SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO 作:牢吏川波実
あともう少し、もう少し走れば自分たちが先ほど通った曲がり角に辿り着くはずだ。そこからなら。
「はぁ、はぁ、はぁ、待ってて、皆」
このゲームの世界ではいくら息を吸っても実際の身体には空気は一切入ってこない。ただ、荒い呼吸を繰り返しているという情報だけが伝達されるだけ。それが分かっていても荒い呼吸をしてしまうのは、現実世界の名残か、あるいは焦っている故なのだろうか。
「罠が発動してもう十分程……無事でいて……」
自分のパーティーメンバーは、見たところ体力が減ってはいるもののしかし、危険域であるレッドゾーンまで体力を減らしているプレイヤーはいないようだ。流石は自分の仲間たちと思いたい。だが、他の三パーティーの今の体力が把握できない今、彼女ができることはその三つのパーティーのHPがレッドゾーンに、最悪死者が出ていないと言う事を祈りながら走る事だけだった。
彼女の名前はエイミー。このSAOという剣だけで戦う世界に置いて、≪魔法≫というチートを授かった稀有な少女だ。
彼女は少し前まで、三つのパーティーと自分たちのパーティー、計四つのパーティーで行動していた。目的は、ボス攻略戦を前にしてパーティー間での連携を確認するため。だから、あまりモンスターが現れないで有名のこの森のフィールドを進んでいたのだが。
他の人間は不注意だと、自分は運が悪かったと思っている。あるパーティーメンバーのプレイヤーがうっかり、罠が仕掛けられている宝箱を開けてしまったのだ。
その瞬間に鳴り響いたアラーム音に驚きながらも、エイミーは無限かと思うほどに出現したモンスターとの戦いを始めた。最初は、バラバラに戦った方がいいと考えたエイミーだったが、個々に動くと敵モンスターのいい的になると、たしかテンザイに言われてみんなで互いに背を預け合って戦って。
でも、途中からはジリ貧と呼ばれる状態になっていた。当然だ。周りがモンスターに囲まれていて、その全てが自分たちに襲ってくるのだから。密集しているのだから。派手な攻撃を撃てば味方にも当たってしまう恐れがある。
そう考えればテンザイの助言は間違いだったかと言われればそうとも限らない。なぜなら彼の言う通り四つのパーティーがそれぞれ集団で動いたおかげで、互いに互いの死角をカバーしあって、自分があの場所にいる時時点で死者が一人も出ていなかったのだから。
しかしそれでもまずい状況には変わりはない。
『このままじゃらちあかん! エイミー! こうなればぬしのスキルで一網打尽じゃ!』
『ダメです! こんな密集地帯であれを出したら!!』
皆を、巻き添えにしてしまう。あの魔法少女スキルはそのデメリットだけでも恐ろしいものがあるのに、それに加えてあまりに強さとその範囲が膨大すぎる。一対一の戦いに置いてはとても有益なのかもしれない。だが、仲間が密集しているこの時に出すのはあまりにも危険すぎる。
前回使用した時には高いところから見下げる形で攻撃していたから誰一人として巻き込むことはなかった。でも、今回はきっと。
『なら、さっきの曲がり角は!?』
『え?』
『流石ですお姉さま! そこまで敵をおびき出せれば……』
『後は私たちが避けるだけ!!』
その後は、皆が、私をその場所に向かわせるために道を切り開いてくれた。私の事を追って来たモンスターもいたけど、でもそれもまた無茶を承知でAやバッドが、ブロッサム、そしてクレールとベーゼラが殿を務めてくれて、私は今走っている。
「もう少し、あと、もう少し……」
と、その時だった。エイミーは確かにみた。自分たちがあの場所に来る前に見えた曲がり角の終着点を。そこに辿り着いたエイミーはすぐさま仲間たちにメッセージを送った。
『到着した! すぐ来て!!』
と、とても簡潔に、仲間たちを誘導するメッセージを。
それが送信されたことを確認したエイミーはメニューウインドウを即座に展開すると、装備を切り替える。
「……」
悪魔の秘密兵器、〈魔法少女〉。大丈夫、体力は十分にある。ポーションもたくさん買っている。今の自分なら大丈夫のはず、だ。
そう信じたいエイミーは、しかしもしも自分の一撃で仲間たちを助けることができなかったら。そんなネガティブな感情を抱いてしまう。
