SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO   作:牢吏川波実

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メインシナリオ 第三章 第二十三話

 昨晩の宴は、自分も知らないうちにお開きになっていた。というか、誰が止めたかは知らないがそろそろ子どもは寝る時間だと言われて大多数が自分たちがその拠点としている宿に戻ったらしい。

 何十名かは不服そうだったらしいが、しかし『寝不足はお肌の天敵ですわ』なんてイインチョウが言ったことによって、集ったメンバーのほとんどが女性であっあこともあって素直に帰宅したそうな。

 この幻想の世界でお肌のことを考えるなんて、全く持って理解できない。

 ただ、何人かのプレイヤーは今回トールバーナには攻略戦の会議のためだけのために立ち寄ったというプレイヤーもいて、その大多数は、イインチョウによってこのギルドの部屋を貸してもらってそこで一泊したらしい。

 アスナも、その一人だ。彼女に関しては、元々トールバーナに拠点としていた宿があった。だがしかし、この不愉快極まりないギルドの中で、唯一と言っていいほどに彼女をそそるものがあった。

 ソレが、≪お風呂≫。

 自分が本来泊っている、というか行く先々で泊っている宿は、どこもかしこもシャワーしかついておらず、下手をすればそれすらも付いていないと言う女の子にとってはひどいと言ってもいい場所ばかりだった。

 勿論この世界でどれだけ戦っても、運動しても汗一つかかないのは分かりきっている。でも、だ。長年の習慣として入浴していた湯船に入れないことが、彼女の中のストレスを加速させて、今の彼女の性格にしてしまったと言っても過言ではないのかもしれない。

 そんな湯舟が、お風呂が、このギルドの中にはあるのだ。イインチョウが調達したと言う湯舟の中に入った時のあの感覚は、生涯忘れられない感覚だった。身を、暖かい湯の中に入れて、包まれる感覚は、それまで蓄積されてきた疲労感を完全に払うかのようで、危うくその中で寝てしまいそうになるほどに気持ちが良かった。

 お風呂って、こんなに気持ちが良かったんだと再確認できてしまった。それが、アスナにとっては悔しかった。

 それはともかくとして、湯船から上がったアスナはイインチョウから衝撃的なことを聞いた。

 アスナは勘違いをしていたのだ。と言うのも、アスナは【INN】という看板が出ている、つまり宿屋の意味合いを持っている宿に泊まっていた。確かにこの世界では【INN】とはずばり宿屋の事だ。

 が、しかしこの世界において、それも低層のフロアではその看板が出ているのは、最安値でとりあえず寝泊まりができる場所、簡単に言えば素泊まりができる場所であると言う意味合いでもって、その表記のない場所でも、コルを払って借りられる場所はたくさんあったのだとか。

 ガイドブックにもそう書かれていると言われて大急ぎで彼女は自分の持っているアイテムの中にあるその本の【看板表記の意味】を調べてみると、彼女の言う通りの事が書いてあって、今までの自分の貧相な暮らしぶりは何だったのかと、つい力が抜けてしまうほどだった。

 ともかく、だ。こんな呑気なギルドだったけれど最後にいい思い出ができたと心の中のモヤが少し晴れた気がしてしまったアスナは、これまたイインチョウに誘われて朝ごはんへと向かった。作るのは、シシーラ、フラウ、そしてナデシコだ。

 何故あの三人までいるのかと、アスナは少し頭を抱えた。そう、ナデシコ、レイアース、そしてリーファの三人もまた、同じくこのギルドに宿泊していたのである。

 本来彼女たちは、トールバーナに既に宿を借りていて、そこを拠点として活動をしていたのだ。が、アスナの事が少し気がかりになってイインチョウに一泊してもいいかと相談を持ち掛けた。勿論彼女はすぐさま了承してくれて、その後一泊、同じ部屋で過ごしてしまった。

 悔しいが、楽しかった。四人で深夜遅くまでガールズトークに花を咲かせたのは。現実世界でもできなかった。いや、許されなかったことだ。そう、初めてこの世界での楽しみを見つけてしまったアスナは、首を振って朝ごはんに向かった。

 そして、その先には。

 

「おはようございます! アスナさん!」

「えぇ、おはよう……」

 

