SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO 作:牢吏川波実
第一層ボス攻略会議は、結果としては、一人の男の身勝手な行いによって、残念ながら何の進展もすることなく打ち切りとなった。
現場は勿論騒然となって、自分たちがβテスターであると明らかにした面々も、その混乱に乗じてそれぞれに散会し、後に他の面々含めて合流と言う運びとなった。
そして、元βテスターであるプレイヤーたちは、他のメンバーと合流した時に驚きを隠せなかったそうだ。
当たり前だろう。なぜなら、そこにいたのは自分たちが別れた時よりもはるかにその人数を上乗せしたプレイヤーがいたのだったのだから。なお、その多くが女性だったのは言わずもなが、と言った風である。
中には見知らぬ人間もいたのだが、どうやらそういった面々はあの時、キバオウと共にボス攻略を≪したくない≫かと問われた時に立ち上がってくれた人々らしい。他、何人か知り合いのプレイヤーもいたらしく、その全員を連れてきたらこの数になった、とのことらしい。
とにかく、これだけの人数が集まったのだから何かしないかと言ったのは果たして誰だっただろう。結果、こうなった。
「まぁ、第一層ボス攻略会議はどっかの≪馬鹿≫のせいでお流れになっちゃったけど」
と、馬鹿の部分だけ強調し、その指揮を執るのはヤスミである。ヤスミの前には、彼女たちと行動を共にしていたいわゆるSOS団のパーティーと桜が丘高校軽音部の面々だけじゃない。
アスナやプロジェクトSAOに参加していたアイドル達、それからシンケンRをはじめとした―他の面々は知らないことだが―スーパー戦隊、仮面ライダー、プリキュア。他、前線を突っ走るトップランナーのプレイヤーたちが勢ぞろいしていた。
ソレを前にして、ヤスミは言うのだ。
「とにかく、こうして共にゲーム攻略に励んでいる仲間たちがこれだけ集まったのも何かの縁!」
「お代は全部、私のギルドが出しますわ。皆さんで一緒に騒いで遊んで、親睦を深めましょう」
「おぉぉ!」
と言ったイインチョウの言葉に真っ先に反応したのはその集団の中でも一番前に立っているユイであった。
彼女も含めてだが、全員が全員その手にジュースの入ったコップを持っていて、今にも宴が始められる準備は万端と言った感じだ。と言うか。
「改めて思うけど、このギルドの家、随分広いわね」
「まぁな、三階まであるぞ」
「そんなに?」
「後々の事まで考えて、だそうだ……イインチョウによるとな」
アスナの言葉にあきれるようにちうが言った。そう、今この場には総じて百人近いプレイヤーが集まっている。それなのに、あまり手狭な感じが出ないのは、イインチョウの先見の明が凄かったからとみるか、それとも宝の持ち腐れと言うべきか、なんにせよ、彼女のおかげでこれだけの人数が入ることができる場所を確保できたのは確かなことだ。
ヤスミが言う。
「とにかく、今日の所は楽しく騒いで! 明日以降のボス攻略会議、そしてその先のボス攻略戦に向けて英気を養うわよ! ってことで! せ~の!!」
『かんぱーい!!!』
その言葉を合図として、各々が手に持ったグラスを他のプレイヤーのグラスに当て、ゴクゴクと音を立てて飲み始めた。それはまさしく、彼女が言った通りに宴会のソレの様であって、しかし大人の宴会と言うわけではない。
そもそも論としてこの世界にお酒があること自体まだ分かっていないし、あったとして酔えるかどうか分からない。いや、酔えないのならそれはお酒ではなくそれは炭酸水なのではないかという不思議な疑問も湧いてくるのだが、それはともかくとしてだ。
一口、ジュースを飲んだ面々はまるでそれまでの一か月間の緊張から解放されるかのように騒ぎ始めた。そう、まだ第一層すらも攻略されていないのに、それはまるで。
「まるでボス攻略の予祝のようじゃな!」
「シャオムウやめてよ、なんか不吉な予感がするじゃない」
とブラックローズがシャオムゥ、いやフミコか、とりあえず彼女の言葉にツッコミを入れた。確かに何だかその言葉を使うと嫌な予感が漂ってしまう。呪いのようなものなのか、心に刻み込まれているトラウマなのか、まぁ、それはさておきだ。
「いやぁ、やっぱりみんなで騒ぐのって楽しいよね!」
なんて言っているマリン。だが、そんな彼女に複数人の女性プレイヤーが集まって言った。
「えりか!」
「げぇ!? もも姉ぇ!?」
マリンはその時たいそう驚いたと言う。理由は簡単だ。彼女に声をかけた人物、オーシャン、現実での名前は来海ももかは、マリンの実の姉であり、この世界に来ていたとは思ってもいなかったから。
いや、それは他の仲間たちもまた同じである。
「えりか、どうしてこの世界にいるんですか!?」
