SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO 作:牢吏川波実
ギルド内での宴は、開始から三十分程が経過していた。
この間、多くの知り合い、この世界に来ていたことを知らなかった人間たちの再会を目の当たりにして、凄く楽しそうにしている面々を見ながら、数名の人間たちは端っこの方でジュースやポーションを寂しげに飲んでいた。
「えっと……」
「……」
エイミー、クレール及びベーゼラ。そして。
「こんなフレンドリーなギルドに、私たちが呼ばれてよかったのかな……」
間宮あかり他六名、東京武帝高校に通う者たちである。
それぞれにあかりは≪A≫、佐々木志乃は自分の家にある流派をもじった≪ガンリュウ≫、火野ライカは≪バット≫、高千穂麗は≪スタームルガー≫、島麒麟は≪ジョナサン≫、そしてあかりの妹のののかは≪アミカ≫と言う名前でこのゲームをプレイしている。
エイミーたち三人は以前にこのギルドにお世話になったことがあるからともかくとして、武帝高校に通っている子たちに関しては完全に身内のノリになっている集団を少しだけ遠い位置で見ているだけであった。
「い、いいんじゃないでしょうか、こうしてたくさんの人と一緒に話すのも……」
と、ベーゼラが彼女たちを援護するように言ったが、しかしこの宴、あまりにも規模が大きすぎではないだろうかと思うのは自分たちだけだろうかと武偵組は思っていた。
「てか、まだボス戦もやってないのに今のうちにこんなに騒いでいいのか?」
と、バットが疑問符を呈するほどに。
「仕方ありませんわお姉さま。この一か月、誰もがいつ死ぬか分からない中生きて来たんですもの。こうして少しは気を抜ける瞬間があってもいいじゃないですか」
ジョナサンは、手元のジュースを飲みながら言った。
確かに、この一か月かなり大変だった。ジョナサンの言う通りいつ死ぬか分からないような毎日を送ってきたのだ。その中で、この息を抜く機会と言う物を与えてくれたイインチョウと言う存在には確かに感謝しなければならないのかもしれないと、Aもまた思っていた。
そして。プレイヤー同士で親交を深め、情報を集めるチャンスとも彼女たちは思っていた。
この武偵の六人―アミカは違うが便宜上そう扱う事にする―は、前述したとおりに現実世界では戦いに慣れている。だが、この世界での戦いに関してはかなり危ない橋を渡ってきたと言ってもいい。
現実でも主に刀を使用していたガンリュウやレイピアの使い手のスタームルガーはともかくとして、拳銃を主体として戦っていたA達、そもそも一般校に通っているAの妹のアミカと、この剣一本で戦うには少々心もとない六人で一緒に行動し、出てくるモンスターに対してこの世界で培った技術、そして先の騒動でキバオウが出したガイドブックを参考にして何とか生きて来られたのだ。ここまでこれたのは本当に奇跡的な事だったと改めて思える。
もしかしたら一人は死んでもおかしくなかった、そんな状況を何度も作って、何度も生還して安堵して、その中でたどり着いたこの街。少しくらい肩の荷を降ろしてもいいのではないだろうか。
「そうですわ! どんどん食べて! どんどん飲んでください!」
「うわぁびっくりした!」
と、ここで現れたのは神出鬼没のイインチョウである。まったく先ほどまで別の場所にいたのに、彼女は瞬間移動能力でも持っているのかと言うくらいに素早い動きをしてくる。そんな彼女の動きを、現実世界ではないとはいえ察知することができなかったのは武偵としてまだまだという事なのかもしれない。
「話は聞かせてもらいましたわ。今更ですが、よろしければ私がソードスキルやスイッチの仕方をレクチャーしますわ」
「いいんですか?」
「勿論! 最初は誰もが見知らぬ仲、ですがこうして親睦を深めた今、そしてこのゲームがこうなってしまった今、私たちは既に大切な仲間なのですから! オーホホホホホ!」
「な、なんだか燃えてませんか?」
「どうやら、変なスイッチが入ってしまったようだね」
「なんかスタームルガーにも似てるような……」
「へ? 私、このような高笑いなんて」
「「「してる」」」「「してます」」
なんて総ツッコミを受けているスタームルガーはさておきだ。
「でも、なんだか不思議な光景……」
「え?」
ふと、エイミーが呟きながらポーションを飲んで言った。
「いつもは、皆必死の覚悟で戦って、笑顔なんてないのに……みんなで笑って騒いで、まるでお祭りみたいで、そんな光景が見れるなんて」
「確かにそうかも……」
アミカは、エイミーの言葉に同意した。
