SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO   作:牢吏川波実

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罹患するhero(元タイトル:SAO×仮面ライダー)

 この世界から病という物が消えることは無い。それと同時に、一生を健康で過ごす人間もまたいない。

 人はいつか死んでしまう。病気か、事故か、あるいは自死か、そして事件か。抗うことはできる。でも、最期の時には必ず訪れてしまう死に対して自分たちは無力だ。そう考える時もある。

 けど、それでも僕たちは戦い続ける。そこに、病と闘い、生きることを望み、また望んでもいきれなかった人たちの分まで。だから僕たちは日夜戦いを続けている医療従事者として、そして……。

 

―仮面ライダーとして―

 

 

 

 

 

「どうなの先生?」

「……うん、前の検査結果よりもよくなってきてるよ。もうしばらく薬を飲んでいれば、退院できるよ」

 

 そういった瞬間、不安げだった子供の顔がぱぁっと明るくなった。けど、すぐに暗い顔付きに変わる。

 

「どうかしたの?」

「だって、病気がよくなったらもう先生とでゲームできないでしょ?」

 

 あぁそっか。この子にとって自分と一緒にゲームをプレイすることはとても楽しいことだったんだ。

 この男の子がこの聖都大学附属病院の小児科病棟に入院してもう一か月。最初のころは初めての入院ということもあってかととても不安で、いつもうつむいていたけど、自分が一緒にゲームをしようと言って、ほかにも入院している子供たちとっもソレを通して話をして、いつしかその子にも笑顔が戻っていた。

 彼にとって入院したということは辛い思い出の一つなのかもしれない。でも、そんな思い出の中の一部分に自分と一緒にゲームをプレイしたという楽しい思い出を刷り込むことが出来て本当に良かったと思う。

 医師は、永夢はそんな彼に向けて笑顔でいった。

 

「大丈夫。僕はずっとここにいるから。退院してもたまに遊びに来てもいいからね」

「ホント? エム先生?」

「うん!」

「ケンタ君退院できるの?」

「よかったね!」

「退院しても、僕たちのこと忘れないでね!」

 

 永夢の言葉を皮切りにその病室にいたたくさんの彼の友達もまたケンタのベッドに向かてくる。いつの間にか、彼の顔からは不安なんてものはなくなっていた。

 永夢は、友達に囲まれるケンタに一度小さくお辞儀をして病室から出ていく。

 病室前の廊下は患者さんが転ぶということがないようにいつも整然と片付けられて広くなっている。

 壁には子供が折った折り紙の花や人形が張られている。この、青色の少しだけ折り目が目立つ花はケンタ君の作ったものだ。それを一瞥した永夢は、一度笑顔になって、いつも通りカルテに記入するためにナースステーションへと向かった。

 その時である。永夢の首にかかっている聴診器が鳴った。

 

「緊急通報!」

 

 瞬間、永夢の目つきが変わり、走らない程度に早歩きで地下に向かった。

 

「永夢!」

「明日那!」

 

 地下の駐車場に止めてある彼ら専用のバイクに到着したとき、一名の女性看護師が彼に近づく。

 彼女の名前は仮野明日那(仮)。彼、宝生永夢の仲間である。

 

「飛彩先生は?」

 

 永夢は、ヘルメットをかぶりバイクに乗りながら聞いた。

 

「手術中で出られないって、大我はアメリカから帰ってくるニコちゃんを迎えに空港に行ってて、出られるドクターは永夢だけなの!」

「分かりました!」

 

 明日那もまたメットをかぶると永夢が乗るバイクの背後に乗った。それを確認した永夢は、バイクを発進させる。

 病院から1,2キロ程離れた場所。そこは大きな公園がすぐそばにあり、気分が悪くなった少年はそこにあるベンチに座り休んでいた。

時期的には大外れではあるが熱射病か、それとも脱水症状なのか。ともかく水を飲んで少しだけ待てば症状は治まるかもしれない。そう考えていた。

 だが、時間が経てば経つほど気分不快はさらに大きくなり、次第には心臓までも痛くなってきた。

ただ事ではない何かが自分の身体に起こっている。そう考えた少年は、すぐに119番通報。症状を伝えるとすぐに医師が向かうとのことだった。

少年は何故救急車ではなく医師が向かうと言ったのか疑問に思う暇などなかった。それほどまでに自分の身体を襲っている症状が大きかったのだ。

 医師が来るのを待つ間、少年の病状はさらに悪化していく。それは、医学にはなんら知識のなかった少年の目で見ても明らかな物だった。

 

「なんだよ、これ……」

 

 少年の手が、まるでノイズでも走ったかのように揺れ、オレンジ色の何かが沸きだそうとしていた。

 病気だとか、そんなものじゃない。なにか自分の身体に恐ろしいことが起きようとしている。直感的に感じた少年は、どこかに行く用事などないのにベンチから立ち上がった。

 だが、少年の足はおぼつかず、すぐにもつれて倒れこんでしまう。

 怖い、恐ろしい、そんな不安な感情が彼の脳裏をかすめた。もしかしたら、これは死に通ずる病なんじゃないかと、もしそうだったら、自分にはどれぐらいの時間が残されているのだろうかと。

