SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO 作:牢吏川波実
「シノちゃん。お待たせ」
「小夜さん、梓は?」
天草シノが現場に現れてから十数分。そして、岩沢雅美が特設手術室に入ってから数分の時が経った時、大治小夜がシノのいるトレーラーの中に姿を現した。
小夜は、一度ギターのチューニングをしている少女に会釈をして言う。
「梓さんは、先生と一緒に特等席で聴いてくれる」
「特等席?」
「えぇ……」
今、梓とさわ子がいるのは学校の屋上だった。学校中が、勿論、グラウンドで戦っている戦士やシノたちの姿を見渡すことのできる、まさしく特等席と言ってもいい場所であろう。
梓は、さわ子が持ってきたパイプ椅子に座って見ているはずだ。トレーラーが開く、その瞬間を今か今かと。
「やりましょう。シノさん」
「はい……」
「それに」
その瞬間だった。外で大きな爆発音がしたのは。もはや一刻を争っている時間ではない。小夜は、持ち場につくと、一度、二度とソレを叩き、確認すると言った。
「開けてください」
と。
その、言葉が合図だった。
「ん?」
「ようやくか、行くぞ、瀬奈!」
「うん!」
鳳家所有の特別性トレーラーの扉がゆっくりとした動作で開き始める。それを見たキラメイブルーとグリーン。時雨と瀬奈の二人は変身を解くとトレーラーの方へと走る。
おかしいかな、この戦場においてそのようなことをやる馬鹿がどこにいるのか。そう思われるかもしれない。
しかし、これは必要なことなのだ。この戦いに勝つためにも、なおかつ。
「梓……」
今、学校の屋上から、自分たちの姿を見ている彼女のためにも。
手術に向かう、彼女のためにも。
「シノ先輩……」
時雨と、瀬奈もまた、同じく持ち場につくと、シノが振り向き、頷いた。
そして―――。
カッカッカッ
曲が、始まった。かつてと同じように、しかしメンバーを大きく入れ替えての演奏が、今。動き始めたのだ。
「始まった!」
「おい、本当にこれがアイツに効くのか!? 仮面ライダー!?」
「はい! 俺の推理が正しければ……」
と、言いながら泊は≪ドラム≫がリズムを取る音を背にして≪黄色≫のバグスターウイルスに対して対未確認生命体専用ライフルを撃った。すると―――。
≪HIT!≫
の文字とともに倒れるバグスターウイルス。それだけじゃない。泊は次々と≪黄色≫の顔のバグスターウイルスを撃っていく。
≪HIT!≫
≪HIT!≫
≪HIT!≫
やはり、そうだ。泊は言う。
「見てください! 全部ダメージが入りました!」
≪miss!≫
≪miss!≫
「それも、泊さんの言う通り黄色のバグスターウイルスだけ……」
と、出雲が確認をするように≪黒と茶≫の顔のバグスターウイルスを撃ってみたのだが、しかしそこには今までと同じように、ダメージがないことを示す≪miss!≫の文字しか出ない。
確かに先ほどまでは、岩沢のおかげでバグスターウイルスにダメージが入っていた。しかし、それも彼女が歌うのを止めて少し経ったら、今までと同じようにダメージが通らなくなって、自分たちにはどうすることもできない敵に逆戻りしていた。
しかし、それが今。覆ろうとしている。
長いドラムによるイントロが終わり、続いて入ってきたのはベース。
「ッ! ハァッ!!」
仮面ライダースナイプはその瞬間に≪黒と茶≫のバグスターウイルスに攻撃を仕掛けた。
すると―――。
≪HIT!≫
「はっ! なるほどな!」
今度は、出雲の時とは違い≪HIT!≫の文字。これは、単に仮面ライダーと一般人の攻撃による違いというわけじゃない。今度は、≪黒と茶≫のバグスターウイルスにも攻撃が通るようになったのだ。
一体なぜか、もう、分かるはずだ。ベースが、鳴り響き始めたから。時雨がベースを弾いた瞬間に、攻撃が通るようになったのだ。
「効いてる! 効いてるよ! 皆!」
「うん!」
ギタリストの少女の言葉に合わせるかのように瀬奈がキーボードを弾き始める。
その音色に呼応するかのように、ギターを持った少女もまたピックを弦に触れさせる。
そして―――。
♪夢を見ていたあの頃は 遠く見えてた地平線♪
シノの声が響き始めた瞬間。ほぼすべてのバグスターウイルスの動きが鈍重になり、そして―――。
♪“頑張るなんて 意味ない”と思うときもあるさ♪
≪HIT!≫
≪HIT!≫
≪HIT!≫
「効いている、僕たちの攻撃が全部のバグスターウイルスに……小沢さん!」
『えぇ……泊刑事の推理は確かだったようね』
氷川の報告に、Gトレーラー内にいる小沢は表情を変えることなく、しかし驚いていた。