 いつもの元気なイインチョウと、他十数名がいた。みんなして笑顔で、全く持って、羨ましい。本当に、羨ましくて涙が出そうになる。

 そう思いながら、朝ごはんを食べている時だった。コンコンコン、とギルドの外側からノックをする音が聞こえて来たのである。

 

「誰でしょうか? ちょっと行ってきますね」

 

 と、席を立ったイインチョウ。そして、ドアを開けると、その先には。

 

「あら、ヤスミさん。おはようございます」

「イインチョウおはようーって、そんなこと言ってる場合じゃないの!」

 

 等と彼女のペースに乗ろうとしていたヤスミはしかし何とか耐えて一枚の新聞を取り出した。どうやら、新聞の様だ。記録結晶という、画像を記録することができる結晶によって画像を撮影し、さらにそこに本物の新聞のように文字を付け足した紙っ切れ。ソレを見たイインチョウは、一瞬顔をしかめた。

 

「これは?」

「トールバーナ中の掲示板に貼られてたものよ、他の皆ももう知ってるわ」

「そうですか……」

 

 予想はしていましたがと続けたイインチョウはしかし、まさかこんな愚かなことをするプレイヤーが本当にいるとは思ってもみなかった。

 そんな彼女の姿を見たリーファは不思議そうな顔を浮かべて聞く。

 

「どうしたんですか?」

「……コレを見てください」

 

 イインチョウはリーファの言葉を受けて、ヤスミが持ってきた新聞をメッセージを利用してその場にいる面々にも送る。そして、アスナはその新聞を見て存在しない心臓が跳ね上がった気分になった。

 

「なによ、コレ……」

 

 そこにはこう書かれていたのである。

 

【こいつらがβテスターだ!】

 ゲームが始まって一か月。昨日、トールバーナにおいて第一層ボス攻略会議が開始される予定だった。この第一層ボス攻略戦は、これからの攻略の行く末を占うとても大事な一戦であり、そこには一点の曇りもない信頼が必要となっていた。

 だが、ボス攻略戦の会議は、開始後すぐに、中断させられた。突如として現れた元βテスター(画像参照)の集団によってその会議を邪魔され、さらにそのβ達に加担するプレイヤーたちによって会議が打ち切られたからだ。会議に参加していたキバオウ氏は『大切な会議を邪魔されたことは今後の攻略にも支障が出る。勝手な真似をしたβテスターと、ソレを擁護したプレイヤーは罰せられるべきだ』と話す。

 今後のボス攻略戦の会議について発起人であるディアベル氏は未定だと発表。少なくとも今回の事件が今後のSAO攻略に支障が出るという事は間違いないだろう。

 

「何だこの記事は! まるで出鱈目しか書いてないじゃないか!!!」

「ソレに、プロジェクトSAOのアイドル達だけじゃなくて他の元βテスターのプレイヤーさんたちの名前まで書かれているなんて……」

「最低だな……」

 

 嘘八百しか書かれていない記事に、その場にいた多くのプレイヤーが怒り心頭と言った様相を見せていた。当たり前だろう。

 そもそも、会議を中断させたのはβテスターではなく、コメントを出しているキバオウ本人だし、記事の内容も悪意に満ちた物ばかり、おまけに添付されている画像には、あの時立ち上がった全ての元βテスターの姿を隠し撮りした物もあるし、これではまるで自分たちの方が悪役ではないか。

 

「一体、誰がこんなものを……」

「決まってるわ! あのバカオウよ!!」

「バカオウ?」

「キバオウの事か?」

 

 ヤスミの言葉に反応したナデシコは一瞬ぽかんとした顔をしたが、しかしヤスミの隣にいたキョンによる訂正というか、それとも確認と言うべきか、いや確認するまでもなくキバオウの事なのだと思うが、しかしさすがに言い過ぎ、とも言えないくらいの悪行をやっているので仕方がないのかもしれない。

本小説、見てわかる通り参戦作品にあまりに年代的に幅を持たせすぎてる上になかなか読者に知られてない作品が今後も増えていくと思います。そこで、素朴な疑問ですが、そもそもこの小説見てる層がどこなのか、どの層に需要があるのか知りたいため質問したいと思います。質問は、大雑把ですが、気楽にお答えください。では、あなたはーーー。

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