SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO 作:牢吏川波実
アンチョビやかじゅ、セノと言った面々。自分が、昨日から一緒にいたプレイヤーたちが、どうやら現実世界で知り合いだった人間たちに出会えたようで、談笑している。
それだけじゃない。他のプレイヤーたちもまたそれぞれに笑顔でたくさんの笑顔を振りまいている様子を見て、群衆の中に連れてこられたアスナは思ったという。
「どうしましたか?」
「皆、呑気だなって思って……」
「まぁ、確かに……呑気だな」
そう、あまりにも吞気すぎる。これから自分たちはこの第一層攻略戦というとても大きな壁を前にして会議をするのだと、命がけの戦いに向かうための話し合いをすると言うのに、どうしてこうも呑気に、笑っていられるのか。アスナには考えられないことだった。
「こんなメンツで、本当にボス攻略なんて、できるのかしら……」
「できるのかじゃない。するのです。絶対に」
「……」
そう、イインチョウに言われたアスナ。そうだ、どんな状況であれ、どんなプレイヤーと一緒に戦うのであれ、自分たちはボスを倒さなければならないのだ。そうしなければ、前に進むことなんてできない。上の階層に進むことができない。一生ゲームをクリアすることなんてできない。
こんな不安の残るメンバーと一緒であったとしても、ボスを倒して、攻略せねばならぬのだ。そう、例え自分が知らない人間達の集まりだったとしても、だ。
「知り合いがいるのって、うらやましい……」
「あぁ、確かに……」
ちゆは、そのアスナの言葉に賛同した。この二人、イインチョウもそうであるが、ここに集まっている多くのプレイヤーとは違う面がある。それが、現実世界の知り合いと言う者がこの場にいないこと。
他のプレイヤーたちは、知り合いと話をして、命からがら出会えたその喜びを分かち合えるというのに、自分たちは孤独にただ、その姿を羨ましそうに見ているだけ。もしも、この場に自分の知り合いがいたら。
いや、それはただの願望。自分と同じ、人生のレールから外れる人間が増えることを願っているただの欲望に過ぎない。だから、そんなことは考えてはならないのだ。
が。
「何言ってんのアスナ」
「え?」
群衆の中から、一人の女の子が、アスナにとっては信じられない事に≪現実の世界で≫会ったことのある人間が現れた。
「貴方、確か立髪コンツェルンのご令嬢の!」
「そんな堅苦しいの良いって、この世界じゃ、ジェラート。久しぶり、アスナ」
「え、えぇ……」
アスナは、ジェラートから差し出された手を信じられない気持ちで掴んでいた。まさか、いや彼女だったらありえるかもしれない。お嬢様という立場でありながらバンドのボーカルなどというものをしている彼女なら。
いや、それだけじゃ無い。
「あら、あなた、もしかして結城明日奈さんではないですか?」
「え?」
アスナは驚いた。今再び自分の、現実の世界の名前を呼ばれたから。振り向いた瞬間。そこにいたのは、見覚えのある金髪の女性を先頭にした五人組のパーティーの姿だった。
「あ……貴方確か……」
そう、知っていた。自分は彼女の事を。よく母や兄に人脈を作るためと連れていかれた社交界の場で遭遇していた、ご令嬢の一人だ。
「やっぱり、まさかこんなところで出会うなんて、奇遇ですわね」
「本当、こんなところで出会いたくなかった……」
と、アスナは彼女の言葉に否定的な言葉で返す。こんな場所で、再会なんてしたくなかった。こんな、命のやり取りをする仮想世界の中で、ジェラートや、彼女と出会うなんて何たる不幸なのだろうかと。
「知り合いか?」
「よく社交界で会うの、立髪あおいさんと、それから……」
「龍門淵透華。この世界では≪トウカ≫ですわ。それと……」
と言って、透華と名乗った女性は後方にいる四人にも自己紹介をするように目で訴える。すると、まず男、のような女性プレイヤーが面倒くさそうに頭を掻いて言った。
「……≪ジュン≫」
それに続き。
「≪サワキー≫、だけどもうハンドルネーム使っても意味ないわね。沢村智紀」
「龍門淵家でメイドをしてる国広一だよ」
「そして、天江衣だ!」
と、他の三人も自己紹介を終え、ちうが一言。
「子供?」
「子供じゃない衣だ!」
と、あんまりな発言に衣が怒り出した。いや、確かに身長的な面で見れば、このメンバーの中で一番低身長なのが、自らを衣と名乗った女の子。だから、ちうがつい子供と声に出してしまったのは仕方がないのかもしれない。
かくいう彼女も、知り合い、というかクラスメイトに子供のような身長の中学生がいるのだが、なんだかそこに親近感のようなものが沸いてしまったのかもしれない。
「皆様はどういうお知り合いで……?」
「私たちは、龍門淵高校の麻雀部です」
