SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO   作:牢吏川波実

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メインシナリオ 第三章 第六話

 その顔を見た時、私はすぐさま走り出しました。聞いていた。自分の親友の姉、そして私の大切仲間もまた、この世界に来ていたという事を。

 デスゲームになってから、私たちはその大切な仲間の事を一生懸命に探しました。ですが、はじまりの町。というよりもこの第一層はとても広くて、簡単に見つけることなんてできませんでした。

 私は毎日のようにやきもきとした気持ちを持って攻略に励みました。もしかしたらみゆきのように何らかの理由があってゲームに入れなかったとか、ログインする前に事件が起こったからログインしてこなかったとか、でも一番考えたくなかったのは既に、死んでいるかもしれないという可能性。

 それだけは、信じたくなかった。あの人の強さに関しては、私たちのパーティーにいるほぼ全員が知っています。ですが、それでも万が一、万が一のことがあったら。そう思って、私達はいつも焦燥感を掻き立てられ、毎日のようにフィールドを歩き回り、時に危ないことまでして彼女の事を探した。

 でも、見つからなかった。

 そんな人が今、目の前にいた。そう、この攻略の最前線。彼女の性格だったら、絶対にいるはずだと。そうみんなから言われて、私は一足先に攻略会議が行われる場所に行きました。

 そして、見つけたのです。

 

「ゆりさん……」

 

 私達の先輩であり、そして大事な仲間の姉である来海ももか、そして大切な仲間月影ゆり、

 

「つぼみ、そうだったわね。貴方もゲームしていたんだったわね……」

 

 と、思い出したかのようにムーンライトは言う。デスゲームの世界になってから毎日を生きるのに必死になって忘れていたのかもしれない。彼女たちもまた、このゲームをプレイしていると言う事実から、目を背け続けていたのかもしれない。

 だが、実際に会って、そして胸に飛び込んできた彼女を、ムーンライトは優しく抱きしめる。まるで、母親のように。

 

「ッ、はい! すみません。今の今までメッセージも送れなくて……」

「気にすることないわよつぼみちゃん。名前も知らなければ、メッセージの送りようもない物ね」

「そうね、つぼみ。心配をかけて悪かったわね」

「いえそんな……」

 

 と言った二人に対して少しだけ申し訳のない気持ちになったつぼみ。彼女のプレイヤーネーム、実際には彼女の中で多分これではないかという確証のようなものはあった。

 しかし、もし違っていたら。もし別の人間がそのプレイヤーネームを使用していたらどうしよう。そんな考えがよぎってしまって、彼女はメッセージを送ることをためらってしまった。結果的に彼女の中の弱い部分が顔を出してしまった結果、勇気を振り絞ることができなかったのだ。

 現実世界での戦いによって手に入れることができたその勇気、しかしことこのデスゲームという異常の中に置かれたことによって忘れてしまっていた勇気を。

 

「ムーンライト、知り合いか?」

 

 と聞いたのはフォーゼだ。ムーンライトは腕の中のつぼみの頭を撫でながら言う。

 

「えぇ……つぼみ、もしかしてこっちの世界でも……」

「あ、はい。ブロッサムって名乗ってます。ゆりさん、いえムーンライトも、ですか?」

 

 安直、がしかし一番彼女にとって言われ慣れているであろう名前だ。かくいう自分だって同じような物なので人の事は言えないが、しかしそれ以外に他の名前なんて思い浮かばなかったのだ。自分が戦士として戦っている時の名前以外は。

 

「そう……ブロッサム。他の皆は?」

 

 この世界に来たのは、何も彼女一人だけじゃない。他にも数多くの、自分の仲間、知り合い、友人知人、どうとでも言って構わない。とにかく見知った仲の人間たちがこのゲームをプレイしているはずなのだ。

 きっと、ブロッサムは彼女たちと一緒にこのゲームをプレイしているはず、それならば近くに彼女達がいるはずなのだと。

 

「はい、すぐそこに、あ今来ました!」

 

 とブロッサムが言った直後、現れたのは巨大な集団だった。

 

「うわ、多ッ!?」

 

 と、バロッサが口に出してしまうほどにたくさんの少女たちの姿、まるで一つの軍隊であるかのように群衆で現れた少女たち。中には一人程少年が混じっているようだが、しかしふと見ただけでも三十人近くはいようかというほどに集まったプレイヤーたちに、誰もが驚きを隠せなかった。

 

「すげぇ! ムーンライト、お前ダチがたくさんいるんだな!」

「ほとんどが後輩よ。何人か知らない人もいるけど……」

 

 彼女の言う知らない人、と言うのはただ一人いる男性プレイヤー、つまりザ・ワールドを救った英雄であるカイト、他にもザ・ワールド経由でこのゲームをプレイし、ブロッサムたちとは偶々出会ったシャオムウことフミコやブラックローズやアイリ。この世界で出会った女の子シリカ。それとブロッサムの現実経由での知人であるパメルの事は知らない。

 そして―――。

 

「……ゆりさん」

 

 一人の、黄色いツインテールの少女が女性たちを代表するかのように前に出て言った。

 

「この流れだと……サンシャイン、ね」

「はい……みんな大体そんな感じです」

 

