SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO   作:牢吏川波実

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メインシナリオ第三章 外伝 第十一話

 茅場晶彦からの挑戦状を受け取ったすぐ後に、話は戻る。巨大なバイク、ライドベンダーと、黒と緑に配色されたバイク、ハードボイルダーを道路脇に駐車した翔太郎と映司の二人は、大きな橋が架かっている川を目の前にしていた。その川は大きな横幅があり、恐らくその中央部分はかなりの深さになっていることが予想できる。

 遠くには、昭和の時代の象徴たる東京タワーと、近くに平成の象徴たる東京スカイツリーが見えるその場所で、二人は近くの自動販売機で購入した缶コーヒーを飲みながら、先ほどの話の続きをしようとしていた。

 

「それで、翔太郎さん。どういう事なんですか? フィリップさんが消えたっていうのは……」

 

 フィリップ、つまり彼の、翔太郎の相棒が消えたといはどういうことなのか。確かに、フィリップはかつての戦いのときに、というよりもそのはるか前に肉体を消失していることは聞いている。

 そして、いわば精神体となった状態であるフィリップこそが、仮面ライダーWのもう片方であったと言う事。戦いの末に、肉体を取り戻し、再構築した状態のフィリップが、自分と生身で出会った時のその人であったと言う事も。

 そのフィリップが、どうしてまた消えたと言うのか。それは、翔太郎にもよく分かっていなかった。

 翔太郎は、あつあつの缶コーヒーの中身を飲み干すと、少し苦ったらしい顔をしてから言う。

 

「あっちッ……そもそもフィリップはな、少し前から様子がおかしかった」

「様子が、おかしい?」

「あぁ……」

 

 彼には、ある特殊な能力が備わっている。それが、地球の本棚と呼ばれている地球の全ての知識を記録しているデータベースにアクセスすることができる能力。勿論、そんな人間業と言えない力を、普通の人間が手に入れることはできない。先に語った、はるか前に肉体を消失したと言うとある事件、その肉体の消失と言う犠牲とともに手に入れることができた能力だ。

 しかし、それほどの代価を支払った恩恵としては素晴らしいものがあり、フィリップはいつでもその地球の本棚にアクセスすることができ、膨大な知識、膨大なる量の地球上での常識、秘匿されるべき個人情報にいたるまですべてを本として閲覧可能となったのだ。

 と言っても、あまりにも知識量が膨大であるために彼ひとりでソレを管理することはできず、翔太郎が集めた情報などのキーワードを用いて検索することによって、あるいは他人から聞かされたもの事に興味を示すことによって検索を駆けることが可能となっているのだ。

 そんなフィリップの様子がおかしくなったのは、今年になって間もなくの事であったらしい。

 

「フィリップは言っていた。地球の本棚にある本の数が格段に増えた、ってな」

「増えた? それってつまり……」

 

 閲覧できる本の数が増えたと言う事か。でも、どうしてそんなことが起こったのか、フィリップは疑問を抱いていたらしい。

 歩き始めた翔太郎の背中を追いながら、映司はその言葉に耳を傾ける。

 

「そんな事、今までなかった。あったとしても、少しずつの情報、地球上で産まれた赤ん坊の人数分くらいしか本が増えることはなかったそうだ。だが、ある日……まるでそれまでどこかに隠れていたかのように地球の本棚の本が、増殖した」

「……」

 

 その時のフィリップの驚きようは相当な物だったらしい、そして苦痛を伴う物だったそうだ。

 そもそも、地球の本棚にアクセスするとは言っても、実際には自分の脳内にある果てしなく白い空間に無数の本棚が並んでいるような感じで、そこで本を検索する物。簡単に言えば、脳の中に新たな記憶が無尽蔵に増えたのと同じようなことだ、そうフィリップは語っていたらしい。

 そんな痛み、想像も絶する物だっただろうと、映司も思っていた。そして、翔太郎もだ。

 

「それからだ、フィリップは数多くある本を無作為に閲覧し始めて、時には寝る間も惜しんで本を読み漁っていた」

 