 もしも、自分に時間が残されていないのだったら、せめて半年、いや一か月でもいい、命よ持ってくれ。それぐらいあれば、自分はあのゲームをプレイすることが出来る。もしもクリアできたのであれば死んでもいいくらいだ。だから、だから、もうしばらく猶予をくれ。

 

「大丈夫ですか!」

 

 不意に少年の目の前にバイクが止まった。バイクからは白衣を着た青年と、看護師と思わしき女性だ。もしかして、彼が先ほどの通報先から連絡のあった医師なのだろうか。

 

「あ、あなたは?」

「聖都大学附属病院のドクターです。今診療しますから」

 

 そういうと永夢は首にかかっている聴診器のダイヤフラム面を少年に向ける。すると、ダイヤフラム面から空中の何もない場所にディスプレイが映し出される。そこには倒れている少年の姿、そしてその少年の周りを飛ぶ剣のアイコンが映っていた。

 これは、少年がバグスターウィルス感染症、通称ゲーム病という名前の病気に感染しているということを如実に表していた。今永夢が少年に向けている聴診器を使えば、どんなウィルスに感染しているのかが分かる。ディスプレイに映し出されている形は、ギリギリチャンバラという『ゲーム』のバグスターが感染している時にでるアイコンに極似している。

 

「ギリギリチャンバラ? いや、ちょっと形が変わっている。もしかして、突然変異したバグスターウィルス!?」

「え、それじゃワクチンは!?」

「耐性が付いている場合、効果がない可能性があります」

 

 バグスターウイルス。それは、少年の耳にも聞き覚えがあった。確か五年程前に日本で猛威を振るった感染症の名前がソレだったはずだ。まさか、自分がそれに感染しているとは。

 バグスターウイルスは、技術進歩によってそれぞれのウイルスに適応したワクチンが開発されたことによってゲーム病専門のドクター以外でも治すことが可能になった。しかし、ここ最近そのワクチンに問題が発生した。

 ワクチンに対抗するために突然変異したバグスターウイルスが発生したのだ。

 普通の病気でも、ワクチンではなかったとしても病気を抑える効果を持つ薬に対して体制を持つ病気は多々ある。その結果既存の薬では治すことのできない凶悪な、人の命を奪う病気が患者の身体を蝕むことになる。

 バグスターウイルスもその例にもれず、一度耐性が出来てしまえば既存のワクチンではそのバグスターウイルスを治すことは困難となってしまう。

 

「そ、それじゃ俺は……」

 

 少年は、絶望した。ワクチンの効かない突然変異のウイルスに侵されたなど、信じられなかったが、医師がいうのだから本当の事なのだろう。

 ワクチンの効かない病気にかかって、このまま自分は死ぬしかないのだろうか。そんな嫌な考えが彼の頭の中を駆け巡る。しかし、医師は笑顔で言った。

 

「大丈夫。ワクチンが効かなのなら、僕が切除する」

「せ、切除?」

「うん……」

 

 そう言うと永夢は、ゲーマドライバーという、いわゆるライダーベルトを腰に巻く。

 そして、白衣の中からピンク色の配色をしたライダーガシャットと呼ばれる物、マイティアクションXを取り出し、ライダーガシャットの起動スイッチであるプレイングスターターを押した。

 

≪マイティアクションX!!》

 

その瞬間、空間生成装置と呼ばれるエリアスプレッダーが作動し、周囲にゲームエリアが展開され、チョコレートの色と形をした箱が何個も置かれた。

 

「うっ! うぅ!!」

 

すると、少年の身体からオレンジ色の物体、バグスターウイルスが少年の身体を包み込み、剣の形となって出現した。そして、一瞬だけ永夢の目が赤く変色するまさにこの瞬間、永夢の中にある天才ゲーマーMとしての人格が彼に宿る。Mは、『MIGHTY ACTION X』のロゴが映ったホログラムモニタを背に、一度だけニヤリと笑うと言った。

 

「患者の運命は……俺が変える!」

 

 永夢は、左から右にライダーガシャットを持った腕を動かすと、そのまま顔の横に腕を置く。そして言った。いつもの、あの言葉を。

 

「変身!」

 

 永夢は、ライダーガシャットを右手から左手に持ち替えると上から下に一直線にゲーマドライバーのスロットに差し込んだ。

 

≪ガシャット! レッツゲーム! メッチャゲーム! ムッチャゲーム! ワッチャネーム!? アイムアカメンライダー!≫

 

 永夢の周りに現れた数々のキャラクターの顔。その中からピンク色のキャラクターの顔をタッチした瞬間、永夢の身体が桃色の光に包まれ、光が収まったその時、二頭身のキャラクター、仮面ライダーエグゼイドレベル1が現れた。

