SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO   作:牢吏川波実

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 前回の後書きの不自然なところに気がついた人間は、多分おるまい。


メインシナリオ 第三章 第三十八話

 あと十分で会議が再開される旨をディアベルが伝えると、和気藹々と話をしていたプレイヤーたちはその半分くらいが険しい顔つきに変わり、それぞれに階段状になっているそこに座り始める。因みにアスナ他学生組はタカとクロシェットの判断によって特定の数名から離された席に座ることになった。一応彼らも学生のはずなのだが、理由が理由なので致し方なし、特にまだ小学生のシリカからは絶対に離しておかなければとタカは思っていたそうな。

 

「やっぱりこれだけいると凄い圧ですね……」

「えぇ、立っている人もいるし」

 

 と言ったのはリーファとアスナである。彼女たちは比較的前の方で見ているのだが、会場は昨日にいた全員が参加し、そして昨日には間に合わなかったが、今日という日になったために攻略会議に参加することができたプレイヤーも合わせると百人以上はゆうに超えていて、後ろの方で立ち見をするものも現れる辺りとんでもないことになっている。

 

「はぁ、間に合った……」

「あ、サマー」

 

 とここでようやく到着したのはサマーやハワードといったサキを救いに行った時のプレイヤーたちの中で唯一来ていなかったパーティーである。

 

「あれ、そう言えばいなかったっけ?」

「あまりにも人数が多いから、いたような気もしてました……」

 

 そう、これが人数が多い弊害、である。確かに攻略するプレイヤーが多ければ多いほどボス攻略には役に立つと言う言葉には嘘偽りなんてない。しかし、物には限度と言う物がある。

 結果、こうして狭い会議場でそもそも参加していたのか、参加していなかったのかという判別と言う物ができなくなるほどに多くなり、皮肉なことに互いを認識することすらもできなくなっていた。

 これは、少しボス戦に連れていくメンバーを厳選した方がいいのかもしれないと、ディアベルは思っていた。

 

「いいんじゃない? これだけ多かったら、交代要員が増えて、戦闘に余裕が持てるし」

「……確かに、そうだな」

 

 ディアベルの懸念を、ヤスミはそう一蹴した。ごもっともだ。そもそも生死をかけた戦い、という時点で自分たちには余裕と言う物はなかった。だが、そこに人数という数の暴力を加えることによって心に余裕ができ、結果何人かのプレイヤーは笑って話し合う事が出来ていた。

 いや、それは本人たちの性格もあるのかもしれないが、ともかくディアベルはようやく、その言葉を紡いだのだった。

 

「それじゃ、時間になりましたので、会議を再開させてもらいます!」

 

 その言葉に、一様に静まり返った会場に、ディアベルの声が響く。

 

「まずは、こうしてまた集まってくれたこと、感謝する。先も決を採った通り、ボス攻略のためには、β、βに非ず関係なしに、互いに力を合わせなければならない。今朝の新聞で、俺たちがボス攻略に乗り出しているという事は否応がなしにほとんどすべてのプレイヤーに伝わったはずだ。もう、後戻りはできない」

 

 確かに、その事だけは≪某プレイヤー≫に感謝しなければならない。あの新聞があったからこそ、ここに来たプレイヤーもいて、あの新聞での報道があったからこそ、始まりの街で今も恐ろしくて、震えているプレイヤーたちに、ボス攻略のために戦っている人間たちがいることを示すことができた。

 彼らに、勇気を与えることができた。でも、与える事だけだったら誰だってできる。神に祈ることが誰にだって許されているように。

 自分たちは行動で示さなければならないのだ。ボスを倒して、次の階層を開き、そしてこのゲームは攻略可能なゲームであるのだと証明しなければならないのだ。

 因みにその≪某プレイヤー≫だが、一時は攻略から追放することも検討された。しかし、戦士は一人でも多い方がいいだろうという意見もあり、今回のボス攻略に参加することになったらしい。が、その場合一つ問題が発生すると考えているプレイヤーが多くいたのだが、そこは考えがあるそうな、というより提案が会ったそうなのでこの話はもうなしにしよう。

 

「ゲームをクリアする為……しがらみを捨て、憂いを捨て、共に、戦おう!」

『応ッ!!』

「うわ、凄い声圧!」

「そりゃこんだけ人いるんだからね」

「うむ、オタクの熱気は会場に雲をつくると、古代より伝わっとるからな」

「オタクは近代の言葉でしょ!」

 

 ゲーマーたちの声に驚きを隠せなかった非ゲーマー陣。で、フミコはよく分からないことを言うし本当にこのメンバーでボス攻略なんてできるのだろうか。

 いや、できる。ディアベルはしかし、慢心はしていなかった。

 

