SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO 作:牢吏川波実
迷宮区を目の前にした町≪トールバーナ≫は、はじまりの町と同じようにヨーロッパをモチーフにしたような雰囲気を醸し出した建物が並ぶ小さな町。といっても、はじまりの町と比べればと言うだけだし、私は武器や回復薬の補給をしたらすぐに迷宮区へと向かってしまったからあまり中をじっくりと回る時間がなかったから、本当は何かクエストと呼ばれるものがたくさんあるのかもしれない。
その中心部には小さな公園があって、そのすぐ近くには露店があり、そこでは様々な種類のアクセサリーが売られていた。
それを見た感想は、正直言って悔しい事に、本当に悔しい事にはっきり言おう、かわいい。
先も言った通り私が迷宮区にしか目が言っていなかったためにじっくりとその露店を見る時間がなかった。しかしこうしてイインチョウを先頭にしてゆっくりと歩き、街中を見て回ると分かる、その露店に並んであったアクセサリーはどれもこれもがまるで女の子の好みを理解した人間が制作したものだと言わんばかりに絢爛で、厳しい母に育てられたことであまりおしゃれに気を使ったことのなかった私も、少しばかりは付けてみたいなと思うような物が並べられていた。
ふと見ただけでもその値段は自分が持っているコルで十分に買える値段。もし、ポーション等を買うよりもそう言うものを買う余裕が出てきたら―――。
いや、ダメだ。そんなことにお金を使ってしまっては。この世界で戦えなくなる。そうだ、無駄なことにお金を浪費している場合じゃないのだ。この世界で、格好よく、あらがって、死ぬためには。
「着きました。ここです」
と言って、イインチョウに案内されたのは、トールバーナの建物の中でもかなり大きい部類に入る建物。三〜四階建ての煉瓦造りのマンションで、屋根瓦は見たところ赤、だろう。よく見えないが。それから小窓も何個もあって、その数からして中にある部屋の数がどれだけ多いのか分かる。
私がこれまで泊まって来たとても高い、のに質素と言ってもいい様な宿とは月と鼈と言っていいくらいに豪勢な屋敷。でも、現実世界の自分も、似たようなところに住んでいたのにな、そんなことを思い出しながら私たちはイインチョウに連れられて中に入っていった。
「ただいま帰りましたわ」
「あ、お帰りイインチョウ!」
「ちうどう? 収穫は?」
「あぁ、ばっちりだよ」
「ありがとう」
「アレ? 後ろの人は?」
と、口々に中にいた人間たちがイインチョウとちう、そして私たちに声をかけて来る。見たところ、かなりの数がいるようだ。右のほう、台所らしき物を前にして二人の女性。左には作業台で何かを作っている女の子が二人。奥には四人の女の子が見える。
全員女の子のギルド、なのか。何だか少し羨ましいな。そう思っていた時だ。イインチョウが言う。
「アスナさんです。前線で闘っていたところを連れてきました。それからリーファさん。なでしこさん。そして、レイアースさんです」
「よ、よろしくお願いします!」
「よろしくっしゅ!」
と、リーファの声に左で作業をしていた人間の一人が言った。それにしても≪っしゅ≫とは何なのだろうか、と無駄な思考をしているアスナ。そんな事気にしても無駄な事。なぜなら、その言葉はいわゆる彼女独自の口癖のようなものなのだから。
それはともかく、だ。
「ここが、ギルド?」
と、私は、アスナは、広々とした室内を見て呟いた。天井は高くシャンデリアがあって、床は緑と青と、そして白という色彩の絨毯で敷かれてて、奥の方は先も言ったが台所や作業台。それ以外にも椅子やテーブルがいくつも並んでて、さらに言えば部屋の両脇には螺旋階段のようなものが見える。恐らく、そこを上ることによって玄関からも見えている二階の部屋の扉へと向かうことになるのだろう。
なんだか、外観よりも広々としているように感じる。
「そうですわ。右からシシーラさん」
「どうも」
「フラウさん」
「よろしく!」
「机で作業をしているのがマリンさんとセノさん」
「よろしくっしゅ!」
「よろしくお願いします!」
「それから奥にいらっしゃるのが、かじゅさんに、アンチョビさん、ペパロニさんカルパッチョさん」
「だから、その名前は……」
と、頼んでもないのに自分のギルドメンバーの紹介をし始めるイインチョウ。何だろう、確かに押しの強さと言うか強制力と言うか、とにかく自分の信念は絶対に曲げない。そんな気合いが目を通して分かるよううだ。
「それと……」
と、彼女が発言をしようとした時だった。
「今戻りました」
「ん? 誰だその子?」
と言って、三人の女性が自分が先ほど入って来た扉から現れたのである。
この女性たち、見たことがある。でもどこでだろう。アスナは頭を回転させてその少女達が何者だあるのかを思い出そうとした。
そして思い出した。そうだ。さっき露店でアクセサリーを売っていた少女たちだと。
「ポリアンナさん、なるみんさんとあまみんさん。こちらは、アスナさんです」
「よ、よろしくお願いします」
と言って、一番気弱そうな女性が私に挨拶をしてきた。私は、一度にたくさんの情報が押し寄せてきたことによる混乱をきたしながらもなんとかその頭の中でしまい込むと。
