SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO   作:牢吏川波実

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 エピローグを除けばこれで最後!
 この二人を救って、未来に繋げたいと思います! 救えるのか? いや、救える! あの二人なら!!
 と言うことで……。
 皆様! 良いお年を!!


メインシナリオ外伝 第二章 第73話

 ピ、ピ、ピ、ピ……。

 目が覚めると、私はベッドの上にいた。

 儚げな目で見た物は、シミ一つない真っ白な天井で、私はいろんな機材につながれていた。

 ピッ、ピッ、というどこかで聞いた、でもそれよりも感覚の長い規則的な音も聞こえて来たらか、きっと心電図なのだろう。

 聞いていると、ソレがどこかの国の歌姫の美声にも幻聴してしまうかのようで、そして、自分の生の証のような気がして、なんだか不思議な気分だった。

 いや、まだだ。まだ、私は生きていない。生き返っていない。だって、私は。

 唇を噛みしめた私は、でもどこかで満足していた。だって、あの子のために精一杯の歌を歌えたのだから。今の自分が歌える、本当の音楽を、あの子に、聞かせることができたのだから。

 後悔は何もない。だから、きっと、死んでたとしても、また、別の何かで自分の想いを伝えられれば、それで。

 私は―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ぁ」

 

 その時、二組の一筋の涙がこぼれた。

 彼女は見た。窓の向こうにいた、あの女の子を。涙を流している、あの、女の子、≪中野梓≫を。

 私は、彼女に向けて手を上げた。

 私は、死んだ。

 前までの自分は。

 そして、私は、生まれ変わった。

 新しい、人生。でも、歌い続けることは変わらない人生。

 ≪誰かと≫一緒に歌っていく人生が、今日から、始まった。

 

 因みに。

 

「どうも、灰馬院長。この度はうちの大門を使っていただきありがとうございます」

「いや、使っていただいてってあのですね、今回はそっちから……」

「メロンです」

「ムッ!」

「請求書です。今回は鳳様から既に代金の大半をいただいておりますので、特別サービスとなっております」

「ムムムッ!?」

 

 請 求 書

下記の通りご請求申し上げます。

¥250,000.-

但し、大門外科医による手術代として

 

「……25! 25!? くーッ!! 絶対に払わなければならないお金が、ここにある!! ……ではまた来週、お会いしましょう」

 

 等というやり取りが院長室にて行われいたそうな。

 

―三か月後―

 

 

 聖都大学附属病院の小児病棟。そこには、文字通り子供ばかりが入院していて、毎日毎日退屈そうにしていた。

 今日もそうだ。子供たちは皆、遊び道具のあるプレイルームなんて行かず、自分のベッドで点滴を受けていたり、手術の前で怖い思いをしていたり、また逆で手術後でいつ帰れるんだろうと思っている子供が大勢いた。

 いつになったら家に帰れるんだろう。いつになったら、こんな生活から抜け出せるんだろう。退屈だなぁ、そう、彼女も思っていた。

 彼女は、いわば≪全身麻痺≫で入院中の患者の一人だった。と言うよりも、突然入院させられたと言うべきだろうか。少し前までは家での療養、いや家でずっと寝てるしかなかった。麻痺があるから、歩くこともできず、手を動かすこともできず、自分一人じゃ何もできない。母一人になんでも頼りっぱなしで、ろくでもない人生を送ってきた。

 ついこの間、野球の練習中に窓ガラスを割って家に入ってきた男の子と知り合いになって、その人も手伝ってくれて、でもそれ以外には友達なんて一人もできなかった。

 本当は、色々なことがしたかった。例えば、サッカーで五人抜きシュートを決めたりとか、プロレスのジャーマンスープレックスを決めたりとか、ホームランを打ったりとか、それから、それから、TVで見た、バンドのようにギターを弾いたりとか。

 綺麗だったなぁ、なんて思ったりした。ギターを弾く姿だけじゃない。仲間たちで一緒に奏でると言う一体感というか、迫力と言うか。とにかく、なんかすごいものを感じ取って、私もあんなふうになりたいなんて思ったりして。

 でも、そんな事不可能だ。だって、私は―――。

 

「ねぇ、ユイ、ちゃん?」

「?」

 

 と、その時だった。一人の女の子が声をかけて来たのは。その子は、同室の女の子、自分より少し年下の子で、口には酸素マスクをつけてることから肺の病気か何かだと思う。そんな子が、昨日入院してきて初めて、自分に声をかけて来たのだ。

 

「何?」

「……ううん、ちょっと呼んだだけ」

「そう……」

 