確かに泊刑事からその推理を聞かされた時には、証拠の存在、可能性の提示に対してもしかして、という淡い期待はあった。だが、本当にソレが正しかったと知ることの衝撃は、何物にも代えることのできない驚きという物がある。
♪目指す場所まで遠すぎて 歩き疲れて立ち止まる♪
「確か、このバグスターウイルスたちにはそれぞれの色に対応している楽器があるんだっけ?」
「はい、その通りです!」
と、ここに来るほんの直前に泊の推理を聞いていたキュアアクアが、隣で≪茶色≫の頭のバグスターウイルスを吹き飛ばしているキュアロゼッタに聞く。
♪ダメだと思った瞬間(とき) 胸に響くメロディ♪
「赤と茶はギターに、黄はドラムに、黒はキーボードに、そして黒と茶のマーブル色はベースに、それぞれ対応している。それが泊刑事の推理でした!」
♪(キ・セ・キ)♪
「でも、よくわかった物ね……」
と、キュアベリーが呆れるように言った。確かに、ヒントらしき映像はあったと聞いた。それが、昼間に発生したバグスターウイルスによる襲撃の映像。
あの時、確かに≪黒と茶≫のマーブル色の顔のバグスターウイルスにだけダメージが入り、他のバグスターウイルスにはノーダメージだった。何故だったのか。
答えは、その直前に時雨が見せた奇行―半分戦闘に参加するための建前もあったが―の中にあった。
♪“諦めないで! まだ終わりじゃない”♪
すなわち、ベースである。
その音が響いた後、その場にいた一種類の、≪黒と茶≫のバグスターウイルスだけがダメージを負っていた。そのことから、泊はある仮説を立てたのだ。
♪君がくれた言葉が♪
「でも、たったそれだけじゃ……」
分かるはずもない。突拍子もない推理になる。確かにそうだ。だが、そこにある情報が加えられれば問題はさらに簡単になる。
♪僕の迷いを ふっ飛ばしてくれた♪
「放課後ティータイム」
「え?」
「中野梓が所属しているバンドの名前だ ハァァ!!」
と、仮面ライダーアクセルが目の前のバグスターウイルスを切り伏せながら言った。
♪勇気を奏でて(勇気を奏でて) どんな願いも叶え! 勇気を奏でて(勇気を奏でて) 仲間の絆子の胸に 未来 切り開けば どんな場所も キラメき出すのさ♪
「そのバンドのメンバーの楽器の色、平沢唯のギターが赤、中野梓のギターの色が茶色、琴吹紬のキーボードの色が黒、田井中律のドラムの色が黄、そして……秋山澪のベースの色は、黒と茶色のマーブル色。すべてが、あのバグスターウイルスの頭部の色と符合している」
「あのバグスターは中野梓から生まれた新種のバグスターだ」
「あぁ、感染者の情報も組み込んだバグスターが誕生した。そう考えたら、全部のつじつまが合うってことっよ! っと」
仮面ライダーブレイブ、仮面ライダーレーザーもまた次々とバグスターウイルスを倒しながら説明を続けていく。
泊がその可能性に気が付き、過去の放課後ティータイムの演奏の動画を動画サイトで見つけて確認したことによって確信を得た。もしかしたら、それぞれの色のバグスターウイルスはそれぞれの楽器と符合していて、その楽器を奏でている間、もしくは奏で終えた後もわずかな時間ではあるがダメージが通るようになるのではないかと。
確固たる証拠なんてほとんどないも同然。状況証拠の積み上げによって形作られた推論をうのみにしていい物か、泊や他の刑事たちも悩みに悩んでいた。
その中で、今回の中野梓の脱走と、アナザーポッピーの襲撃である。実証実験も何もできていない中、そして、早急にバンドメンバーを集める必要性に駆られた警察一同は、偶然その場にいた時雨から、自分たちが梓や岩沢のためにバンドを再結成していると話を聞き、ダメ元でもいいからとここまでバンドを引き連れてもらってきたのだ。
結果、泊の推論はただの推論に収まることはなかった。
バグスターウイルスを倒すのに必要な物。それは、音楽を心の底から愛している者たちによる演奏であったのだ。
誰かの心を助けたいと、純粋に願う者たちの歌。それが、今バグスターウイルスたちに牙を向く。
が、しかし。
「ッ!」
「きゃぁ!」
全てが順調にいくわけではなかった。
本小説、見てわかる通り参戦作品にあまりに年代的に幅を持たせすぎてる上になかなか読者に知られてない作品が今後も増えていくと思います。そこで、素朴な疑問ですが、そもそもこの小説見てる層がどこなのか、どの層に需要があるのか知りたいため質問したいと思います。質問は、大雑把ですが、気楽にお答えください。では、あなたはーーー。
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