「あ、うん……」
とだけ言った。
一言だけ言っておくけれど、私はコミュ障、つまり他人とかかわりを持つのが苦手な部類の人間ではない。現実の世界ではそれなりに友達らしい人間がいたし、たくさんの人がいる社交界の場でも上手に立ち回ることができていた。
ただ、今回は少し動揺していただけ。そう、自分に言い訳してみるとして。
「初めまして。私はレイアース」
「なでしこです!」
「リーファです」
等と、簡単に挨拶ができる三人がうらやましいなと思いながら、アスナは改めてその屋敷の中を眺めていた。
本当に、いい家だ。自分の屋敷とはまるで違う。広さは、自慢するようなことではないが現実世界の家の方が広い。でも、それとはまた別の、何か華やかさと言う物。そして、温かみと言う物を感じ取ってしまう。
こういうのを、もしかしたら愛に満ちている。なんていうのかもしれないが、とにかく私はその豪華絢爛なたたずまいに目を奪われていた。
「それと、今冒険中の方々を入れた。私たちが、暫定的なギルドです」
「……」
「どうした?」
「いえ、意外としっかりとしたギルドだったから、びっくりした……」
「確かに」
と、ちうが自虐するように笑って言った。あんな人間が、ギルドを作ったなんて言われて不安に思わないような人間はいない。そう彼女も思っていたから。
だが、実際には確実に拠点となる場所を持っていて、そしてその面子もなかなかの数が集まっている。暫定的にギルドギルドと言ってるグループはいくつもあるかももしれないが、その中でも最もまともなのが実は、このギルドなのではないだろうか。
そう感じていた。
アスナは思う。もしかしたらこのギルドだったら私も、もう少し戦い抜くことができるかもしれないと。
でも、その考えは一瞬にして打ち砕かれてしまった。
「よし、できた!」
「え?」
と言った、マリンの一言によって。
マリンは作業台からイインチョウの前に出てくると手に持った服を見せて言った。
「イインチョウどう? これ、ナイスでしょ!!」
「はい! とてもおしゃれでワンダホーですわ!」
どうやら、服を作っていたようだ。いや、それだけじゃない。
「イインチョウ、晩御飯は会議の後でいい?」
「はい、勿論ですわ」
「今日はちうのおかげでご馳走になりそうだ」
「あぁ、楽しみにしとく」
シシーラとフラウの二人は、台所でちうから受け取ったであろうアイテムを冷蔵庫の中に整理してそう言った。ご飯を作る予定。なんだそれは。この世界では確かに現実世界のご飯に似た物を食べることによって満腹感が増す。でも、実際にそんなことをしても現実の身体のお腹は膨れないし、なおかつ、この死と隣り合わせの世界でご馳走なんて、考えられない。
ツッコミどころはまだある。
「イインチョウ、こんな形でどうかな……」
「うわ、かわいい!」
と言って、リーファはセノが持ってきたブローチのようなものを賞賛した。確かに、かわいいような気がする。でもこの造形どこかで見覚えがある。
いや、そうだ。さっき見たじゃないか。先ほど、自分たちの後から入って来た人間たちが露店で打っていたあのアクセサリー。それとそっくり、瓜二つなのだ。
「うぅん、そうですわねぇ……もう少し明るい色で塗装した方がいいと思います。お願いできますか?」
「ありがとうございます!」
と言ってアドバイスを貰ったセノは、作業台の方に戻ってブローチの塗装をやり直し始めた。
「何やってるの?」
私は、その姿を見て一抹の不安とともにちうに聞いた。一体、彼女達は、何をしているのかと。
「これがうちのギルドだよ。アクセサリーを作ったり料理つくったりして、本当にギルドが作れるようになったら露店じゃなくて大きなお店をするってイインチョウが集めたのがこの面子だ」
「そう言う事だ! アクセサリー作りはこのドゥーチェに任せろ!」
「うちらはほとんどおまけみたいなもんすけどね」
「む、それは言うな!」
と言って奥の方にいた二人がもめ始めていた。ソレを見てフッ、と笑ったちうは言う。
「まぁ、そう言う事だ。さっきも、アクセサリーや食材の素材集めで前線に出てたんだよ」
つまり、ちうはアクセサリーや食材の調達班として、あの危険極まりない前線で戦っていたのだと、そう言う事なのか。なるほどなるほど。
「馬鹿じゃないの……」
「……」
この時、アスナの手がワナワナと震えていたのを、ちうは見逃さなかった。
プレイヤー№ 111 ???(ポリアンナ【Porianna】)≪原作:???≫
プレイヤー№ 112 ???(なるみん【Narumin】)≪原作:???≫
プレイヤー№ 113 ???(あまみん【Amamin】)≪原作:???≫
本小説、見てわかる通り参戦作品にあまりに年代的に幅を持たせすぎてる上になかなか読者に知られてない作品が今後も増えていくと思います。そこで、素朴な疑問ですが、そもそもこの小説見てる層がどこなのか、どの層に需要があるのか知りたいため質問したいと思います。質問は、大雑把ですが、気楽にお答えください。では、あなたはーーー。
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