 と、そっけない返事をしてしまった、ユイ、と呼ばれた少女。ユイは、どことなく目の前の女の子が気になってしまう。その儚さ、そのやるせなさ、そしてその姿、どこかで自分に似ているような気がしたから。だから、ユイは聞いた。

 

「貴方、名前は?」

「初音だよ。音無初音」

 

 いい名前だなぁ。そう、ユイは思った。自分が好きな、≪音≫という漢字が二つ入っているのが、どこかで気に入ったのかもしれない。でも、それ以上に気になったことがある。

 

「そう言えば、昨日から誰もお見舞いに来ていないけれど、家族は?」

 

 と聞くと、初音はややうつむき加減で言った。

 

「いないんだ。私……」

「え?」

「家族、両親は私が小さいころに死んじゃったし……産まれてからずっと病気で外にほとんど出れなくて、だから……お見舞いに来てくれるお友達もいない」

 

 似ている。自分と、いや、自分以上に不幸なのかもしれない。だって自分には母も、それからさっきも言った通り窓ガラスを割って現れた男の子という心強い≪家族≫がいた。

 でも、彼女には誰もいない。それは、とても悲しいことだと、ユイは思った。

 

「でもいいんだ」

「え?」

「家族がいないから、誰も知り合いがいないから、私が死んでも、悲しむ人はいないから……」

「初音……」

 

 でも、自分は、きっと悲しいと思う。目の前の少女が死んでしまったら、悲しく思ってしまう。そう思う。

 だって、天涯孤独の生涯で、重い病を背負って、そのまま死んでいくなんて、悲しすぎるじゃないか。

 私の命を上げてもいい。そう、思った。だって、全く身動きの取れない私なんだから、そんな命あっても無駄なんだから。生きていても、仕方がないのだから。

 いや、自分には死んだら泣いてしまう人たちがいてくれた、か。だったら、渡すことできないな。たった一つの、大切な、命の音を。

 

「ユイ! 見舞いに来たぞ!」

 

 と、その時だった一人の男の子、先ほどから言っていた野球ボールで窓ガラスを割った男が入ってきた。

 

「もう、ここは病院なんだから静かにしてくださいよ」

「わりぃわりぃ。ん? と、ごめんな、気が付かなかった」

 

 と、男は目の前に初音がいたことにそこでようやく気が付いたようだった。男の謝罪に対して、初音は言う。

 

「いいの。貴方、ユイちゃんの恋人さん?」

「こ、恋人なんてそんな!?」

「フフ、うらやましいなぁ。私にも、その人みたいなお兄ちゃんがいてくれたら……」

 

 と言って、初音は遠い空を見上げた。その目はやっぱりはかなげで、この二月の薄暗い空のようにどんよりとしていた。

 

「怖いよね、死ぬのって……」

「え?」

 

 と、初音は呟くと一筋の涙をこぼして言った。

 

「怖いよ、私、死ぬのが怖いよぉ……」

 

 あぁ、そうか。この子はただ、誰かに聞いてもらいたかったんだ。誰かに証明してもらいたかったんだ。自分が、ここにいたという事を。自分が、この世界にいたという事を。自分が、この世界の一つの音であったという事実を、知ってほしかったんだ。

 命が無駄に無くなるその前に。

 自分もそうだけど、やっぱり悲しいよね。そう、ユイが言おうとした時だった。男、日向秀樹は言った。

 

「っと、そうだ! ユイ、車椅子乗って外来てみろよ! そっちの子もどうだ?」

「「え?」」

 

 二人の声が、重なった。

 そして―――。

 

「アンプの調整はこれくらいで……音量大丈夫?」

「あー、あー、よし、問題ない。梓、そっちはどうだ?」

「……はい、チューニングもばっちりです」

「キーボードも接続したわ」

「よし……」

 

 と言って、外の芝生の上で楽器の準備をしていたのは、≪七人の男女≫であった。男は一名なのでほとんどガールズバンドに近いと言えるだろうか。

 その七人の前には大勢の人が並んでいた。患者はともかくとして、中には美男美女と言われるような顔つきをした人たちの姿も見える。

 ユイ、そして酸素ボンベを付けた初音は日向と明日那に車椅子に乗せてもらって、この場所まで来ていた。

 

「一体何が始まるんです?」

 

 そう聞いたユイに、初音の車椅子のハンドルを持つ明日那は言った。

 

「バンドだよ。新しいバンドの、初披露」

「バンド……」

 

 と、その時だった。

 

「お待たせしました!」

 

 と言って、ギターを持った女性がマイクを握って言う。

 

