SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO 作:牢吏川波実
私は、激昂せずにはいられなかった。なんだ。ブレスレット作りって、料理を作るって、服を作るって。馬鹿馬鹿しい。ちゃんとしたギルドだと評価した、そんな自分に腹が立つ。
なにがちゃんとしたギルドだ。こんなの、私達前線で戦ってる人間を愚弄しているだけのただのお遊びじゃないか。
「どうしてそう呑気でいられるの? 今こうしている間にも、必死で頑張って攻略している人たちがいるっていうのに、なんでこんなアクセサリーや料理をして、服なんて作っている暇があるの!? そんな時間があったら、前線で攻略すればいいじゃないの!」
「あ、アスナさん落ち着いて」
とリーファが後ろから制止しようとしてくるが、しかしそんなこともいに返すことなく私はさらに言う。
「命をかけて戦って、その結果死んでいった千人の人間がいるのに、なのにあなた達はただ遊んでいるだけ、そんなの今も前線で攻略のために戦っている人たちに失礼だわ!!」
思いの丈だった。心の底からマグマのように沸騰した本心だった。そうだ。こんなことをしている暇があるのならば、前線で攻略に勤しんだ方がまだこの世界のためになる、このゲームがクリアされる日が早くなる。そう、感じていたから。でも、それはつまり。
「さっき攻略なんてできない、何て言ってなかったか?」
「ッ!? それは……」
ちうから、痛いところを突かれた私は、言葉を失ってしまった。そうだ。自分はさっきまでこのゲームは攻略不可能なのだと言っていたでないか。だからこそ、最後まで抗って争って身を削る思いをして、自分はこの世界で抗ったというそんな事実を残すためにだけ戦っていた。
なのに、今では攻略にそんなものは必要ないなどと、MMORPGという種類のゲーム、というかゲーム自体が初心者の自分が言えるような言葉じゃなかった。そんな言葉を使うということは、やっぱりどこかにいるのだろうか、信じているのだろうか。
このゲームが、クリアされる日が必ずくるのだと、信じている自分が。
「……アスナさん」
「ッ!」
その時だ。イインチョウが私の手をとって、その顔を思いきし、下手をすればキスを出来てしまうくらいに近くにその顔を持ってくると言った。
「確かにアスナさんの言う通り、今はとても大変な時期です。でも、今がたとえどんな時であったとしても、女の子はオシャレを忘れちゃだめです」
「そんなの……」
「それに、焦ったりくよくよしているだじけじゃ、一歩も前に進ませんわ。だから、私たちは今を大切に思い切り楽しく生きていきましょう。それが、私たちのゲーム攻略です!」
「思い切り、楽しく、か」
「なんだかイインチョウさんの言葉わかる気がするな」
というのはレイアースとナデシコである。というか、そもそも彼女が寝袋を持っていることから分かっていることかもしれないが、彼女はいわゆるエンジョイ勢、と言うイインチョウのギルドと同じような感じのプレイヤー。ことこんな事態においてもフィールドで安全にキャンプができる場所はないだろうかと探そうとする猛者なのである。
だからこそ、ナデシコにはイインチョウの言葉の意味がわかるような気がした。今を大切に、今を楽しんで、例え今がそんな場合じゃないと言われたとしても自分の意思を貫くこと。その大切さを、彼女もまた知っていた。
「それに、服って言ってもただの服じゃないよ」
「え?」
と言ったのはマリンである。その言葉に補足するかのように奥にいたかじゅが立ち上がり言う。
「あぁ、装備したら何かしらの効果を付与することができるアクセサリーや服だ。私やアンチョビは、その効果と有用性を確かめるための要員でもある」
そう、この世界で作られたアイテムは、万物が大なり小なり何かしらの能力が付与される事になっている。プレイヤーにいい影響、つまりメリットを与えるアイテムか、それかプレイヤーに悪影響を与えるようなデバフであるのか。それは、作られた瞬間にそのアイテムの概要欄を熟読すればよく分かることだ。
だが、実際に戦場に出た時にどれほどの利便性を持つのか、戦いづらくないのか、そんなことを試すための人員が、かじゅやアンチョビなどの役割であるのだ。それだけじゃない。
「それに、私やちうのように、素材アイテム取得のついでに前線攻略している人間もいるから、言うほど呑気なギルドでもない」
と言ったのは、ポリアンナである。確かに、冷静になって考えてみれば、素材アイテムは店で並んでいるソレを買うか、あるいはモンスターを倒した時のドロップアイテムとして手に入れるか、もしくはクエストを行わなければ手に入れることができない。
