SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO 作:牢吏川波実
「これで、第二段階は終了ネ」
とほくそ笑みながら茅場晶彦の放送を見送った超は、スマホの電源を落とすと、背後にいる仲間たち、ネギ、明日菜、あやか、そしてこの部屋の主でもあり、今回の計画に一部加担している人物、葉加瀬に向き直った。
ここは葉加瀬の研究室。断じて≪博士≫の研究室ではない。周囲には様々な部品が、あるいは発明品がゴロゴロと転がっており、その数は明らかに普通の中学生が手に入れることができるソレをゆうに超えていた。
「超さん、どういうことなのですか? それに、転校して言ったはずの貴方が、何故……」
その言葉を聞いた超は、少しだけとぼけた顔を浮かべた直後、自嘲するかのように言った。
「ネギ坊主、あの文化祭の件も話してなかったアルか?」
「あ、その……」
「文化祭……麻帆良祭の事ですか……」
麻帆良祭。それは、麻帆良学園全体で行われる学園祭の事で、入場者数のべ四十万人、三日間でおよそ七億円以上ものお金が動くとされているとんでもないイベント。
主に、各学校のクラスの出し物や仮装パレード、鳥人間コンテスト、格部活動の発表そして、格闘大会がメインとなったお祭り。
しかし、今年に限ってだけは少しだけ違っていた。
麻帆良祭最終日、毎年雪広あやかが所属する雪広グループの主催する自由参加型の全校合同イベントが開催されていたのだが、その年に限って、ネギから発案された、様々なロボットと生徒たちが戦うと言うイベントに変更されたのだ。
「けど、それは表向きの理由アル。実際には、私が魔法を全世界にばらそうとしたのを止めるためにネギ坊主を含めた学園中の魔法使いと、私との総力戦だったアル」
「え……」
彼女の正体、それはかつて火星に住んでいた未来人=未来の魔法世界の住人。であった。だが、その時代の魔法世界は崩壊の一途をたどり、それによって地球人との激しい戦争が繰り広げられているという凄惨な世界になっていた。
超はそんな世界を無くすために過去の地球にやってきて、魔法の存在を世界中にばらすことにした。その事によって、より早く、魔法の技術とこの地球の科学の技術を融合させることによって戦争を回避できる可能性があったから。
しかし、ネギたちはそんな世界を否定した。確かに超の考えには一理あるかもしれない。しかし、彼女の手段があまりにも過激すぎて、現在の世界に大きな混乱をもたらす恐れがあった。多くの人間に危害が及ぶ可能性があった。結果、ネギたち、そして魔法先生、魔法生徒たちは超の計画を阻止するために動いた。それが、あの最終日の真実だったのだ。
「そんな……」
「……」
衝撃を受けたのはあやかだった。そんな彼女に対して、他の三人は何も言う事ができなかった。数秒の沈黙。その中でも常に動き続けている葉加瀬の機械の音が耳の奥で響くというカオスな空間の中で、あやかが発声した。
「後で……後で、全て教えてもらいます。先生たちが行ってきたこと。先生たちが辿って来た冒険。そして、何人が、それに巻き込まれたのかも……」
「……分かりました」
色々と聞きたいことが山ほどあった。でも、あやかは一度ソレを飲み込んで話を進めることにする。今は、自分の欲求を見たいしてる場合じゃないと、判断したのだ。
「話を続けるネ。計画を阻止された私は、未来の世界に帰る事にしたアル。あの時も色々といざこざはあったけど、まぁ、無事に未来の世界に帰る事ができたネ……でも、その世界は……」
「え?」
というと、超は目の前にあった葉加瀬が作りかけているロボットの腕を持ち上げると言った。
「崩壊寸前だったアル。残った人間もごくわずか、世界は荒廃し、草木もほとんど生えない廃墟が広がっているだけだったアル」
唖然、その言葉だけが三人を包み込んだ。葉加瀬だけは、何の反応もしていなかった。後から聞いたことだが、彼女は自分達よりももっと前から超の≪今回の≫計画に加担していて、その全てを知らされていたそうだ。
「ちょ、ちょっと待ってください!」
と、ネギが言った。
「例え過去を変えたとしても新しい分岐、つまり平行世界が生まれるだけ。過去が変わろうとも、それが未来世界を変えることはできないんじゃ」
「その話はもう、過去の話アル」
「ッ!?」
未来世界の話をしているのに、その話は過去の話と言われるのは何かおかしな気がするが、とにかく超にとっては本当の事なのだから仕方がない。
「確かに前まではそうだったアル。そして、それが常識で、真実だったアル。タイムパラドックスは起きない。それが、有史以前からの決して揺るがない事実だった。でも……ある人物によってその事実が書き替えられた……いや、徐々に書き替えられつつあったものが確定してしまったアル」
「ある、人物?」
「……」
超はその名前を呟くことはなかった。超は、その場にロボットの腕を置くと、ネギたちを見据えて言う。
「この世界ではタイムパラドックスは発生しない。でも、発生する。この世界は、一つの大きな幹としてある時から分岐する世界じゃなく、異なる幹が集合する世界になったネ。それを教えられた私は、多くの仲間と一緒に、この世界に来た」
「多くの、仲間?」
この言葉に違和感を覚えたネギ。確か、彼女に未来世界での仲間なんていなかったのでは。
「あの事件があった後に出来た仲間アル。その仲間も今、この世界で、この歴史で未来世界を何とかしようと頑張っている最中ネ」
