SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO   作:牢吏川波実

26 / 361
轟世剣ダイソード?×仮面ライダー

 出会い、それは最後には悲しみしか生まない物。

 別れの悲しみ、後悔の悲しみ、死別の悲しみ、そんなものしか産むことはない。

 そんなはずはないと声高高に訴える者たちも、いやそう言う者たちこそいざそう言う場面が訪れると皆一応に悲しみ出す。

 人は、矛盾に溢れた存在だ。

 けど、そんな矛盾に溢れた存在だからこそ、人として生きることができるのかもしれない。

 人は臆病な生き物だ。

 だから、身の安全を蔑ろにする存在を嫌うのかもしれない。

 孤独が苦手な生き物だ。

 そんなわけない。人は誰だって、いつも孤独。

 誰もその本心の全てを知ることはできない。

 そう、例えかつて自分のことを愛した人間でさえも。

 

 ある、街に溶け込んだ山の中。

 そこのお寺の中にいくつもの墓が建て並んでいる。

 昔からあるお寺であるからして、そこには町に昔から住んでいた人たちが静かに眠っていた。だから、ここに来るのは大体が地元の町人くらいな物だ。

 しかし、ここにその前例に当てはまらない3人の若者がいた。

 2人は男性、1人は女性だ。女性は、その手に仏花を携えている。

 

「まぁ、しかしあれだな?」

「何だ?」

「お前も変わらんなぁ、何年経っても」

「金子だってじゃないか」

 

 金子(かねこ)と呼ばれたやや筋肉質の青年は、隣を歩く赤髪の青年に肩をぶつけられる。それに対して金子は笑って青年の背中を叩いた。

 

「痛ってぇぇ!」

「おぅ、悪い悪い」

 

 金子が鍛えていると言うこともあって力強く、またかなり痛い物だったので青年はこけかけてしまう。

 しかし、それでも笑い合う2人の青年の関係はかなり良好であるようだ。

 と、ここで女性もまた笑って言う。

 

「でも、金子君もちっとも変わってないわね」

「まぁ、この歳になれば変わるもんも変わるまいて」

「この歳ってお前何歳だよ」

「お前と同じ、22だ」

 

 と、金子は言う。

 

「私24ね」

 

 と女性、千導今夜(せんどうこよい)は言う。

 

「いや知ってるよ」

 

 と赤髪の青年、百地王太(ももちおうた)は言う。

 なんとも簡潔丁寧に、まるで誰かに説明をしているかのように言う物だが、わかりやすいのは悪いことではないのでこの際置いておこう。

 この3人、特に女性と面として出会い、こうして集まることができたのは実は久方ぶりになる。

 男性陣2人は、普通科の大学に通っているのだが、今夜は医学部の大学に入ったのだ。その為なかなか会うこともで来ていなかった。だが、今日この日だけは3人で集まろうと決めていたのだ。

 

「それにしても、あれからもう一年になるんだよな……」

「……」

 

 今から一年前、3人は友人を失った。

 ある町を襲った地震。それは、現在の耐震設備であればなんの被害も齎すことのないほどの地震であった。

 だが、運悪く彼のいたビルは手抜き工事によって脆くなっており、彼は当時付き合っていた彼女を助けるために崩壊寸前のビルから落ち、死亡した。いや、正確に言えば死亡したとされている。

 彼は、地震の後に救急車で運ばれた。もう、運ばれる時点でほぼ即死で、後は病院で死亡認定を受けるくらいだった程に生存は絶望的だった。

 ところが、彼の身体は病院にたどり着くことは無かった。

 その日、彼は救急車と共に行方不明となってしまったのだ。目撃証言もなく、監視カメラにも映っておらず、警察による捜査が行われた者の終ぞ男性は見つかることなくその地震で唯一の行方不明者となってしまった。

 その後、現場の救急隊員が死亡を確認していたために彼は特例的に行方不明のまま死亡が認定され、結果彼の遺骨は墓に納骨されることなく今にいたる。

 

「2人とも、ありがとな。あいつの為に来てくれて」

「ううん、いいのよ」

「アイツも、俺たちと一緒に戦った仲間だからな……」

 

