SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO   作:牢吏川波実

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 アンケートの結果、本編、外伝、共にひとつの小説で投稿することになりました。


本編 メインシナリオ第一章 始まりの日
メインシナリオ第一章 1話


《リンクスタート》

 

 その言葉を呟いた瞬間。少女の意識はすぐさま俗世間から姿を消した。

 その瞬間の気持ちは絶対に忘れられないだろう。魂が引っ張られるかのような、空に引っ張られるかのような感覚。感じていて心地の良いものだった。快感にも感じ取ることができた。幸せが、津波のように押し寄せるかのようだった。

 そのうち、目の前に現れたのは空間だ。真っ白だ。見渡す限り真っ白な空間だ。現実とネット世界との間の世界。それはどんな色にも染まることができる真っ白な空間だ。真っ暗闇な光景というのはよくみるものの、このような光景を見るのは初めてで、とても新鮮な気持ちになる。まるで、自分が別の世界に生まれ変わるかのようにも思えてしまう。

 しかし、それも長続きしなかった。真っ白だった空間、その奥から自分に突き刺さるかのように溢れ出てくる様々な色。次々と現れる文字。

 ログインIDとパスワードは、事前に入力していたもの。その後現れたのは容姿設定。これは事前にパソコンで登録していたものであるため入力する必要はない。

 こんな単純な手続きが、そのゲームへのパスポートである。これが終われば、ついに自分の意識は完全にあの世界に取り込まれることとなる。

 本音を言えばちょっと怖い。このようなVRゲームをプレイすること自体初めて、と言うよりもゲーマーの兄とちがってそれほどゲームに熱中してこなかった自分にとっては全てが初めて味わう感覚で。新鮮であるを通り越して恐怖すらも感じる。

 そもそも、自分はあまりゲームに興味があったわけではない。そんな自分が、世界で初めてのVRMMORPGだという謳い文句一つでプレイする気になるわけがなかった。

 本当にプレイしてみたかった理由はただひとつ。兄が夢中になっていたから。

 ゲーマーの兄は、それこそ古今東西のゲームを隅から隅までプレイしていた。自分には何がそんなに兄を滾らせるのかがよくわからず、よく兄のことを白い目で見ていたのは確かだ。

 そんな兄が、βテスターとやらを務めたゲーム。それがこの世界で初めてのVRMMORPGだった。最初こそ、いつものゲーマーの兄のすることだからと興味を一切示すことがなかった少女ではあった。だが、いつもと違ったのはそのゲームをプレイしている兄の姿が気になったと言うこと。どう言うわけか、そのゲームをプレイしている兄の顔が、姿が、仕草が、とても気になるようになったのだ。こんなこと、生まれてこの方初めてである。

 それに、なぜだろうか。ゲームをプレイした後寝ぼけ顔で自分の前に現れた兄の顔に、胸が跳ね上がる感覚を得た。一体どうして。自分の体に何が起こったのか。少女はよくわからなかった。

 だが、ひとつだけわかることがあった。自分は、兄と一緒にゲームをしてみたい。兄の好きなことを自分も経験してみたい。そんな欲求にも近い感情に気がついた。

 そうと決まったら話は早い。少女は、すぐさまゲームを買うために奔走した。さまざまなゲーム屋さんで予約の抽選に応募し、ネットで予約開始の時間を胸の鼓動というカウントダウンを聴きながら待ち、また雑誌や葉書での懸賞にまで目を通した。全ては、兄と一緒にゲームをプレイするために。

 そしてついに彼女は手に入れた。自分が望んでいたものを。世のゲーマーが喉から手が出るほどに欲しがっているゲームを。

 《ソードアート・オンライン》。今世代最高のゲームになるとの呼び声の高いゲームを、ついに手に入れたのだ。

 少女は兄にソードアート・オンラインを入手できたことを報告しなかった。もしもゲーム内で出会うことができたのなら、その時のサプライズとして置いておきたかったためだ。

 完全にイタズラ心が混じっているソレであるし、容姿も名前も違うゲームのアバターで出会うことができたとしてもわからないのではないかとも思ったが、それよりも兄に出逢ったらどう驚かせようかという楽しみの方が大きかった。

 ゲームを入手できたその日から、彼女はサービスの開始日を待った。今か今かと、早く早くと待ちわびていた。気がつけば、彼女は一般のゲーマーと同じ気持ちになっていると言うことに気がついた。あぁ、これが兄の気持ちなのだと、兄の今まで知らなかった側面を知れたようで嬉しかった。少女は、その時とてつもなく幸せであった。

 そして、ついにその日が来た。残念ながら、兄は≪熱中症≫で検査入院ということでサービス開始後すぐにはログインすることができないそうなのだが、しかし兄がログインすると言うことは変わりない。

 だから、彼女はゲームの中で兄が来るのを待つことにした。そもそも兄はSAOのβテスターとして先に二ヶ月に渡ってプレイした経験があるので、それを鑑みれば自分がやると言うことが先にプレイするという言葉に当てはまるのだろうかとも思うのだが、とりあえずプレイしてみる。

 本来この日、少女の所属している剣道部の部活動が予定されていた。しかし幸運なことに先生の都合で休日となり、彼女がゲームをプレイする障害は何も無くなっていた。

 全てが、自分のためにあるのではないのか。そう思えるほどに自分の良いように物事が進んでいた。まるで夢でも見ているみたいだ。

 だが、もしもこれが夢であるとすれば、その夢をじっくりと楽しもう。あの世界を、兄を夢中にさせたSAOの世界を。

 

《Welcome to Sword Art Online!》

 

 ここに、一人の異国の少女がいた。

 ニホン、あるいはリアルとよばれている世界からアインクラッドという世界に入国を果たした幸運な女の子だ。

 空高く広がる青空。偽物だ。

 遠くに見える建物。偽物だ。

 近くにある草原。偽物だ。

 けど、ここにいる自分は、本物だ。

 全てが偽物の世界に、一万に近い本物の存在が突如として出現する。

 その光景は、側から見れば異様に見える。しかし、異様に思える存在なんていやしない。全てが偽物であるのだから。

 空気も偽物、色も偽物、足の感触も、手の感触も、頬に当たる風の感触も、全てが偽物。

 でも、このワクワクするという気持ちに、虚偽は無かった。

 新たなる冒険者を出迎えるファンファーレが聞こえる。

 耳を貫き、心を刺して奏でられる運命のプレリュード。

 

「ついに……来たんだ!」

 

 少女、《リーファ》の冒険がこうして幕を開けた。




プレイヤーNo.1 桐ヶ谷直葉(リーファ【Leafa】)≪原作:ソードアート・オンライン≫ ログイン

タイトル、また変えようと思ってます。今度はシンプルに。でもそんな頻繁に変えていいものかと思ったので、ちょっとアンケートとります。なお、前提としてSAO、あるいはソードアート・オンラインを頭につける事としてます。よろしければお答えください。

  • ヴァルキリーズfeatボーイ
  • プロジェクトSAO
  • アルティメットカオス
  • 無への逃走
  • 肯定あるいは否定
  • フィクションスターズ
  • 〜いろんな著作物から以降はいらない
  • タイトルはそのままでいい
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