SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO 作:牢吏川波実
スン、という音が聞こえてくるほどに静まりかえる。それまでのバカ騒ぎがまるで嘘であるかのような一階には、ある二人を中心とした大きな人の円ができていた。
「さぁ、どこからでもどうぞ」
「あぁ、よろしく頼む」
そこにいたのは、イインチョウ、そしてディアベルの二人であった。これから、二人は
どうして、いきなりそんなことになったのか、事の発端を話すためには、まず十数分前まで、時を遡らなければならない。
そう、それはこのギルドの人間たちに連れられて、ディアベルがやって来た時だった。
「驚いたな。こんなに大きな建物を貸し切って、開いているなんて……」
「私のギルド、ですわ」
「ギルド? だが、ギルドをつくるクエストは……」
「……えぇ、だからまだ暫定的なギルド。ですが、既に建物を購入してここを拠点にしようと思っているのですわ」
と、この建物の所有者、ギルドのリーダーであるイインチョウは、胸を張ってそう言った。
「そうなのか……だが、改めて見渡してみると、現実でも知っているアイドルや有名人がいて、ビックリだな……」
「ふふ、そうでしょそうでしょ!」
その言葉に返答したのは、エリカであるが、それに重ねるようにしてサンデー55が言った。
「いや、深夜のバラエティ番組常連のアンタのわけないでしょ」
「なんですって!」
「まぁまぁ」
二人の喧嘩は、ひろりんが仲裁に入るまで続くことになった。
それはさておきだ。どうしてディアベルがここまで来たのか、ヤスミが聞く。
「で、今回のボス攻略線の発案者さんが、何しに来たの?」
「理由は、それなんだ。俺の統率能力がないばかりに、会議を中断させてしまって、申し訳ない」
ディアベルは、深く頭を下げた。そんなことする必要ないのでは、と多くのプレイヤーが思っているのに。事実、今回の出来事はキバオウというたった一人の個人的な思想を持ったプレイヤーがひっかきまわした結果の出来事だった。別に彼が悪いとは誰一人として思っていなかったのだ。
「別にアンタが謝る必要ないじゃない。あの≪馬鹿≫のせいなんだから」
「いや、あの騒ぎを鎮静化させる方法が思い浮かばずに、中断させてしまった俺にも責任がある。発起人であるはずなのに、情けない限りだ……」
「ディアベル……」
何とも、責任感のある人間か。あの場面で、どうやってことを収めるかを考えられる人間なんて数限りないと言うのに、それができなかった事を謝罪するためにわざわざここまで来るなんて。
いや、それだけじゃないのかもしれない。ディアベルは、心の中である迷いを持っていたのだ。その迷いを断ち切るためには、彼女たちの力が必要だった。
ディアベルは下げていた頭を上げると言った。
「ここで一つ、提案がしたい」
「提案?」
「あぁ、
『
等と言う話があって、冒頭の場面に至る、というわけだ。
彼からの
まず、一人目が、βテスター。つまり、元からこの世界の情報をもって戦っていたプレイヤー。
もう一人が、そのβテスターの力をほとんど借りず、ガイドブック等を見ながら攻略を進めていたプレイヤー。
この提案を聞いたときにどうしてそんなことをするのか、と疑問に思った面々ではあったが、しかし、今回のボス攻略戦の発起人でもあるプレイヤーの実力を見ておきたいという人間の意見もあって、彼の提案を快く引き受けた。彼、彼女たち。
そして、二連戦の一人目に名乗りを上げたのが、元βテスターであり、このギルドのリーダーたるイインチョウだったのである。
ディアベルはこのSAOではまだまだ一般的である片手剣。対するイインチョウは、右手にバックラー、左手に剣を持つというスタイルだ。果たして、この戦いがどうなるのか、一階で見ているプレイヤーたちも、そして二階の手すりから身を乗り出してその戦いを観戦しているプレイヤーたちもワクワクしていた。
はたして、どちらの方が強いのか、ソレを決める戦いのカウントダウンが、0になった、瞬間だった。
二人は、動かなかった。いや、正確に言うと動けなかった。
「やはり、様子見から入るか」
「当然ね、
「何だよ?」
「ま、まぁまぁ」
シンケンR、そしてヤスミの二人は、まるで周囲に解説するかのようにこの状況になっている原因を話し始めた。途中、キッドがちょっと苛々した様子で、エイミーに抑え込まれていたのは、たぶんそのバカ、のくくりの中にたまたま入ってしまったからだろう。
まぁそれはともかくとしてだ。
(バックラーか……全く持って予想していなかった。ソレにこのたたずまい、隙が全く見当たらない……)
