのに。鈴木純は、彼女の苦しみを、知っていたのに。理解していたはずなのに、自分は、自分たちは彼女を止められなかった。
彼女の中に芽生えた悪魔を止めることができなかった。
彼女は、おそらく人生で最も後悔していた。
最初に己にその電話がかかってきた時。それは、深夜も回った時刻だった。けど、その日のあの特別室での光景が目に焼き付いてしまって、眠るに眠れなくて、ベッドの中でもがき苦しんでいた。
当たり前だ。あんな光景を見たら、誰だってそうなる。あの、人が死にかける光景を見れば。どんな豪胆な人間だって顔をしかめる。
彼女は思い出していた。あの時のアラーム音。けたたましくなって、目の前にいた男性の頭から煙が出始めて、目の前が真っ白になって。その後の事は全く覚えておらず、気が付いたら家に帰っていた。
もう、あんな光景見たくない。意識がはっきりとした彼女に飛来したのは、そんな感情だった。
けど、もしかしたら、そう、本当に、もしかしたら自分はその光景をもう一度見ることになるのかもしれない。
親友の、憂の死をもって。
分かっている。彼女がどれだけ賢いのかを。彼女が、どれだけ優秀で、無謀なことには挑まない冷静な判断ができる、最高の友達であるという事を。
でも、それでも、ゲームの世界を覗き見ることができない外にいる自分たちには、今の彼女が本当はどんな状況なのかを伺い知ることもない。
そんな状態で、もし、彼女の見舞いに行って、あの光景を見ることになったら。
もしも、あの男性のように、ひどい死に方をしてしまったら。
そう考えると、睡魔なんてもの襲ってくるはずがなかった。
だから、そう、だから自分は知っていたはずなのだ。
他に≪四人≫もの大切な人間を囚われてしまっている。中野梓の苦しみを。自分の親友が、どれだけ苦しんでいるのか。分かっていたはず。
けど、まさかあんな凶行に出るなんて、誰も思わないじゃないか。
誰も、彼女が、友達を殺そうとするなんて、大胆な事するなんて。
その連絡を受けた時、自分は、すぐに聖都大学附属病院に向かった。そして見たのは、さらに増えた心配の種。
バグスターウイルス感染症。通称、ゲーム病に罹患し、苦しんでいる梓が、そこにはいた。
なんでも、元々梓はウイルスの保因者であったらしく、今回の一件がストレスとなって、発病してしまったらしい。
それを聞いた純は、今思い出しても驚くしかない、胸の奥がスカッとする気持ちになった。
何故か、それは、梓が罰を受けたことを嬉しく思っていたからなのか。自分の親友を殺そうとした報いを受けている姿を見て、笑みを浮かべてしまったのか。
なんにしても、自分はもう、梓に合わせる顔はない。
彼女の不幸を喜んでしまったその時から、自分は、彼女の親友であるという役割を失ってしまったのだ。
「純、どうしたの?」
「……」
そんな彼女に声をかけたのは、岩沢である。
先も言った通り、この日は、件の事件の次の日、いや零の帳を過ぎた後だからその日中だったか。特別室にいる憂や、CRにて隔離中の梓のところに行くでもなく、純がやってきたのは岩沢雅美の病室だった。
書くまでもないことであるが、純と岩沢には接点なんてものまるでない。純がこの病院に来たのは昨日が初めてだったし、その前に面識なんてものはなかったから。その初めてやってきた日に、SAOプレイヤーの死に巡り合うというハードラックっぷりは恐ろしい物である。
とにかく、そんな二人が何故出会っているのか。それは、今彼女の隣にいる女性が発端だった。
「岩沢さん。頼まれた物。持ってきました」
「ありがとう、小夜さん。それから……」
「真咲なつめ。なつめでいいよ」
といって、岩沢にDVDと小型のプレーヤーを手渡したのは、昨日の一件で知り合った―といってもその時の記憶はほとんどないわけだが―小夜となつめという女性。
本当は、梓のお見舞いに来たはずだった。でも、どうしても彼女のところに前述の理由があって足が向かなかった純を見つけ、この場所に連れてきてくれたのが、二人の女性。
どうやら、小夜は自分の知り合いをSAOに囚われるという自分たちと同じ境遇であるらしく、この病院にて眠りについている知り合いたちを見舞った時に梓と、そして目の前の岩沢と知り合ったらしい。
そして、自分が梓のお見舞いに行くのを躊躇しているという旨の話をすると、その手をとられ、あれよあれよというまにこの場所に連れてこられてしまった。
それにしても、この病室はなんだ。
壁を見る限り防音壁で囲まれていて、床には所狭しと歌詞や楽譜の書かれた紙がばらまかれていて、正直足の踏み場もない。
それに、岩沢の顔もひどいものだ。いや、容姿自体は正直いって自分よりもきれいな物であると思える。でも、そんな端麗な顔立ちを持っていても、目元にできたクマを無視することなんてできないい。
目の下にある黒い一本の筋。まるで地平線のように深く、そして濃いその線が、彼女の綺麗な顔立ちを台無しにしていると言っても過言ではない。
まるで、今にも死に向かって走っている音楽家のようだ。
そんな岩沢は、少しおぼろげな手でDVDをプレーヤーの中に入れると、再生した。どうやら、小夜が彼女に渡したプレーヤーは少しだけ古い型の物だったらしく、再生には時間がかかるようだ。
「梓の事……」
「!」
純は、心臓が張り裂けそうなほどに驚いた。
「看護師の明日那さんから聞いた……昨日、≪私の≫音楽を聞いた後に……」
「私の……音楽?」
