SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO 作:牢吏川波実
「ちうさんどうしたんですか?」
「イインチョウか」
仲間たちの事を思ってか、暗くなっていた彼女に対して声をかけて来たのは、このギルドのマスターであり、この宴の発起人の一人、かつ会場、食材の手配を一挙に引き受けたイインチョウである。
「そんな湿っぽい顔をしていてはいけませんよ」
「そう見えるか? 悪いな、これがアタシの元々の性格なんだよ」
と、ぶっきらぼうに言うちう。そう、元々彼女はあまり明るい性格ではなかった。元々というより今も、であるが。しかし、これでもまだ明るくなった方。
彼が、あの先生が学校に来るまではクラスの異常さに頭を悩ませて、ほとんど学校の寮に閉じこもり、自分の趣味に没頭するという陰キャと呼ばれる世界の人間だった彼女。
そんな彼女が変われたのが、あの特殊な先生に出会えたこと、そして異常と思えていたクラスメイト達が本当に異常だと知って、そして親交を深めることができたことが理由だった。
それでもやっぱり、この世界に来て一か月。彼女の性格が元に戻ろうとしていたのだろう。その時だった。
「ダメですよちうさん。女の子は、いつでも笑顔で優雅で、なにより絶対可憐! でなければなりません!」
と、元気の押し付けをしてくるイインチョウであった。まったく、前の世界のクラスメイトにもいなかったような性格の持ち主だ。いや、どちらかと言えばあの冒険を経験していない極まれな人間の一人の柿崎に似ているかもしれない。だが、ここまでの図々しさあっただろうか。いや、ない。
それがある意味で、彼女にとってはあのクラスの異質さを思い出させて、望郷の念を抱かせて、そしてあの世界に帰りたいなと思わせてくれる、そんな一助となっていた。
「!?」
「ど、どうしたの!?」
と、その時だ。イインチョウの言葉を聞いたすぐ近くにいた二人の女の子が反応したのは。
二人は、βテスターでもここにいる人間たちの知り合い、というわけでもなんでもなかった。しかし、一緒にこの世界に≪捜査≫をしに来ていた人間たちの知り合いがいたという事、更にはあのヤスミがキバオウと一緒にボス攻略戦に挑みたいかと聞かれた時に立ち上がったことによってこのパーティーに呼ばれた人間たち。その二人がイインチョウの言葉に耳を傾けた。その理由は勿論。
「いや……」
「私たち、現実世界で頻繁に、≪絶対可憐チルドレン≫なんて名乗ってたから」
「あぁ、そう言えば」
と、納得したのは≪デカ・G≫だった。
そう、イインチョウの≪絶対可憐≫という言葉に反応したのは特務エスパー≪ザ・チルドレン≫のメンバー、野上葵と三宮紫穂。この世界ではそれぞれ≪ゴッデス≫に≪エンプレス≫と、どこかの誰かさんが名付けたソレを面倒だからとそのまま引用している二人であった。
そう、この場には≪B.A.B.E.L≫からこのSAOの調査のために派遣されていた特務エスパーの五人、そしてその五人と合流したスペシャルポリスの二人もいたのである。
因みに、特務エスパーから他に来ているのは。
「この肉おいしい! もっと食べていいイインチョウ!」
「もう、初音ちゃん。ナオミちゃんを見習ってもう少し綺麗に食べなさい」
「小鹿さん。この世界に来てから初めてのまともな料理ですから、少しばかりハメを外してもいいんじゃないですか?」
「ナオミ! えらい!!」
特務エスパー≪ザ・ワイルドキャット≫の梅枝ナオミと≪ザ・ハウンド≫の犬神初音。そして、運用主任を代表して同じく≪ザ・ハウンド≫の小鹿圭子、計五名がこの世界に来ている特務エスパーである。五人全員が女性であるところに何か恣意的な何かを感じるのだが、そこは置いておくとして。
彼女たちは、本来茅場晶彦を捜索するという任務のためにこのSAOの中に入り、中でスペシャルポリスの面々と合流、その任務を始めようとしていた。
その矢先だった。あの悪夢のようなチュートリアルが始まったのは。
誰もが、他の、一般プレイヤーたちのように暗い顔をした、現実世界に戻れないのだと、一瞬は絶望した。だが、そんなことで立ち止まる彼女たちではなかった。
