SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO 作:牢吏川波実
「なるほど、それで同じ〈魔法少女〉スキル持ちの少女に出会えたわけか!」
「ホント、奇遇ですよね!」
と言いながらテンザイ、そしてガレットと共にやって来た少女≪ベッキー≫が共に背中を合わせて周囲を取り囲むモンスターと戦う。
「と言うか、この世界魔法のない世界っちゅう設定じゃろ! なんでそんなものがあるんじゃ!!」
「今それ言うの?」
なんて言っているフミコの事は置いといてだ。いや、確かに気になるのは気になるのだが、今それを詮索している場合じゃない。
なぜなら、まだ彼、彼女たちのピンチが終了したとは言い切れないから。
先ほどのエイミーとガレットが放った同時攻撃によって敵の三分の一が消滅、他のモンスターもまた大なり小なりのダメージを負った。しかしそれでもまだ生き残ったモンスターたちが改めて立ち上がり、四つのパーティーに襲い掛かったのだ。
ソレを見たエイミーはガレットとともにポーションを飲んでから一端〈魔法少女〉のスキルを解き通常の冒険者スタイル、と言っていい状態に戻って戦線に入る。
そして、ガレットもまたベッキー、そして二人の少女を連れてモンスター蠢く中へと飛び込んで行った。
「助けてもらってうれしいですけど、危なくないですか!?」
「確かに。罠を発動させてモンスターに取り囲まれている集団を助けに行くなんて普通じゃないかもしれないけど!」
「別行動をとっているサクヤちゃんだったら、絶対に助けるって、そう言いますから」
「サクヤ、ちゃん?」
と、二人の少女は華麗な剣の舞を見せながらそう言った。実は、彼女には別行動をしているもう一人の仲間がいたのだ。その仲間は現在トールバーナに置いてボス攻略作戦の最後の詰めを行っているディアベル他βテスターに対して、遅れた物の自分たちも攻略に参加させてもらいたいと交渉しているためにいないのだと言う。
そのプレイヤーは自分たちの実力から見てもかなりだと、少女の仲間であるメーティスが言った。
「というか、随分余裕ですわね」
「確かに、本当だったらここ絶望する場面よ、ザ・ワールドでも、ねッ!」
ブラックローズが目の前のダイアー・ウルフを一刀両断しながら言った。
そう、和気藹々という風にしゃべってはいるものの、その実自分たちはモンスタートラップに引っかかって周りを取り囲まれているという状況には変わりない。普通のパーティーであったのならこの状況に冷静さを失って今頃死人の一人や二人あるいは、全滅という最悪のシナリオが訪れてもいいはずの場面だ。
だと言うのに、戦っているプレイヤーたちはそんな事意にも返さず、中には笑いながら戦っているものまでいる。気でも迷ったか、彼女たちの事を知らない人間たちはそう思うであろう。
だが、違うのだ。
「こんな状況、デザトリアンと戦った時にもありました!」
「私たちも、冒険の途中で魔物に囲まれたことがあったし……」
「現実世界で死線を乗り越えて来た。そんな私たちを止められると思わないでください!!」
とブロッサム、レイアース、そしてAの三人が口々に言った。そう。ここにいるプレイヤーは皆が皆一般人というわけではない。勿論、現実世界的な意味で言えば一般人と言ってもいい物達、ベーゼラやローウェル、バン、ノエル、あとちょっと違うかもしれないがキッドといった面々がいることも確か。
だが、それ以外の面々は大方が一般人とはかけ離れたプレイヤー。プリキュアとして戦っている物。特務機関に所属している物。学生の身でありながら拳銃を所持する許可を与えられた武偵。かつてザ・ワールドというこちらもSAOと同じゲームの世界で意識消失の恐怖と共に戦ったブラックローズや異世界セフィーロで戦ったレイアース、そしてほぼ軍人であると言ってもいいシズク。
これだけ戦いに慣れた人間がいるのだ。経験者がいるのだ。何の恐れがあるだろうか。
ある意味で、あの罠を開けた一団がこの集団で良かったのかもしれない。罠を開けてしまったプレイヤーの本来の心境については前述したとおりだが、しかし彼、彼女たちにはそんな状況でも冷静さを保っていられる経験がある。集団で敵に立ち向かうと言う事を何度も経験し、その状況を乗り越えて来た。そんな自負がある。
勿論それに胡坐をかくわけではない。己を知り、己を高め、慢心することがないように努めている。だからこそ彼女たちは自信を持って言えるのだ。
この戦い、誰一人として死人を出すことはないのだと。
「ハァァァァァ!!!」
その中で、自分の事を勇者と呼称した少女、ガレットは大暴れしていた。
手に持っているのは棍棒、なのだろう。そんな物この世界の武器にあっただろうかと思ってしまうが、エイミーの弓矢もまた本来この世界に存在していなかったはずの武器なのだから、同じ〈魔法少女〉スキル持ちの彼女にも同じように固有武器があってもおかしくないのかもしれない。
ともかく、彼女はその棍棒を用いて、あるいは自分自身のジャンプ力も生かしてモンスターたちの上を飛び回りながら一匹、また一匹とモンスターを倒していく。流石は自称勇者と言ってもいいかもしれない。
「タァッ!!」
と、その時ガレットが地面に気合を入れて棍棒を突き刺した。瞬間、周囲にいたモンスターが数センチ地面から離れた。そう言うソードスキル、なのだろうか。しかしその一瞬を彼女たちは見逃さない。
「ッ!」
「ハァァァ!!」
ブロッサム、スタームルガー、バッド、クレール、テンザイ、ミィ、フミコ、レイアース、キッドは浮かび上がって無防備なモンスターたちを一瞬の間に切り裂いていった。そして、浮かび上がった十数体のモンスターは一瞬のうちにガラス片へと変わり、その周囲だけモンスターがいない状況になる。