「色々あった私たちだけれど、今日からリスタート、新しいメンバーでバンド、初めて行きます!」

 

 と、リスタート、という事は一度解散したのだろうか。でも、先ほど看護師の明日那は新しいバンドの初披露と言っていたし、どういうことなのだろう。そう考えている間にも、バンドメンバーの紹介が始まった。

 

「まずは私、ギター! 柿崎美砂!」

 

 と言って、女性、柿崎美砂はギターを弾いて見せた。上手い、ユイの目に見てもそう思えた。

 

「続いてオンベース! 押切時雨!!」

 

 と言うと、ベースを鳴らした男性。その姿を見たユイは、ハテナマークを頭に浮かべた。何だか、どこかで見たことがある顔なきがする。どこでだろうか。

 正解は、ドラマの中であったりするのだが、あまりそう言った時代劇等見ていない彼女にはなじみがなかったのだろう。

 

「オンドラムス! 椎名桜子!!」

 

 ドラムの少女もまた、ドラムセットを叩いた。なるほど、悪くない。なんて評論家みたいなことを思ったユイ、これでも彼女、ずっと音楽を聞き続けていたから耳はいい方なのだ。だから、次の女性もまた上手だと思った。

 

「オンキーボード! 水無月かれん!」

「よろしく!」

 

 と言ってキーボードを弾いたのは、青色の長い髪をした綺麗な女の人。そして。

 

「オンリズムギター! 中野梓!」

「よ、よろしくです!」

 

 と言って中野梓はギターを弾く。この人も上手だ。美砂という人と同じくらいに。ここまで楽器が上手い人たちが揃っているのだ。きっといい演奏になるのは間違いないだろう。でも、バンドにとって一番大事な物を、ユイは知っていた。それはもちろん、ボーカル。

 

「オンボーカル! 天草シノ!」

「皆! よろしく……本当にこれだけでいいのか?」

「それ以上言ったらだめでしょ」

 

 と言うと、ステージの前の方にいたお客さんがクスリと笑い始めた。どうやら、彼彼女たちは知り合いであるようだ。彼女の事を知らない人間が聞いたら意味不明の会話、しかし彼女の事を良く知っていると苦笑いを浮かべる会話をした後、最後に美砂が言った。

 

「そして……昨日リハビリを終えたばかりの……オンボーカル! 岩沢雅美!!!」

「……」

「え……」

 

 ダブル、ボーカル? いや、それ自体は確かに珍しい事じゃないけれど、でもリハビリを終えたばかりってどういう事だ。そう、ユイが考えていた時だった。岩沢はマイクを持つと言った。

 

「皆、今日は集まってくれてありがとう。私は、ついこの間まである病気でこの病院に入院してた。その病気は、とても重くて、最初は、もう歌を歌えなくなるんじゃないかって、怖かった……」

「怖い……」

 

 それって、私と同じだ。そう、初音が呟いたのと同時に、岩沢は笑顔で言った。

 

「でも! この病院の先生のおかげで、この病院のスタッフのおかげで、そして、私の事を支えてくれたみんなのおかげで、私はここに立っている。私がこの世界に生まれた意味。私が生かされた意味。それは、私が救われたように、誰かを救っていく。それが、私の人生……ここにいるみんなと一緒に歩む、新しい私の旅の始まりを祝して……そして」

 

 と言って、岩沢はある人物に目配せした。それは、梓だった。梓はそれに笑顔をもって応じる。岩沢はソレを見て満足げに再びマイクを握りしめると言った。

 

「あるバンドの曲を、この世界に残すために……忘れられないために! 私たちは歌います。でも、その前に……入院中に作った、私の曲を、聞いてください≪99≫!」

 

 そして、歌が始まるのです。

 

♪Ah-ha ダメージ Ah-ha 受けてない様な♪

「異議あり」

 

 一方その頃、普通の病院で言うところのカンファレンスルーム内に置いて、ある二人の少女の手術に関して紛糾していた。と言うより一人の女性が突如として手を挙げただけなのだが。

 女性は、長い脚を一歩また一歩と床に踏み込んで一番手前まで来て言った。

 

♪Smileを装備中 Ah-ha損な性格ね♪

「この手術、二つとも私がやる」

 

 瞬間、カンファレンスルームがにわかにざわつき始めた。当然だ。なぜなら彼女が言う二つの手術と言うのはどちらも難関と言われる手術なのだから。一人の手術だけでも成功率が低いと言うのに、ソレを二人同時に抱え込むなんて無茶が過ぎる。

