SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO 作:牢吏川波実
朝加圭一郎、陽川咲也、明神つかさ。この三名は現在、国際警察日本支部にある対策本部において、上司たるヒルトップ管理官の前に立っていた。その背後には、事務ロボットのジム・カーターがいつも通りに仕事を行なっている。
未来的な空間であるここは、あのルパンレンジャーを追う前から使っていた彼ら専用の部屋。そこには、ピリピリとした雰囲気が漂っていた。
「皆、急ニ呼ビ出シテ、済マナイ」
「いえ、昨日の茅場晶彦の件は、既に耳に入っています」
ヒルトップ管理官は、片言の日本語で彼らを呼び出したことを謝罪する。
警察戦隊パトレンジャーの三人は、ギャングラーなどの特殊事案が発生しない限りは普通の警察官と同じ扱い、そして同じように業務に当たっている。
そら故に、昨日SAO詐欺のグループの一つを捜査に協力し、日本警察やバベルの人間たちと一緒になって壊滅させた。本来だったらその事後処理のために警視庁で様々な作業をしなければならないのだが、昨日の今日、仕方のないことだとと圭一郎は考えていた。
「初美花ちゃんをデスゲームの世界に送り込んだナーヴギアとSAOを無作為に送り込むなんて……」
「あぁ、絶対に許せないことだ!」
「管理官、我々のすることは、そのナーヴギアとSAOの回収、ですよね?」
と三人が口々に言う。
そう、あの映像が正しいとするのならば、今日になって茅場晶彦からナーブギアとSAOを送られた人間たちがたくさんいるはずだ。その全員が全員、SAOの世界に入るとは限らない。だがしかし、もしもその中に、大切な人をSAOに奪われた人がいたら。大切な人が、まだ戦い続けていると、知っていたら。
会いに行きたいはずだ。守ってあげたいと願うはずだ。でも、それが結果的にたくさんの人間を苦しめることになる可能性だってある。だからこそ日本警察、並びに国際警察日本支部の本部であるICPOは、そのナーヴギアとSAOの回収を第一目的としていたのだ。
「ソノ通リダ。シカシ」
「しかし?」
しかし、何故かヒルトップ管理官は言い淀んでしまった。何故だろうか、そう、圭一郎が考えていた時、ヒルトップ管理官はジム・カーターに言った。
「例ノ映像ヲ」
「わかりました!」
ジムは、それに快く応じるとロボットらしく手早くパソコンを操作してある動画を映し出した。どうやら、それはこの国際警察日本支部の地下深くの動画のようだ。
かつて、ギャングラーのボス、ドグラニオ・ヤーブンを拘束していた厳重かつ決して誰も入ることができない場所。今はもうそのボスも倒されてしまっているため、本来だったら何も存在しない場所のはず、だった。
でも、そこにあったのは。
「段ボール?」
四つの、箱。正確に言えば、小包であった。あれは一体なんだ、そう咲也が考えていた時だった。
「アレハ茅場晶彦カラ送ラレテキタ荷物ダヨ」
「なんですって!?」
「念ノ為、X線デ調ベテミタ結果、中ニハナーヴギアトSAOが入ッテイルコトガ分カッタンダ」
「!?」
その言葉に驚愕の表情を浮かべた三人。まさか、三人の脳裏に最悪の可能性がよぎった。
いや、だがそれでもおかしい。
「四つ……実働部隊は三人だけなのに、何故四つも」
そう、パトレンジャーのメンバーはここにいる三人だけのはず。何故それよりも一つ多い四つ目のナーヴギアとSAOを送り込んできたのか。それが疑問だった。単なる計算ミスか、それとも。
「恐らく、僕の事も数に入れてるんだろうね」
「え?」
「ノエル!」
「ウィ、久しぶり皆」
そう言って現れたのは、ICPOの本部に所属しており、潜入捜査官でもある男、高尾ノエルであった。以前の戦いではある時は警察戦隊パトレンジャーの一人として戦い、またある時は、快盗戦隊ルパンレンジャーの一人として戦った、ダブルフェイスの持ち主である。
ノエルは、スッと三人とヒルトップ管理官の間に立つと言う。
「あの荷物の配送ルートを本部でも辿ってみたけど、どうしても途中で途切れてしまう。ここからの追跡は、無理だね」
「ヤハリ、ソウカ」
この言葉から察するに、ノエルは一人ヒルトップからの依頼を受けてその荷物が配送された手順を追っていたのだろう。その先にいるはずの茅場晶彦の手がかりを追うために。しかし、何の成果も得られることがなかった。