「そう、なんですか……」
ネギは、心なしかほっとしていた。よかった。彼女にも頼ることのできる仲間が、頼りにすることができる仲間ができていたのかと。
「そして、私はその未来で知ったアル。この世界線には、あるゲームが存在すると言う事を」
「ゲームって、まさか!」
ゲーム、その単語を聞いて何も思い浮かばなかった人間なんてその場にはいない。
「その通り、SAOの事ネ」
「SAOは本来の歴史には存在していなかったってこと!?」
と、明日菜の驚きに補足するかのように超は頷いて言う。
「正解ネ。未来世界にも、少しはデータ端末のようなものがあって、過去に一体何が起こったのか、ソレを知ることができるようになっていたアル。それで、SAOの存在、そして……その世界で死ぬことになっていた人間の名前を知ったネ」
「死ぬことになっていた、人間の名前?」
「……」
ネギは、この時悪寒がしたという。その、超が一瞬見せた暗い表情から、何かを読み取ったのだとか。そう、彼女の言っていた死ぬことになっていた人間、その名前。
恐らく、そう、これは確証のないことだが、きっとその人物は。
「まさか、今囚われている……3-Aの……」
「え……」
「正解ネ、私もあまりにも辛すぎて話したくないアルが」
「ッ!」
考えなかったことなんてない。SAOという理不尽な世界に連れていかれて、仲間が死ぬと言う絶望を、考えて来なかったわけない。でも、いざそうなると言われてしまって、ここまで心乱されることがあるだろうか。ここまで、心がざわつくことがあるだろうか。
だが、話はそれで終わらなかった。
「そしてもう一つ」
「まだなにかあるんですか!?」
これ以上、この悲劇以上の何かがあると言うのか、この話には、この話の続きには。
「SAOクリアには、ある人物の、英雄の力があったとされているネ」
「英雄?」
「桐ケ谷和人。ゲームの世界ではキリトというプレイヤー名だが……」
と言った瞬間、机の上に置かれたロボットの腕が壊れた。超の魔力によるものだろうか。ソレを見てアワアワとしている葉加瀬がいるのだが、それは置いておくとして、いや本人としては置いておいては困るのだろうが、ともかく、超は言った。
「その英雄キリトが、この世界ではプレイしていないアル」
「それって、どういうこと?」
「……こことは違う、また別の分岐からやって来た異物が邪魔をした。私の仲間はそう考えているネ」
「別の分岐からやって来た……異物」
「ともかく、問題なのはSAOクリアの立役者でもある人間の消失で、SAOが攻略されるか不透明になった事、結果、死ぬはずだったプレイヤー、生きるはずだったプレイヤー、そして今現在もなおプレイしているプレイヤーの人数も種類も全く違ったものになって、正直未来で得た情報はあてにならなくなったアル」
「え、なんでたった一人いなくなっただけで……」
「バタフライエフェクトと言う物ですか?」
「え?」
「そう、アルね。今ではその言葉も適応できる世界になってしまったアル」
バタフライエフェクト。地球の裏側で蝶が羽ばたいたことによって、その反対側では竜巻が起こる、何て比喩がある程に有名な効果。少しの違いが、やがて大きな違いをもたらすと言う気象用語である。
本来は、そんな小さな些細な物で未来世界が大きく変わるはずもなかった。でも、ことここに至って、こんな世界になってしまってからはそんなことも言える世界ではなくなってしまったのだ。
「つまり、超さん。貴方はそのキリトという人物を再びSAOの世界に入れることによってそのバタフライエフェクトを少しでも修正しようと、そう言う事ですね」
「それもアルネ。でも本題はもっと先……」
「先?」
「ソレを言ってしまうと、きっとネギ坊主たちはショックを受けることになるから言えないガ……」
ショックを受ける。もう既に自分たちの仲間が犠牲になることを知らされていると言うのに、まだショックな出来事が続くと言うのか、そんな感想を何とか抑え込んだネギたちに向けて、超は笑顔で言った。
「少なくとも、私は多くの人間の人生を狂わそうとしている。だから、その償いはするネ」
「償い?」
「そうアル」
というと、超は葉加瀬に合図を送った。すると、葉加瀬は、部屋の奥からある物をとりだし、言う。
「これは、私と超さんで新しく作ったナーヴギアと未来世界にかろうじて残されていたと言う遺物のSAOを復元した結果作ったゲーム本体。私と超さんは、これで……」
「デスゲームの世界に、行こうと思っているアル」
「え……」
それが、自分の償いだから。そう、彼女は続けた。思えば、この時の明日菜の表情はどんなものだったのだろうか。あやかは、終ぞ思い出すことができずにいた。なぜなら、この時彼女の脳裏によぎった思いは―――。
Q.なんかややこしいことになってない?
A.主に特撮勢がタイムパラドックスを引き起したり未来を捻じ曲げることをやってのけるからです。
本小説、見てわかる通り参戦作品にあまりに年代的に幅を持たせすぎてる上になかなか読者に知られてない作品が今後も増えていくと思います。そこで、素朴な疑問ですが、そもそもこの小説見てる層がどこなのか、どの層に需要があるのか知りたいため質問したいと思います。質問は、大雑把ですが、気楽にお答えください。では、あなたはーーー。
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