SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO   作:牢吏川波実

376 / 376
メインシナリオ第三章外伝 エピローグ

「忙しい中すまない、有栖零児」

 

「いや、Kの一族と森羅は代々協力関係を築いてきたからな。どうってことはない」

 

「……そうなのか、それは助かる」

 

「それで、前々から言っていた、気になる事の答えが見つかったのか?」

 

「あぁ、その結果森羅にも調査を求めることとなった」

 

「……詳しく話を聞かせてもらおう」

 

「昨年、俺は一人の患者の治療を行った。HIVに罹患した患者で、AIDSへの移行も近くに迫っていた。俺はその患者に対して移植手術を行い、HIVは完治し、今は……SAOの中にいるためどうともいえないが、身体的には問題がない」

 

「……なるほど、それでソレの何が問題なんだ?」

 

「問題なのは、その移植元となったドナーだ」

 

「ドナー?」

 

「……DNAがその患者とほぼ一致していたのだ」

 

「……」

 

「手術前に違和感を感じ取った俺は、使用した血を警察の協力の下鑑識に依頼をした。間違いはない」

 

「赤の他人とDNAが一致する確率は確か……」

 

「一番低くて、四兆分の一だな……」

 

「あり得ない奇跡だな」

 

「いや、それだけではない」

 

「どういうことだ?」

 

「本来、俺が行った術式はより未来に実現するはずだった物だ。確かに、これまで幹細胞移植によるHIVの完治の前例はあったが、それらは全て偶発的な事、偶然白血病患者の治療のために用いた臍帯血の中にレセプターの異常があったことによる完治事例だった。現代では、まだそのようにレセプターに異常を発生させるような技術は発展していない」

 

「……つまり、そのレセプターの異常がある臍帯血が手に入ったのも奇跡……」

 

「そう、この二つは確かに≪理論上は可能≫だ。しかし、その確率は天文学的な物になる。俺たちはソレを、クローン技術によるものだと考えた」

 

「クローン……≪何故≫だか記憶にあるな。政財界の大物が病気の治癒のために手をまわし、クローン臓器を作成するように依頼をし、私腹を肥やしていた組織があると。だが、その組織は確か……」

 

「俺たちが潰したはずだ。しかし、意思を継いだものがいる可能性もある。故に、DNA検査を依頼した刑事が調査をしたのだが……」

 

「結果は、どうだった?」

 

「ドナーとなった≪人間≫はちゃんと存在した。臓器移植コーディネーターにも聞き取りをし、正規的な手続きが行われた移植であったと判断されたのだ」

 

「……それはそれで、不気味だな」

 

「不気味なのはまだある。いや、ソレが今回君たち森羅に接触した理由なのだが……」

 

「なんだ?」

 

「執刀日だ」

 

「?」

 

「先も言ったように、俺がその子のオペを行ったのは去年の事だ。しかし、あらゆる資料の中で、俺が執刀したのは≪今年≫の四月という事になっている」

 

「……それは、確かに不気味だな」

 

「監視カメラの映像、カルテの記述、手術室の使用記録、その全てが改竄されていた。まるで、≪元々そうだった≫と偽装するように、だ」

 

「……一つ聞いておくが、記憶違いではないのだな?」

 

「あぁ、他の人間にも話を聞いてみたが、全員が確かに去年にオペをしたと証言している」

 

「……」

 

「これは、人智を超えた何かが関わっている。故に、特務機関森羅に協力を仰ぐことにしたのだ」

 

「確かに、その辺は俺たちに適任かもしれないな……」

 

「……どうやらお前も気になっているようだな」

 

「当たり前だ。これでもいくつも修羅場を潜っている」

 

「俺たちKの一族、そして特務機関森羅との関係これは、本当に≪存在する物≫なのか?」

 

「記録の改竄とその患者のドナーについての謎……そして俺たちの関係の謎……確かに、森羅でなければ詳細に調べることはできないことだな。分かった、俺に任せて……ムッ!」

 

「零児ッ!」

 

「あぁ、なんだ、この気配は……妖気?」

 

「ケケケ! この俺の気配に気がつくとは、大した人間たちだな!」

 

「新手の怪物か、貴様何者だ!?」

 

「ケケ! 冥土の土産に教えてやるよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺の名前は、マクラガエシ。新妖怪の一人だ!!」

 

「マクラガエシ?」

 

第三章外伝 完

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。