SAO/UNLIMITED プロジェクトSAO   作:牢吏川波実

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サブシナリオ いつでもどこでも彼ららしく

「フッ! ハァッ!」

「えい! このぉ!!」

 

 兄妹はフィールドに出てフレンジー・ボアと戦っていた。だが、どうにも攻撃があまり通用していないように見える。確かに剣先は敵モンスターを捉えているはずなのに、それほどダメージが通っている気がしないのだ。

 

「おっかしいな、確かに当たってるはずなのに……」

「俺達が弱すぎるのかな?」

 

 どうして自分たちの攻撃が相手を倒すことが出来ないのか。そう疑問に思い始めた時後ろから声がかけられた。

 

「あんたたちね、説明書を読んでこなかったわけ?」

「あ、この声は……す」

 

 桜才学園生徒会副会長である津田タカトシは、その声に聞き覚えがあった。明らかに生徒会役員のスズの声。だったのだが、振り向いたタカトシの目線の先には自分の知っている彼女の姿はなかった。

 

「何よ?」

「えっと……どなたですか?」

 

 見覚えのない高身長の女性。人違いか、そう思ったタカトシであったが、女性プレイヤーは凛とした表情を崩さずに言う。

 

「何言ってんのよ。私よ、スズ」

「えぇスズ先輩!? でも、身長が……」

「なに?」

「い、いえなんでもありません!」

 

 どうやらタカトシとおなじ生徒会役員のスズで間違いないらしい。だが現実のスズとのあまりの差に少しだけ頭が混乱したのは事実だ。

 タカトシはやっぱりスズは身長にコンプレックスがあったんだなぁと当たり前のような感想を抱く。

 

「アンタたちの方は、それほど見た目変えてないみたいだけど、どうしたの?」

「う~ん、こういったキャラメイクっていうの、あんまり得意じゃなくて」

「私も~」

 

 タカトシとコトミの二人は、現実の姿に似せたキャラクターを作っていた。まぁ、それほど長い時間ゲームをするつもりではないので、この辺は少しだけ雑でもいいかと思っていたのだ。

 

「身バレとかしないように気を付けなさいよ」

「もちろんです! スズ先輩!」

「この世界ではクロシェットって呼んでもらいたいわね」

「クロシェット?」

「鈴のフランス語。そういうあんたたちはどんなプレイヤーネーム付けたのよ?」

「あぁ、俺はシンプルにタカって」

「私は……」

≪漆黒の騎士 フェザリオン!!≫

「ってつけようとしたら長いからってダメって言われてミコトってつけた」

「よかったわね、漆黒の騎士フェザリオンのお兄さん」

「俺もそう思うよ」

 

 中二病の域に入っている妹を持つととても苦労するものである。というか、それだったら別にフェザリオンだけでよかったのではないかとつい疑問を抱くが、そこを根ほり葉ほり聞くと色々と疲れそうな気がするのでここはスルーしておく。

 その後、二人が読むのをすっぽかしていた取扱説明書の中身を大体でも教えてもらったタカトシとコトミ、否タカとミコト、クロシェットも交えてSAOに慣れるためにしばらく猪型のモンスターであるフレンジーボアと戦う。

 すると、ある一体の猪を倒した直後に目の前に現れたもの、それはタカのレベルが上がったことを示すものであった。

 

「よし、レベルアップだ!」

「レベルアップしたら筋力と敏捷の二つのどちらかにポイントを振り分けることが出来るそうよ」

「へぇ……」

「えぇ、その二つしかないの? 残念……」

 

 と、ミコトが若干がっかりしたように言う。確かに、HPやそれ以外のステータスもまたポイント振り分けのシステムを使っても別にいい気がする。攻撃力を上げるか、素早さを上げるか、そのどちらかしかないというのはかなりプレイヤーの自由度を下げている気がする。せめて防御力のステータスを上げることが出来ればいいのではないだろうかと思うタカ。

 まぁ、この辺りは今後のスキル獲得で使い道が変わっていくのだが、βテスターではない彼らは全く知らないでいた。

 

「〇欲があげられたらよかったのに」

「その考えがアウトだよ」

「上げて嬉しいの? そんなステータス」

 

 やっぱりというかなんというか、彼女の考えていることも下ネタであった。

 伝えるのがかなり遅くなってしまったが、彼女もまた思春期真っ盛りの女の子。と言ってしまうと高校生の女性陣全員に叱られてしまうのだが、彼女もまた下ネタを頻繁に言い、それだけでなく中二病的な発言をするという生徒会役員共と同じく厄介な人間なのだ。

 

「そういえば、会長さんたち遅いですね」

「あ、確かに」

「あぁ、会長たちなら他のメンバーをはじまり街で見つけてからくるって」

「そっか」

 