彼女、そして彼らは互いに背を合わせてまた再びどこからでも敵が来てもいいように準備を整えたところで、ガレットは舞い降りて言った。
「貴方たちもやるわね!」
「フッ、まぁ当然かな……」
「伊達に森羅の養成学校に入ってないってね!」
「しゃぁ! このまま一気に行くぞぉ!!」
「はい!!」
それから、死闘は十数分続き、ついに最後のフレイジー・ボアを倒した瞬間、目の前にそれまで手に入れたコルや経験値が表示され、レベルアップしたプレイヤーにはポイントをどのスキルに割り当てるか、というようないつものメッセージが出て来るが、誰もかれもがそれどころじゃなかった。
プレイヤーたちはすぐさまモンスターが出現することのない安全地帯に移動、そこでまるでそれまでの疲れが一気に出て来たかのように一様にその場に座り込んだり倒れこんだりした。
「はぁ、つ、疲れたぁ……」
「皆の衆、生きとるかぁ……」
「あ、えっと……大丈夫です。皆、生きてます……よかった……」
「もうモンスタートラップはこりごりなのです!!」
エイミーが安心するように呟いた後、マシェリが総括するように叫んだ。
結局、このあまりにも絶望的な状況下、死人が一人出てもおかしくない、そう言われるような戦いの中で死人が出ることはなかった。これは、SAOというゲームの中に置いて非常に稀な事であると言えるだろう。
今回、トラップが発動したのが森という広大なフィールドであったことも幸いした。おかげでエイミーが逃げれる状況を作り出すことができ、彼女、そして突然現れたガレットとその仲間たちの助力を乞う事ができたのだから。
「ありがとうございます。ガレットさん」
「いいのいいの。私たちも、通りすがったっだけだし」
その、通りすがっただけでどれだけ助かった事か。エイミーを含めた多くのプレイヤーがそう考えていた。
「それにしても、ガレットさんも〈魔法少女〉スキルを持っているんですね」
果てしなく今更の質問であるが、あの戦闘の中に置いてそのことについて詳しく聞くことができなかったが故、仕方のないことだ。
その質問を受けたガレットは微笑むと。
「えぇ、少し前のクエストで。その後、ベッキーにもスキルをって思ったけど私が受注したクエスト一度きりの物みたいですぐに消えちゃって……」
と、どうやらここに来る前に受けたクエストの報酬がソレだったらしい。エイミーの時のよく似ている。クエストを一度クリアしたらそのクエストは他のプレイヤーがチャレンジすることができない、と言ったところとか。
「まぁ、スキルの説明を見た今じゃ、ベッキーにそんな辛い思いさせなくてよかったって思ってるけど」
「……」
というと、ベッキーは俯いた。確かに、〈魔法少女〉スキルは爆発的な攻撃力が魅力。しかしその代わりにHPというこの世界に置いて命ともいえるモノを犠牲にするまさしく危険と隣り合わせのスキル。それを他の者にもつかわせたくないと思うのは当たり前の事。
そうとだけ、クレールは思っていた。
「あ、もうすぐ次の時間になるわね……エイミー、ポーション飲んだほうがいいわよ」
「あ、はい」
「?」
その、会話を聞くまでは。
クレールが立ち上がり聞く。
「エイミー、どういうこと?」
「え、えっと……」
次の時間になるからポーションを飲む、意味が分からない文言だ。でも、それを軽々しく受け入れているエイミーがいるのも事実。これはもしかすると何かがあるのかもしれない。クレールの直感が囁いた。と、同時にガレットが言う。
「もしかして……あの事伝えてないの……?」
「……」
エイミーはやはり俯いてしまった。ソレを見たガレットはため息をつくと言う。
「そう、ごめんねエイミー」
「いえいいんです。いつかは、話さないといけないと思っていましたから」
というと、メニューウインドウを可視モードに変えて他のプレイヤーにも見えるようにしたエイミーは、その魔法少女スキルの説明欄をクレールに見せた。
瞬間だった。クレールの顔が驚愕に変わり、叫んだのである。
「なんで、なんでこんな大事な事黙ってたの!?」
「……皆を、心配させたくなくて」
「でも、そんな……」
「あの、どうしたんですか?」
突然の剣幕に驚いたベーゼラが二人に近づき聞いた。それに続いて他のプレイヤーたちもまた。これはもう、隠すことができなさそうだ。エイミーは、自嘲するとクレールに見せたように自分のメニューウインドウを見せた。すると、そこには。
[ソウルジェム 魂を宝石に変換した石。スキル≪魔法少女≫を取得できる代わりに装着すれば二度と外すことはできない。また―――]
「……」
「……え」
「また、装着者は時間が00分になるたびにHPの6%を消費。これは≪アンチクリミナルコード有効圏内≫でも相違なくHPが減少していき……もし……それでHPが全壊したら……醜いモンスターにか……わる」
「……」
あまりにも大きな代償、であった。
プレイヤーNo.207 ???(ベッキー【Becky】)≪原作:???≫
大いなる力を行使するためには大いなる犠牲が必要。当然のことである。
なお、ベッキーとガレットの名前と出身作品は次回くらいには、ある人物達と一緒に出したいと思います。
本小説、見てわかる通り参戦作品にあまりに年代的に幅を持たせすぎてる上になかなか読者に知られてない作品が今後も増えていくと思います。そこで、素朴な疑問ですが、そもそもこの小説見てる層がどこなのか、どの層に需要があるのか知りたいため質問したいと思います。質問は、大雑把ですが、気楽にお答えください。では、あなたはーーー。
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