SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO   作:牢吏川波実

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メインシナリオ 第三章 第五十六話

 ボス部屋は、事前に聞いていた通りこ構造。あるいはとあるプレイヤーたちは知っていた通りに広い空間だった。いや、もはや見慣れた景色と言ってもいい。少し、大きさが違う事以外は。

 奥に向かって伸びる長方形の空間。広さは、左右およそ六十メートル、扉から奥までが大体百メートル位、サッカーコートと似た大きと言った方が分かりやすいだろう。

 その部屋の全景を見てふと、空間が歪んでいると考えることができたのは、このゲームを元々プレイしていたβテスターたちやこのゲームを理解し始めていた頭のいいプレイヤーたちだ。

 なぜならば、本来この迷宮区二十階はボス部屋以外がマッピング済み、その数値的サイズは地図の空白エリアと、それまでの階数のソレを照らし合わせればおのずと引き出すことができるはずだから。

 でも、今自分たちが見ているソレはどう見てもそれまでの階と空白エリアから割り出すことができない広さをしていた。恐らく、このボス部屋だけが空間としてねじ曲がってしまっているのだろう。異空間にあると言っても過言では無いだろう。

 そして、その広さは今後戦う内で重要になって来ると、ボス攻略会議の際にイインチョウやヤスミが口ずっぱく言っていた。

 扉は、勿論常に開いている状態なので、HPが減ってきたとしたらすぐに逃げることができる。だが、もしも最奥部まで行ってボスモンスターあるいはその取り巻きと戦っていたら、その≪すぐ≫が、果たしていつ来ることになるのか。分かった物ではない。

 そう、事前に言っていたHPが減って来たらすぐに後方にいるプレイヤーと交代するようにという作戦は、実際には非常に難しいものであるのだ。

 先頭を切って戦うプレイヤーのHPを見るのも困難であるし、例え自分で危険だと判断して後方に逃げたとしても、扉までかなり距離がある。もし逃げている最中に取り巻きのモンスターに背後から急襲でもされてしまえば、その時点でジ・エンド。ゲームオーバーとなるのもありえないことじゃ無いのだ。

 なので、その辺りの判断は前線で戦うプレイヤーだけじゃない。後方で待機している次のレイドのプレイヤーたちもつぶさに観察しなければならない。危険だと感じたら、すぐさま助けに入る準備をしなければならないのだ。だから、後方のプレイヤーたちも注意を怠らないでもらいたい。それが、イインチョウやヤスミ、そしてディアベルの願いだった。

 そんな中だった。ほぼ暗闇に沈んでいたボス部屋の左右の壁で、ボッと音を立てて粗雑な松明が燃え上がった。その瞬間にデジタルの温かみのない火が上がり、さらに続いて奥に向かう様に松明の火はその数を増やしていき、ついに朧げだった部屋の全容を見せることになった。

 ひび割れた石床や壁、その各所に飾られた大小無数の髑髏。部屋の最奥部には巨大な玉座が設けられ、そこに坐した巨体を見た瞬間、ディアベルが呟いた。

 

「馬鹿な……ボスが、二体だと……」

「え?」

 

 それって、どういうことか。そう、聞く暇もなかった。

 

「「グルラアアアアアアッ!!!!」」

「!!」

 

 地鳴りのような雄たけびを上げて、二体の怪物は玉座から飛び上がり、空中で一度回転すると地震のような揺れを起こして地面に降り立った。思わずよろけてしまいそうになるほどの地響きとともに、この階層のボス≪イルファング・ザ・コボルドロード≫が≪二体≫出現したのである。

 

「ボスが、二体だと!?」

「嘘でしょ!? なんで!!」

 

 と、メガRとヤスミの二人が驚きの声を上げる。この言葉から察するに、目の前の巨人がボス、なのは間違いないのだろう。だが、それが二体いるのに驚きを隠せていない。という事は。

 

「元々一体だったってこと?」

「当然ですわ。どの階層のボスも、一体だけ……いえ、正確に言えば同時に現れるのが、一体だけですね」

 

 確か、次の階層のボスは倒したら次のモンスターが現れて、倒したら次のモンスターが現れるという三段構えだった、そう思い返しながらイインチョウは武器を構えた。

 