 彼ら3人には誰が聞いても信じてくれないような秘密を持っている。

 そして、今から彼らが向かう場所に眠っている人間もまた、ある秘密を持った男だった。

 2人の秘密が交差したのは今から四年前のこと。ある事件が起こった時に2人は他の多くの仲間たちと協力して強大な力に立ち向かい、そして勝った。

 それから一度も会ったことはないままにあの日、いなくなってしまった。

 もっといろんなことを話したかった。

 自分達の冒険の話をしたかった。

 金子にとっては、もっと自分を巻き込んで欲しかった。

 けど、そんな願いは届くことは決してない。

 何故なら、彼はもう死んでしまったのだから。

 

「おーい! 王太! 会長さん!」

「あ、皆! もう来てたのね!」

「……」

 

 階段の前、そこには今度は男性一名、女性が二名の組み合わせの三人がいた。

 

「久しぶりだな! 元気してたか王太!」

「まぁ、な」

 

 金髪の男性、十勝力(とかちちから)、王太の中学校の時の二年先輩だ。今は、塗装業の仕事をしているらしい。

 ショートヘアーの女性、二葉春夏(ふたばはるか)。彼女は王太の一年先輩の大学三年生である。この二人は、王太や今夜、そして金子の中学の時の同級生であり、そのころから見知った顔であった。

 そして、もう一人の女性。かおるは、金子の高校の時の同級生だ。そして、このメンバーの中では唯一秘密を抱えていない人間である。だが、それで疎外感を感じることは無い。

 そもそも四年前の事件で知り合った王太や今夜が頻繁にその秘密の話をしているのだが、その話があまりにも荒唐無稽すぎて信じていないだけなのだ。簡単に言えば、よくあるライトノベルの話として聞いているらしく、よくその話で投稿サイトに乗せてみればと冗談交じりに言われてしまうほどだ。

 こうして、集まった6人の若者は、階段を上った先にある《大天空寺(だいてんくうじ)》へと足を踏み入れる。

 すると、そこには一人の青年が境内を竹ぼうきで掃いていた。

 

「あ、どうも」

 

 王太は、青年に向けてお辞儀をする。すると、青年もまた6人に気が付き、眩しいくらいの笑顔でこちらも頭を下げて言った。

 

「こんにちは!」

「あの、《西郷》さんのお墓は何処にありますか?」

「西郷……あ、それならこっちですよ!」

 

 青年は、近くにあった木に竹箒を置くと、案内します。と言って彼彼女たちを案内し始めると、その直前、6人に振り向いた青年は思い出したかのように言った。

 

「あ、俺は《天空寺(てんくうじ)タケル》! この寺の住職をしています」

「住職? という事は、お坊さん?」

「そんなに若いのに、住職何ですか?」

 

 と、女性たちは、タケルの言う住職という言葉に少し疑問を持っているようだ。

 彼女たちのイメージだと、住職というのは頭髪を沿って丸坊主にしている老人という印象があった。しかし、目の前にいるタケルはそんな彼彼女たちの想像とは全く合致していなかった。

 

「うん、父さんが死んで……それ以来ここで」

「あ、すみません……」

 

 悪いことを聞いてしまったかもしれない。こんな若い身の上で住職をしているなんて、考えてみればそれくらいしか理由は思い当たらないはずなのに、なんとも彼に悪い質問をしてしまった。

 

「あ、ううん気にしないで! それより、西郷さんのお墓でしたよね。こっちです」

 

 さほど気にしていないというそぶりを見せたタケルは、案内を再開する。

 墓地、という物は多くは似たり寄ったりのためそれほど大差はない。墓石が並び、仏花が供えられる。このお寺の墓場もまたそんな事例に違わない極々普通の墓場だった。

 

「ここです。それじゃ、俺はこれで」

「はい、ありがとうございます」

 

 役目を終えたタケルは、彼らの邪魔をしないようにすぐに退散する。

 ここで住職をするようになってもう何年にもなるが、死者との会話がどれほど大切な物であるのか彼はよく知っていたのだ。なんとも心優しき人間である。

 

「久しぶりだな、大樹……」

 