そして、その入手難易度の高さは、今後どんどんと攻略が進むにつれて上がってくることだろう。そうなった時に誰がモンスターのドロップアイテムを取りに行くのか。それが、ちうやポリアンナ、そして前述したようなかじゅ達である。
今日のところは、あまみんやかずみんの露天販売を手伝っていたようだが、実際には彼女も、いやこの場にいる全員が、前線も前線、トップレベルクラスのプレイヤーの集まりであるというのはイインチョウの言葉である。
要するに。
「まぁ、アスナさんが言う様にちょっと変わったギルドなのは異存はありませんけれど……」
カルパッチョの苦笑い位に、明日菜は豊前とした表情で言った。
「変わり者すぎるわよ、貴方たち……」
アクセサリーや服を作ったり。そうと思ったら前線で攻略に参加したり、忙しないことこの上ない彼女達の姿に、しかしアスナは心のどこかで憧れを抱いていた。
「私も、貴方たちくらい変わり者でいられたら……よかったんですけどね……」
己も、もしも彼女達のように変わり者であったのならばもっとこの状況を呑み込んで、楽しむことができていただろう。彼女達のように呑気で何も考えていないようで、しかしその中には狡猾さもある。そんな人に最初から出会っていれば、自分の行動も少しは変わることができたのだろう。
でも、違った。自分は、変わり者じゃなかった。普通の人間だ。普通に学園生活を送って、普通に将来のための交友関係を作って、普通に将来就くであろう職務の勉強をして。
そんな、普通の人生を送ってきた自分に、彼女たちの事なんて、分かることはない。そう、後ろにいる彼女たちも。
「うわぁ、その服すごくかわいい!!」
「でしょでしょ!」
「このブローチ、カッコいい……いくらで買える?」
「買ってくれるんですか? ソレ、イインチョウさんのアドバイスも受けて私が作ったんです」
「あまみんさんが?」
いや、どうやら彼女たちも十分変わり者だったらしい。なでしこはマリンの制作した服を可愛いとほめているし、レイアースもレイアースで、外から帰って来た三人のうちの一人が持っていたブローチ見てカッコいいと言っている始末。ほんと、呑気なものだ。本当に、うらやましいほどに。
なんだか一人真面目に戦っている自分が悲しくなってくる。
「あ、あのアスナさん」
とその時だ。変わり者三人衆、と言ったら悪いかもしれないが、最後の一人であるリーファがアスナに聞く。
「確かに、私たちは少し……ううん、かなり変わり者かも知れませんけど、今は……同じ戦いに身を置く仲間として、このギルドの商品一緒に見ませんか?」
恐らく自分の苛立ちを少しでも抑えようと努力はしてくれているようだ。しかし、自分にはそんな時間もない。
「悪いけど、私にそんなことしてる時間はない。はやく、迷宮区に戻らないと」
それで戦って、もう一度、今度こそ格好よく死ななければ。そうアスナが考えて踵を返しそうになった。
「アスナさん」
その時だった。背後からイインチョウが彼女のことを呼び止める。
「なによ、もう話すことなんて……」
「なら、せめて次の会議に一緒に行きませんか?」
「会議?」
会議とはいったい何のことだろう。アクセサリーのデザインコンペの事でも言う物なら、自分はそんなものいにもかえすことなく立ち去っていただろう。しかし、その後出てきた言葉は彼女をこの町にとどめておくには十分すぎる物であった。
「そうです。この≪トールバーナ≫の町で行われる。第一回≪フロアボス攻略会議≫ですわ」
「フロアボス、攻略会議……」
つまり、この第一層が攻略される日が近づいている。一か月もかかった。でも、それでも一つ上の階層に、ゲームクリアに近づくことができる。そんな、期待感とともに、彼女はその動こうとしていた足を止めてしまった。
彼女の眼に、ようやく希望の灯がともろうとしていた。
本小説、見てわかる通り参戦作品にあまりに年代的に幅を持たせすぎてる上になかなか読者に知られてない作品が今後も増えていくと思います。そこで、素朴な疑問ですが、そもそもこの小説見てる層がどこなのか、どの層に需要があるのか知りたいため質問したいと思います。質問は、大雑把ですが、気楽にお答えください。では、あなたはーーー。
-
最近の創作物が好き(男性)
-
最近の創作物が好き(女性)
-
5〜10年前の創作物が好き(男性)
-
5〜10年前の創作物が好き(女性)
-
10〜20年前の創作物が好き(男性)
-
10〜20年前の創作物が好き(女性)
-
20〜30年前の創作物が好き(男性)
-
20〜30年前の創作物が好き(女性)
-
30〜40年前の創作物が好き(男性)
-
30〜40年前の創作物が好き(女性)
-
40〜50年前の創作物が好き(男性)
-
40〜50年前の創作物が好き(女性)
-
50年以上前の創作物が好き(男性)
-
50年以上前の創作物が好き(女性)