SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO   作:牢吏川波実

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メインシナリオ 第三章 第二十話

 私は、とんだ思い違いをしてました。

 

「フッ! はぁぁぁ!!」

「クッ! ハァァァァ!!!」

 

 たくさんの人に囲まれて、スキルを上げていって、強くなった。私は、そう考えていました。

 でも。

 

「なにっ!」

「そこぉぉぉ!!!」

 

 井の中の蛙大海を知らず。ですか。なるほど、皆さんが、私にこの人たちの戦いを見るようにと、しっかり見るようにと言ったのは、いえ、言ってくれたのはこのためだったんだと、私は改めて思いました。

 私は所詮、井戸の中に落ちただけの蛙だったのです。そうシリカは思っていた。

 

 ディアベルの決闘(デュエル)の相手は、完勝したイインチョウに変わり、βでもなければβから指導を受けたこともないプレイヤー、その中でも一番戦いたいと願い出ていたシズに決定した。

 βテスターではない。だが、だからと言って油断はしない。だからと言って、先ほどのイインチョウ戦で油断していたわけではない。彼は絶対の自信をもって、全身全霊を込めて戦いに挑んだ。

 だが、結局敗北してしまった。それは彼女の経験が自分のソレをはるかに凌駕し、想像力が高かったから。イインチョウは強い。恐らく、今プレイ中のβテスターの中でも五指に入るほどに。いやもしかすると、今この場に集まっているβテスターの中には、もっと強いプレイヤーが紛れ込んでいるのかもしれない。

 ディアベルは出ない汗をぬぐうしかなかった。

 そんなディアベルと相対するシズ。

 その戦いは、あまりにも突発的な物だった。

 

「ハァァァァァ!!!」

「クッ!」

 

 先ほどまでの、互いに様子見をしていた千日手の様相を呈していたソレとは全く違う。シズはまっすぐに、突っ込んでくると言う素直な、しかし悪くいえば愚策を実行したのである。

 だが、それでディアベルが油断することはない。彼女とて、このSAOの世界を第一線で走り続けて来たトップランナーの一人。何か策があるかも知れない。そう考えたディアベルは、≪ホリゾンタル≫の発動シークエンスをするフリをするという先ほどのイインチョウと同じ行動を取った。

 そして、シズの方はと言うと。

 

「なに!?」

 

 消えた。

 文字通り、目の前から忽然とその姿を消したのである。まるで、山の奥の方に入った時に霧に包まれてその行き先を見失ってしまったかのように、彼女を視界から外してしまった。

 これは致命的だ。そう考えたディアベルはしかし、これまでの経験と、何故彼女が視界から消えた理由を考えた瞬間。

 

「クッ! ハァァァァァ!!!」

 

 背後を斬った。あの素早さ。恐らく、彼女は自分のすぐ横を通り過ぎた。いや、正確に言うと自分の足元を滑るように背後を取ったのだろう、そう考えたのである。

 果たして、彼の考えは当たっていた。しかし、彼女にとってそれは何の抵抗にもならなかった。

 

「ッ! フッ!」

「なッ!?」

 

 彼女は、奈良で生まれ、奈良で育った。そして、彼女のすぐ近くにはいつも山があった。彼女はその山の中で木々に昇り、木々の間を飛んだり、木と木の間を駆け抜けたりとまるで野生の動物のような暮らしを日々送っていた。

 だからなのだろう。突然目の前に現れた剣にすぐさま対応できたのは。彼女は迫りくる剣に対して側宙した。突然の事で全く予備動作もなかったと言うのに、彼女はその剣を頭スレスレで避けると、着地し、すぐに≪ホリゾンタル≫を放つ体制に入った。

 ディアベルもまたソレを見てソードスキルを放つ体制になったが時すでに遅く。

 

「ハァァァァァァァァ!!!!」

 

 シズの水平斬りが彼の身体を切り裂いたのであった。

 その瞬間、シズが勝利したというメッセージが流れるとともに、彼女の知り合いであるない問わず、多くのプレイヤーが彼女の下に集まった。

 

「やりましたねシズ!」

「いやぁぁ、でも危なかった」

「ホント、無茶をするのは毎度のこととはいえ、良く勝てた物よ」

「あはははは……」

 

 その光景を見ていたディアベルは思ったと言う。なんと、明るいプレイヤーたちだろうかと。

 自分がこのデスゲームに囚われてから一か月。そこで出会ったプレイヤーたちは皆、絶望と共に生きていた。絶望の中に、ほんの少しの希望をもって戦っていた。そんなプレイヤーばかりだった。