彼女の言う通りだ。この世界に来てからと言う物、色々な村や街に行き、クエストをいくつもこなしてきた。でも、その中で出会う他のプレイヤーは誰もが戦うのに必死になっていて、あるいは死にたくないと叫んで、戦っていた。こんな風に、たくさんのプレイヤーが笑顔で騒いでいる様子を見るのは、初めての事なのかもしれない。
「これからも、こんなお祭りみたいな騒ぎができるといいですね」
「うん……」
アミカの言葉に、今度はエイミーが賛同した。
そうだ。これからもこんな楽しい世界を作って行こう。こんな、バカ騒ぎをしよう。そのためにはどうするべきなのか、決まっている。どんどん自分たちが強くなって、どんどんゲームクリアに向かって行く。それしか方法はない。
でも、問題はそれまでに出ることになるはずの犠牲者の数。アミカも分かっていた。犠牲者が出ることなくこのゲームがクリアされることは絶対にないのだと。現にもう一か月で千人のプレイヤーが命を落とした。果たして、ここにいるプレイヤーの内何人がゲームクリアまでに犠牲になることになるのか、想像するだけでも寒気がしてくる。いつかは、こうしてバカ騒ぎをするようなことも無くなってしまうのではないか。そんな不安が、二人の中に生まれた。
「何を心配してるのよ」
「え?」
「大丈夫! このアタシがすぐに第一層のボスを倒して、次の階層まで進ませるし、ここにいるプレイヤーは誰一人殺させないわ!」
と、その時現れたのはイインチョウ、ではなくヤスミである。なんだか現れ方が似ているのは内面にある性格が似ているからなのだろうか。
「おいおいいいのか、そんな事宣言して」
「なによキョン、私に意見するの?」
「いや、そう言う事じゃなくてだな。お前ひとりで、これだけのプレイヤーを守れるのかって」
「きっと大丈夫!」
と言って現れたのは一人の女の子、先ほどの攻略会議の時にキョン達、つまりヤスミの仲間の一人として集まっていたプレイヤーの一人だ。
「ユイ……」
「だって、こんな私をここまでい切らせてくれたのは、ウイやヤスミさんのおかげだから、私ヤスミさんを信頼してます!!」
「フッフッフッ、任せなさい!」
やっぱり似ている。ヤスミとイインチョウ。この自信過剰と言うか無責任と言うか、でもその実力は確かなのが救いなのだろうか。何せその二人はβテスターであり、この最前線を走っているトップランナーの中でも極まれにいる実力者なのであるから。特にヤスミに至っては、たった一人でアルゴとの情報共有や、九人ものプレイヤーを守るという行動をしながらここまで来ることができたのだから、自信があってもおかしくはないだろう。
「でもね」
と言って、言葉を切ったヤスミは厳しい顔つきで言う。
「私たちが教える限りは、絶対に死なないで。私たちも、貴方たちがそしてここにいる全員が死なないように戦うから」
そうか、その言葉を聞いた人間全員が思ったと言う。この子は、自信過剰なんじゃない。覚悟ができているんだと。覚悟ができているからこそ、自分が絶対に守るのだと、命を救うのだと決意しているからこそ、強気の言葉を発することによってそこにいるプレイヤーたちを鼓舞しているのだと。
その事を理解したエイミーは、笑顔で、ハッキリとした口調で答えた。
「……はい!」
と。
「ところで、ボス攻略戦に際して、皆さんのステータスの方を知りたいのですが、良いでしょうか?」
イインチョウが言った。確かに、同じボス攻略戦に挑む仲間として、そのステータスの程を知っておかなければ戦略、戦術を立てる際に支障が出かねない。だから、彼女はソレを聞いたのだが、瞬間エイミーの顔つきが暗くなった。
「どうしたのです?」
「えっと……」
「そう言えば、えっと、エイミーさんでしたよね。どうしてポーションばかり飲んでるんですか?」
「え……」
「言われてみれば確かにそうね」
確かに不自然である。ポーションは体力を回復させるためのアイテムであって、こうして宴の時に飲むような物じゃない。むしろ消費アイテムの回復アイテムをその必要もない安全エリア圏内で使用するのは、もったいないと言える。なのに、どうして。
その言葉に、エイミーは一度だけ目をつぶった後、仲間の二人から離れてからステータス画面を開き、それを他のプレイヤーにも見えるようにしてから言った。
「このスキルを、見てください……」
「なんです、これ?」
「魔法少女?」
「……」
それは、彼女が手に入れた呪いの話であった。
本小説、見てわかる通り参戦作品にあまりに年代的に幅を持たせすぎてる上になかなか読者に知られてない作品が今後も増えていくと思います。そこで、素朴な疑問ですが、そもそもこの小説見てる層がどこなのか、どの層に需要があるのか知りたいため質問したいと思います。質問は、大雑把ですが、気楽にお答えください。では、あなたはーーー。
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