 タケルを見送った王太達は、仏花を供え、火をつけた線香をさすとゆっくりと合掌する。

 確かに、ここに彼の遺骨はないかもしれない。しかし、彼の魂は眠っている。そう信じて。

 西郷大樹(さいごうたいき)はここに眠っている。はずである。だが、実はその時点で王太には何か予感のようなものがあった。

 

「俺さ、もしかしたらまだあいつが生きているような気がしてるんだ」

「え?」

「もしかしたら、あの時の俺たちみたいに異世界に行ってて……そこでなんとか生き返って、今でも冒険しているんじゃないかって」

「王太……」

「それって、前に言ってた泡のなんとか、ってところの事?」

「まぁ、それも俺の希望みたいなもんだけどな……」

 

 これが、かおるが信じていない物語の話だ。

 そう、彼女を除く5人は一度異世界に赴いたことがある。いや、彼彼女たちだけではない。もっと何倍もの人間が一斉に異世界へと転移したことがあるのだ。

 それは、今から数えること7年前の事。つまり、王太が中学生一年生の時の事。

 彼らの通う九江州(くえす)中学校、そして内部にいた生徒550人と先生が30分間の間消息不明になるという事件が発生した。

 帰ってきたときには当時学校にいた先生が全員と、生徒二十七名が行方不明になり、学校の一部が損傷。そして、校庭には何かが刺さっていたかのような跡が残っていた。

 当時、この怪奇現象に関して様々なワイドショーにて特番が組まれて、その消息を探す番組が立てられ、神隠し、どこかの国の陰謀なんてネットで呼ばれていた。

 極めつけが、帰ってきた生徒たちの証言である。

 ある者は、自分たちは異世界に行っていたのだと言い。

 ある者は、先生は地面から突き抜けた《だいそーど》なる物によって死亡したと言い。

 ある者は、消えた27人は異世界に残ったと言い。

 そしてある者は、自分たちは神と戦ったのだと言った。

 当然、このような話誰も信じる人間はいない、生徒たちは錯乱していた。そう多くの人間は言った。

 しかし、誰も信じなくてもよいが、これは本当の話であるのだ。

 実際に、彼ら九江州中学校の面々は、とある理由によって異世界《泡の中央界》に引き込まれ、そこで様々な冒険に身を投じた。そして数々の危機を乗り越えて523人の若者はこの世界に帰ってきた。

 その時中心人物として戦ったのは百地王太、そして549名もの生徒たちをまとめ上げたのが生徒会長であった千導今夜であったのだ。

 

「そうだったら、いいわね」

「だな」

 

 この王太の言葉に、周りの者たちも賛同した。

 そう、彼らは大樹が死んだという事を心の奥底では信じていなかったのだ。あの時の彼らの仲間であった者たちが一人も現れていないという事、そして《ただの地震》の犠牲者として死んだという事に疑問を感じていたから。そしてなにより救急車事消えたというのに、何故か大樹だけが行方不明扱いされて、その救急車に乗っていた、いや乗っていたはずの救急隊員は何処にも存在していないというらしいから。

 だから、彼らは信じている。自分たちの仲間は異世界か、それともこの地球のどこかか、それか、はるか遠くの未来で生きているのだと。

 

「よし、久しぶりに集まったんだ。どっか食べに行こうぜ!」

「……そうね、どっかで生きてるかもしれない大樹くんの分まで、ね」

 

 かおるは、そんな彼らの話を信じていない。信じていないが、しかし彼女もまたそうだったらいいなと思っている。自分が以前恋していた彼が、どこかで生きていればいいなと、思ってこれからも生き続けるのだ。例え、それが夢物語だったとしても。

 

「おや?」

「え?」

 

 帰ろうとした時、彼らは境内にいるタケルを見た。どうやら、女性と一緒にいるようだ。

 何かを話している。彼女であろうか。しかし、雰囲気がおかしい。なにか、女性は寂しそうな顔をしている。もしかして、別れ話か、それとも―――。

 

「あ……」

 

 女性は、王太たちのことに気が付くと、そそくさと階段の方へと向かい、そして街の方へと消えていった。

 そして、タケルは寂しげな笑顔を浮かべると王太に言う。

 

「皆もういいの?」

「あ、はい……あの、つかぬことを伺いますがさっきの人は?」

 

 好奇心が抑えきれなかったのか、王太はつい先ほどの女性の事を聞いてしまう。タケルは、困ったような表情をして、ため息をつくと言った。

 

