SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO 作:牢吏川波実
「一ヶ月ほど前、我々は宇宙と地球の間で運び屋をしている宇宙人、アリエナイザーを逮捕した」
「運び屋?」
「宇宙の麻薬や違法な兵器を、地球に潜伏している宇宙人に持ってきていたの」
その日、ある部署からのタレ込みによって、運び屋の存在を認知した地球署の面々は、その運び屋の潜伏先を急襲した。
相手がアリエナイザーであったとはいえ、戦闘能力をほとんど持たない宇宙人だったことが功を奏し、簡単に逮捕に漕ぎ着けることができたのは幸いだったそうだ。
そのアリエナイザーは、遥か銀河の彼方にある宇宙最高裁判所の判決によって、デリートするほどの重い罪ではなく、デリート不許可の判決が出たため、逮捕、勾留。改めて裁判を行うこととなった。そのための証拠集めを、地球署の面々で行っていたのだが。
「その運び屋に依頼をした者のリストを手にいれたのだが、その中に地球の人間の名前があった」
「地球人の名前が?」
潜伏先に巧妙に隠されていた顧客リスト、というものだ。独自の暗号も使われておりかなりの手間をかけたもののなんとか解読に成功し、その運び屋から兵器などを購入した宇宙人の洗い出しを行っていた。そのリストの中に地球人の名前を見つけたのだ。
最初は、地球人の名前を使った偽名であることもかんがえた。しかし、その運び屋はいわゆる義理人情にうるさい宇宙人であったらしく、偽名での依頼は決して受けないし荷物も受け取らないということは頑なに守っていたそうだ。
地球人でも、さまざまな手段を講じることによって宇宙との通信を可能としている今の世の中だ。テロリストが宇宙の兵器を仕入れたとしてもおかしくはない。だが、その人物がとても意外な人間であったことは間違いない。
「その人物の名前は、茅場晶彦……」
「なっ!」
「茅場晶彦だって!?」
その名前に対し、会議に参加していた、通称影チルと呼ばれている特務エスパー。ティムとバレットの二人が反応した。また、皆本もまた二人ほどではないにせよ、水中の魚が空に飛び跳ねるかのように眉を動かした。その名前に聞き覚えがあるのだろう。
「二人は、知っとるんか? 萱場明彦って人のこと?」
「まごうことなき天才ゲームクリエイターの名前ですよ」
「ゲームクリエイター?」
ゲームクリエイター。つまり、ゲームの制作者ということか。ティムはさらに話を続ける。
「はい。ほら、ここ最近話題になっている次世代型のゲーム機、ナーヴギアの基礎部分から開発したのが、茅場晶彦なんです」
「それだけじゃない。明日サービスが開始になるゲーム、SAOの開発も、茅場晶彦なんです」
「SAOって……」
茅場晶彦という人物は知らない。だが、そのゲームの名前にチルドレンの三人は聞き覚えがあった。
「千里ちゃんがゲットしたって言ってたあのゲーム?」
「はい……」
千里、というのはチルドレンの三人、影チルの二人の中学校での同級生である花井千里という女の子のことだ。
彼女もまたエスパーで、
三人の記憶によれば、ゲームの抽選会に参加した際に偶然手に入れることができたと言っていたのがSAOというゲームだったはず。まさか、ここで再びその名前を聞くことになるとは思っても見なかったが、しかしとんだ偶然である。
「そして、今世界中で使用されているECMやECCMの基礎設計も、茅場晶彦だ」
「え!?」
と、皆本が補足をするように説明を入れたのだが、これには周囲の人間全てが驚きを隠せなかった。
「ちょ、ちょっと待ってください。茅場晶彦は、ゲームクリエイターなんでしょ?」
「なんでECMやECCMも……」
彼女たちのいうECMというのは、エスパーの超能力を阻害する機械のことで、それを使用すると、例え特務エスパーであったとしてもたちまちノーマルと同じように普通の人間となってしまうのだ。そしてECCMというのは、そのECMを阻害する機械のことで、ECMによって阻害されたエスパーたちの力を復活させる力をもっている。
そこまで聞いてわかるように、ECMとECCMというの機械は、ゲームとは一切関わりのない物。どうして、それとゲームクリエイター茅場晶彦がつながるというのだろうか。
「うむ、実はゲームクリエイターとしての茅場晶彦は彼の一つの姿に過ぎない」
「え?」
「茅場晶彦、彼はゲームクリエイターでありながら、量子物理学者でもあるのだ」
「量子物理学?」
「エルヴィン・シュレーディンガーによって提唱された量子力学を基礎にして考察する物理学の総称だよ」
「その通り。その研究の中で、脳の中にあるエスパー中枢に物理的に働きかける方法を見つけ出した結果、ECMが開発されていった。という事だ」
「????」
