SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO   作:牢吏川波実

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メインシナリオ 第三章 第五十四話

 十二月五日、月曜日。午前十時。

 このデスゲームが始まってから一月と少しが経過した。本来のMMORPGだと、第一層に当たる場所は既に網羅されて、次の層次の層に向ってプレイヤーたちが足早になっている時期だっただろうとあるゲーマーは言っていた。

 確かにβテスト時代もそうだった。たった二か月の間に、八層まで到達していたことを考えるとかなり足並みが遅いと言ってもよいだろう。

 だが、むりもない。何度も言うようだがこのゲームはデスゲーム、戦って敗北すればそれが実際の死に直結し、二度と生き返ることができない。そんな世界で危険を承知で一人突っ走るプレイヤーがいるとしたら馬鹿位なものだ。

 しかし、そんな世界の中でもようやく彼らSAOプレイヤーはこの日を迎えたのだ。二度と開くことはないと思われていたボスへの挑戦権を、ついに手に入れた。

 カイトは思っていた。恐らく、今ここにいるプレイヤーが現在進行形でのSAO攻略のための最高戦力であるのだと。自分を含めたたくさんのβテスター。ソレに教えを乞うた多くのプレイヤー。そして、最前線を突っ走てきたプレイヤーたちに、大きなデメリットはある物の攻撃力の面で見たら一番高い〈魔法少女〉スキルを持ったプレイヤー。

 果たして、このプレイヤーたちの中にいてしかし、カイトは一抹の不安を覚えていた。

 今ここにいるのはこのSAO内でも最高の戦力と言う事、逆に言えば、そのプレイヤーたちでも堕一層のボス、≪イルフォング・ザ・コボルドロード≫を倒すことができなかったらどうなるだろうか。

 あの強さ、自分も覚えている。≪まだ死んでよかった≫ころのSAO時代にも、何度も挑んで、何度も死んで、それでも何度も復活して倒せた強敵だ。たった一度の挑戦で、そしてたった一つの命で、果たして勝つことができるのか。

 それに気になることはもう一つ。一レイドの数が大幅に増えていると言う事。何故茅場明彦はそんなことをしたのだろう。まるで、ゲームが開始されたらそれだけの人数のプレイヤーが集まると、そう予想していたかのようだ。

 それはおかしい。なぜなら、デスゲームという命のやり取りをする場所を作ったのならば、本来だったらボス戦に挑むプレイヤーの数が逆に減ってもおかしくもなんともないのだから。それでも一レイドの人数が増えたおかげで大量のプレイヤーが一緒にボス戦に臨むことができるのは確かだが、何故、茅場明彦はこの状況を予測しえたのか。

 カイトは何か大きな不安のようなものを感じていた。まるで、茅場明彦の掌の上で踊らされているかのような、そんな不安が。

 それにーーー。

 

「夢であるように、か……」

 

 先日、アルゴから聞かされたメッセージだ。どうやら、この第一層に存在するとあるクエストをクリアしたプレイヤーから、情報を入手したそうだ。

 彼女はその情報を買い、そしてカイトたちにそれぞれ500コルずつで売った。何かおかしいような気もしたが、それはともかく、だ。

 彼女から伝えられた情報、それは大地と大地の門の番人、つまりボスのことだが、それに対しての情報だった。

 その内容が『夢であるように』、その一言だけだったという。

 これが、もしかしたらボス攻略のヒントなるかもしれない。だが、元βだった自分も含めて、その言葉とボスが繋がることはない。

 何かある。だか、その何かがわからない。そう、カイトは思っていたそうだ。

 

「皆、いきなりだけどありがとう。たった今、全パーティー合計二百四十六人が到着した! 一人も、欠けずにだ!」

 

 件のコロッセオの一番下からディアベルがそう声を張り上げた。その言葉に、和気藹々だった雰囲気が一気にスンとしずまって、緊張感が出て来る。その様子をみたディアベルは叫ぶ。

 

「俺は今、猛烈に感動している。恐れる事なく、この場所に来てくれたら事を、元βを受け入れてくれて一緒に戦ってくれることを感謝している。もう一度言う。この戦い、一人たりとも死者を出さない。出させない! この最高のレイドで、共に……ボス、≪イルフォング・ザ・コボルドロード≫を倒して次の階層への扉を開こう!!」

『応ッ!!』

 

 もはや慣れて来たな、この掛け声も。そう感じながらしかし、ディアベルの緊張感を持続させるための言葉遣いには舌を巻く。彼は何度も言っている。この戦いで死者を一人も出さないと、決して誰も殺させたりはしないと。それはディアベルの覚悟であり、そしてなおかつ全員にこのゲームがデスゲームであるのだと言う認識を再確認させるためのモノ。

