SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO 作:牢吏川波実
どこにでもある住宅街に立っている、一つのマンションがあった。
鉄筋コンクリート造りの十二階建てマンションは、横に幅が広く、そこで子供たちが毎日のように運動会をするくらいの直線的なつくりをしていた。
そのマンションの一室で、ある男たちが大量の携帯電話と、パソコンを相手にして次々とかかって来るソレに対応していた。
「はい、はい私どもはネットセキュリティのプロですので」
「大丈夫です。貴方のお子さんは必ず救って見せますから」
「分かりました。では、入金が確認され次第ナーヴギアを送らせていただきます」
と、完全にマニュアル化された謳い文句を述べるさまはどこか滑稽にも見える。
彼らは言うのだ、自分たちはネット界隈では有名なハッカーなのだと。だから、SAOのプログラムに忍び込むことくらい何のことはないのだと。
彼らは言うのだ。もし、自分たちのお金を払ってさえくれれば、そのプログラムにほころびを作ってある一定の人間を逃がすことが可能なのだと。
彼らは言うのだ。大金を払ってさえくれれば、ナーヴギアとSAOを送るのだと。
「にしても、ボロイ商売だよなぁ」
「あぁ、茅場晶彦には頭が上がらないぜ、こんな楽な商売を作ってくれたんだからよ」
と、男たちのリーダー格たる人間がそう言った。
そう、これは完全な詐欺行為。
ネット界隈で有名なハッカー?
SAOからプレイヤーを逃がすことができる?
ナーヴギアとSAOを送り付ける?
そんな事、できるはずがない。そもそも、そんな高度なプログラミング能力も持っていないような彼らがそのような、今世界中のプログラマーが挑戦しては失敗していることを簡単にできるはずなかったのだ。
これは、ここ最近できた新しい特殊詐欺、通称『SAO詐欺』である。甘い言葉で相手をそそのかし、前述した謳い文句で相手からお金をだまし取る。この三週間で完全に定型化された新たな特殊詐欺だった。
何故、悪人と言う物はこうやって頭の回転が速いのだろうか。どうしてこうやって簡単に人間の善意に、そして心労に心を許す行いをすることができるのだろうか。
全く持って不謹慎かつ非倫理的な行いだ。
だが、それをなすのが人間だ。ソレを考え付けるのが人間だ。楽してお金を稼ぐ方法を考え付くのが人間だ。それが、醜い人間の姿なのだ。全員が全員そうとは限らない、そう言う人間だっているのかもしれない。
でも、そう反論する人間たちに対して、一年前、そうあの伝説の戦士プリキュアたちが命を懸けて地球のため、周りの人間の人たちを救うために戦っていた時、何をしていた。あの時、人間たちは何に熱中していた。
『か〜え〜れッ! か〜え〜れッ! か〜え〜れッ! か〜え〜れッ!』
今でも耳にリフレインする。あの時の人々の歓声が、怒号が。人々の、醜い総意が。
本来これまで地球を守ってきてくれた戦士たちを用いて遊び、本当に地球の事を考えてくれていた異星人を追い出そうとしていた、あの醜態が。
「ホント、人間って馬鹿ばかりだよな」
そんな人間たちの行いをフッと笑い飛ばした男は、手に持ったたばこを吸い殻の中ですりつぶすと新しい煙草を取り出そうとした。
その時だった。
玄関のチャイムが鳴ったのである。男は、チッと舌打ちを打つと取り出そうとしていたタバコを戻して、玄関に向かう。
そして―――。
「は~いどなたですか?」
ドアを開けた先にいた相手は、配達業者の格好をしていた。業者は言う。
「すみません。お届け物です。ここに判子をお願いします」
「おう、待ってな」
と言って、男は≪迂闊にも≫判子を取るためにドアから離れようとした。その時だった。
「
「はッ?」
「強制捜査!!!」
ドアが信じられないくらいの勢いで開くと、そのまま壁ごと引きはがされ、部屋の中にいた男に当たった。男はそのまま気絶し、倒れ伏した。それと、同時だった。
「突入!!!」
「なにッ!?」
何十人もの人間が一斉に部屋の中になだれ込んできた。勿論、ドアは完全に破壊されてしまっているため、彼らを守る物なんて何もない。彼らは完全に無防備だった。
配達業者の格好をした男性、ドアを超能力によって破壊した女性に続き入って来た男はドアを開けた男性に向けて銃と身分証明書を見せると言う。