「確かSAOは手に入れることができなかったって、言ってなかった?」
ブロッサム、サンシャインの二人が驚きとともに疑問符を呈していた。
そう、確かにえりか、つまりマリンの事だが。彼女は、SAOの予約の抽選会などには参加していたのだが、他の各仲間たちとは違って自力で手に入れることができなかった。故に、ここではグループと称するが、彼女が所属しているとあるグループの中で唯一SAOをプレイできないと言うことで非常に嘆いていた姿は、今でも思い出すことができる。
が、それもまたデスゲームが始まるまで。ブロッサムたちは、せめて彼女だけでもこのデスゲームの世界に呼び込まれなくて良かったと一安心していた。
ところにこれである。一体どうして彼女がいるのか。そう聞いたサンシャインの言葉に、マリンはそれまでの朗らかな顔から困ったような顔をして言う。
「いやぁ、実は私初日にみゆきからSAO貰ってプレイしてたんだよねぇ」
「みゆきからやて!?」
その言葉に驚いたのは、みゆきと現実で親交のある、とするのならそこにいる多くのプレイヤーがそうであるのだが、同じグループの一人であるサニーだった。
星空みゆき。確かに彼女はSAOのサービス開始日ちょうどに高熱が出て、プレイすることができなくなったと、当日になって連絡を貰っていた。
その時には残念に思っていたが―――このこと関しては前述したのと同じなのでまぁともかく、良かったとは思っていた。だが、まさか彼女の持っていたSAOがそのままマリンの方に渡っていたなんて、思いもよらなかった。
「そう。で、後から皆を驚かせようかなって思ってたんだけど、デスゲームになっちゃったでしょ? プレイヤー名も分からないし、広いから皆を見つけられなくて困り果てて」
「それで、このギルドに拾ってもらったと?」
「そう言う事!」
「はぁ……」
といってサムズアップしたマリンを見て、多くの人間がため息をついた。まったく、この子は現実世界から何も変わっていない。
お調子者と言うか空気が乱れると言うか、彼女の周りだけまた別の空間が出来上がっているかのような、そんな風に思える。
だが、それがある意味で誰もが安心でき、そして笑顔になれる要因になれた。
「普段はこのギルドで服のデザインとかやってるの。友達割しとくから、あとで買っててよ」
「え? マリンは戦闘には出てないの?」
「いや、確かに戦闘系のスキルも上げてることは上げてるし、時々、素材集めとかいろいろな理由があってフィールドに出ることはあるよ」
色々な理由。主に、イインチョウ他からの指示で見ず知らずのプレイヤーを助けるためにフィールドに出る事。そう、この間のエイミーの事件の時と同じように。だから、彼女が前線で戦えないというわけでもないし、完全に生産職のプレイヤーに収まっているわけでもない。
それでも、彼女が積極的に前線に出ていこうとしないのは。
「でもさ……」
と言って、それまでの笑顔を消した彼女はしかし、やや微笑みを残して言った。
「もし私が死んだら、一番悲しむのは、みゆきでしょ?」
「あ……」
「みゆきちゃん……」
その言葉に、エコーが反応した。そうだ、先ほど彼女はみゆきからSAOを譲り受けてプレイしたと言っていた。そう、このデスゲームとなった世界にマリンを、語弊がない言い方で言うなら送り込んだのはみゆきであるのだ。
だから、彼女はなるべく死なないようなプレイリングをしている。もしも、自分が無茶をして死んでしまったら一番悲しむのは親姉妹だけじゃない。自分にSAOを授けたみゆきなのだから。それを、知っていたから。
「えりか、いえ、マリン……」
「ブロッサム、どしたの?」
といいながら、ブロッサムはマリンの身体を抱きしめた。まるで、愛おしそうに。
「いえ……また、再会できるなんて思ってもみませんでしたから……」
ゲームクリアまで、良くて二年か三年か、はたまたそれ以上か。えりかとはそれまで再会することが叶わないと、そう思っていた。だからこそ、彼女は不謹慎ながらも思っていた。再び彼女と出会えてよかったと。
こんな殺伐とした世界での再会とはなったものの、その顔をもう一度見れてよかったと、喜んでいた。
マリンは、そんなブロッサムの頭を愛おしそうに撫でるだけだった。ゆっくりと、ゆっくりと。
本小説、見てわかる通り参戦作品にあまりに年代的に幅を持たせすぎてる上になかなか読者に知られてない作品が今後も増えていくと思います。そこで、素朴な疑問ですが、そもそもこの小説見てる層がどこなのか、どの層に需要があるのか知りたいため質問したいと思います。質問は、大雑把ですが、気楽にお答えください。では、あなたはーーー。
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