「まず、作戦を練る前に六人のパーティーを組んでいない者たちは組んでくれ。ボスは単なるパーティーじゃ攻略できない、パーティーを束ねたレイドをつくるんだ」

「レイド?」

「レイドって言うのは、オンラインゲーム、つまりこれだけど…‥それで沢山のプレイヤーが一緒に協力しながらボスを倒したり、ダンジョンを攻略する戦闘形式の事だよ」

「へぇ……」

 

 これはカイトの言う通り、SAO以外のオンラインゲームでも使われている用語だ。その由来は、≪強襲≫を意味する英単語である≪Raid≫から来ていると言われて、やりこみ系のオンラインゲームだとレイド系コンテンツが搭載されていることがもはやポピュラーになっているという。

 なお、レイドに認定される人数は各ゲームコンテンツごとに異なっているらしい。

 

「因みにSAOだと何人なんですか?」

「βの時はパーティー八つで合計四十八人のレイドをつくることができたけど……」

「けど?」

 

 其の時、このメンバーの中でも一番先頭にいたカイトはディアベルに顔を向けた。ディアベルはその視線の意味を理解したらしく頷き、その説明を加えることを承諾する。この辺り、同じゲーマー、そして元βテスターであるが故にできるアイコンタクト、であると言えるか。

 因みにアスナは元からソロで戦っていたためパーティーを組んでいなかった。というか見向きすらしなかったそうだ。そのため、パーティーを解除したリーファ、ちう、シリカ、グレース、ユウキでパーティーを組むことになった。

 ―――ユウキ?

 

「ユウキって誰?」

「あ、私が入院していた時のお友達なの」

「初めまして! よろしく」

「え、えぇ……初めまして」

 

 後に聞いたところによると、グレースはある病を患っていて、幼いころから長期の入院をしていたそうだ。ユウキは入院生活、とまではいかなかったが連続して病院で検査をするという期間があったために入院と通院を繰り返しており、小児科で入院していた子供たちと仲良くなっていた。グレースもその一人。

 ユウキの病は、少し話すことができない特殊な物、バグスターウイルスでもグレースが感染した病気でもないまた別の病に罹患しており、将来的にはベッド上での生活を余儀なくされるとも医師からは言われていたらしい。

 しかし、ある医者が持ってきてくれたある治験の対象者となりその療法を試したことによって治癒、もう薬を飲まなくてもいい程に完璧に回復したそうだ。

 グレースもまた、ほとんど同じ時期に病から脱して別の街に引っ越すことになった。今回のSAOは、ユウキとグレース互いに誘ったそうだ。

 なんだろう、不思議な気分だ。彼女の名前が、≪ユウキ≫という自分の苗字と同じだからだろうか、それとも、彼女の笑顔に励まされるからだろうか、アスナはまだ分からなかった。

 

「よし、パーティーは組めたな? ではまず、このゲームのレイドについて説明をさせてもらいたい」

「……」

「β時代、一レイドは八パーティー、合計四十八人でレイドをつくることができていた。しかし、だ」

 

 というと、ディアベルは皆にメニューウインドウのゲームの仕様書の欄を見るように言うと、皆一様に右手を上から下に降ろしてそのウインドウを開き、彼の言うゲームの仕様書の欄を見た。すると、そこにはこう書いてあった。

 

『このゲームにおけるレイドは、最大六人、ソレを二十二まで束ねた合計百三十二人の一レイド。ソレを超える場合は≪LAボーナス≫を除き、ボス戦での報酬はボス部屋に入った百三十三人目のプレイヤーまでしか受け取ることができない』

「≪LAボーナス≫?」

 

 なんだろう、LAって、アスナは色々と思考した。LA、色々と思い浮かぶ。レイド、いや英単語だとRだからこれは違うか、≪LAボーナス≫を除いた報酬、と掲げられていることから、何らかの報酬なのだとは分かるのだが、それ以上のことが分からない。何なのだろう。

 この辺り、昨夜にも少しだけ話が出ていたのだが、アスナはその時二階に上がっていた為知らないこと、故に。

 

「今回の会議は、ボス攻略において最も重要となる≪LAボーナス≫の扱いについても……ある判断をしなければならない」

「え?」

 

 ディアベルが言った重要、それが一体どういう意味なのか、アスナはそう思っていたそうだ。しかし多くのβテスターはその言葉に深く頷いていたそうな。




プレイヤーNo.197紺野木綿季(ユウキ【Yuuki】)≪原作:ソードアート・オンライン≫

 実はアライアが合流した回にて密かに登場してた=『みなさま待望の≪あの子≫』の正体です。

本小説、見てわかる通り参戦作品にあまりに年代的に幅を持たせすぎてる上になかなか読者に知られてない作品が今後も増えていくと思います。そこで、素朴な疑問ですが、そもそもこの小説見てる層がどこなのか、どの層に需要があるのか知りたいため質問したいと思います。質問は、大雑把ですが、気楽にお答えください。では、あなたはーーー。

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