 

「ノーコンテニューで、クリアしてやるぜ!」

≪ガシャコンブレイカー!≫

 

 エグゼイドは、出現したハンマー型の武器、ガシャコンブレイカーを手に取ると、ジャンプして怪物、バグスターユニオンへと突撃する。

 

「フッ! ハァッ!」

 

 自身の身体そのものが剣であるバグスターユニオンは、剣先を振るうことでエグゼイドの攻撃を受け流し、双方ともにダメージを負うことは無かった。

 

「だったらこれだ!」

≪シャッキーン!≫

 

 エグゼイドは、ガシャコンブレイカーのAボタンを押すと、ハンマーの上側に剣が展開され、先ほどまでのハンマーモードではなくブレードモードへとその姿を変える。

 

「ハァッ!!」

 

 Bボタンを連打したエグゼイドは、再度バグスターユニオンへとジャンプし攻撃する。

 バグスターユニオンは再び相殺しようとするが今度は相殺することが出来ずに≪HIT≫の文字が空中に浮かぶ。この文字が浮かんだということは、ダメージを与えることが出来たということだ。

 先ほどエグゼイドが連打したBボタンは連打モード。つまりそのボタンを押すことによって次の攻撃が多段ヒットするようになるボタンであるのだ。単撃であれば相殺することは可能であるが、連撃であればただ剣先を振っているだけでは相殺することが出来ないのだ。

 次々と繰り出される連撃に、ダメージを蓄積していくバグスターユニオン。

 

「よぅし、フィニッシュだ!」

≪バ・コーン!≫

 

 エグゼイドは、それを見るとガシャコンブレイカーをハンマーモードに戻すと、チョコレート型の箱を壊す。これは、いわゆるアイテムボックスという物で、その中から大きなメダルが出現する。エグゼイドがソレを取る。

 

≪ジャンプ強化!≫

 

 これは、仮面ライダーの能力を大きく向上させるエナジーアイテムと呼ばれるもので、これを取ることによってさまざまなパワーアップの恩恵を受けることが出来るのだ。

 

「ハァァァ!!」

 

 エグゼイドが入手したのはジャンプ強化のアイテムで、これを取得することによって大きく跳躍力を上げることが出来るのだ。これで先ほどの何倍もの高さに跳躍したエグゼイドは縦に回転しながら勢いを増しながら落下していく。

 バグスターユニオンは先端を上空に向けて備えている者の無駄な抵抗であった。

 

「ハァァァッ!!!」

 

 ≪HIT!≫≪GREAT!≫ハンマーモードで殴るたびにその文字が浮かび、最後に≪PERFECT!≫の文字が浮かんだ瞬間大きな爆発が起こり、バグスターユニオンはブロック状の破片となってあたりに飛び散った。

 バグスターユニオンによって取り込まれていた少年はその場に倒れこむ。

 

「よし……」

≪GAMECLEAR!≫

「え?」

 

 エグゼイドの耳に聞こえてきたのはゲームクリア、つまり戦闘に勝利したという言葉である。だが、本来であればそれは聞こえてきてはおかしなものであるのだ。

 

「ゲームクリア? でも、まだバグスターは倒してないはずなのに……」

「だよなぁ……」

≪ガッシューン≫

 

 そう、本来であればこの後患者から分離してバグスターという怪人になった敵を倒さなければ治療は全て終わらないはずであるのだ。つまり、バグスターの切除術とは二つの段階を得て完了する。

一つ目は、先ほどのバグスターユニオンを倒してバグスターと患者を分離させる。

 二つ目は、その分離したバグスターを攻略しする。ここまでしてようやくバグスター切除術は終わり、ゲームクリアという音声が鳴るはずなのだ。

 しかし、今回はバグスターユニオンを倒しただけでその音声がなった。こんなことは初めてだ。

 エグゼイドは変身を解くと倒れている少年に近寄って、もう一度聴診器を向けてみる。

 

「バグスターの反応はない……完全にこの子の身体からバグスターは消滅したって事ですね」

「でもなんで?」

「分かりません。とりあえず、この子をCRに運びましょう。君の名前は?」

 

 ゆっくりと起き上がった少年は、手を開け閉めして自分の身体に異常がないことを確認するようなそぶりを見せると、永夢に向けて言った。

 

「お、俺は……桐ケ谷、和人……です」

以下に挙げる小説の中で見たいものはどれですか?

  • SAO ヴァルキリーズ
  • 例の作品も入れたSAOヴァルキリーズ
  • ロス:タイム:ライフ 天海春香編
  • レヴュースタァライト×まどか☆マギカ
  • プリキュア風性格まどかのまどマギ再構成
  • プリキュアオタクシンジのエヴァンゲリオン
  • 七匠オリジナル小説
  • ほかの小説の完結希望
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