 確かに、その方がいいのかもしれないとタカは思った。こんなにも広く、誰が誰なのかよくわからない世界においてフィールドに出てから探すよりも最初の街で待ち合わせをした方が探しやすいに決まっている。確かにそれは分かるのだが、一つ疑問がある。

 

「あれ、でもそんなこと俺たちには一言も……」

 

 そう。もしもその方法を取るのであれば自分たちにもその連絡が来ていなければおかしいのだ。だが、自分は会長からはそんな連絡を貰った覚えはない。

 

「やっぱり。私はちゃんと昨日言ったわよ」

「えッ?」

「それなのにアンタときたらさっさとコトミと一緒にフィールドに出るもんだから、私が偶然見つけていなかったら今頃迷子になっていたわよ」

「あ、えっと……すみません」

 

 どうやら、連絡は貰っていたらしい。彼女曰く、このことはミコトにも伝えておくようにとも言っていたそうで、そのことを忘れてしまっていたために二人一緒に会長たちとの約束をすっぽかしてしまったそうだ。

 余談だが、今日のクロシェットの威圧感はいつもよりも大きなものがある。現実の世界のクロシェット、スズがタカトシのことを叱るという光景はよく見る物であるのだが、スズの身長はタカトシのおよそ半分。そのため別に叱られてもそれほど個人的にはダメージはあまり存在しなかった。しかし、ゲームの中の彼女はタカをも凌駕するほどの身長を手にいれており、きつい言動も相まって現実で経験したときの三倍程の迫力を感じているのだ。

 恐ろしい武器を手にしたものだと、タカは心の中でつぶやいた。

 

「お、いたいた。お~い津田くん!」

「あ、噂をすれば来たわね」

「ん?」

 

 タカとミコトが声のした方向を見ると、4人のプレイヤーの姿が確認できた。そして恐らく声を出したのは七条アリア、なのだろう。

 

「もう、津田君。コトミちゃん。勝手に行っちゃダメでしょ」

「七条先輩も、それほど姿を変えてないんですね」

「そう見える? これでもかなり変わってるのよ」

「え?」

 

 そういわれて津田は改めて七条の姿を確認するが、身長が大きくなったスズとは違い現実の彼女との差はないように見える。一体どこか変わっているというのだろうか。

 

「分からない?」

「えぇ、一体どこが変わってるんですか?」

「実は、下着をつけています!」

「あ、分からなくて正解でした」

 

 逆に分かったらそれはそれで変態である。アリア曰く本当はキャラクターエディットの時に外そうと試みたそうなのだが、そもそもそんな項目が存在しなかったため仕方なくそのままにしているらしい。と、いうことは現実では常に履いていないということなのだろか。

 

「タカトシ君! 私はどうかな?」

「えっと、もしかして三葉か?」

「うん!」

 

 柔道部のムツミは、それまで見てきた自分やアリアたちとは打って変わって随分と個性的というかあまりにも現実のムツミとは髪色も髪形も体型もかけ離れた姿をしていた。本来であれば彼女のように自分の身体をいじくるというのが基本であるはずなので、この世界においては彼女の方が普通であるのだろう。

 

「やっぱり現実じゃ出来なようなことするのが一番かなって!」

「へぇ……あれ? 三葉の後ろにいるのってまさか……」

「うん! トッキーだよ!」

「……うっす」

 

 タカトシが戸惑うのも無理はなかった。彼女の後ろにいるのはムツミと同じく柔道部所属でムツミとダブルエースの一角を担っているはずの時カオル、通称トッキーなのだが、少し様子がおかしい。

 

「なんで男の格好なのよ」

「……」

 

 そう、スズの言う通りトッキーの姿はどう考えても男のソレにしか見えなかったのだ。髪形自体は現実のトッキーそのものであるとはいえ、元々黒髪一つ結びという男性でもよく見る髪形をしているためやはりソレを合わせても男性にしか見えない。

 

「実はトッキー、自分のキャラを作るときに間違えて性別を男にしちゃったんだって」

「あぁ、なるほど……」

 

 それで性別を女性に戻そうと色々と項目をいじくって結果今の彼女の姿になったらしい。まぁネットの世界において男性が女性の姿を騙るネカマ、女性が男性の姿を騙るネナベというものがあるため本人にとっては不本意かもしれないが、彼女のような存在もそう珍しい存在ではない。それに、現実の彼女自身の容姿もかなり男性寄りの格好良さがあるため、違和感がないと言えばない。

 津田達生徒会役員の四人以外のこれまで紹介した三人は生徒会室において名前の出ていた者たちである。その時最後の一つを誰に譲ろうかと悩んでいた生徒会役員共であったわけだが、結果的には≪彼女≫のもとにわたることになった。

 

「桜才高校のみなさん。他校の生徒であるのに、私をご招待してくれてありがとうございます」

「お礼なんて必要ないわ。こういった楽しい物は共有しての物だから」

「そうですね」

 

