SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO 作:牢吏川波実
≪アクセル! マキシマムドライブ!≫
「ハァァァァァァ!!!!」
「え?」
中野梓の目前まで迫っていた音符の爆弾。それを防いだのは、赤い鎧にその身を包んだ仮面ライダー。しかし、彼女に取っては意外な人間と言っても良い人間だった。
なぜなら、彼は最後の最後、自分の心を追い詰めた人間であると言っても過言ではないから。自分に厳しい言葉を発して、ゲーム病を発病させた人間であると言っても過言ではないから。
それは、その仮面ライダー本人も熟知していた。だからこそ、だ。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
仮面ライダーアクセルは、アクセルグランツァーを発動した後膝をついた。無理もないだろう。先ほどから彼はずっと必殺技を連発していたのだから、そろそろ身体がもたなくなってしまっているのだ。その姿は、赤い鎧も相まって血みどろになっているように、梓には感じた。
だが、それでも彼は立ちあがった。エンジンブレードを支えにしてようやく立ち上がったアクセル。しかし、もうボロボロと言ってもいいほどその身体からは火花が散っていた。体力も残っていないように見える。
「あの!」
梓が、声をかけようとした、その時だった。
「はぁ、はぁ、はぁ……俺の罪は三つ……」
「え?」
それは、彼とともに戦う仮面ライダーの師匠に当たる人間の台詞の真似事。それは分かっている。けど、それでも数えなくてはならない。自分の罪を、改めて知らなければ、前に進むことができない。自分も、そして彼女も。だからこそ言う。
「一つ。俺は、自分に乗り越えられた痛みだから、誰かも乗り越えられると過信していた」
自分の場合は家族を、目の前で殺されて復讐鬼となった。でも、その痛みを乗り越えて今は仮面ライダーとして立派に戦えている。
でも、彼女は違う。自分のように図太かった人間ならまだしも、彼女のように繊細で、か弱い少女が、人間の死を目の当たりにして乗り越える力なんてほとんど持ち合わせていない。
いや、それはほぼすべての人間に言えること。自分だって、前述した通り最初は復讐鬼として周りを顧みず、無実の人間を殺そうとするまでに暴走したりするなどしていた。そうだ、人間の死なんて簡単に乗り越えることなんてできない。ソレを知っていたのに、自分は彼女に自分以上の心の強さを求めてしまった。
それが、一つ目の罪。
「二つ。知らなかったとはいえお前の罪を勝手に数え……ストレスを産み、バグスターウイルスを生み出させてしまった……」
あの時、あのブレーカー(仮)の前で自分は彼女に自分がやろうとしていたこと、そしてその結果起こるはずだったこと、更には彼女が自分の仲間たちを信じていないのだとはっきりと言ってしまった。
自分の罪を自覚させるという目的で、バグスターウイルス感染症は結果論だったにしても、あの言葉が彼女の心を折ったのは事実であろう。
そうだ、自分のせいで彼女は苦しんでいるのだ。自分が、彼女の罪を勝手に数えてしまったから。
「三つ。そのせいで俺は君や、君にかかわりのある多くの人間を傷つけ、泣かせた……」
梓本人。梓の先生、友人、家族、そして岩沢雅美。この事件を生み出したせいで多くの人間が傷つき、そして今もなおたくさんの人間が戦って傷ついている。すべてが、自分の責任だった。
そう、この事件の犯人はつまるところ、梓などではなかった。
自分、なのだ。
だからこそ、自分にはこの事件を解決する、あのアナザーポッピーを倒す義務がある。そう、思っていた。
例えそれで、罪が消え去ることがないと、知っていてもなお。
「俺は俺自身の罪を数えた……梓……」
と言うと、彼はエンジンブレードを構えると言った。
「お前の罪を、数えろ!」
と。
これもまた、彼と同じく風都で戦っている仮面ライダーの決め台詞だった。
彼は罪を数え終わった。なら、自分はどうするか。
梓は、膝の上に置いた手をギュッ、と握りしめると言った。
「私の罪は、たくさんあります……」
「中野さん……」