結果、特務エスパー五人、スペシャルポリスの二人、そしてもう一人の女の子も含めて合計八人で一緒に最前線で戦い抜き、トップランナーのパーティーの一つとなっているのだ。
因みに、スペシャルポリスから来ているのは、説明した通り≪デカ・G≫、それから。
「まぁ、この世界じゃどれだけ食べてもカロリーを気にしなくていいからね。あ、お風呂もあるのかなここ?」
と言っている≪デカ・G≫の奥さんでもある≪デカ・M≫である。さらにもう一人、あのはじまりの街で出会ったプレイヤーは。
「ホラ、初美花ちゃんも食べよう!」
「はい! うわぁ、おいしそう」
怪盗戦隊ルパンレンジャーの一人にして、現在保護観察処分中の身であるルパンイエローこと、早見初美花、であった。
確かに、保護観察処分中の人間は旅行などの行事ごとへの参加に関しては制限がされていることが多い。だが、事今回に関してだけ言えば、最初は本当にただゲームを楽しむためだけにSAOとナーヴギアを買って、結果的にこの異世界とも言ってもいい場所、ゲームの世界に閉じ込められてしまった。
彼女は絶望した、わけなかった。なぜなら、変な世界に閉じ込められるという事自体彼女は一年も経験していたのだから。しかも、仲間二人と一緒に一年間、ほとんど何もない空間に閉じ込められるなんて経験をしていた。そんな彼女にとって、こんなにも大勢の人間と一緒に閉じ込められるなんて、さほど関係ないことだ。逆に、すぐに≪一応≫同じスーパー戦隊の一員であり、さらに自分の知っている戦隊と似た組織である人間に声をかけるのは当然の事だった。
因みに彼女に関してはその戦隊としての出自も影響してか、≪ルパン・Y≫ではなく≪Yフジコ≫という名前を用いている。一応、彼女がルパンレンジャーという義賊の一員だという事は、当時未成年であったこともあって顔写真として公開されていない。
あるとすれば、当時の敵の策略による生放送による顔の暴露ぐらいで、その他ではその顔が出たことがないため、彼女がルパンレンジャーの一人だという事を覚えている人間はそんなにはいないと思うのだが念のための配慮、と言う物だ。
「特捜戦隊、それから噂の、怪盗戦隊の者か」
「貴方たちは……」
「侍戦隊の……」
「侍?」
「そうだ。初めて会うな、侍戦隊シンケンジャー、先代レッド。この世界では、シンケン・Rと呼んでくれ」
と、人波をかき分けて現れたシンケン・RとMの二人。彼女たちも、直接対面したことはない物の、同じ戦隊の人間である特捜戦隊デカレンジャーの二人とはある大戦において別々の場所で共に戦っており、また怪盗戦隊ルパンレンジャーの事は、風の噂程度には聞いていた。しかし誰もが素面での対面は初めてとなる。
いや、ゲーム内でのことなのだから素面で、と言うのは語弊があるのかもしれないが。
「けど、なんだか不思議ですね。警察の人と怪盗が一緒に冒険しているなんて」
「まぁ、警察と一緒に戦うのは何度もあることだし」
「え?」
と言った≪Yフジコ≫は、頭の中に思い浮かべていた。かつて、自分たちと敵対しながらも、時に競い合い、時に一緒に戦ったあるスーパー戦隊の事を。
とても暑苦しい熱血漢で、でもとても頼れるお巡りさん。
お姉さん的な立ち位置の女性で、少し変わったぬいぐるみが好きと言う性格を持っているけど、でもこっちもとても頼れるお巡りさん。
そして、もう一人。自分が、淡い恋心を抱いた。騙されやすくて抜けているところもあるけれど、とても情に厚くて、自分が自首した時に、三人の警官は一生懸命に自分への処罰を配慮してくれるようにと関係各所に頼み込んでいたらしいが、その中でも一番奔走してくれた、お巡りさん。
その三人と、そして三人の仲間。その顔を思い浮かべるだけで、彼女の心はポカポカと温まるような気がした。
そんな気が、したのである。
本小説、見てわかる通り参戦作品にあまりに年代的に幅を持たせすぎてる上になかなか読者に知られてない作品が今後も増えていくと思います。そこで、素朴な疑問ですが、そもそもこの小説見てる層がどこなのか、どの層に需要があるのか知りたいため質問したいと思います。質問は、大雑把ですが、気楽にお答えください。では、あなたはーーー。
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