 魚見チヒロ、通称、並びにプレイヤー名ウオミーは桜才高校とはまた別の学校の英陵高校の生徒会長である。タカたちとは学校交流という形でそれぞれの学校の校風や行事等の意見交換を何度も行っているのだ。また、彼女と津田家は親類の婚姻によって図らずも親戚になり、かなり親しい間柄にある。なお、言わずもながなことではあるが。

 

「エロ本や卑猥なDVDも共有することに意義がありますから。ね、タカ君」

「何故そこで俺に同意を!?」

 

 ということで彼女もまた思春期の女の子であった。

 因みにこの面子、下ネタという部分に限ればボケはアリア、ウオミー、コトミ。突っ込みはタカトシ、スズ、時々トッキー。そのどちらでもない天然のムツミの三タイプに分けられている。意外とバランスは保たれているのかもしれない。

 なお、プレイヤー名はそれぞれ

 津田→タカ

 コトミ→ミコト

 鈴→クロシェット

 時→トッキー

 魚見→ウオミー

 ムツミ→ムツミ(プレイヤー名を付けるのを忘れてた)

 アリア→アライア(用意していたプレイヤー名が悉くセンシティブな表現に引っかかった)

 となっている。ので、今後はそのように呼ぶことにする。

 

「ってあれ?」

 

 と、ここでタカがあることに気がついた。

 

「あの、会長は?」

「そういえばそうね……」

 

 そう、生徒会長である天草シノの姿が一切見えないのだ。鈴改めクロシェットもまたそのことに気がついてアライアに聞いた。

 

「あぁ、シノちゃんなら、学校からお呼び出しがかかってちょっと遅れてからゲームをするって」

「へぇ……」

 

 シノは急遽入った生徒会の仕事のために遅れるという旨をアライアに連絡していたのだ。しかし、彼女もまた思っても見なかったであろう。これが、運命の悪戯。これが、彼女と彼らを長い間隔てる壁になるなんて。

 そんなアライアは、シノから何か伝言を預かってきたらしい。

 

「伝言ですか?」

「そうよ、ゴホン……」

 

 わざとらしく咳払いをしたアライアは、シノの真似をして言った。

 

「さて、こうやって全員集まったところで今回の我々の目的を皆に伝えよう」

「目的、ですか?」

「そうだ。それは、大いに楽しもうということだ!」

「へ?」

「楽しむって、それが目的ですか?」

「そうだ。我々は、このゲームを大いに楽しみ、ここで得た経験を人生に生かせるようにしなければならない! だから、このゲームをプレイする間は、年齢や学年の違いも、学校の違いも、〇行経験の違いも関係ない!」

「元々関係のないものが混じってますよ」

「というか誰もそんな経験ねぇだろ」

 

 あ、やっぱり男声になるとトッキーってかっこよく見えるわねと、クロシェットは陰ながら思っていた。

 

「最新のゲームをプレイする貴重な経験ができるのだ。総員、ア〇ル締めて頑張ろう!」

「「おぉ~!!」」

「うわぁ……」

「まずはその言動を直すことを目標にしましょうよ」

「ねぇタカトシ君。どうして耳をふさぐの?」

「ピュアな女の子には聞かせられません」

 

 てな感じでいつも通りのノリと空気感で始まった生徒会役員とその仲間たちの冒険。ただただ普通にゲームを楽しむだけの時間は、もうしばらく続くのであった。




プレイヤーNo.17 津田タカトシ(タカ【Taka】)≪原作:生徒会役員共≫ログイン
プレイヤーNo.18 津田コトミ(ミコト【Mikoto】)≪原作:生徒会役員共≫ログイン
プレイヤーNo.19 萩村鈴(クロシェット【Crochet】)≪原作:生徒会役員共≫ログイン
プレイヤーNo.20 時カオル(トッキー【Tokki】)≪原作:生徒会役員共≫ログイン
プレイヤーNo.21 魚見チヒロ(ウオミー【Uome】)≪原作:生徒会役員共≫ログイン
プレイヤーNo.22 三葉ムツミ(ムツミ【Muthumi】)≪原作:生徒会役員共≫ログイン
プレイヤーNo.23 七条アリア(アライア【Araia】)≪原作:生徒会役員共≫ログイン

タイトル、また変えようと思ってます。今度はシンプルに。でもそんな頻繁に変えていいものかと思ったので、ちょっとアンケートとります。なお、前提としてSAO、あるいはソードアート・オンラインを頭につける事としてます。よろしければお答えください。

  • ヴァルキリーズfeatボーイ
  • プロジェクトSAO
  • アルティメットカオス
  • 無への逃走
  • 肯定あるいは否定
  • フィクションスターズ
  • 〜いろんな著作物から以降はいらない
  • タイトルはそのままでいい
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