昨日の映像、そして今回の荷物。これを茅場晶彦からの挑戦だと思っている者が何人もいるはずだ。自己主張して、自分はここにいる。捕まえられる物なら捕まえに来いと、そう言った承認欲求のようなものがある。そんな気がする。
だが、結局は何も得られることはなかった。ただ、茅場晶彦という存在がまた一歩神の存在に近づいただけ、そんな気が、ノエルにはしてならなかった。
彼はその報告が済んだ後、圭一郎たちのほうに身体を向けると言った。
「恐らく、あのナーヴギアとSAOは国際警察への挑戦状だ。本部もそう考えている」
「つまり、俺たちにSAOをプレイしろと……」
「ウイ……まぁ、本部からは本人たちの意思を尊重すると言伝を預かっているけどね」
「……」
この言葉に、朝加圭一郎がまず考えたのは、ゲームをプレイすることか否か、というわけではない。なぜなら、彼の中には最初からゲームをプレイすると言う選択肢はなかったからだ。
自分達警察戦隊パトレンジャーの力のみならず、警察官としての国際警察の力、それが本当に必要なのはこの複雑怪奇な現実世界だと、守るべき人間たちが大勢いるのはこの現実世界も同じなのだと、そう考えていたから。
その現実世界の人間たちを守らなければならない。そんな使命感があったからこそ、彼はその考えを最初から外していた。それよりも、問題は。
「先輩……僕は……」
「ノエル、俺たち国際警察日本支部は、SAOの世界に入ることはない。ましてや、私情目的でプレイすることは、決してない!」
「先輩!」
圭一郎は、咲也の言葉を遮るように言った。そして、言うのだ。
「咲也、俺たちの本来の任務は、茅場晶彦を捕らえ、SAOに囚われた人々を救い出すことだ! それを忘れるな!」
「でもこれが茅場晶彦から送られてきたって言う事は、茅場もまたSAOの世界にいるかもしれないじゃないですか!」
「それはお前の勝手な憶測だ咲也!」
「つかさ先輩……」
「罠の可能性もある。我々をSAOの世界におびき寄せてその動きを封じる、そんな罠の可能性が」
「ッ……」
頭に血が上っている咲也は、そこまで考えていなかった。これが、自分の事を捕らえようとしている人間、その中でもICPOの特記戦力ともいえる彼らの動きを封じる事。それが、茅場晶彦の狙いだとしたら、それが、彼の罠だとしたら。
そんな考え、咲也の中にはなかった。少なくとも私情も入っている彼の中には。
「咲也、お前は何のためにSAOをプレイしようとしていた」
「それは……」
「初美花ちゃんのためだろ?」
「ッ……」
手を握りしめた咲也。そして、苦虫を嚙み潰したような表情をする彼を見て、誰もが確信した。
「確かに、彼女の事は心配だ。それに、他にSAOに囚われている人たちの事も。だが、咲也! 俺たちにはこの世界で戦う義務がある! 市民の平和を第一に考え、そして守る義務と言う物が」
「だったら初美花ちゃんは市民の一人じゃないんですか!」
「勿論市民の一人だ! 今もなおSAOに囚われている八千人だってそうだ。だが、我々がいなくなればその分だけこの世界での犯罪を抑止する力が無くなってしまう!」
「けどッ!」
直感していた。圭一郎は、咲也の事を止めることができないと。例え、辞表を提出してでも彼は、あの時のようにSAO事件最初の日のようにナーヴギアとSAOを持ち出してプレイする道を選ぼうとするだろと、そう感じていた。
確かに自分たちは警察、しかし、それ以前に人間だ。だからこそ、自分がかつて、怪盗であると知っても淡い恋心を抱き続けた人間を思う彼の気持ちも分かる。
だが、だからと言って自分たち警察戦隊パトレンジャーという犯罪に対する抑止力が低下する事、それは決して許されざることであった。
二つの正論。二つの正義。そう、それはまるであの時の、ルパンレンジャーと戦っていた時のような、それに似た何かを感じていた。
「……」
また、何かするかもしれない。圭一郎はソレを考えるとともに、茅場晶彦という人間がもたらしたこの混乱をどう沈静化させるべきなのかと、思いをはせながら、他にもナーヴギアとSAOが送られた場所へと向かうこととなった。
本小説、見てわかる通り参戦作品にあまりに年代的に幅を持たせすぎてる上になかなか読者に知られてない作品が今後も増えていくと思います。そこで、素朴な疑問ですが、そもそもこの小説見てる層がどこなのか、どの層に需要があるのか知りたいため質問したいと思います。質問は、大雑把ですが、気楽にお答えください。では、あなたはーーー。
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