「彼女は、俺の幼馴染で……恋人……だったんだ」

「だったって……別れたって事ですか?」

「いや、そういうわけじゃ……えっと、説明が、難しいんだ……」

「?」

 

 タケルは、本堂らしきものの木の階段に腰を落ち着かせると両手を合わせて言った。

 

「アカリ……あの子の名前なんだけど、アカリは……俺が小さい頃からよく遊んでて、年上ってこともあって俺は弟みたいなものになってて……よく面倒見てくれてて……」

「兄弟みたいに過ごしていたって事ですか?」

「そう、それ……」

 

 つまり、彼女とは小さい頃から姉弟のように過ごしていたから恋愛対象としては見ることが出来ない、見られないという、そういう問題を抱えているのだろうか。いや、根底はもっとややこしい物だった。

 

「……俺、記憶喪失だったんだ。彼女も」

「え?」

「記憶、喪失?」

「そう」

 

 そんな、二人いっぺんに記憶喪失になることがあるのだろうか。いや、もしかしたら自分たちが知らないだけでそういう事例があるのかもしれないが、しかし何だろう。何か今、言葉を選んでいたような間があったような気がする。

 

「それで、俺記憶喪失になる前から付き合っていた人がいたんだけど……その人が記憶喪失の間に、海外、に行ってて……それでアカリと俺は、記憶喪失になっている間付き合ってたんだ……それで……」

「記憶が戻って、関係が気まずくなってるって事ですね……」

「そうなんだ」

 

 先ほどからおかしい。肯定する発言にインターバルがなくて、まるで待っていましたと言わんばかりに食い気味で言葉を発している。まるで、嘘で嘘を塗り固めているかのようだ。

 

「だから、俺もアカリも……そして、今付き合ってる彼女とも、どう接すればいいのか分からなくなって……」

「……」

 

 随分と、気まずい話を聞いてしまった。どう反応していいのか分からない。というか、あまりにもややこしすぎる。

 つまり、アカリという女性は元カノではなく元カノであり今の彼女であり、そしてタケルにも今付き合っている彼女がいるという、不可抗力の三角関係となってしまっているわけだ。

 先ほどまでの王太達の話が異世界転生系のライトノベルであるとするのならば、タケルの話は濃厚な昼ドラを思わせる。

 

「ゴメン、変な話を聞かせちゃったね」

「いえ、聞いたのは俺ですし……」

「あ、そうだ。今日はおいしい和菓子があるんだ。よかったら食べて行ってよ」

「あ、はい……」

 

 別に聞かなくてもよかった話を聞いたのは王太であるというのに、その王太達をおやつに誘うなんて、なんと心の広い人間であろうか。王太たちは、タケルに感謝しながら本堂へと上がる。

 人の命は巡っている。

 一つの死が新たな出会いをもたらすこともある。

 その出会いがどのような未来をもたらすことになるのか。今はまだ分からない。

 分かることと言えば、一つだけ。

 命は奇跡なのだ。

 生まれるも奇跡、生きるも奇跡、そして生き切るも奇跡。

 この奇跡の中にいったいどれほどの命があるのだろう。

 どれほどの命が散っていったのだろう。

 奇跡のために、どれほどの犠牲があったことだろう。

 それでも、人は生きていくのだ。

 当たり前のようにその背後に存在する死と戦うために。

 当たり前ではない一日一日を生きるために。

 例え、明日死ぬ運命であったとしても。

 最高の一生を送ることが出来るように祈って。

 命の限り。

 人は、生きて、そして、死ぬるその日まで。

 必死の足掻きを見せるべく。




 クロノアイズ
 クロノアイズ グランサー
 仮面ライダーゴースト
           参戦
 ただし主人公はSAOには行かない。
 ダイソード組とクロノアイズ組が出会った系の話を考えると、参戦作品はどちらかと言えば
『長谷川裕一ひとりスーパーロボット大戦 大外伝』
 のほうがいいのかも? と思い、タイトルのところにハテナをつけました。

この小説、本編と外伝を……(希望する方を選んでください)

  • 一つの小説でやってもらいたい
  • 本編と外伝を分けて投稿してもらいたい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。