SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO   作:牢吏川波実

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メインシナリオ 第三章 第二十四話

 ともかく、彼のプレイヤー名がキバオウでもバカオウでもどっちでもいいとして、その新聞の内容は彼女たちにとっては迷惑と言っても過言ではない物だった。

 

「こんな記事を書くのはアイツくらいしかいないわ! 全くアイツは、ゲームクリアがしたいのか、それとも邪魔をしたいのか、ホントいい迷惑だわ」

 

 ヤスミはそう言うが、考えてみるとあの時キバオウの話を遮って元βテスターの集団をあおっていたのは実質ヤスミだったような気もしないでもない。が、そこは突っ込まない方がいいのだろう。

 そう考えると、その新聞の記事もあながち嘘と言いきれなくなってしまうのは辛いところだ。ともかく、だ。

 

「これで、私たち元βテスターや、賛同してくれた方々は、簡単にボス攻略に出ることができなくなりましたね」

 

 イインチョウは、その場でこれからの懸念事項を呟いた。そう、キバオウがこのようなコメントを、そして新聞を出したせいで、自分たちはこれから街を歩くたびに白い目で見られることになるだろう。

 アレが元βかと、後ろ指刺されながら攻略をするめることになることだろう。そうなれば、ボス攻略戦においても有益なサポートを得られることなく、下手をすると孤立して、死人が出る可能性すらある。そんな窮地に、立たされてしまったのだ。

 自分たちはうかつに行動することができなくなってしまった。すなわち、それは新聞にも書いてある通り、これからのボス攻略、引いてはSAO攻略が遅れる最もな要因となってしまった。それは、事実である。

 

「すまない、俺にもっと統率力があれば……」

「ディアベルさん!」

 

 と、そこに現れたのは今回の攻略戦の発起人のディアベルである。ディアベルは、いつまでも建物の前でしゃべっていると人目が付くからと言って、イインチョウのギルドの中に入ると、すぐさま言った。

 

「今朝、キバオウからメッセージが届いた」

「なんて書いてたんでしょう?」

「十時から、第一層ボス攻略戦の会議の続きをする。その取りまとめを務めえてもらいたい、だそうだ」

「は!? 何それ!?」

 

 マリンは、あまりにも身勝手なキバオウの言い分に驚きを通り越して呆れすら感じてしまった。そりゃそうだろう。何十人もの有益なβテスター、手練れのプレイヤーを追い出しておいて、自分はディアベルにその助けを乞うなんて、一言でいえば馬鹿丸出しの行為だ。

 大体、ディアベルだってβテスターであると言うのに。

 

「仕方がないさ。彼は俺が元βだという事は知らないんだからな……ただ……」

「ただ、何です?」

 

 ディアベルは一度言葉を切ってから、困ったような顔をして言った。

 

「実は、パーティーを組んでいる仲間には、俺が元βだってことを昨日の夜、話したんだ」

「え?」

「パーティーメンバーにも、内緒にしていたんですか?」

 

 それは少し驚きにも似た物がある。いや、もしかするとイインチョウやヤスミのパーティーと言ったグループの方が異端なのかもしれない。自分が元βであると不特定多数の人間に言いふらすようなそんな人間が、パーティーメンバーにいるのは、確かにどこかで安心感を得られるが、多くのプレイヤーからは羨望と妬みの視線を貰ってしまうのだから。

 

「あぁ、俺自身も怖かったからな、βだと分かって糾弾されるのが。だから、今日までそれとなく仲間を支援しながら、βだとばれないように立ち回っていたんだが……」

 

 と言ったディアベルは、その場にいる面々の顔を見わたすと、自嘲するように笑って言う。

 

「昨日の君たちの姿を見ていたら、なんだか隠しているのが馬鹿々々しくなってしまって……君たちと別れた後に打ち明けたんだ。自分が、β出身だってことをな」

「それで……どうだったんです?」

「パーティーメンバーの一人の第一声は、『やっぱりな』だったよ」

「え?」

 

 やっぱり。それはつまり、どこかでディアベルの事を元βテスターだと思っていたという意味なのだろうか。果たして、ディアベルもそう考えていたらしく、『やっぱり?』と聞き返すとそのプレイヤーは言ったそうだ。