 なら、目の前にいるプレイヤーたちは何だ。どうして彼女たちはこんなにも笑える。宴とはいえ、第一層もまだ攻略できていないのに、どうしてそこまで笑う事ができるのだ。

 いや、もしかしたらそれが彼女たちの強さなのかもしれない。どんな状況においても、笑顔を絶やさないその性格。それが、彼女たちの強み。そして、彼女たちが自分よりも優れているところ。

 ディアベルは確信していた。自分は、そんな器ではないのだと。

 

「す、すごかった……」

 

 と、呟いたのはまだ二階にいたシリカである。凄い戦いだった。イインチョウも、シズも、そしてディアベルも自分の今までの戦闘がお遊びに感じられるくらいに素早く、強く、そして何より必死だった。

 自分は、強くなったつもりでいた。プリキュアのお姉さんたちに守られながらモンスターと戦って、レベルを上げていって、心身共に強くなっていた。誰よりも強くなった。そう思っていた。でも違った。それは、今真下で行われた決闘(デュエル)を見れば明らかである。

 

「どう、シリカちゃん。アレがこの世界のトップランナーの実力だよ」

 

 と、言ったのは姉御肌というのかとても漢らしい女性プレイヤーのメロディだった。

 

「はい、凄かったです。私なんて、目じゃないくらいに……」

「シリカにとっては、この戦いは目が覚めるきっかけになったかもしれないわね」

「目が、覚める?」

「えぇ」

 

 と言ったマカロンは、まるで猫を手名付けるようにシリカの顎を撫でながら言った。

 

「貴方は、いえ、貴方も別に特別な存在じゃない。この世界を生きている一人のプレイヤー……死んだら、それで終わりの、ね」

「え、えっと……」

「マカロン、そんな難しい言葉使っても分からないよ」

 

 と言って代わりに来てくれたのはショコラだった。ショコラはシリカに目線を合わせると言う。

 

「この戦いを見て分かったかもしれないけれど、シリカちゃん以上の強さを持ったプレイヤーはたくさんいるんだ。自分が強くなったとか、大丈夫だと安心しているかもしてたかもしれない。でも、この世界にはまだまだ強いプレイヤーはたくさんいる。ソレに比例して強力なモンスターもいる。ソレを、シリカちゃんに、分かってもらいたかったんだ」

「あ……」

 

 確かに、彼女は思っていた。自分の事を井の中の蛙であるのだと。自分がどれだけ強くなった気でいたとしても現実では自分よりももっと強い人間がたくさんいる。ソレをこの戦いの中で思い知らされていた。

 どれだけ周りに頼りになるお姉さんたちがいたとしても、どれだけ自分の力が強くなっても、ソレを上回るプレイヤーを目の前で見せられたら、気が引き締まる。

 そんなプレイヤーたちもまた、命を懸けてこのデスゲームという世界の中で日々戦いを繰り広げている。それを認知させることによって、彼女は、彼女たちはシリカの中にある思い上がりを完全に破壊しよう、そう考えていたのである。

 彼女が、これからもこの世界を無事に生きていくために。

 そしてソレはディアベルもまた同じ。自分以上のプレイヤーがこんなにいるなんて思いもよらなかった。

 ≪あのプレイヤー≫がいないから大丈夫。そう考えていた自分が情けなくなってくる。

 

「全く、β、βじゃないにしてもこんなにあっさり負けるなんて……第一層ボス攻略会議の発起人として、情けない限りだ」

 

 と呟いたディアベルは、座り込んだままだった。シズの勝利に喜んでいた他の皆々もまたその言葉に耳を貸し、ソレを待っていたかのようにディアベルは言う。

 

「皆に黙っていたことがある。実は、俺は……元、βだったんだ」

「え?」




 ディアベル自体本当は強いんです。本当なんですよ?
 でも、それ以上にイインチョウとシズの二人が強かったんです。踏み台と言うものは嫌いなのですが、シリカの、引いてはディアベル自身の成長のために必要だったこと、です。

本小説、見てわかる通り参戦作品にあまりに年代的に幅を持たせすぎてる上になかなか読者に知られてない作品が今後も増えていくと思います。そこで、素朴な疑問ですが、そもそもこの小説見てる層がどこなのか、どの層に需要があるのか知りたいため質問したいと思います。質問は、大雑把ですが、気楽にお答えください。では、あなたはーーー。

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