 いや、当然二人一緒になんてはしないだろうが、しかしその事前準備だけでも大変になるのにソレを同時に診るなんて不可能だ。

 しかし、彼女。大門未知子は本気だった。ソレを知っていた彼もまた、スッ、と立ち上がると言う。

 

「いや、一方は俺が執刀しよう。もう一人がお前が切れ」

 

 と、相変わらずのエラそうな態度に、彼女はやや不機嫌そうに言う。

 

♪Ah-ha強くないAh-ha弱くなれやしないだけなのWhy? どうせ分かんないでしょ 固いから折れるのよ My“99”days♪

「分かってるの? この手術の成功率の低さ。でも、私だったら、どっちも失敗しない」

「あぁ、だからこそどちらも百パーセントにする。それにはもう一人の医師……つまり、俺の存在が必要なはずだ」

「ホント、あんた自意識過剰ね」

「それはお互い様だろう」

「フン」

 

 と、相変わらず不機嫌そうな顔をして大門未知子は問うた。

 

♪ギリギリを スッとぼけて笑って すり抜けるbye-bye My“99”days 嫌いじゃない♪

「で、どっちをするの? 肺と神経、アンタに選ばせてあげる」

「いいのか?」

 

 一応言っておくが飛彩の専門は心臓外科、つまり肺の病気も神経の病気も彼の専門外、と言うわけでもない。何故なら彼は、天才外科医なのだから。彼に不可能はないのだから。

 この二人なら、救える命があるから。

 

「その代わり、失敗したら許さないから」

「分かっている。俺は、失敗しないから、な」

 

 と言うと、鏡飛彩は大門と拳と拳をぶつけ合う。それはまるで、長年連れ添って来たパートナーのように息ピッタリだった。

 

♪私が私を描こう ギリギリでギリギリで 人は生まれ変われるの♪

―この病院には二人の天才外科医がいた。外科医・大門未知子。またの名をドクターX―

―そしてもう一人、外科医・鏡陽彩。またの名を仮面ライダーブレイブ―

 

まぁ、ここまで読んできてもらって分かる通り、大門未知子は引き続き聖都大学附属病院にその身を置くこととなった。と言っても、派遣であるのは変わらないのでいつでもやめることはできるのだが。

 理由は簡単。この病院が大きいからこそ、多くの病気に関わることができるから。

 たくさんの手術をできるから。

 そして、岩沢のように、たくさんの人を救えるから。だから彼女もここにいる。

 彼女たちも、ここにいる。

 

 その時、音が鳴りやんだ。瞬間、割れんばかりの歓声が巻き起こった。青空に響き渡るかの様な歓声は、いつまでも、いつまでも続いた。

 

「凄い……」

 

 ユイは、涙を流していた。もちろん、感激の涙だ。凄い演奏だった。ギターも、ベースも、キーボードも、ドラムも、最高だった。そして何より、ボーカル。岩沢雅美の声が、凄かった。そして、そんな彼女の事を支えているもう一人の女性の声も綺麗だった。

 心が震える、そんな歌を聞かせてもらったユイは、隣を見る。すると、そこには―――。

 

「ねぇ、ユイちゃん」

「何?」

「私、もう少し生きてみてもいいかなって思った。ギリギリまで、頑張ろうって……」

 

 もう、明日に悲観していた少女の姿はなかった。あったのは、歌に救われた二人の少女。そう、岩沢雅美が救われたように、彼女たちもまた、救われたのだった。彼女の、彼女たちの歌で。

 

「ありがとう! 皆! 次は、放課後ティータイムのカバー曲……っと、その前に……」

 

 と言うと、岩沢はメンバー全員に目配せをしてから、全員そろって言った。

 

「「「「「「「私(俺)たちは、グローウィングアフターティータイム!!」」」」」」です!!」

 

 と。

 こうして、ここにまた一つ、新なバンドが誕生した。

 このバンドが大きく羽ばたくことができるのか、それとも途中で失速してしまうのかはまだ分からない。しかし、これだけは分かる。

 彼女たちのバンドの夢は、まだ、始まったばかりなのだ。

 そう、彼女たち≪バンドリーマー≫の夢は、今、ここから始まるのだ。

 時は≪大ガールズバンド時代≫!

本小説、見てわかる通り参戦作品にあまりに年代的に幅を持たせすぎてる上になかなか読者に知られてない作品が今後も増えていくと思います。そこで、素朴な疑問ですが、そもそもこの小説見てる層がどこなのか、どの層に需要があるのか知りたいため質問したいと思います。質問は、大雑把ですが、気楽にお答えください。では、あなたはーーー。

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