純は聞いた。昨日、梓があの特別室に来る直前に彼女の病室に来ていたという事を。
彼女は、シンガーソングライターを目指していて、ギターでの弾き語りをしているという事を。
自分が、仲間たちが閉じ込められて気落ちしている梓を元気づけるために、曲を作ると約束をしたという事。
そして、昨日、自分が彼女に、作詞作曲した音楽を聞かせたという事。
さらには、その時梓に罵声を浴びせられたという事も。
「……」
純は、信じられない気持ちだった。
何がと言うと、梓が彼女に向けて罵声を浴びせたという事がだ、あの温厚な梓が、めったに起こることのないはずの梓が、そんな行動に出るなんて。
きっともう、その時には心が壊れかけていたのだ。そう、つまりその後自分たちが出会った時にも。
「なんで、梓を放っておいたんだろう……」
「……」
「梓はずっと苦しんでた。先輩たちがSAOに閉じ込められて、自分のせいで憂がSAOをプレイしたってことに、ずっとずっと苦しんでた。それを知ってたのに……なんで、私は……」
刹那、純の目から大粒の涙がこぼれ始める。もし自分がもっと梓のことを気遣っていれば、もっと梓と一緒に居れば、もっと梓とお見舞いについてあげていれば。
少しでも、彼女の心を癒すことができれば、こんな事件、起こらなかったはずなのに。何故、自分は彼女のことを放っておいたのだ。純は、ひたすら後悔するしかなかった。
「信じていたから、じゃないのかな?」
「え?」
そう言ったのは、なつめだった。そして、イヤホンで自分の世界に入り込んだ岩沢に代わるように、彼女は言った。
「純ちゃんは、梓ちゃんがきっと立ち直るんだって、信じていたから、何も声を駆けなかったんじゃないのかなって、そう思った」
「……そうかも、でも……結局はダメだった……」
もしそうだったとしても、結局梓は立ち直ることなんてなかった。自分が、大きな過ちを犯したことに変わりはないのだ。
「ダメじゃない……」
「え?」
「まだ、ダメじゃない」
というのは、小夜である。
「まだ、貴方にも、梓さんにも、立ち直るチャンスがある。やり直せるチャンスがある。だから、ダメじゃない」
「聞いたでしょ? 梓ちゃんは罪には問われないって」
確かに聞いた。彼女のやったことは全て不能犯ということでお咎めなし。罪には問われないのだと。
「でも、梓が憂たちを殺そうとしたことや、私が……梓の姿をみて喜んだことは、何も、変わらない……」
そう。彼女が自分の親友たちを、先輩たちを殺そうとしたこと。そして、彼女がゲーム病になったことを自分が喜んだのは、間違いのないことだ。
「違うな」
「え?」
と、言いながら入ってきたのは、先日、あの特別室の前で出会ったゲーム病専門医の、花家大我である。
大我は、床に散らばっている紙に目もくれずに純の前に立って言った。
「お前が喜んだのは、友達が苦しんでいるからじゃない。友達が、罪に問われないと知ったからだ」
「え?」
「うん。私も見てた、純さんが笑ったのは、梓さんの罪について照井さんたちが両親に説明してた時だった」
そう、だったのだろうか。よく、覚えていない。おぼろげな記憶をたどってみる。
確かに、自分が笑みをこぼしたタイミングは、刑事らしき人間が梓の両親と会話をしていた時であった。そう、あの場所には自分一人じゃない。他にも多くの人間がいたのだ。それを、こうして指摘されるまで忘れていた。
「純ちゃんは、友達想いなんだよ。だから、喜んだ……ううん、喜べたんだよ」
「そう、なのかな……」
「自信が持てないのは仕方ないよ。でも、純ちゃんにとって、梓ちゃんが大切な友達だから、だから喜ぶことができた。それは、事実だと、私は思うな」
それを聞いて、なんだか胸の中にあったしこりが下りて行ったような気になった純。もしも本当にそうだったら、嬉しいけど、でも、それでも。
「それでも、梓が先輩たちや憂を殺そうとしたことには……変わりないんだよね……」
「そのことだが……」
と言いながら、大我よりもスマートに登場したのはこの病院の医師、エースといっても過言ではない男、鏡飛彩であった。
「俺たちドクターは……彼女の一連の行動に関して別の見解を持っている」
「別の、見解……?」
「あぁ、それは……」
そして、飛彩は語る。彼女の凶行、その真実を。
幸か不幸か、岩沢は彼の言葉を聞く耳を持たなかった。イヤホンで耳を閉じ、その目でしっかりとプレーヤーの向こう側の景色を見ているだけ。
抜群にうまいわけでもない。プロの演奏と比較すれば、いや比較するのもおこがましい演奏。
自分の好きなバンドとは全く趣向の違った、コミックバンドのような彼女たちの演奏。
でも、どこか心惹かれる演奏。
なるほど、岩沢は感心していた。だから、彼女には届かなかったのだ。自分の、心の底からの叫びが。
本当は、そんなもの無用の長物であったのだから。
タイトル、また変えようと思ってます。今度はシンプルに。でもそんな頻繁に変えていいものかと思ったので、ちょっとアンケートとります。なお、前提としてSAO、あるいはソードアート・オンラインを頭につける事としてます。よろしければお答えください。
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〜いろんな著作物から以降はいらない
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タイトルはそのままでいい