当たり前のことだが、自分の力はこの剣だけで戦う世界においては異端と言ってもよい物。であるが故に、まだほとんどの人間には話していなかったある『制約』が存在しているのだ。もしも、その制約が足かせになって皆を守りきることができなかったら、それは。
「だめ、考えちゃ……今は……」
エイミーは頭を振って自分の頭の中をよぎった考えを捨て去ると、装備を切り替えた。
スキル〈魔法少女〉、武器〈救済の弓矢〉。瞬間、桃色の空間が目の前を覆い、一瞬のうちにその姿を本来の冒険者たるエイミーから、異端者である〈魔法少女〉の姿に変えたエイミー。
「ふぅ……」
そして、エイミーは一呼吸入れてから弓を引いた。流石にSAOの異端たるスキル。その扱い方は他のソードスキルとはわけが違う。ソードスキルのように自動的に攻撃を繰り出してくれるわけでもないし、その狙いを完全に合わせてくれるわけでもない。
最後に標的を射抜くのは、自分自身の実力があってこそ。と言っても、自分の実力なんて物たかが知れているのだが。
自分はセレーネのように弓道部に通っていたわけでもない。運動センスが抜群というわけでもない。それでも、その能力を手に入れたのには何らかの意味があったはず。そう、自分だったらこの能力を使いこなせるのだと言うそんな自画自賛。
勿論偶々手に入れた能力であることは熟知しているが、そうとでも思わなければ、きっと彼女は胸の鼓動を抑えきることができなかったのだろう。
あの時と同じ、一射にすべてをかけてもらった。そのとても厚いプレッシャーから。
「皆……ッ!」
仲間たちが見えるまであと少し。エイミーの目にはくらい森の様子しか見て取れなかった。しかし、それでも彼女は矢を射る。少しでもいい。少しでも敵の数を減らさなければ。そんな焦りがあったのかもしれない。もしかしたら仲間が、いや友達が死ぬかもしれない。そんな恐怖があったのかもしれない。
だから彼女は何も考えずに射続ける。ずっと、ずっと、ずっと。
「ちょっと、何してるの!?」
「え?」
とその時だった。自分たちがこの森に来た時に入って来た方向から一組のパーティーが現れたのである。いや、正確に言えば本来六人一組のパーティーなのが、一人いなくて五人一組になっているパーティー、と言ったところ。
その、リーダー的立ち位置にいるような女性が近づいて来て言うのだ。
「そのスキル〈魔法少女〉でしょ? そんなに無駄打ちしてたら危険じゃない!」
「!?」
どうして、ソレを。エイミーは唖然とした表情を浮かべるが、女性はそれに構わずポーションを取り出し彼女に押し付けるかのように渡す。
「とりあえず、何があるのか説明して? HPを回復しながらね」
と、こういうのを姉御肌、というのだろうか。彼女からはただならぬカリスマ性のようなものを感じ取ってしまう。いや、それはイインチョウやヤスミ等この世界に来て色々な女性から感じ取っていたのだが、しかし彼女もまたその一人に数えていいくらいに堂々としていた。
そんな彼女にエイミーは現在の状況を伝えると、女性は。
「なるほどね。私も、手伝わせてもらうわ」
「え?」
というと、メニューウインドウを開いて操作し始める。その手順、手先だけ見ても分かった。まさか、彼女も。
「あ、そうだ。自己紹介忘れてたわね」
そう言いながら、スキルを展開し〈魔法少女〉の衣服に姿を変えた女性は言う。
「私の名前は≪ガレット≫、だけど本当の世界だと、七海……」
ビュン。そんな音が聞こえてくるくらいに勢いよく棍棒を振り回した女性は、しっかりと、そして気合を入れた表情で言った。
「勇者七海! よろしく!!」
「勇者……」
格好いい。思わずエイミーは呟いてしまったのだった。
プレイヤーNo.206 ???七海(ガレット【Garetto】)≪原作:???≫
ほぼバレてるだろうけど念のために。
本小説、見てわかる通り参戦作品にあまりに年代的に幅を持たせすぎてる上になかなか読者に知られてない作品が今後も増えていくと思います。そこで、素朴な疑問ですが、そもそもこの小説見てる層がどこなのか、どの層に需要があるのか知りたいため質問したいと思います。質問は、大雑把ですが、気楽にお答えください。では、あなたはーーー。
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