SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO   作:牢吏川波実

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メインシナリオ外伝 第二章 第62話

 一体だけ、弱体化されていない敵がいたのである。

 

「う゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛」

「アナザー、ポッピー……」

「クッ!」

 

 そう、バグスターウイルスの大ボス。中野梓に感染しているバグスターである存在、アナザーポッピー。それだけは何のダメージを受けることもなく、部下であるバグスターウイルスたちを苦しめている音楽を止めるためにゆっくりと前進し始めていた。

 この音楽が止まれば、今の攻勢が無意味となってしまう。なおかつ、この場所でアナザーポッピーを倒さなければ、岩沢雅美の音楽によって和らいでるストレスがまた再発し、中野梓が消滅する可能性がある。

 

「く!」

 

 そんなことさせない。キュアベリーはアナザーポッピーの前に立つと頭上で一度手拍子を放つ。

 

「悪いの悪いの飛んでいけ!」

 

 そして、その言葉を発しながら右手を、その後左腕をゆっくりと降ろして素早く胸元で手を逆さハートに似た形に、スペードの形にした。その瞬間。

 

「プリキュア! エスポワール! シャワー!!」

 

 青色の光線がその手の中から発射された。これが、彼女、キュアベリーの必殺技の一つ。プリキュア・エスポワールシャワーである。

 この技は、かつて彼女が戦っていた管理国家ラビリンスの送り込んでくる怪物、ナケワメーケ等と戦う時にその敵を浄化させるために使用していた技。

 しかし。

 

「ぐう〝う゛う〝あぁ!!!」

「きゃぁあ!!」

 

 アナザーポッピーには通用せず、その身体から発せられたエネルギーに似た何かによって、キュアベリーは吹き飛ばされ、技も止まってしまった。

 

「ベリー!」

 

 それを見て、空から飛び込んできた者。同じ青色のプリキュアであるキュアアクアである。

 アクアは、胸の前で手をクロスさせる。すると、両腕にはめてある手袋に描かれた蝶々のデザインが青い光を拡散させ、それがあたかも水しぶきのように彼女の周囲に広がった。

 

「プリキュア!」

 

 アクアは、一度回転させてその水を集めるかのようにその手に纏うと、ソレらを弓と矢に変形させる。そして―――。

 

「サファイア・アロー!!」

 

 彼女が≪水の矢≫を持っていた右手を放した瞬間、水の弓もまたはじけるように消滅し、薔薇の花びらのようなしぶきを上げながら、水の矢は螺旋を描きつつアナザーポッピーに向かって行く。

 これもまた、キュアアクアがかつてエターナルという組織と戦っていた時に使用していた必殺技。彼女個人で持っている必殺技としては、これ一つしかない。しかしそれ故に絶大なる威力を誇っているはずの技であった。

 が、ダメ。

 

「音符の盾!?」

 

 アナザーポッピーは目の前にト音記号のような盾を出すと、それでアクアの攻撃を防ぎ切った。そして、そのままその盾がアクアめがけて進む。

 

「ッ! きゃぁ!!」

「アクア!!」

 

 着地直前であったアクアはそれを避けることもできず、攻撃が当たったことによって発生した爆発で大きく吹き飛ばされることになった。

 その光景に戦慄を覚えるのは、意外なことに、ドクターライダー組であった。いや、これはむしろ当然の事であると言えるのかもしれない。

 なぜならば、彼らは一度戦っていたのだから。ブレイブとスナイプは、昨晩、アナザーポッピーと刃を交えていたのだから。だからこそ、驚愕していた。

 

「昨晩よりも格段に強くなっていやがる」

「たった一日でこれほどの変異を起こすとは……新型バグスターウイルス、恐ろしいな……」

 

 確かに二人のプリキュアの攻撃は凄まじい物だった。まず、間違いなく普通のバグスターであったのならば簡単に倒せていたほどに。

 だが、そんな二人の攻撃を寄せ付けない圧倒的な強さを持ったアナザーポッピー。昨晩まではこうではなかった。いや、正確にはこんな攻撃方法を見せていなかったはず。

 昨晩使っていたのは、確か、ただ音符を爆弾のように飛ばすという技だけだった。それが、音符を盾にしたり、エネルギー破を放ったりと、自分たちの知らない戦い方を見せてくる。

 これが、新種のバグスターウイルスの力なのか。だとすれば、このままだと危険だ。

 

「皆さん! 演奏を中止して早く逃げてください!」

「え? しかし……」

 

 まだ、バグスターウイルスは倒しきっていないはず。そう、反論をしようとしたシノに対してアクセルが言った。

 

「あのバグスターに、お前の歌は効かない」

「ッ!」

「照井警視!」

 

 その、残酷なまでにきっぱりと言った台詞に、隣にいた氷川も思わず口を挟んだ。

 だが、それでもアクセルは続ける。

 

「確かに、楽器の演奏によってバグスターウイルスが弱体化したのは事実だ。しかし、バグスター自体を弱体化させるには至っていない」

 