「透華のコネでSAOをゲットして遊んでたら……」
「デスゲームなる物をプレイする羽目になってな」
「以来ずっとゲームの中にいたってわけだ」
龍門渕。確か、彼女の名前も龍門淵だったような。彼女の親が運営している学校なのだろうとちうは考える。
その通り、龍門渕高校は私立の高等学校であり、龍門渕透華の祖父が理事長を務めている学校である。そして、麻雀部というのは、彼女の親戚筋に当たり、両親を失って幽閉状態に陥っていた天江衣の遊び相手を探すために、上級生を全員倒して作り出した、いわば衣のための遊び場。
しかし、その実力はとても高い物で、現在高校二年生であるが、一年生の時にはそれまで六年連続で全国大会に出場していた風越女子を破って全国大会に出場、今年も長野県大会で大暴れして決勝戦まで駒を進めた猛者の集まり。
井上順も沢村智樹も国広一も、衣の遊び相手にと透華が色々な筋を通って集めた人材であり、衣ほどではないにせよ相当な実力を持った少女たちだ。
ふと、イインチョウが気が付いた。
「麻雀部? では、かじゅさんとセノさんのお知り合いでしょうか?」
その言葉を聞いた五人は、顔を一瞬変えた。中でも、智樹と名乗った女性はアイデンティティの一つであり、アクセサリとして着用することのできる眼鏡を一度上にあげると呟いた。
「かじゅとセノ……? まさか、セノってあの……」
長野県大会の決勝戦で、自分が戦った。彼女の事なのか。そう考えて、イインチョウが差し出した手の向こう側にいたのは、やっぱり彼女たちだった。
間違いない。長野県大会決勝で対戦した鶴賀学園の次鋒である妹尾香織と加治木ゆみだ。智樹にとって、セノという少女は自分の対戦相手の一人であっただけでなく、その圧倒的な運によって一方的に負かされると言う屈辱を味あわされた女の子。その彼女の事を見間違えるはずがなかった。
セノは、自分達よりもやや遅れてこちらの存在に気が付き、隣にいるかじゅの肩を叩き、そしてその向こう側にいる見知った顔の人間たちに自分達の存在を知らせて手を振って来る。
「やっぱり……それにあそこにいるのって……」
「清澄と阿知賀の……」
「原村和!!」
そう、彼女たちが長野県の大会に出ていたのなら、清澄と同じ地区大会に出ていたという事。つまり、龍門渕高校の人間たちと清澄高校の人間たちは顔見知りであるのだ。並びに、阿知賀女子とも、全国大会以前に武者修行のような物につきあったり、彼女たちの麻雀力アップのためにひそかに対戦したりするなどで交流を深めていた学校。
要するに、麻雀でつながった者たちがここにまた一つ、集結したのである。
「咲~!!」
因みに衣に至ってはその姿を見た瞬間にサキの方に走り出す始末だ。まったく、行動から見て本当に子供のようにも見える。しかし、先ほどの話からすれば彼女はもう高校生なのか。あの身長で。
とてもそうには見えない行動に、アスナはため息をつくと同時に呆れていた。とはいえ、知り合いに出会えたと言うのはちょっとばかし彼女が救われたという事になるのかもしれない。
「アスナさん。それにあおいさんも、まさかSAOをしていたなんて、驚きですわ」
「この世界じゃジェラートだからね。それをいうなら一番びっくりなのはアスナの方だし」
「えぇ、私も……こんなものに巻き込まれるなんて、びっくり……」
と、自虐のように言った。そうだ。元々自分はSAOなるゲームをプレイするはずじゃなかったのだ。ただ兄がプレイしようとしていたソレを勝手に使って、プレイし始めて、そして二度と取り戻すことのできない貴重な時間を奪われた。そんなことで人生を棒に振った愚かな人間なのだ。
「同じね、貴方達も、私も……」
そう、彼女達もまた同じなのだ。自分と。そう、アスナは呟いた。
プレイヤー№ 124立神あおい(ジェラート【Gelato】)≪原作:キラキラ⭐︎プリキュアアラモード≫
プレイヤー№ 125龍門渕透華(トウカ【Touka】)≪原作:咲-Saki-≫
プレイヤー№ 126井上順(ジュン【June】)≪原作:咲-Saki-≫
プレイヤー№ 127沢村智紀(トモキー【Tomoki】)≪原作:咲-Saki-≫
プレイヤー№ 128国広一(ファースト【First】)≪原作:咲-Saki-≫
プレイヤー№ 129天江衣(コロモ【Koromo】)≪原作:咲-Saki-≫
本小説、見てわかる通り参戦作品にあまりに年代的に幅を持たせすぎてる上になかなか読者に知られてない作品が今後も増えていくと思います。そこで、素朴な疑問ですが、そもそもこの小説見てる層がどこなのか、どの層に需要があるのか知りたいため質問したいと思います。質問は、大雑把ですが、気楽にお答えください。では、あなたはーーー。
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