 緊張が過ぎれば毒になると誰かが言った。でも、緊張を解しすぎると逆に油断と言う天敵となってプレイヤーに襲い掛かる。ディアベルはそのいい塩梅を見極めて言葉を紡いでいるのだろう。

 

「みんな……もう俺からいえる事は何もない……そう、言えることはたった一つだけだ……」

 

 そう言うと、ディアベルは初期装備の一つでもあるグローブに包まれた手を上にあげると言った。

 

「……勝とうぜ!!」

 

 瞬間、巻き起こったプレイヤーたちの雄たけびは、第一層にいる全ての人間に聞こえるのではないかと思えるほどに大きく響き渡り、数名のプレイヤーはその叫びに感動すら覚える者がいた。

 彼にはどこか人を惹きつけるカリスマ性と言う物がある。昨日か一昨日に誰かが言っていたような言葉であるが、しかしまだまだ成長途中であると言うのが多くのプレイヤーの共通認識だった。

 そう、成長途中だ。彼はまだまだ強くなることができる。統率力をもっと磨き、そして強さを磨き、多くのプレイヤーを率いる人材となることができる。それが大多数のβテスターの考え。

 考えてみれば彼は一般人。スーパー戦隊や仮面ライダーでも、勿論プリキュアというわけでもない現実世界では戦う力を持っていなかった人間。そんな人間がここまでの人望を集めることができるのが、このSAOというゲームの恐ろしさ、なのかもしれない。

 

「どうしたのマカロン」

「いえ……何でもないわ」

 

 どうやら自分が考え事をしていたのを読まれていたようだ。マカロンはショコラの言葉に何でもないと言うと他の大多数のプレイヤーと同じようにスゥと立ち上がった。

 

「さぁ、行きましょう。私たちの役目はまず、ボス部屋までの道を切り開くこと……ちょっと残念だけど」

 

 彼女たちを含めたいくつかのパーティーは、まず最初にボスと挑むレイドが、少しでも消耗を抑えるために途中に現れるモンスターを倒してその道を作る、そんな裏方的な役目を貰っていたのだ。

 束縛を嫌うマカロンとしてはそんな裏方の仕事を任されたのに最初は嫌気がさしたが、しかしボスに挑むレイドの中にはプリキュアとしての仲間がたくさんいるし、そのレイドがボスとの戦闘中に一定以上のダメージを受けたら後方で待機している別のパーティーと後退するとのことなので、自分の出番は必ず回ってくるはずだ。

 いや、回って来る。そう断定していたし、ディアベルもそう思っていたのだろう。

 演説を終えたディアベルが、控えに回った第二レイドの所に来て言う。

 

「第二レイドの皆は、いつでも戦えるように準備しておいてくれ。もしもの時は上限関係なく、助けをお願いする」

「えぇ、分かってるわ」

 

 と、マカロンが代表するかのように言った。因みに、である。

 

「あの、一応パーティーリーダー私なんだけど……」

 

 そう、彼女の属するパーティーのリーダーは一応ミラクル、ということになっている。が、何故かマカロンに主導権を譲ってしまっているのは、恐らく彼女が元々持っているカリスマ性から来ている者なのだろう。

 なにか不憫な物を感じたミラクルに対してマカロンは彼女の顎をゆっくりと撫でながら言う。

 

「あら、貴方にも期待しているわよ、ミラクル」

「は、はい……って、猫みたいな扱いしないでください!!」

「ふふ、ごめんなさい」

 

 だが、そこを撫でられると心地がいいのは確か。猫も同じように顎の所を撫でられると、文字通り猫なで声というゴロゴロと言った優しい声を出してくれる。だから、もしかしたら人間でもまた同じような感性があるのかもしれないとそう思ったミラクルであった。

 

「よし、では出発!! 皆、第二レイドを先頭に続け!!」

『応ッ!!』

 

 こうして、堕一層ボス攻略部隊が、トールバーナの街から迷宮区へと旅立ったのだった。

本小説、見てわかる通り参戦作品にあまりに年代的に幅を持たせすぎてる上になかなか読者に知られてない作品が今後も増えていくと思います。そこで、素朴な疑問ですが、そもそもこの小説見てる層がどこなのか、どの層に需要があるのか知りたいため質問したいと思います。質問は、大雑把ですが、気楽にお答えください。では、あなたはーーー。

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