「先輩や憂が帰ってくるって心から信じられなかった事。岩沢さんの音楽を否定してしまったこと。そのせいで岩沢さんを傷つけてしまった。本当は岩沢さんの音楽が好きなのに、なのに、先輩たちと過ごしたあの優しい時間が、音楽とは何も関係のない時間が盗られるような気がして怖かった! 私は、どうしようもない臆病者だから……誰かが死ぬっていうのを感じて、これ以上待つのが嫌だって、待てないって勝手に思った。それは皆さんの言う通りバグスターウイルスのせいなのかもしれません。でも! 心の底ではどこかで帰って来ないんだって、あの音楽準備室は二度と戻ってこないって、軽音部が無くなるんだって思って……それが、怖かった! 澪先輩、ムギ先輩、律先輩、そして……唯先輩が作ってくれた音楽が無くなるんだって認識するのが、怖かった! だから私は……私はッ」
「消えたりなんかしない」
「え?」
その言葉を発したのは、ステージの上にいたキーボード担当、須王環であった。環は言う。
「仲間と紡いだ大切な時間は、どれだけ時が流れようとも決して無くなったりしない」
「そうだよ、梓さん!」
「あ……」
と声をかけたのは桜子であった。
「例えどれだけ離れていても、どれだけ違う経験を友達がしていても、私たちの心は絶対に離れたりなんてしない! 私たちがいる限り! 私たちが帰る場所になっている限り」
「……」
「梓」
「え?」
その時、背後から声を掛けられえた。そこにいたのは、先輩であり生徒会長でもある和と、そして自分の相棒であるムスタングを持った純の姿だった。
「行ってきて、梓。梓がいる限り、放課後ティータイムは……放課後は終わらないよ」
「えぇ、唯たちが残してきた音楽をあなたが奏で続ける限り、ね」
「純、和先輩……」
音とは、ただの周波数の組み合わせである。ソレに何を感じるのかは、人それぞれだ。
けど、その音を奏で続ける限り、その音楽を作った人間たちの想いが消え去ることはない。誰かが継承している限り、その人たちが≪ここにいた≫という事実は消え去ることはない。
綺麗ごとでもいい、身勝手であってもいい。彼女たちがここにいたという事実を、彼女たちの想いを残し続ける限り、彼女たちは、放課後ティータイムは、そして―――。
「中野さん、行ってきて、皆の分まで、憂さんの分まで……この世界で音楽をしてきなさい」
「先生……」
憂の心はココにあるから。
「来い! 梓ぁ!」
「シノ先輩ッ」
「私が、私たちがお前たちの、放課後ティータイムの音楽を引き継いで見せる! だからここに来い! 一緒に……」
バンドをしよう。
それから、数分後。ステージの上には、梓の姿があった。アンプに接続した愛用のムスタング。どうやらチューニングや弦の張り替えの必要はなさそうだ。きっと、先生がずっと手入れをしてくれていたのだろう。ホコリをかぶっていないソレは、まるで新品のような輝きを見せて、自分の事を包み込んでくれている。
いや、自分だけじゃない。その光はボーカルのシノを、もう一人のギターである柿崎を、ベースである晶さんを、ドラムの桜子を、そしてキーボードの環を包み込んで大きなうねりを産む。
そうだ、これだ。これが私がしたかったバンド。これが、私があの人たちに憧れた理由。
この輝きこそが、私が恋焦がれていた、世界。この世界を見たかったから、私は、軽音部に入ったのだ。
「中野梓、主治医としの見解を述べるが、演奏するならサビの終わりまで、それ以降は君の体力が持たない」
「十分です。それに、私の、私たち放課後ティータイムの全てを乗せます!」
「行くぞ、梓」
「……はい!」
「これがラストナンバーだ。最後まで、アナ……いや」
彼女は、いつものように言葉として乗せることのできないような言葉を発しようとしていた。でも、そんなおちゃらけ、今は必要ない。今必要なのはただ一つ。
「喉を引き締めて歌う!」
音を楽しむという事。
「聞けぇ! 放課後ティータイムの、最高の曲……『U&I』!」
今、その日最高の最後のライブが、幕を開こうとしていた。
本小説、見てわかる通り参戦作品にあまりに年代的に幅を持たせすぎてる上になかなか読者に知られてない作品が今後も増えていくと思います。そこで、素朴な疑問ですが、そもそもこの小説見てる層がどこなのか、どの層に需要があるのか知りたいため質問したいと思います。質問は、大雑把ですが、気楽にお答えください。では、あなたはーーー。
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