 と、含み笑いを浮かべながらサンシャインは言った。そう、彼女もまたムーンライトの仲間。その中でも特に親交のあった、と言うか同じチームの一員。

 これで三人、か。考えてはいたが、しかし同じチームのメンバーが三人もデスゲームの世界に取り込まれることになるなんて、正直いって快くはない。

 確かに何年も出会えないという事は無くなった。同じ時を刻むことはできないと言うことも無くなった。それと同時に、どこかで彼女たちと共に時を刻むという事に一抹の不安とともに、同じ時をあやむことができないもう一人の仲間の顔が、ブロッサムの脳裏に浮かび上がった。

 そう、≪来海えりか≫、つまり、来海ももかの妹だ。彼女は自分たちのチームの中でもムードメーカーで、無茶をしたり、危うい行動を取ったりと色々と見ていて大丈夫かと思うような人間だった。でも、そんな彼女と一緒だったから辛い戦いでも乗り越えることができたし、今の自分はここにいる。

 だからこそ辛い。そんな女の子が、一人現実に取り残されたと言う事実に。みゆきのように、外側からただ傍観者としてしか見ることのできない彼女のことが。

 

「ハックシュン!」

「マリンさん、風邪ですか?」

「いやいや、ゲームの中だからそんなのないでしょ!」

 

 まぁ、現実どころかゲームの中にいたりするのだがそれはまだ知らぬ話。

 

「ブロッサム、サンシャイン、知り合いなの?」

 

 と、この面子の中で唯一の男性であるカイトがそう聞いた。

 

「二人の知り合いと言いますか……」

「私たちみんなの知り合いと言いますか……」

 

 と言ったのは、ピーチ、並びにカスタードであった。もはや苦笑いも苦笑いである。確かに自分たちにとって彼女は知り合い。というか、知り合い以上の関係、戦友と言ってもいい間柄の人間である。

 だから、知り合いと言えば知り合いなのだが、先輩でもあるので対応に少しだけ困ってるそうな。その辺についてはおいおいカイトたちには説明しておくとしてだ。

 

「あなた、もしかしてチハヤ?」

「まこと? それにうらら?」

 

 と言ってフードを取った瞬間、誰かの『アッ』という呟きが響いた。そこにいたのは、765プロのアイドル、つまり有名人と言ってもいい人間の一人の如月千早だったから。

 そして、人ごみの中に紛れ込んでしまっているため分からなかったが、言われてみてようやく気が付いた。後から来た何十人もの女性の中に、アイドルで歌手、そして≪プリキュア≫として有名な剣崎真琴。そして子役としてTVなどでよく見る春日野うららがいるという事に。

 

「フードもかぶらないで行動するなんて危険よ」

 

 と、チハヤがそう言いながら再びフードをかぶった。なるほど、だから彼女はフードをかぶっていたのか。自分の正体を隠すために。

 彼女はSAOを世間一般に広げるために結成されたプロジェクトSAOに参加していたアイドルの一人。まことやうららもそうだ。そして、それはつまり彼女たちが一般プレイヤーから憎悪の対象とされる可能性を意味していた。

 だからこそ、チハヤは自分の顔を悟らせないためにフードをかぶっていたのだ。それなのに、その場に現れたまこととうららは何もかぶらずにその集団の中に入って。だから、注意したのだろうが。

 

「えっと、意外に気が付かれない物ですよ」

「えぇ、特にどうどうと歩いていれば……ね」

「そういう物なの?」

 

 そう、どういうわけだか、フードもかぶらずに堂々と歩いている彼女たちが声をかけられることはなかった。

 まぁ、理由は簡単。こんな大所帯で動いていたら誰もその中にいる一人や二人に注意を向けないから。

 勿論いつもこんな大所帯で動いているわけじゃないし、実際今も前線で戦ってるメンバーが数人離れてはいる。が、それでもいつも十数人単位で動いているので、そりゃ気が付かれなくても無理はない。

 まさしく、木を隠すなら森の中を字で行く彼女達、であった。

 ふとその時、一人の男が、なんと言うか当たり前の様に言った。

 

「よし、ダチのダチは俺のダチだ! 俺の名前は如月弦太朗! この世界じゃフォーゼだ! よろしく頼むぜ!!」

「唐突やなぁ……」

「ムーンライト、この人はいつもこんな感じなんですか?」

「えぇ、大体は、ね」

 

 呆れる様なツッコミを入れたサニー、ムーンライトにフォーゼの事を聞いたルージュに対し、ムーンライトは薄い笑みを浮かべながら答える。

 そういえば、自分たちがこの世界で一緒にパーティを組む事になった時もこんな感じだったなと、思い出しながら。




プレイヤー№ 115桃園ラブ(ピーチ【Peach】)≪原作:フレッシュプリキュア!≫
プレイヤー№ 116有栖川 ひまり(カスタード【Custard】)≪原作:キラキラ☆プリキュアアラモード≫
プレイヤー№ 117日野あかね(サニー【Sunny】)≪原作:スマイルプリキュア!≫
プレイヤー№ 118夏木りん(ルージュ【Rouge】)≪原作:Yes!プリキュア5GoGo≫

 そういえば、フレッシュプリキュアとGO!プリンセスプリキュア参戦の表記後書きで書いてなかった。

本小説、見てわかる通り参戦作品にあまりに年代的に幅を持たせすぎてる上になかなか読者に知られてない作品が今後も増えていくと思います。そこで、素朴な疑問ですが、そもそもこの小説見てる層がどこなのか、どの層に需要があるのか知りたいため質問したいと思います。質問は、大雑把ですが、気楽にお答えください。では、あなたはーーー。

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