ディアベルは、心の中で冷や汗をかいていた。それもそうだろう。イインチョウというプレイヤーがバックラー、つまり盾を持つプレイヤーである事、並びにそのたたずまいに一切の隙を生じさせなかった事が、彼の動きを制限する理由となった。
盾を持ったプレイヤーと対峙するという事自体、この世界に来て力試しという名目で何度かはあった。だが、ここまで隙を見せなかったプレイヤーはいなかっただろうか。
いや、自分の知っている限り、そして自分が戦ったプレイヤーの中にはいなかった。
勝てるイメージが、浮かばない。まさしく完璧なたたずまいを見せる少女を相手にして、千日手の様そうを見せようとしていた。
その時だった。
「フッ!」
「ッ!?」
先に動いたのは、イインチョウであった。イインチョウは、左手に持った剣を構える。この構えは、水平斬りの≪ホリゾンタル≫か。ならば、自分は。
「ハァァァァァァ!!!」
ディアベルは、ソードスキル≪スラント≫を放つ体制となって、右下から左上にかけて斜め斬りを放つ体制を取った。
≪ホリゾンタル≫は、間合いがとても長いソードスキル。相手が、自分の思っている以上に後ろに後退したとしても、その溜めの長さいかんによっては届いてしまう。単純ではあるがしかし、心理戦も要求される
ならば、そのギリギリを見極めればいい。水平斬りの≪ホリゾンタル≫と、≪スラント≫。その相性で言えば、優位であるのは後者の方。と言うのも、≪スラント≫は、その身長にもよるが、攻撃する場所は主に身体の中心だけとなる。そのため、剣の長さによってはそのギリギリまで敵に接近せねばならぬのだ。
だが、スラントであれば、その攻撃方法が斜め上からか、斜め下からかという二つの攻撃方法があるが故に、攻撃を当てられるであろう場所も、多くなっていく。
先も言った通り、この≪初撃決着モード≫は先に一撃を敵に与えた方が勝利なのだ。だから、相手の剣が届く前に自分の剣を届かせなければならない。≪スラント≫であれば≪ホリゾンタル≫を放とうとしている相手の足、あるいは肩を先に攻撃することが可能となる。故に、ディアベルは≪スラント≫を選んだ。
だが、それが愚策で会ったことを知るのはすぐの事であった。
「ハァッ!」
「しま!?」
急襲を受けたことによって、彼は失念してしまっていた。彼女の右手に装備されているバックラー、盾の存在を。ディアベルの≪スラント≫による攻撃は、そのバックラーに全て吸収されて、彼女に届くことはなかったのだ。
それだけじゃない。
「なッ……」
イインチョウの、ソードスキルの光が、消えた。いや、違う。正確に言えばソードスキルは発動されなかったのだ。本来であれば≪ホリゾンタル≫が放たれるであろうモーションに微小のずれを起こすことによって、ソードスキルの発現を停止させる。彼女が編み出したオリジナルテクニックの一つである。
さらに、イインチョウの凄いところはその次にある。
「スキルを!」
「盾で受け流した!」
「フッ、見事だな」
彼女は、ディアベルの放った≪スラント≫による一撃を盾で抑え込むだけじゃない。その衝撃をずらしたのだ。分かりやすく表現するのならば、ディアベルの剣は、彼女のバックラーを滑るようにイインチョウのすぐ横を通り過ぎ、彼女自身は、時計回りに一回転して、ディアベルの背後を取ったのだ。その動きはまさしく可憐、と言っても過言ではない物。
そして、彼女は≪今度こそ≫ソードスキル≪バーチカル≫を発現させ。
「ハァッ!!」
無防備なディアベルの背中を切り裂いたのであった。
二連戦の第一戦目は、イインチョウの圧勝に終わったのである。
本小説、見てわかる通り参戦作品にあまりに年代的に幅を持たせすぎてる上になかなか読者に知られてない作品が今後も増えていくと思います。そこで、素朴な疑問ですが、そもそもこの小説見てる層がどこなのか、どの層に需要があるのか知りたいため質問したいと思います。質問は、大雑把ですが、気楽にお答えください。では、あなたはーーー。
-
最近の創作物が好き(男性)
-
最近の創作物が好き(女性)
-
5〜10年前の創作物が好き(男性)
-
5〜10年前の創作物が好き(女性)
-
10〜20年前の創作物が好き(男性)
-
10〜20年前の創作物が好き(女性)
-
20〜30年前の創作物が好き(男性)
-
20〜30年前の創作物が好き(女性)
-
30〜40年前の創作物が好き(男性)
-
30〜40年前の創作物が好き(女性)
-
40〜50年前の創作物が好き(男性)
-
40〜50年前の創作物が好き(女性)
-
50年以上前の創作物が好き(男性)
-
50年以上前の創作物が好き(女性)