 

「こんなにゲームに詳しくて強いプレイヤーが元βじゃなかったら逆にびっくりだ、だとさ……」

 

 と、やはり自嘲気味に言った彼に対して、ヤスミはその背中を叩きながら言う。

 

「ディアベル、アンタも、良い仲間を持ったじゃん」

「あぁ、今ではそれを誇りに思う。さて、そう言う事で俺は第一層ボス攻略戦の『二回目』の会議に出ることになった。今見てもらった通り、ほとんどのβテスター、そしてその仲間は面が割れて出てくることができない。そこで……」

「え?」

 

 と、顔を向けられたのはベパロニ、カルパッチョ、ノルゲイにビショップ、クウガだった。

 

「君たちは、昨日の会議には参加していなかった。君たちなら、こっそりと潜り込むことができるはずだ」

「なるほど、だからこうして誘いに来てくださったんですね」

 

 言われてみれば、この五名は前回の、つまり昨日の会議の時にはいなかった面々だ。という事は、彼女たちだったら会議に潜り込ませることができるかもしれない。と、いう事はだ。

 

「それじゃ、私たちのパーティーで、攻略に出ていたアギΩさんやNさんも……」

「あぁ、それに他のパーティーで、あの会議に出ていなかったプレイヤーに声をかけているところだ。いいか、イインチョウ」

「当然ですわ、それに……」

「ん?」

 

 ここで、ヤスミは不思議な感じがした。彼女の性格は、βテスターとして過ごしていたあの数週間、そして昨日会ってからの一晩でよく知っているが、その時よりも何か生き生きとしているように、彼女は薄っすらと≪アスナ≫の方を見て、次にノルゲイを見てから言った。

 

「では、ノルゲイさん。お願いします」

「了解した。会議の内容に関しては随時俺がメッセージで皆に送ろう」

「えぇ、私もこの際気になってることを解決しないといけませんから」

「イインチョウ、気になることとは?」

「ここでは言えません。ですが、今後のボス攻略、ゲーム攻略には絶対に外すことのできない問題です」

「なるほど、分かった。君がそう考えているのならそうなのだろう。ノルゲイ、よろしく頼む」

 

 といってディアベルはノルゲイに手を差し出した。ノルゲイもまた、その硬い表情を崩さずにその手を出して握手をし。

 

「あぁ、俺も一人の冒険者として手を貸そう」

「一人の冒険者、ねぇ……」

「フッ」

 

 と、その言葉にマリンは呟いたが、それも軽くいなしたノルゲイ。だが、それも当然だ。確かに彼は現実ではボウケンジャーというスーパー戦隊のレッドをしている。だが、この世界では他の仲間たちと同じこの世界を生きるいちプレイヤーでしかない。他のみなと何ら変わりない一人のプレイヤーだ。

 だが、冒険者でもある。その心に、熱き魂を宿したたった一人の冒険者として、彼らは、ディアベルに着いて行くのであった。

 

「それで、イインチョウ」

「何でしょう?」

 

 と、彼らの姿が見えなくなったところでアスナが聞く。

 

「ボス攻略戦を隅に置いてでもやらなければならないことって、何なの?」

 

 と。そう、今この場で最も大事なボス攻略戦。その会議隅に置いておいてやらないといけないこととは、果たしてどのような大ごとなのか、アスナは気になったのである。すると、イインチョウはとてもいい笑顔をして言った。

 

「勿論、素材調達ですわ。ペンダントや服の」

「……は?」

 

 その時のアスナの顔は、マリンをして恐ろしいと言わせるほどに険しく、般若の仮面のように鋭い牙や角が見えると錯覚するくらいに怖い物だったらしい。

本小説、見てわかる通り参戦作品にあまりに年代的に幅を持たせすぎてる上になかなか読者に知られてない作品が今後も増えていくと思います。そこで、素朴な疑問ですが、そもそもこの小説見てる層がどこなのか、どの層に需要があるのか知りたいため質問したいと思います。質問は、大雑把ですが、気楽にお答えください。では、あなたはーーー。

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