SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO 作:牢吏川波実
アスナは、悪寒を感じていた。
「……」
そんな物、この世界にあるはずがない。それは分かりきっていた。
でも、何故だろう、どうしてこんなにも胸騒ぎがするのか。
「……」
帰らなくては、帰らなくちゃ、そんな言葉がずっと頭の中を堂々巡りしている。
先ほどまでの笑顔のアスナは一体どこにいったのか、そう言われるほどに彼女の顔は、冷たく、凍ってしまっていた。
「……何か、嫌な予感がしますわね」
「た、確かに……」
しかし、アスナにとって安心できるのは、彼女のその嫌な予感に同意できる人間が複数人いるという事。
そう、その場にいた多くの人間に走っていたのだ。とてつもない嫌な予感を。
そして、その多くの人間のいわゆる≪属性≫と言う物を見れば、この後何が起こるのか分かるかもしれない。
嫌な予感を感じ取っていたのは、アスナの他には龍門淵透華、ジェラート、イオリ、マシェリ、ミィ、ユカ、アイリそれと嫌な予感ではないけれど何かを感じ取っていたTSFやムギ。この面子を見てもらえば分かるが、全員が全員、現実の世界では大金持ちのお嬢様。
そう、この時彼女たちに近づいていたのは、そう言った人間たちのパーティーにてよく、その顔を合わせていた。営業スマイルを全開にして政財界の著名人に顔を売りまくっていた人間たちの顔ですら凍らせる爆弾発言を何度も繰り返していた、≪奴≫であったのである。
知っていた、分かっていた。このゲームをプレイしているのだと、だが、願わくば会わないままでいてもらいたかった。
だが、そうは問屋が卸さないこのデスゲームの世界。
「あれ、アスナちゃん? あ、他にも知ってる顔がちらほらと、お~い!」
「ゲェッ!?」
「え、なに?」
ついに出会ってしまった。まぁ、彼女たちもまた攻略組である故、仕方のない話、である。
「わぁ、良かった。こっちの世界でも出会えて」
「そ、そ、そうですわね……えっと、こちらの世界ではどのような名前で?」
「透華?」
井上純は、透華のその対応に吃驚、というより困惑していた。無理もない。どんな人間にでも威勢を張る。自意識過剰が皮を着ているようにいつも自信満々で臆することのない透華がここまで拙い言葉遣いになるなんて、たぶん初めて見るから。
「こっちの世界では、≪アライア≫って名前にしてるの」
「そ、そう……普通の名前でよかった……」
「フッ……さすがにこのゲームのプログラムに弾かれた……かな?」
ミィが安堵するような声を上げたとほぼ同時に彼女の家庭教師を務めており、なおかつ社交界においても彼女の護衛として参加をしていたため彼女の事を良く知っていたテンザイが補足した。
「そうそう!」
と、アライアは笑顔で、そして何気なく同意した、後。
「本当は≪ピー≫とか≪ピー≫にしたかったんだけど」
「早速本性を出しおったこのヒト」
「……」
彼女が発言した言葉、いわゆる下ネタ、である。そんな彼女に変え姿なの如くツッコミを入れたのは、当然その後ろにいたタカ、である。そう、彼女、アライアこそが多くのお金持ちがこの世界に彼女がいると知ったと同時にどうか出会わないようにと願っていた存在、七条アリアのゲームの世界での姿なのである。
「えっと何? その」
「わッユウキちゃんダメ! その言葉は呟いたら絶対にダメ!!」
「え、グレースどういう意味か知ってるの?」
「え、いや、そのぉ……」
という、グレースやエリザベスと一緒にいた四人目のプレイヤーからの視線が痛いほどに突き刺さる。
まぁ、知っている。彼女だって思春期の女の子、というのであればその場にいるほとんどのプレイヤーがそうであるのだが、しかしアライアは色々な意味で規格外だった。
そう、それこそ先ほど透華の事を自意識過剰が皮をかぶったと言ったが、それと同じくらいに思春期が皮をかぶったような女性、それがアライア。それを彼女たちは良く知っていた。
この少女のこんな感じの性格、社交界でも臆面なく発揮されるため、彼女と話をしたことがある女性は総じてその夜なかなか寝付くことができない、と言われるくらいに思春期らしい、というかソレを通り越した向こう側の発言ばかりを繰り返す彼女。