「ディアベルさん。どうしますか?」

「……」

 

 どうするか。それはもちろん、この異常事態に対してどう対応するのか、だ。一度退くのもいい。なぜなら、こんなもの予想外すぎるから。ボス一体相手の戦略は色々と練ってきた。だが、ボスが同時に二体現れると言うのは想定していなかった事。ここは一度退き、もう一度新たに作戦を立て直してこのボス部屋に来てもいいだろう。

 そう思う者が多いのも事実。

 でも。

 

「……戦闘を始めよう。敵の攻撃パターンを見て、もし何らかの違いがあったらすぐに退避、取り巻きの数もまだ見ていない。ソレを見てから決めても問題はないだろう」

「そうですわね」

 

 確かに、自分たちは敵の攻撃パターンを知っている。が、ことここにいたってその攻撃パターンが二体になったことによって変化している可能性というのも考えなければならなくなった。それに、まだ取り巻きのモンスターである≪ルイン・コボルド・センチネル≫の姿も見ていない。

 ソレを見てから、もしも敗色濃厚、いや想定以上のことが起こったらすぐに退避する。そして作戦をもう一度立て直して再度チャレンジをしよう。その場で何人ものプレイヤーが話し合い、その方針で行こうと、決着がついた。

 しかし、だ。

 

(何じゃ、この既視感。ワシは、この状況にどこかで遭遇したことがある。じゃがどこでじゃ?)

 

 フミコは何処かこの状況に覚えがあった。いや、彼女だけじゃない。他にも何人かが何かを思い出そうとしていた。しかしどうしても思い出すことができなかった。きっと、幾つもの事件や今回の事件に巻き込まれたことによって頭が正常に回ってなかったのだろう。

 いつだ。一体いつこの状況にであったのか。フミコは珍しく真剣な顔を浮かべて考える。なにか、嫌な予感がした。

 しかし彼女がそんな事を思案している間にも状況は刻一刻と変わっていく。

 

「全員、突撃!!」

 

 ついに最初の対ボスモンスター戦闘が開始されたのだった。

 それと同時に左右の高い壁にいくつも空いた穴から≪九匹≫の重武装モンスターが飛び降りて来る。取り巻きの≪ルイン・コボルド・センチネル≫だ。

 

「やはり取り巻きは三倍か!」

「予想通りだね!」

 

 そう、これは想定内。部屋の大きさが三倍になっているのならば、その取り巻きも三倍入るはずという想定通りだ。この敵に関しての対処はすでに想定済みだ。

 

「陣形を変える! オウタとコジカの隊は左側のコボルド王を! 俺、みぽりん、カイト、コハルもだ! ちう、ヤスミ、イインチョウ、ドリーム、メガR、シンケンRは右側を、他の隊はセンチネルを頼む!」

『了解!!』

 

 しかし、それでもボス二体は想定していなかったためディアベルは咄嗟にそう指示を出した。元々オウタとコジカの隊にはセンチネルの相手をしてもらう予定だった。だが、ことここにいたりコボルド王と呼称したボスが二体現れたことによって危険度がさらに増すことになった。そこで、二つの隊をさらにコボルド王の対処に付けてたのである。これで、コボルド王相手に一体に付き六隊が、取り巻きのコボルドの方には十隊に向かわせることにしたのだ。

 

「皆の者! あえて言う! 死ぬな!」

「ちょ、ふざけてんのか真面目なのか分からない言葉は一番突っ込みにくいからやめてよね!!」

 

 というフミコとブラックローズの会話はさておき、この時間は明記しておかなければならない。

 十二月五日午後十二時四十分。

 それは、新たなる地獄の門が開いた瞬間であった。

本小説、見てわかる通り参戦作品にあまりに年代的に幅を持たせすぎてる上になかなか読者に知られてない作品が今後も増えていくと思います。そこで、素朴な疑問ですが、そもそもこの小説見てる層がどこなのか、どの層に需要があるのか知りたいため質問したいと思います。質問は、大雑把ですが、気楽にお答えください。では、あなたはーーー。

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