と、皆本や桐壺が事細かく説明するのだが、しかし説明されればされるほど訳がわからなくなってくる。そもそも量子物理学というものすら今初めて聞いた薫は、頭にハテナマークを大量に浮かべているのではないかというほどに小難しい顔をしていた。
量子物理学自体、説明するのが難しい学問であり、それを全て説明すると途方もない時間がかかるものであるためこの場は流しておいた方が良いのかもしれない。
「まぁ、難しい話は後でゆっくりと説明するよ。しかし……」
「茅場晶彦は、その運び屋から何を受け取ったんでしょう?」
本題に戻そう。茅場晶彦が、運び屋から何を受け取ったのか。それが問題となる。画面の向こうにいたドギーは言う。
「現在、地球署で取り調べをしている最中だが……彼にも運び屋としてのプライドがある。決して口を割ることはないだろう」
悪の美学、というものがあるのだろう。あるいは、仕事人としてのプライドか。しかし、それがいいものに使われるのならばいい。悪い方向でそのようなプライドが消費されるのはとてつもなく無駄なことであると思えてしまう。
「なら、私が行けば? 私の能力なら、相手がどれだけ口を割らなくても……」
と、紫穂が言う。確かに、彼女の能力があれば相手が何も話さなくともその思考を読み取ることなんて造作もない。例え相手が宇宙人という未知の存在であったとしても読み取ることができるはず。
しかし、ことはそう簡単ではない。スワンが首を振っていった。
「それが、無理なのよ」
「え?」
「私たちの方にも、一人接触感応能力を持っているエスパー捜査官がいるの。その子が見てみたんだけど……相手の頭の中が全然見えなかったそうよ」
その人物は、手袋という情報をシャットダウンする物がなければ相手の思考を読んでしまうという、能力を完全に制御できていないということから超度6の
しかし、そんな女性であっても相手の脳を読み取ることはできなかったらしい。
「それで、調べてみるとその運び屋の脳内に、超能力やその他諸々の超常現象を完全にシャットアウトする装置が組み込まれていることが分かったの」
それは、ここ数年間で開発された装置で、いわば宇宙版のECMと言っても過言ではない代物。最新の機械であるためその分高級品であり、それを脳内に埋め込んでいる人間なんて初めて見た、とスワンは語る。
とにかく、その装置が脳内にある限り例え超度7の紫穂が触れたとしてもなんの情報も取ることはできないだろうと推測していた。
「リストに載っていた人間の中で、唯一所在が確認できていないのは茅場晶彦のみとなっている。我々も全力を持って捜査しているが……一向にその姿を見せることは無い」
SAOの販売会社や開発に協力したゲーム会社など様々な場所で茅場晶彦の行方を探した。だが、結局今日に至るまでその所在を確認することはできなかった。
元々他人との接触を絶っていたということもあり、現在どこで暮らしているのかすらもハッキリしない。まるで根無草で空中を舞う亡霊のような人間を追うのは、とても骨が折れると言わざるをない。
「そこで、我々は国際警察、並びに超能力特務機関であるB.A.B.E.Lに捜査協力を依頼することにした」
「捜査協力と言っても……」
「宇宙警察が見つけることのできなかった茅場晶彦をどうやって……」
「方法はあるの」
「え?」
「これよ」
スワンが取り出したもの。それはーーー。
「それは!?」
次回に続く。
タイトル、また変えようと思ってます。今度はシンプルに。でもそんな頻繁に変えていいものかと思ったので、ちょっとアンケートとります。なお、前提としてSAO、あるいはソードアート・オンラインを頭につける事としてます。よろしければお答えください。
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ヴァルキリーズfeatボーイ
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プロジェクトSAO
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アルティメットカオス
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無への逃走
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肯定あるいは否定
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フィクションスターズ
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〜いろんな著作物から以降はいらない
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タイトルはそのままでいい