しかし、七条の家は名家の一つ、無下にすることなんてできないと耐え忍びアスナ他数名は何とか彼女と付き合うことに成功していた。が、それでもやっぱり彼女の言葉遣いに慣れることができず、結果あまり出会いたくない人認定されてしまった残念な人である。
「うちの先輩がご迷惑をおかけしました。初めまして、タカ、です」
「クロシェットよ……まぁ、安心して。この人に対してのツッコミはあたしとタカ、それとトッキーがするから」
「勝手に仲間にするな」
不幸中の幸いだが、今回彼女にはお目付け役、的な側面を持つ人間たち、タカとクロシェット、そしてトッキーというツッコミ役を担っている少年少女たちがいたのである。
「小学生?」
「これでも高校生よ!! 悪い!?」
「ご、ごめんなさい!!」
と、一部から小学生扱いされて激怒するクロシェットというのもいつもの展開である。
まぁ、突然のシリアスなアスナから始まった物語であるが、ことここにきてようやく落ち着きを取り戻した様子。彼ら、桜才学園のパーティーから遅れる事数分、また、もう一つの桜の名のついた学校の面々もこの地にやって来た。
「あら、あなた方は!?」
「倉賀野さん桜塚さん、それにれんげさん!?」
そこにいたのは、これまたアライアと同じくよく社交界で頻繁に出会うお嬢様たち。そして、そのお嬢様たちの共通点を知っていた人間たちは一様に顔を真っ青にするのであった。
「桜蘭高校の方々と、アライアさんが、一緒に、行動を……」
「えぇ、まぁ……」
まさかとはおもう。でも、だ。
「腐ったミカンを一緒の箱に入れていると他のミカンも腐ると言いますし……」
「考えてる言葉が声に出てるよ~」
「腐ったミカンは言い過ぎ、とすぐに返答できない自分が情けない……」
「確かに……」
と、タカとクロシェットはポロっと出た言葉に対してすぐに否定しきることができなかった自分たちが恨めしかった。
もちろんだ。なぜなら。
「この一か月、アライアさんに色々と教えてもらいました」
「はい、普通に生活してたら絶対に知ることができない、色々な……その、ことを」
「……」
この時、アスナたちは総じて思ったと言う。一か月って本当に長いな、と。
そう、タカやゥロシェットの監視役があったとしてもそれが常についているとは限らない。彼女アライアは、二人の目を盗んで―という言い方は違うかもしれないが―三人のお嬢様にそれはもう色々と教え込んでいたのである。それに羞恥心を覚えて、顔を赤く染めることができるのはまだ元に戻れる証拠なのかもしれない。そう考えたアスナは、クラカノの肩を掴んで言う。
「正気に戻って倉賀野さん! それは絶対に役に立たないことだから!」
「えぇ? でも将来的には」
「はいはい先輩はお呼びじゃない」
「あ~れ~」
とこの時のために≪筋力≫のステータスを上げていたクロシェットによって彼女の身体は遠くの方に連れていかれるのであった。この流れ、実は大体彼女たちにとってテンプレ的な存在になりつつあるのだが、それはともかく、だ。
「初めまして、桜蘭の方々の知り合いという事は、貴方たちもお嬢様、という事ですね?」
「あ、はい……って、改めてお嬢様って言われると少し恥ずかしいけど……」
とアスナに声をかけて来たのは清楚な黒髪を左右で結んでいる女性だった。良かった、この少女は、ちゃんと話が通じる人の様だ、というとアライアは話が通じないのかと思われるのかもしれないがこれまでのやり取りでそれは無理からぬ話、と言えるだろう。
とにかく、この少女だったら大丈夫、そう安堵した瞬間だった。
「では、高級≪ピー≫も大量に仕入れ放題なんですね」
「帰ってきて私の安堵感……」
「このパーティーこんなのばっかりなの!?」
色々と絶望顔する少女たちであった、とさ。
本小説、見てわかる通り参戦作品にあまりに年代的に幅を持たせすぎてる上になかなか読者に知られてない作品が今後も増えていくと思います。そこで、素朴な疑問ですが、そもそもこの小説見てる層がどこなのか、どの層に需要があるのか知りたいため質問したいと思います。質問は、大雑把ですが、気楽にお答えください。では、あなたはーーー。
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