 確かに、そう。バグスターウイルスに対して、自分たちの演奏が効果があったという事は、これまでの戦いを見ていれば分かること。だが、自分たちの≪歌≫の方はアナザーポッピーには通用しなかった。これが、何を意味するのか。

 

「やはり、必要だったんだ。あの子の、岩沢雅美の歌が……」

 

 そう、岩沢雅美の歌だ。彼女の歌が、バグスターウイルス全体に作用していたことは、彼女の歌が聞こえて来た時に戦っていた自分たちがよく知っている。

 そして、今現在猛威を振るっていたアナザーポッピーもまた、岩沢雅美が歌を歌っている最中は弱体化していた。彼女の歌なき今、自分たちにアナザーポッピーを倒すすべは皆無に等しくなってしまったのだ。

 だから、新生キラメイバンドボーカル、天草シノにはきつい言い方になってしまうが、しかし彼女の歌ではどうすることもできない。そもそも、楽器の音を奏でると言うだけでいいのならば、ボーカルの存在なんて必要ない。彼女が、歌う意味なんて最初から皆無だったのだ。

 

「効果があるかなんて関係ない……」

「何?」

「私は……!」

 

 シノが、叫ぼうとした。その時だった。

 

「照井警視!」

「ッ!」

 

 アナザーポッピーが自分のすぐ後ろにまで来ていた。アクセルは、すぐにアクセルドライバーのハンドル下部についているレバーを押す。

 

≪アクセル! マキシマムドライム!≫

 

 すると、上記のような音声が流れアクセルは、ドライバー右側のハンドルを二度、三度とひねる。そのたびに流れるエンジン音を背に、赤く燃える身体。

 そして―――。

 

「はぁぁぁ!!!」

 

 飛び後ろ回し蹴りで放つライダーキック、アクセルグランツァーを放った。

 しかし。

 

「ッ!」

「なに!?」

 

 その攻撃は、アナザーポッピーに素手で簡単に止められてしまい、そのまま一回転し、ハンマー投げの要領で投げ飛ばされたアクセル。

 

「照井警視! クッ!」

「フッ!」

「ハッ!!」

 

 それを見たブレイブ、スナイプ、そしてレーザーもそれぞれに武器を持ち、それぞれのガシャットを武器に装填する。

 

≪≪≪ガシャット! キメ技!!≫≫≫

≪TADDLE CRITICAL FINISH!≫

≪BANG BANG CRITICAL FINISH!≫

≪GIRIGIRI CRITICAL FINISH!≫

「「「ハァァァァァ!!!!」」」

 

 そして、三人それぞれの斬撃が、弾丸が、そして矢が、アナザーポッピーへと向かって行った。

 だが、それでも怪物は止まらない。その全てを叩き落し、それでもなおトレーラーへと向かって行く。

 

「馬鹿な……」

「チッ……」

 

 なんて凶悪な敵なのだろう。おそらく、強さ的に言えば自分たちが戦った、いわばラスボス的なバグスターと言えるゲムデウスすらも凌駕してしまうほどに恐ろしい敵。

 自分たちの必殺技を何の事もなくいなすその力。そしてその破壊力。果たして自分たちに勝ち目なんてあるのだろうか。そう思わせるほどの絶望感。

 だが、やるしかない。出なければ、自分たちがドクターである理由がないのだから。飛彩は、そして大我はある意味切り札とも言えるガシャットを取り出そうとしていた。

 自分たちが今使える最大戦力。しかし逆に言えばそれが通用しなかったら勝てないと決定づけられる諸刃の剣。

 だが、それでも彼女を助けることができる可能性があるとしたら。これしか。

 

「う゛お〝ぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 が、しかし動きが早かったのはアナザーポッピーの方だった。

 

「あれって……」

「音符?」

 

 アナザーポッピーは、上空に巨大な音符を出現させた。もちろん、ただの音符ではないことは間違いないだろう。昨晩の事、そして今回の戦いの事も考えると、恐らくあの音符は、爆弾。触れた瞬間にとんでもない爆発を引き起こす凶悪な兵器。

 

「まずい! 逃げてください!」

「何?」

 

 ソレを知っている泊は、総じて生身でその場にる捜査一課の三人、そしてトレーラーの上にいる人物たちに向けて叫んだ。

 はやく、この場から立ち去れと。

 だが、すでに手遅れだった。

 

「ッ!」

 

 巨大な音符はその大きさを肥大化させながら、トレーラーの方へと向かって行く。まるで、この世の音楽全てを否定するかのように、そしてすべての音楽を嫌っているかのように、そして―――。

 

「ッ!」

 

 ≪中野梓≫が嫌がっている≪音≫を消すために。

 刹那、巨大な爆発がグラウンドを襲った。

本小説、見てわかる通り参戦作品にあまりに年代的に幅を持たせすぎてる上になかなか読者に知られてない作品が今後も増えていくと思います。そこで、素朴な疑問ですが、そもそもこの小説見てる層がどこなのか、どの層に需要があるのか知りたいため質問したいと思います。質問は、大雑把ですが、気楽にお答えください。では、あなたはーーー。

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