 あれはまさしく、本の虫、何かにとりつかれた科学者と言った様子だった。おかげで地下にあったホワイトボードは毎日のように真っ黒になるまで使われて、挙句の果てにその外部分にある壁まで言葉の羅列が並ぶようになって、見ているこっちが頭が痛くなるほどだったと、翔太郎は語った後に、運命のその日の事を語り始めた。

 

「そして忘れもしねぇ、十一月二十四日の深夜の事だ……」

 

 その日、翔太郎は同じく風都を守っているライダーである仮面ライダーアクセルこと、照井竜からある頼まれ事をされた。そう、中野梓に感染していたバグスターウイルスの居場所をフィリップに検索してもらいたいと頼まれた時の事。

 翔太郎は、彼に無駄かもしれないが一応頼んでみると言って電話を切った。一度興味の対象たる何らかの物を見つけたフィリップは、それ以外のもの事、ガイアメモリの案件に対してすらも反応を示すことはせず、検索に没頭する。翔太郎曰く、知識の暴走特急と言っているらしいが、しかし望み薄ではあるが頼んでみるかと、思い地下に言った、その時だった。

 

『うあぁぁぁぁぁぁああああ!!!!!』

『フィリップ?』

 

 彼の叫び声が、聞こえてきたのは。翔太郎はすぐさま、彼の下に向かった。翔太郎の探偵事務所の地下にある秘密のガレージ、大型走行車両であるリボルギャリーが格納されてちる秘密基地であり、そして、彼がいつもいるその部屋に向かった。その時、彼が見たのは。

 

『フィリップ!!』

 

 今にも消えそうなフィリップの姿。翔太郎はすぐに、彼に向けて手を伸ばした。しかし、その手が彼に引っかかることはなかった。

 フィリップは、まるで集っていた蛍が拡散したかのような光の粒子となってその場から消え去り、残ったのは彼が持っていた愛用の本と、そして壁に描かれたいくつもの文字の羅列だけだった。

 

『フィリップ……?』

 

 翔太郎は、その場に落ちた、彼の本を拾い上げた。中は、何も書いていない白紙の本。しかし、彼からしてみれば自分の検索効率を上げるための大切なアイテム。そして、彼の≪最期となるはずだった言葉≫が書かれた、大切な本だ。

 ソレを拾い上げた翔太郎は、彼の幻を追うかのように辺りを見渡し、最後には、天井を見上げ、そして。

 

『フィリップゥゥゥゥゥゥ!!!!!』

 

 慟哭したと言う。

 これが、結果的に彼らが件のアナザーポッピー事件の折に関わることができなかった原因。そして、いまだに解明されていない大いなる謎。ソレを解き明かすには、あまりにも大きな壁が目の前に立ちふさがっていた。翔太郎は、そう感じていた。

 

「そんな、フィリップさんが……」

 

 そして、その話を聞いた映司もまた、驚愕の表情を隠せないでいた。そして、自分の手を見つめていた。かつて、二人は数々の戦いで共闘し、共に敵を倒してきた仲間。そんな翔太郎が伸ばした手が、フィリップに届かなかった事。もしもその場に自分もいたら、その手を一緒に伸ばして助けることができたかもしれない手。

 映司はその手を握りしめると、翔太郎に聞いた。

 

「何か、フィリップさんの手がかりはないんですか!?」

 

 何でもいい、些細な事でも、自分にできることがあったのならば協力する。そう言う申し出でもあったのかもしれない。そんな彼に対して、翔太郎は、かぶっている帽子を一度取り、ふぅと息を吹きかけてから言った。

 

「フィリップが消える前、最後に閲覧していたであろう項目が、そこの壁に描いてあった」

「一体、何て……」

「……涼宮ハルヒ、シュリディンガーの猫、平行世界、SAO、茅場晶彦。そして……」

 

 一拍置いた翔太郎は、再び帽子をかぶりなおすと、呟く。

 

「ログ」

 

 と。

本小説、見てわかる通り参戦作品にあまりに年代的に幅を持たせすぎてる上になかなか読者に知られてない作品が今後も増えていくと思います。そこで、素朴な疑問ですが、そもそもこの小説見てる層がどこなのか、どの層に需要があるのか知りたいため質問したいと思います。質問は、大雑把ですが、気楽にお答えください。では、あなたはーーー。

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