「バベル並びに警察だ! お前達をSAO関連の特殊犯罪による詐欺罪の疑いで逮捕する!!!」
「なんだと!?」
そう、これは彼らの作戦だった。
まず、配達業者の格好をした男性、≪バベル≫に所属している皆本光一が相手を油断させてドアを開けさせ、判子を取りに行かせるために相手の男性をドアから離れさせる。もしもサインでと相手が言ってくる可能性もあったが、大切なのはドアを開かせること。
勿論彼女の力だったら鍵なんて物関係なかったかもしれない。しかし、中の状況を少しでもわかる状況を作りたかったと言うのが皆本の談である。
そこからは、特務エスパー≪ザ・チルドレン≫の明石薫の出番である。ドアの死角に隠れていた彼女は、ソレが開かれた瞬間に
「観念しろ!!」
突入した警官たちが、次々と特殊犯罪を行っていた男たちを捕縛、そして証拠となる物を押収していく。その中であった。
「くそッ!」
三人の男が、マンションの外に飛び降りたのである。ここは比較的地面に近いところに部屋があった。それもまた、こうなった時すぐに逃げられるようにするためなのだろう。三人は、証拠の中でも一番大事な顧客名簿や、これまでどのような人物に対して詐欺を行って来たのか、または顧客の名簿リストの入ったパソコンを持ち出していた。
重要な証拠品を持ち逃げされれば裁判で彼らを裁くことが困難になる可能性がある代物だ。
だが。
「ッ!?」
そんな彼らの前に、一人の男性が現れた。眼鏡にオールバック、初老いや既に還暦を迎えているであろうまさしく老紳士と言えるような男性は、男たちに言う。
「おとなしく捕まった方が、懸命だと思いますよ?」
「うるせぇ黙れ!!」
相手が老人だったからだろう。男たちはそんな彼の言葉に構うことなくその男性を突き飛ばすべく走った。
だが。
「ッ!」
「なッぁ!?」
老紳士は、逆にその力を利用することにした。男が自分に向ってくることは想定済みだったこと。ならば、と。彼は横にスルリと避けるとその足下を蹴ったのである。
その結果、男の一人は前に進もうとする力と止まる力の反比例によって力の行き場所を失ってしまい、その場に倒れこんでしまった。
「てめぇ!!」
ソレを見た後続の男はただじゃ置かねぇとばかりに老紳士に向けて刃物を持ち出し、切りかかった。しかし、老紳士は右に左にと身体を軽やかに動かしてソレを避けていると、横から、屈強な体を持った男性が現れ、その刃物を持った手を取り終えた。
「グッ、あぁぁぁ!!」
「うりゃぁ!」
「ぎゃぁあぁ!!」
「大人しくしろ!!」
男は、刃物を持った手首をあらぬ方向に捻じ曲げる。勿論必要以上にやりすぎて骨折なんてさせたらそれはそれで後で問題になるので手加減をして、だ。すると、その痛みに耐えられなくなった男は刃物を手放し、ソレを見て、緑色のジャンパーを着た男性は柔道の大外刈りの要領で男性を倒した。
残るは、一人。
「くっ、う、うあぁぁぁぁぁ!!!」
男は、あまりの恐怖にそこから逃げ出そうとした。
その、時である。
「そこまでよ!」
「お、女ぁ!?」
青いチャイナドレスを着た女性が前に立ちふさがったのである。二つのシニヨンと両手首にはそれだけでも凶器となりうるトゲトゲの腕輪をした女性。ただ者ではない風格を持っていた。
「そ、そこをどきやがれこのアマ!!!」
しかし、相手が女性だったからなのか、男性は構わず前に進んだ。が。
「ハアッ!」
「ッ!?」
彼の目の前を回し蹴りが通過した、それで、十分だった。
見えなかった。風だけで、顔が切られた気がした。それでもう、十分だった。この女性は強すぎる。今の自分じゃ相手にならない程に、いや、相手をしてはならない程に、敵に回してはならない程に強すぎる。
「どう? まだ相手をする?」
「ヒィ!?」
もう、彼にできることは何もなかった。
こうして、SAO詐欺グループの一つは瞬く間に壊滅したのであった。
本小説、見てわかる通り参戦作品にあまりに年代的に幅を持たせすぎてる上になかなか読者に知られてない作品が今後も増えていくと思います。そこで、素朴な疑問ですが、そもそもこの小説見てる層がどこなのか、どの層に需要があるのか知りたいため質問したいと思います。質問は、大雑把ですが、気楽にお答えください。では、あなたはーーー。
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